「喋る手間が省けた、そうだな私はその聖杯戦争を円滑に進めるための監督役だからと言っておこうか」
「『な、なんだって!?』」
白髪の少女と黒い万年筆が驚いている。黒い万年筆が喋っていることには絶対に突っ込まないぞ、俺は!
「藤原妹紅……」
「レミリアちゃん、知っているのか!」
どうやら、レミリアちゃんの知人のようです。
「ええ、迷いの竹林に住んでいる焼き鳥屋よ」
「あの黒い万年津は焼き鳥屋なのか!?」
「違うわよ、あの女のほうよ、黒い万年筆のほうは知らないわ」
ですよね。黒い万年筆が焼き鳥屋を経営できるはずがない。
それにしても、レミリアちゃんは可愛いな。
「まあいい、ところで聖杯戦争については誰に聞いたんだい?」
社長氏による尋問が始まった。
「あなたに教えたところで何になるのよ?」
「……そうか、君は
KAITOに聞いたのか」
「なっ!?」
「どうやら当たりのようだな……まあいい」
社長氏は聖杯戦争の参加者を全て見ていたからな、彼女がKAITOと一緒に行動しているのは知っていたはずだ。
でも、どうして聞いたんだろ?
「さて、そっちの万年筆はイーターのマスター……いや、聖杯戦争についてはイーター本人から聞いたようだな」
『なんで、そのことをあなたが知っているんだ!』
「まあいい、先程も言ったように私は監督役だからだと言っておこう。何、ただずっと見ていただけだ」
社長氏は淡々と語る。
「何、少し試させてもらっただけだ。さて、君たちはこれからどうすんだい?」
「そんなことは決まっているわよ!あなたを倒して、この戦いを終わらせる!」
「私を倒したところで、この戦いは終わらないよ。廻り始めた歯車は螺子が切れるまで廻り続ける。
…それに私はこの聖杯戦争の監督役に過ぎないのでね。それでも私を倒すというのかい?」
『妹紅さん、その人の言っていることは多分事実だと思いますよ。それにここで戦うのはあまり得策ではないと思います』
「うっ…わかったよ」
あの万年筆はやけに冷静だな。まるで人間のようだ。
「そっちの万年筆、名前は?」
『私は10/です』
……本名なのか、その名前は?どう聞いてもコードネームです。本当にありがとうございました。
「10/君、君はイーターのマスターを生き返らせようとしていたが…その時、何を思った?」
万年筆の死?インク切れのことか?
『……あの時、私は02さんには生きていて欲しかった。ただそれだけです』
「……やはり、そうか」
あの万年筆は人間だったのか……そうか、あの万年筆に魂を移し替えたのは恐らく社長氏だろう……俺とはまるで真逆だな。
社長氏は聖杯に魂を送った方法に限りなく近い魔術か何かを使ったのか。
「まあいい、イナバ君(仮)、縄を解きなさい」
「分かりました」
俺は社長に言われたとおりに縄を解いた。
「さて。これで君たちは自由の身になったわけだが、戦うか?」
いきなり、何を言っているんだ、この人は!
「やめておく、命は投げ捨てるものではないからね」
懸命な判断だな。社長氏と普通に戦ったら、勝つことの出来る奴なんかいないと思うしな。
『社長さん、一つ質問があります』
「どうした?」
『聖杯戦争の参加者を決めたのはあなたですか?』
あっ、それは俺も気になっていた。
「生憎、私が参加者を決めたわけではないんでね。
すべてのマスターとサーヴァントを選定して参戦させたのはボーカロイド一族なんでね」
「ボーカロイド一族……それってKAITOやルカのことか?」
「そうだな、まあ参加者の一部にはイレギュラーがいるんだがね」
そういえば、社長氏はKAITOさんとは昔の知人だったな。
『イレギュラー…それって02さんのことですか?』
「ああ、そうだ」
さらりと答える社長。
「ちょっと、私からも一ついいか?」
「何だ?」
「KAITOから聞いたんだけど、聖杯戦争ってのは最後の一組になるまで殺しあうんだよね」
「まあ、原則的にはそうなっているようだな」
「私の知り合いで聖杯戦争に参加している奴らがいるのだけど、そいつらは死なないのよ」
それは強くて死なないのですか、それとも……んっ、レミリアちゃん?
「へぇー、あの不老不死のニートと薬師もここにいるのね、それは驚きね」
「私にとったらあなたがこんな所でそんな格好している方が驚きよ」
『あのう、お二人はお知り合いですか?』
「ああ、満月の夜に行われた肝試しの時にそこの吸血鬼は私を始末しにきた」
『それ、本当ですか!?』
「人聞きの悪いこと言わないで頂戴!」
「事実だろ?」
人じゃないよ万年筆だよレミリアちゃん。それにしてもレミリアちゃんたちのいた世界ってどんなところなんだろう?
「それは本当かい、藤原さん?」
「妹紅でいい。そう、コイツは私を……」
「いや、そちらではない。アーチャー組の二人共が本物の不老不死であるということだ」
確かに死なないのでは聖杯に魂を送ることは出来ないよな。
「ああ、あいつらは私と同じ蓬莱の薬を服用して死なないんだよ」
『妹紅さん、それって……?』
「10/、実は私は不老不死、死なないんだ…」
これは驚いた。目の前にいるお嬢ちゃんもなにかあるとは思っていたが。
まさか、不老不死だとはね……というか、純粋な人間少なくね?
「……まあいい。少し調べるべきことが出来たな、というわけで後は頼むよ、イナバ君(仮)」
「了解です」
そう、言うと社長氏の姿が消えた。
☆ ☆ ☆
「『き、消えた!?』」
突然の出来事に驚く妹紅さんと私。
『妹紅さん、あの人は一体、何なんでしょうね?』
「あの人は……そうだな『人間』だな」
そう答えたのはさっき、縄を解いてくれた女性、イナバ君(仮)さんだ。
……本名なのか、その名前は?どう聞いてもペンネームです。本当にありがとうございました。
「まだ自己紹介をしてなかったな。俺はイナバ君(仮)だ、そっちの白髪の子が藤原妹紅で万年筆が10/であってるよな?」
「あってるわよ」
『はい』
「ええと、いいですか、ある偉人が言っていた『人間である一番の憑拠は、人間であると言う想い。DNAはその次である』ってね」
なんかものすごくそれっぽいことを言っているけど、なんだか変な人だな。
でも一つだけ分かった、この人は人間ではない。人の形をした何か……私とはまるで真逆だな。
「それでどうするよ、これからさ。俺としてはここに就職してもらうのがベターな選択だと思うんだけど」
いきなり、この人は何を言っているんだよ。どこまでもフリーダムだよ、02さん。
「そうね、私もそれがいいと思うわ」
隣にいる何故かきぐるみを着た小さい女の子、確かレミリアさんだっけ?
何故、同意したし。そうか、きっと、レミリアさんはちょっと頭が残念な……いや、確か吸血鬼には脳みそがないんだっけ?
なら仕方ないよね、人間だけだからな、脳なんて単純で科学的な思考中枢が必要なのは。
「いや、やめておく。それよりもどうしてお前さんはこんなところで働いてるんだい?」
「あの男に弾幕ごっこで負けたのよ、それで約束としてここで働くことになったのよ」
「なったのよって、あなたが負けたの、弾幕ごっこで?」
「ええ、完敗よ、完敗。あの男はどう考えても霊夢よりも強いわ」
「あの巫女よりも強いだと!?」
巫女さんが強いって…妹紅さんたちがいた世界ってどんなところなんだろう?
「妹紅、少しいいか?」
「どうした?」
「戦いを止めたいらしいな」
「ああ、でも一体どうすればいいのかな?」
私も戦いを止めたい。これ以上犠牲者を出したくない。
「だったら、俺にいい考えがある」
「それは本当か?」
……なんだろう、このわかりやすい失敗フラグは?
『……妹紅さん、やめときましょう』
「なんでよ?」
「…………………チッ!」
今、舌打ちしたよ、この人。絶対に失敗する作戦を教える気だったのかよ!
「まあ、冗談は置いといてと、知り合いが聖杯戦争に参加してるってのは本当かい?」
「冗談なのかよ!……まあ、知り合いはいるけど?」
「その人たちとの関係は?」
「一人は私の宿敵、もう一人はそいつの参謀ね」
「その人たちの名は?」
「蓬莱山輝夜と八意永琳」
八意永琳さん…ああ、あの時漫画喫茶にいた人だな、確か02さんが話をつけたって言ってたな。
それで恐らくその近くにいたジャージの人が輝夜さんだな。たぶん輝夜さんってのが宿敵だろうな。
「その二人は働いてるのか?」
なんなんだこの人は?
「ちょっと、イナバ君(仮)!」
「どうしたんだい、レミリアちゃん?」
「一人は薬師で働いてるけど、もう一人は私と同じニートよ」
レミリアさん……ニートなんだ。
「お前、そんな事いう奴だったっけ?」
「私も色々あったのよ」
「輝夜でも自分からはニートとは言わなかったけどな」
「今の私から言わせてもらえばあの亡霊もスキマもニートよ、ああ働くって素晴らしい」
「………」
どうやら、妹紅さんが前にいた世界ではニートがたくさんのようです。
「ただいま」
「あっ、社長。調べごとは終わったんですか?」
不意にイナバ君(仮)さんとレミリアさんの後ろから声がした。おかしい。
いつの間にあの社長と呼ばれた男は二人の背後に回り込んだろう?
「終わった、そこでレミリアちゃんに頼みごとがある」
「何ですか?」
「妹紅と10/君と一緒にこの場所に向かってほしい」
そういうと社長さんはレミリアさんに地図らしきものを渡した。
「わかったわ、で、この場所には何があるの?」
「行ってみれば分かる」
「そう、じゃあ行きましょう」
レミリアさんは潔くその指示に従った。が、
「少し10/と相談させてくれないか?」
「別に構わないが」
そして、妹紅さんは私を持って廊下に出た。
『どうしたんですか。妹紅さん?』
「あの男が『私を倒したところで、この戦いは終わらないよ』って言ってたじゃない?」
『確かにそんなことを言ってましたけど、それが何か?』
「つまりさ、この聖杯戦争にはあの男とは別に黒幕がいると思うんだよ」
『な、なんだって!?』
とりあえず、驚いてみた。でもどういうこと?
「それでさ、聖杯戦争ってのは最後の一組になるまで殺しあうんだよね」
『はい、そうですね』
「そのイナバ社長が…」
『
イナバ製作所社長ですよ、妹紅さん』
「どっちでも変わらないだろ。ああ、その男は確か、
『すべてのマスターとサーヴァントを選定して参戦させたのはボーカロイド一族なんでね』
とも言ってたじゃない。問題はそれなんだよ」
『なんとなく、分かりましたよ、妹紅さんの不老不死の知り合いが参加していることは知ってたけど、
実際には不老不死であることを信じていなかった。ってことは表面上は参加者のことを知っていただけなんですね。
つまり、あの社長は聖杯を監視するだけの人で、聖杯戦争を開いた人ではない。そんでもって、
この聖杯戦争の黒幕は参加者を選定したボーカロイド一族の誰かってことなんですよね』
「あ、うん…大体あってるよ」
若干、引いてるような気がする。喋りすぎたかな?
「それでさ、10/、あの男は信用した方がいいと思う?」
『私は……あの人を信じたい』
あの時もそうだったよな。02さんが私を信じてくれたように…私も人を信じたい。
「そうか、なら決まりだな」
『はい』
☆ ☆ ☆
「じゃあ、行ってらっしゃい、レミリアちゃん」
「ええ」
黒竜号に跨るレミリアちゃんと妹紅。
「それじゃあ、黒竜号進め」
ものすごい勢いで駆け出していく黒竜号。
【レミリア・スカーレット@東方Project】
【状態】健康、カリスマブレイク、やけっぱち
【装備】きぐるみ(≠モケーレムベンベ)黒竜号
【道具】支給品一式 その他不明 製図用の鉛筆×2,000本
【思考】 基本:イナバ製作所で働く
1:地図の場所に向かう
2:イナバ製作所社長に従う
※若干二次創作色が強いです。
※イナバ製作所に就職しました。
※何故かきぐるみを着ています。(きぐるみはイナバ製なので着ている時に日光に当たっても大・丈・夫!)
【藤原妹紅@東方Project】
【状態】健康
【装備】黒いSS用万年筆(10/) 黒竜号
【道具】支給品一式、蜆×3 米の苗 将棋セット一式 ゾフィー直筆のサイン色紙
【思考】 基本:戦いを止めたい 『生きる』
1:地図の場所に向かう
2:KAITOとルカに若干の疑念
3:輝夜のことはとりあえず保留
【10/の思考】
1:妹紅と行動する。
※何故か支給品化しました。一応喋れます。
※何かを思い出しました。
※装備者に10の力が宿るようです。
「それであの地図の場所には何があるんですか?」
俺は気になって社長に聞いてみた。
「まあいい。教えておいても損はないか、強いて言うのなら因縁が渦巻いてる激戦区だな」
ああ、あそこか。
【二日目・6時40分/新惑星大田区】
【イナバ製作所社長@現実?】
【状態】健康
【装備】不明
【道具】支給品一式その他不明
【思考】
1:大・丈・夫!
2:聖杯戦争を静観するつもりだったが……まあいい
3:???
※実はこの聖杯戦争の監督役です。
※聖杯がどこにあるか知っています。
※聖杯の完成を望んでいます。
【イナバ君(仮)@語り部】
【状態】健康
【装備】イナバ製作所製パニッシャー(重機関銃残弾残り弾数100%/ロケットランチャー残り弾数100%)
【道具】支給品一式その他不明
【思考】
1:とりあえず、働く
2:レミリアが若干心配
3:死にたくない
※実は
イナバ物置(≠聖杯) でした。
※女性です。
最終更新:2009年09月23日 21:14