『ルカの姿を確認した。これからちょっとお灸を据えてやることにするよ』
「そう、わかってると思うけど、あんまり手荒なことは……」
MEIKOの言葉に、
KAITOは携帯電話越しに答える。
『もちろん。と言いたいところだが……まあ、ミクのメンタルを考えれば、一番避けなきゃいけないのはルカとミクが顔を合わせることだからな』
「そうね。まったく、こんな予想外のことで手間を取られるなんて……」
『予想外』というのは、ルカがサーヴァントと契約して聖杯戦争に参戦したことだ。そしてMEIKOの側ではもう一つ、完全に想定外の事態が発生している。
ハクの死亡とリンとレンの裏切りをKAITOに伝えるかどうか、最後まで悩んでいたが、
『―――ライダーがルカから離れた。今からルカに接触する』
その言葉を最後に、KAITOからの通信は途絶えた。
「……ま、仕方ないわね。それにしても、ネルも連絡の一つくらいは寄越しなさいってのに……」
そうひとりごちて携帯電話を閉じたMEIKOの背後に、音も無く一人の侍が現れた。
「MEIKO、とかいう奴だな? 信長殿の命により、命を貰いに来てやったぜ」
抜き身の刀をMEIKOの首筋に突きつけながら、半笑いのような声で言う。
「
織田信長の手下?」
「おうよ。名前は長宗我部元親。鬼と呼ばれた男よ」
「ああ、四国を統一した直後に秀吉に攻められて降伏した男ね」
「……」
両者の間に剣呑な雰囲気が流れる。
「どうしたの? なんで一思いに殺さないの? 何か私を生かしておく理由でも?」
「察しがいいな。
お前を殺す前に聞き出せと呼ばれていることがあってな。お前ら、なにやらこそこそ嗅ぎまわってるらしいが―――どこまで掴んでいる?」
「どこまで、ですって?」
MEIKOは鼻で笑う。
「あんたたちはやっぱり、何もわかってないのね?」
「何?」
「私達の知っていること、そしてこれから知ろうとしていることは、織田信長にだってまだ知れていないはずよ。
そしてこれからも、恐らくは知ることは無いでしょうね。バトルロワイアル、サーヴァント、聖杯戦争……そんなことは全て些事なのよ」
「ほう。そして自分の知っていることは何も話すつもりは無い、そういうことだな?」
「ええ。判っているならさっさと仕留めてくれない?」
「じゃあ最後にもう一つ。俺が戦ったセイバー、
初音ミクはお前の妹らしいな?」
「ええ、それが?」
「なぜ実の妹を聖杯戦争に送り込んだ? きっとそれにもワケがあるんだろう?」
「どうかしらね。私達があの子に、『この世界の』6/さんと契約を結ぶように助言したのは事実だけど」
「『この世界の』、だと? そもそもあいつは少々文才がある程度の普通の男らしいじゃないか。
サーヴァント化したことで少しは戦力になってるようだが、もとが一般人なのは変わりあるまい?」
「ふふっ……あっはっは!!」
MEIKOは、ついに声を上げて笑い始めた。
「やっぱりあんたたちには何も分かってないわね!! そういう意味じゃあの子達もよ、ミクも6/さんも、自分達が本当は何者で、
何のために聖杯戦争に参戦することになったのか、ちっともわかってやしない!!」
その不愉快な哄笑を掻き切るかのように、元親は首の後ろを刀で一突きした。
うめき声も上げずに地面に倒れるMEIKO。
(KAITO……ミク……みんな……あとは頼んだわよ)
そう心の中でなんとか呟いて、彼女は目を閉じた。
MEIKOの亡骸を見下ろしても、元親の心には爽快感は生まれなかった。
こんな殺しなど、ちっとも楽しくない。
信長からは
『何かよからぬことを企んでいるらしいボーカロイド軍団を、聖杯戦争に参加しているミクとルカ以外は全員殺して欲しい』
と頼まれていたが……
「何も知らない、だと? 俺にとっては聖杯戦争もバトルロワイアルもどうでもいいんだよ!!
ただ戦えればそれで十分なんだからな!!」
元親はそう叫ぶと、血にぬれた刀を拭うことすらせずに、この近辺にもいるはずのサーヴァントもしくはそれ以外の強者を求めて走り出した。
(ふん、ボーカロイド殺しなんかは手が空いたらついでにやってやるか。しかしセイバー、お前にだけは是非とももう一回戦いたいもんだぜ)
【一日目・7時30分/日本・静岡県】
【長宗我部元親@戦国時代】
【状態】健康
【装備】日本刀(新調しました)
【道具】なし
【思考】
1:戦いを楽しむ
2:気が向いたら信長の指示通り、参加者をひっかきまわす
3:さらに気が向けば、ボーカロイドを探して殺してもいい
【MEIKO@ボーカロイド 死亡確認】
最終更新:2009年06月04日 00:22