潮血潮(ウシオ・チシオ)は希望崎学園へ入学して早々、成り行きでハルマゲドンへ参加する事になってしまった。
「青天の霹靂と言うのか、弱り目に祟り目と言うのか、何で俺ハルマゲドンに参加したんだろうか……」
潮は誰に言う訳でもなく独り愚痴るのであった。
仮にもこの潮、一人称こそ"俺"だが、コレでも列記とした女の子なのだwww
そんな潮も、普段はクール系女子を気取っているのだが、何せ"本質"が熱血直情系女子(※)の為、ことある毎に遺恨と言う名の火種を蒔いてしまうのだ。
※世間一般、俗に言う口より先に右ストレートがでる女子の事!!
つい最近の事だったか、明らかに低脳そうなモヒカンザコ達が、潮を魔人と知らずに絡んで来たのだが……。
「ちょっと待ちな嬢ちゃんヒャッハー!!」
「俺達は泣く子も笑うモヒカンザコだぜヒャッハー!!」
「命が惜しければ金出しなヒャッハー!!」
「泣け喚けヒャッハー!!」
哀れモヒカンザコ達、潮のリミッターは簡単に外れるのを知らなかった。
それが彼等モヒカンザコと言える所以、それが彼等の存在意義www
「例え金を置いてってもぶっ殺してやんぜヒャッハー!!」
一人のモヒカンザコは持ってたバットで、果敢にも潮を攻撃した。
バットは見事に潮の頭頂部を直撃し、そこからセントヘレンズ大噴火※の如き夥しい量の血飛沫が飛散した!!
※キン肉マンvsアトランティス戦を参照
「……………」
血飛沫を上げ、黙ったまま直立する潮を余所に、モヒカンザコは己の武勇を誇るように高笑いをするのだ。
「一発で殺ったぜヒャッハー!!」
それに連れられて他のモヒカンザコ達が騒ぎだした。
「お前スゲーよスゲーよお前ヒャッハー!!」
「このままじゃ勿体ねぇ〜ぜヒャッハー!!」
「そうだ一発犯っちまおうぜヒャッハー!!」
「お前等……、言い残す事はそれだけか?」
怒気を大いに孕んだ潮の呟きにモヒカンザコ達は一斉に彼女の方を向いた。
『ひっ!!』
潮の鬼をも殺さんばかりの形相に、モヒカンザコ達も一瞬怯むが、どう見ても血塗れ満身創痍なのは相手だ。
「し、死に損ないの分際でナメんなヒャッハー!!」
再度襲い掛かるモヒカンザコ、今度は一人ではなく全員で潮に攻撃を仕掛けるのだが…………
「『熱血(バーニン・ブラッド)』!!」
そう潮が叫んだ時だ、先ほど彼女の血飛沫を浴びてたモヒカンザコ達の身体や衣服が激しく燃え出したのだ!! 果ては地面や草木に付着した血糊から、空気中に漂う血霧からも火の手が上がりだし、モヒカンザコ達は皆パニックに陥った。
潮血潮の魔人能力である『熱血(バーニン・ブラッド)!!』
それは自身の血液を媒体にした敵殲滅燃焼系能力と言える。
彼女が敵から直接的なダメージを負い、流血する事で能力の発動トリガーとなるのだ!!
「熱血(バーニン・ブラッド)、これは私の血を燃やす能力、特徴は単純にして明快、燃え易く消えにくい!!」
「ひ、火ぃ〜!!」
「あぢぃ〜!!」
「だじげでぇ〜!!」
逃げ惑うモヒカン、哀れザコ、潮の怒りを買わなかったら別の結末が迎えたであろう。
一人、また一人と力尽きるモヒカンザコ、ものの数分で全員が消し炭となり、旧校舎には再び静寂が訪れるのであった。
「痛ぇ〜……orz」
潮も魔人とは言え重傷には違いないのだが、毎回のように繰り広げる乱闘騒ぎ(最後は決まって殺し合い)、回を逐う毎に外傷が酷くなっていく。
こんな事を繰り返してたら、命が幾つ有っても足りないなと後悔する潮。
「はぁ〜…」
深くため息を吐いた、そこへ……
「随分派手に殺りましたね(苦笑)」
不意に背後から声を掛けられ、慌てて攻撃体勢に立て直そうとする潮だが、
「くっ!!」
思いのほか血を使い過ぎてしまい、激しい目眩に襲われていた。
「無理は良くないですよ、潮さん?」
今俺の目前に居る男、確かこいつは……
「フジキ3年か、俺に何の用だ……」
こいつは色々な噂が出回ってる、ハルマゲドンを始め部活動のライバル校など希望崎学園の脅威となりえる在校生や他校生を闇に葬ると言う"裏応援団のフジキ"、その人だ。
「いえいえ、近々ハルマゲドンが開催されるのはご存知ですよね?」
「それが俺と何の関係が有るんだ……」
フジキ、こいつは危険だと潮の本能が警鐘を鳴らす、この見た目爽やかな青年、その瞳の奥底には昏き闇が宿っていた。
「潮さん、貴方は番長グループの人間です、後々の憂いを断つのが僕達"生徒会"なんです♪」
全く、日頃の行いが悪いのも考えようだなーーー。
「生徒会の糞が、掛かって来いやぁー!!」
魂の咆哮を上げる潮と狂気の牙を剥くフジキ、この遺恨が後に彼女をハルマゲドンへ赴かせる事になると、この時はまだ想像もして無かったの潮だっだ。
《完》