414 :earth:2011/11/21(月) 21:28:04
→372を読んで、猫神とのクロスSSの続編が思いついたのでアップします。
これで多分終わりです(笑)。
「あ~疲れたの」
貧乏神の勤めとして幾つかの企業を倒産に追い込んだしゃもは、疲れを癒すためにある廃ビルの屋上でビールを飲んでいた。
真昼間に幼女がビールを飲む光景は、色々と問題があったが、この場にそれを咎める人間はいなかった。そう咎める者は……。
「おや、久しぶりですね。査察官殿」
「……しぶとい男なの」
しゃもの先にいたのはスーツ姿の男だった。
「ははは。天上の神々には嫌われていましてね。というか驚かないのですね?」
「お前が死んだなんて聞いて、信じる馬鹿はいないのよ。お前が神に祭り上げた男もお前が死んだなんて信じていないの」
「これは酷いことを。まぁ彼には悪いことをしたと思っていますよ。一度土産を持って会いに行くくらいはしないと」
そういうと男はしゃもの横に立つ。
「そうそう、私は今、ある町で骨董店を営んでいまして、機会があれば」
「お断りなの。そもそも貧乏神を招くなんて時点で何か考えているか判るの。豪華なお社に祭られて属性反転させられるのは
御免なのよ」
「いやはや、それは残念です」
そう言いつつも、ちっとも残念そうな顔をしない男。
「全くこの男は……そんなんだから神々に嫌われるの」
416 :earth:2011/11/21(月) 21:28:54
しゃもは彼と彼の組織が行った所業を知っていた。尤も彼らの所業を知るのは神々でも一握りだ。
「そもそもあれをやらざるを得なかったのは、貴方方がバランスに拘って現世に介入したせいでしょうに」
「人の世のバランスをとるのも我々の仕事なのよ。世界が滅ばないように。尤も人の子があんなことをするとは思ってみなかったけど」
目の前の男は、かつて冗談なしに世界の半分を滅ぼしかけた。
「傲慢だと? ご冗談を。我々は神々ほど傲慢ではありませんよ」
「私達ほど?」
「我々はどこかの神話の神々のように何度も破壊と創造を繰り返しませんよ。
何しろ我々は……あのような行為は『ただの一度』しかしていないのですから。おっともうそろそろ時間ですな。それでは」
そういうと男は去っていった。男が去るのを確認した後、しゃもはため息をつく。
「一度だけで十分なのよ。全く」
しゃもはそういうともう一度ビールを飲み始める。
「一回、嶋田神社にいって報告してやるの。辻を見たって」
その後に起こるであろう大決戦を夢想し、彼女は人知れず黒い笑みを浮かべていた。
最終更新:2012年01月04日 10:29