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五回目を数えたテラカオスバトルロワイアルも、数多の悲劇と禍根を残しながらも、6/らの活躍で収束の時を迎えた。
人々は、もう二度とこのような悪夢を繰り返さない事を誓い、来る日も来る日も神に祈った。
その甲斐あってか、その願いは叶うこととなる。

このロワのほとんどは関東というごく狭い範囲で起こっていた出来事のため、
関東以外の区域では、被害は奇跡的にも皆無に等しかった。
そして、関東以外の区域では大方の復興は既に終えつつあった。
再び崩壊した関東を救おうと、各地からボランティアが殺到し、復興にあたった。
復興を支援する募金も、億単位の額が集まった。
その結果、元の国力を取り戻すためには十年かかるという試算も出ていたのに、
半年も経たないくらいのハイペースで、彼らは復興を成し遂げたのである。
人々はもとの暮らしを取り戻し、今まで以上の繁栄を勝ち得た。
この驚くべきペースの国力回復は、戦後復興のモデルとして世界中から高い評価を受けた。
失われた時間は、完全に取り戻されたのだ。

我々がこの偉業を成し遂げられた理由は、二つ。
長かった地獄が終わるという開放感、
悲劇と禍根を未来永劫繰り返すまいとする、強き使命である。

そしていつしか、人々の心からはテラカオスバトルロワイアルは消えていた。
誰一人として、テラカオスバトルロワイアルの存在など、忘れていたのである。
かつてテラカオスバトルロワイアルを戦い抜き、生き抜いた勇者達を除いては。

だが、この皆で勝ち得た平和さえも、長く続きはしないものだった。

半年前の第五回テラカオスバトルロワイアルの最中、ある書類が作成されていた。
その名も、『全世界カオスロワ化計画』。
作成者は喜緑江美里。そのロワで絶対的な主催の権利を持っていた女である。
彼女は日本を壊滅させた後、全世界全てを巻き込んだカオスロワを展開するために、
第五回が始まるよりも以前から、この極秘の資料を秘密裏に作成し続けていたのである。
だが、彼女は死に絶え、カオスロワは止められた。
紙切れ同然になり、本来の役目を果たさなくなったこの書類は、邪な者の目に触れぬよう、
何者かによってカオスロワと共に闇の奥底へと葬られた。
だが、この書類を発見し、手にしてしまった者がいたのだ………。

それは終戦から半年が過ぎた時の事だった……。

「今日こそは絶対に負けないよ!」
「望むところだよ、ドラえもん
午後七時前、東京都のとある片隅の民家で、一台のテレビをめぐった抗争が起きようとしていた。
今日のためにわざわざ気合を入れ、両者とも早めの夕飯を既に済ませているのだ。
そして迎えた午後七時……。
「始まるぞ!!」
午後七時を迎えるやいなや、両者は熾烈にチャンネル争いを始めた。
「今日はミーちゃんがこの番組に出演する晴れの舞台なんだ!観ない訳にはいかない!」
「僕だってこのアニメを観るためにわざわざ早く夕飯を済ませたんだ!絶対に譲らないぞ!」
わずか一分の間に、20回以上もチャンネルを変える熾烈なデットヒートを繰り広げる両者。
だが、このデットヒートは、ものの数分程で終わりを告げた。

 ザーーーーー

突如テレビの映像が一面の砂嵐に変わってしまったのだ。
「ほらみろ、のび太君がいたずらするからテレビが壊れちゃったじゃないか!」
「何を言ってるんだ、ドラえもんが邪魔するからじゃないか!!」
砂嵐のテレビを前に、言い争いを始める二人。
しばらくして、砂嵐だったテレビ画面に、軍服を着た一人の男が映し出された。
どのチャンネルに変えてみても、同じ男の画像が映し出されるばかりだった。

「誰? この人?」
「さあ?」
見たこともない軍人の登場に二人は困惑する。しかし、映像のカメラが後ろに引くと、
見覚えのあるかぎ十字の旗が姿を現わした。見紛うことなきナチスの旗だ。
「私はハインリヒ・ヒムラーだ」
男はそう自己紹介すると、高らかに演説を始めた。

諸君はテラカオスバトルロワイアルと呼ばれるものがあったことはご存知だろうか?
忘れもしない半年前、悪の権化テラカオスを、見事に消し飛ばしてみせた勇者の物語を。
彼らのその勇姿は、正直この私も感服しきりだったよ。
もしナチスが政権を担い続けていたのなら、総統閣下に勲章を与えるよう申請してやりたいぐらいだった。
だが、このテラカオスバトルロワイアルには一つだけ問題がある。それは行動範囲の狭さだ。
ごく限られた範囲でしか物事が起こっていない、すなわち『ポケットの中の戦争』だ。
日本列島という行動範囲の指定があるのに、大多数は関東一円でしか活動していないのだ。
それすなわち、38万平方キロにわたる日本という国の国土を有意義に活用することを、
それまでの主催達が完全に怠ってきた事のあらわれに他ならないのだ。
あえて言おう、カスであると!
私は、そんなカオスロワをなんとかしたいと考え、数ヶ月にわたって行動を起こした。
その末に見つけたのが、この『全世界カオスロワ化計画』だ。
これには、全世界を舞台にしたカオスロワを展開するために必要な下準備や資料など、
効率の良いカオスロワを展開するためのあらゆる情報が、ぎっしりと詰まっている。
私はこれをもとに同志を募り、カオスロワに必要な下準備を入念に行ない続け、今日に至る。
我々は必ずや実行してみせる。かつての総統閣下も含めた、これまでの無能な主催どもに成り代わって、
真のカオスロワと言うにふさわしい、全世界を舞台にした究極のバトルロワイヤルを作り上げる事を!
そして、今ここに第六回テラカオスバトルロワイアルの開始を宣言する!

うろたえる人々に、あの悪夢の首輪が再び付けられる。
かつて五度ものカオスロワを経験した日本の国民は、みな一様に凍りついた。
それを知ってか知らずか、ヒムラーは演説をし終えると、ニヤリと笑って一息ついてからまた喋り始める。
「では今回のカオスロワの具体的なルールの説明を、我が同志の一人カワリーノ氏が説明する。
 今のうちに聞き漏らしのないようにしておくのだな」
ヒムラーはそう言うと、長身で細目の男に放送を代わった。

「フフフ……プリキュアのみなさん、しばらくでしたねえ。
 またみなさんに会える今日を楽しみにしていましたよ。
 私は実行委員のカワリーノです。
 これから私が今回のカオスロワのルールの説明をおこないます」

今回のカオスロワは、舞台を全世界に広げた超大規模のバトルロワイヤルです。
エベレストの山頂からマリアナ海溝の底に至るまで、全てロワの対象です。
実行期間中は、皆さんは何をしても一向に構いません。
出会った人を殺すのも、協力して助け合うのも、皆さんの器量次第です。
大陸間の移動手段も、船を使おうが、飛行機を使おうが、自力で泳ごうが自由です。
要するに、何でもありの第三次世界大戦です。

ですが、大人数の参加者を独断で一気に終結させたり、宇宙へ進出する等といった、
進行の妨げになると判断されるような行為は固く禁じます。
そうした行為を行おうとした瞬間に、首輪が爆発しますので、悪しからず。
また、当ロワの時間軸ですが、基本としてイギリスの時間を用います。
当然世界には時差がありますので、その辺は各自でお調べ下さい。
なお、イギリスは日本に比べて9時間程遅れています。
<時差に関して参考にするといいもの:http://www.w-time.com/

「以上で私の説明は終わりです。
 ご理解頂けた人もそうでない人も、ご武運をお祈りしていますよ。フフフ…」
カワリーノと名乗る男は不気味な笑みを浮かべながら、放送を終える。
「時刻はもうすぐ正午、日本時間で午後九時を迎える。
 世界190ヶ国以上の国に対して同時中継してきたこの放送も、もうすぐ終える。
 ではこれよりカオスロワを開始する!


 ……と言ってもこのままでは皆外国へ出ることなどするまい。
 それゆえ、これより我々が参加者の皆を世界中の適当な場所へ送り出す。
 運良く国内に留まれる者もいれば、
 見たこともない土地に一人放り出される者もあるだろうが、
 支給品の世界地図を確認すれば、だいたいの位置くらいは分かるだろう。
 では諸君、生きていたらまた会おう!」

ヒムラーのその言葉と共に、テレビは電源を押すことなく消えた。
それと同時に、参加者達は深い眠りに落とされることになる。
視界がぼやけ、まぶたが重くなり、深い眠りに襲われる。

「ド…………ラ…………え…………も…………ん………………?」
強い眠気に耐えられず、その場に横たわって眠りこけるのび太。

ヒムラーはこれから自分達を世界のどこかに飛ばすと言っていた。
自分はどこに飛ばされるんだろう? そこでは何が待っているんだろう?
しかしはっきりと分かっているのは、自分が世界のどこに飛ばされようとも、
血塗られた戦いと、数多の命を失う悲しみの連続であるということだ。

【テラカオスバトルロワイアル6th 開幕】
最終更新:2008年11月02日 23:51