「ブラック☆ロックシューター!!」
ミクの歌声に合わせて、空から隕石が降ってくる。
元親は、それをいとも簡単に切り捨てた。
(くっ……これは予想以上です……)
すでにマクドナルドの店舗は半壊していた。
侍姿の美青年は、『メルト』による溶解攻撃も、『ブラック☆ロックシューター』による隕石攻撃も全てかわすか弾き返している。
やはり歴史に名を残す武将、一筋縄ではいくはずも無い。
そもそも、本来ならば彼のような人物こそがサーヴァントとなるべきなのだろう。
剣の心得も無い自分など、接近戦に持ち込まれたらそこまでだ。
「―――、マスター、マスター、聞こえてますか!?」
元親から距離を取ると、崩れかけた店の壁際にうずくまって瓦礫を避けていた6/と、一緒にいるハルヒに呼び掛ける。
「どうした、ミク?」
「マスター、ハルヒさんを連れて逃げてください!! 出来るだけ遠くへ!!」
「なっ……おい、それじゃあ」
「私はこの男をなんとしても食い止めます!! ……もし私の名前が放送で呼ばれたら、他のサーヴァントと契約しなおしてください」
「ちょっとアンタ、なに弱気なこと言ってんのよ!!」
すかさず身を乗り出して罵声を浴びせるハルヒ。しかし、当のマスターたる6/氏は逡巡していた。
そもそも、何の謂れもなく巻き込まれた戦い。自分はただのどこにでもいる、パロロワを書くだけが特徴の一般人。
ミクだってほんの数時間前に出会ったばかりの他人に過ぎない。少なくとも彼女のために何かをするような義理はない。
一刻も早く元の生活に戻りたいとも思っている。だが―――
「おい、ミク。俺はお前のマスターなんだよな?」
そう問いかけると、ミクは驚いたような顔をして、しかしはっきりと答えた。
「はい!!」
「じゃあマスターとしてお前に命じる。必ず生きて帰れ!!」
「承知しました!!」
「怪我でもしたら、お尻百叩きだからな!!」
「はい、喜んで!!」
それを聞き届けると、6/はハルヒの手を引いて走りだした。
「ちょっとアンタ!!」
「いいから来い!! ここに俺たちがいたってミクの足手まといだ!!」
二人の背中はまもなく電気街の中に消えていった。
「やれやれ、やっと終わったか」
元親がつまらなそうに呟く。
「俺の前で無駄話をするとは余裕じゃないか?」
「余裕なのはあなたのほうですよ。さっき私がマスターと話しているところを攻撃すれば、あなたにだって勝機はあったでしょうね」
「―――減らず口を!!」
語気は鋭いながら、元親は顔に満足げな笑みを浮かべていた。
オタクながら体力もある6/と、スポーツも含めた万能超人であるハルヒは気が付けばマクドナルドからは随分離れたところに来ていた。
流石に疲れた二人は道に腰を下ろして休む。
(なんか、昨日から逃げてばっかりだよな、俺……)
ミクから逃げ、メタナイトから逃げ、そして今度もまた逃亡中だ。
ハルヒが「何か冷たいもの買ってきて」などと言うので、仕方なく近くにあった自販機まで買いに行く。
(ミク、大丈夫かな……?)
飲み物を選びながらも、彼女の顔が頭から離れない。
さっきは勢いであんなことを言ったが、正直もう生きて会える可能性のほうが低いのではないかと思っている。
(……もう少しくらい、優しくしてやればよかったかな)
などと思いつつ自販機のボタンを眺めていると、
「うーん、なんか参ったことになっちゃったねえ」
「うおっ!!」
突然話しかけられて思わず飛び退く。いつの間にやら、すぐ隣に長身の男が立っていたのだ。
それもどこかで見たような姿の……いや、この青を基調にしたような外見は、などと思っていると、
「まさかこんな早くから主催側が介入してくるとは思わなくてねえ。ミクにはもっとゆっくり準備してもらうつもりでいたんだけど」
「ミクの知り合いってことは、あんたはやっぱり……」
「まあお察しの通り、ミクを君の家にけしかけたのは僕達だよ。しかしこんな早くにミクに死なれちゃあ、計画はご破算だ。
もちろん個人的にもミクには死んで欲しくないけどね。そこで、ちょっと非常手段になるけど……」
そう言うと、男はおもむろに6/のこめかみに手を当てた。
「なっ!!」
「動かないで。危険はないよ。ちょっと君と、別世界の君の記憶をリンクさせてもらうだけだから」
「別世界、の?」
「ああ。上手くいけば、記憶だけでなく能力までも……」
その時、6/の記憶は闇に沈んだ。
「きゃあっ!!」
テーブルの上に叩きつけられて、悲鳴を上げるセイバーのサーヴァント、
初音ミク。
ニーソックスの膝元が破れ、肌からは血が滲んでいる。
「へへ……
ごめんなさいマスター。怪我、しちゃいました……」
ネギを杖代わりにしてよろよろと立ち上がろうとするミクに、元親がゆっくりと歩み寄る。
「なんだ、この程度かよ、セイバーとやら? 全く期待ハズレだな。
信長殿の指示には背くが、やっぱりお命を頂いておくかねえ」
ミクの眼前で、剣を上段に振りかぶる。
この敵に歌など通用しないことは、すでに承知の上。ましてやこの体勢ではまともに歌うことなど出来ない。
(兄さん……姉さん……みんな……ごめんなさい)
そんな時、ふと自分の右手の甲を見たミクはそこにいつの間にか紋様のようなものが浮かび上がっているのを見て驚いた。
「これは令呪? そんな、なんでサーヴァントである私に……」
その時、元親の握っていた刀に一個のクルミが直撃し、刃を真っ二つにした。
「俺のマスターに手を出さないで貰おうか?」
店の入り口にいたのは、さっき女を連れて逃げたはずの青年だった。
「へえ、あんたもサーヴァントだったとは意外だねえ? さっきの攻撃を見るに、アーチャー、いやキャスターか?」
「違う。俺は英霊でも能力者でもねえ。ただの普通の“書き手”、『ライター』だ!!」
そう言って、6/はポケットの中から自らの宝具を取り出す。
左手に握ったそれは、いつもSSのプロットを練る時に使っている万年筆。
「なるほどな。ふん、刀一本とはちょっとばかし高い代償になったが……いいだろう。
信長殿にも喜んで貰えそうだしな。そんじゃ、縁があったらまた会おうぜ、セイバー、ライター」
そう言うが早いか、元親の姿はあっという間に消え失せた。目にも止まらぬ速さで離脱したらしい。
「マス、ター……?」
「俺にとってはお前がマスターになるようだな」
6/はミクを助け起こし、怪我の手当てをした。
「あの男、ひょっとしたら最初からこうなることが目当てだったのかもな」
「はい。でもマスター、どうしてサーヴァントの能力を?」
「ああ、お前の兄に……いや、ちょっとそこで知り合った、お節介な奴にな」
そう言いながら、6/の胸中に複雑な思いを抱えていた。
(あれが『別世界の俺の能力』なのか? 別世界の俺って……一体どんな奴なんだ……)
そのお節介な奴は、二人の会話を店の外で盗み聞きしていた。
「記憶を同期させるには到らなかったが、能力だけは一部シンクロしたか。まあ急ごしらえにしては上出来かな。
さて、あの二人はしばらくは大丈夫そうだし、ちょっと他の組の様子も見ておくかな。
ルカの動向も気になるし、他の連中とも連絡取りたいし……」
そう独り言を言い終えると、青い人影は雑踏の中に消えていった。
【午前7時/日本・秋葉原】
【◆6/WWxs9O1s氏@書き手】(マスター、クラス・ライター)
【状態】健康
SOS団臨時団員
【装備】無し
【道具】支給品一式、不明支給品
【宝具】SS用万年筆
【思考】
1:さて、どうするか
2:死にたくない
※6期までの6/氏とは別人です
※ミクのマスターであり、同時にミクのサーヴァントです
【初音ミク@ボーカロイド】(マスター、クラス・セイバー)
【状態】健康 SOS団臨時団員
【装備】伝説の首領パッチソード@ボボボーボ・ボーボボ
【道具】支給品一式
【宝具】電子の歌声
【思考】
1:マスターに従う
※ 6/のサーヴァントであり、同時に6/のマスターです
【長宗我部元親@戦国時代】
【状態】健康
【装備】折れた日本刀
【道具】なし
【思考】
1:戦いを楽しむ
2:気が向いたら信長の指示通り、参加者をひっかきまわす
【
KAITO@ボーカロイド】
【状態】健康
【装備】不明
【道具】支給品一式
【思考】
1:ミクを手助けする(?)
2:他の参加者と接触
「ふふん、流石は元親殿だ。期待通りの結果を出していただいた」
安土城で一部始終を見ていた信長は満足げに微笑む。
これで覚醒したサーヴァントは十二人目。
【剣士】セイバー。
【狙撃手】アーチャー。
【槍兵】ランサー。
【騎乗手】ライダー。
【魔術師】キャスター。
【暗殺者】アサシン。
【狂戦士】バーサーカー。
【挑戦者】チャレンジャー。
【飽食者】イーター。
【釣人】アングラー
【書手】ライター。
【高速兵】ブッチギルンジャー。
「しかし、あまり際限なく増えてもいいというものではない。上限は十五人か二十人かくらいにしておきたいのう」
「殿、ではそろそろクラスは埋まってしまうのでは?」
重臣、明智光秀が問いかける。
「左様。この調子では
第一回放送までには全部埋まりそうだのう。
ところで光秀よ、どうやら我々主催側しか知りえないはずの情報を手に入れて、新聞にして流している者どもがいるらしい。
そこで、お前にはそいつらの拠点を突き止めて潰して欲しいのだが」
「私にですか? かしこまりました!!」
威勢良く返事を返す光秀。
「そして、お主のクラスは【裏切者】“ユダ”だ!!」
「へ?」
その言葉に光秀の顔が凍りつく。
「ちょ、ちょっと待ってください。私もサーヴァントになるんですか!?」
「どうせなら、主催側のサーヴァントもいたほうが都合がいいではないか」
「……わかりました、確かにそうですね。でも、なんですかクラス名が【裏切者】って!?」
「いやあ、明智光秀と言えば裏切りだろう、常識的に考えて」
「そんな不名誉なイメージで決めないでくださいよ!! 大体私はこれから戦闘の度に、『ユダ(裏切者)』のサーヴァントって名乗るんですか!?」
「ええい五月蝿い奴じゃのう、これ以上ごねる様ならお前の尻をこうしてくれるわ!!」
そう言って信長が取り出したのは、件の何者かが発行している新聞。
その一面には、女子高生らしい少女たちが並んで竹刀で丸出しの尻を叩かれている写真が載っていた。
(彼女達の尻を叩いている方の少女の姿は、なぜか半分透けて写っていた)
「は、はい……わかりました」
光秀は出陣の準備のため、すごすごと部屋を出て行った。それを見送った諸将は皆、
(恐ろしいお人だ……)
と、信長に改めて畏怖したという。
【明智光秀@戦国時代】(クラス・ユダ)
【状態】健康
【装備】不明
【道具】支給品一式
【宝具】不明
【思考】
1:新聞の発行者を突き止めて討ち取る
※マスターは不明です。少なくとも信長ではないようです。
一方その頃、
「おそーい!! あいつどこまでジュース買いに行ってるのよ!!」
すっかり放置されているハルヒであった。
【一日目・午前7時/日本・秋葉原】
【
涼宮ハルヒ@涼宮ハルヒの憂鬱】
【状態】健康(性的な意味で)
【装備】なし
【道具】支給品一式、不明支給品、大量のハルヒ×
キョン同人誌
【思考】
1(建前):SOS団のメンバーを再結集させ、平行世界について調べる
1(本音):キョンを見つけて○○とか××とかする
2:早く帰ってきなさいよ!!
最終更新:2009年05月23日 16:31