『本物か偽者かなんて関係ない。お前はお前だ』
それはつい先ほど、12/やルカに対して発した言葉。
そして実のところは自分自身が『偽者』であったという事実を突きつけられてもなお、6/のこの矜持は変わらなかった。
例え本物の6/では無かろうが自分は自分。誰にも引け目などは感じない。
だから彼の殺意は、12/やテトたちのように自分のアイデンティティを確かめるためのものではなく、純粋に、
自分を弄んだ
KAITOたちに対する『復讐心』だった。
それは紛れも無く、彼自身の内から沸き上がってきた決意だった。
「たやすく人一人を『駒』にしやがって。俺はお前達を絶対に許さねえぞ、ボーカロイドども」
6/は9/の亡骸を検分し終わると、目ぼしい所持品などがなかったことに舌打ちした。
まあいい、幸い武器はあるし9/の特殊能力も手に入れた。と、6/は軽い足取りでその場を後にする。
彼の『復讐』計画は、アヴェンジャーのそれのように短絡的なものでは無かった。
KAITOの実力は認識済みだし、向こうには別世界の自分も付いている。彼らに真正面から戦いを挑むのは下作だろう。
ならば奴らの目的を阻むことによって遠隔から首を絞めてやればいいだけのこと。
KAITOたちが聖杯戦争の黒幕、もしくは何らかの形でその運営に深く関わっているであろうことはすでに明白だった。
しかし他のボーカロイドたちはどうなのだろうか?
ミクはKAITOの思惑など大して把握していないように見えたし、ルカなどはKAITOを裏切って結果尻を叩かれたと言っていた。
だが、それらが全て演技だとしたら?
本当はミクたちもKAITOと共謀して、自分を『駒』として弄んでいたのではないのか?
だとしたら彼女達も6/の復讐の対象である。そしてその可能性は決して低いとは言えない。
(カマでもかけてみるかな)
それで本当にミクが自分を騙していたとなったら、その時はどうするのか。
それだけは、いくら考えても答えは出なかった。
一方その頃、そこからそれほど遠くは無い小さな公園。
「全く、マスターは一体何をやってるんですか!! この私をほっといたままで!!」
真っ赤なお尻をさすりながら(まだ痛むらしい)、苛立った声で叫んでいた。
「いくらなんでもトイレに行っただけにしては遅すぎる」と、ミクやルカたちで手分けして探すことにしてはや数時間。
6/の姿はおろか、手がかりさえ見つけられない。
「私を誰だと思ってるんですか、あの人は!!」
「ミク、少し落ち着きなさい」
憤りのあまりワールドイズマイン的な思考に偏ってきたミクを宥める、水着姿のルカ。
「……こうなると、トラブルに巻き込まれたと見ていいわね。他のサーヴァントか、あるいは聖杯戦争に関係ない参加者に襲われたとか」
「そ、そんな!!」
「でも、もし他のサーヴァントが近くにいたとしたら、ミクだってその気配に気付いた筈よね? もちろん6/も」
その問いに無言で頷くミク。もちろんそのような気配は感じていない。となると聖杯戦争絡み以外で何かが起きたのだろうか。
「あっちのほう探しましたけど、見つかりませんでした!!」
「世の中ってさあ、冷てえよなあ……」
ゆたかやみなみ、修造たちも戻ってきた。修造のセリフはイマイチ意味が判り辛いが、成果が無かったと言っているのだろう。
「いよいよマズいわね……」
指の爪を噛みながら険しい顔で呟くルカ。6/の身に何かが起きたのは間違いない。それも令呪でミクを呼び出す余裕さえないほどの……
「ってミク、あんたあいつのマスターじゃない!! 居場所くらいわかるんじゃないの!?」
なんで今までそのことを忘れていたのか、という自分自身への苛立ちも相まって厳しい口調でミクに詰め寄るルカ。
が、ミクの返事は予想外のものだった。
「そ、それが……さっきから、マスターの魔力が全く感知出来なくなったんです」
「はあ? 一体どういうことよ?」
「それどころか、マスターと契約して以来ずっとあった『マスターと魔力のやりとりを通じて繋がっている感じ』が、全く無くなってしまったんです……」
ルカは耳を疑った。それが本当なら、ミクと6/との間の契約が無効化されてしまったことを意味する。
「じゃ、じゃあ、令呪で6/をこの場に呼び戻すことは……」
「それも実はさっきから何度も試しているんですけど、全然……」
さっきまでの威勢のよさはどこへやら、今度は涙目になるミク。
ルカは何が起こっているのかがわからずにいぶかしむ。
マスターとサーヴァントの契約が切れるのは、自分がやったようにマスターが令呪を使い果たすか、あるいはどちらかが死亡した場合だ。
つまり6/は何者かとの戦闘の末に死亡したのか? それはありえない。
ついさっきの放送では、6/の名前は呼ばれていなかったのだ。
あと考えられる可能性としては、『監督役』かそれに順ずる者の介入―――
(まさか、兄さんが!?)
しかしその考えを深める間もなく、彼女は全く違う脅威と向き合わなくてはいけなくなった。
「やっと見つけたぜ……ミク姉!!」
公園の入り口から聞こえる声に振り向くと、そこには彼女にとっては大切な家族の顔があった。
「レンくん!! なんでこんなところに……それに、がくぽさんも……」
が、ミク以外のその場にいた者たちの顔には戦慄が走った。
みなみたちは、ルカがもともとはリンやレンと組んでミクを殺そうとしていたことを知っている。
そしてルカは、もちろんそのことを他の誰よりもよく知っている。
「っと、ルカ姉もやっぱり一緒だったか……って、何て格好してんだ!?」
「っ……こ、これはその……」
顔を真っ赤にして言葉につまるルカ。競泳水着+お尻が何故か真っ赤という姿では、そう言われるのも無理はあるまい。
「まあどうでもいいや。何か知らない人たちも何人かいるけど、丁度いい機会だしここでミク姉には死んでもらうか」
「―――え?」
ミクがその言葉の意味を理解するよりも先に、レンの隣に立っていたがくぽが刀を抜いた。
一方レンが手に取ったのは、なぜかビデオカメラ。
「なあ、ミク姉って人気あるよなあ?」
「い、いえ、私なんか兄さんたちに比べたらまだまだだし……」
困惑するミクを他所に言葉を続けるレン。
「俺たちなんかよりよっぽど人気あるよなあ。俺たちを踏み台にして……下僕扱いすることによって勝ち取った人気がさあ。
そんな人気アイドルのミク姉が死ぬんだから、せっかくだからそのシーンをちゃーんとカメラに納めておかなきゃな。
なにしろミク姉だから、こんなビデオでも見たがる人は沢山いるだろうしなあ!!」
「えっと、レンくん、冗談を言ってるんですよね? そうなんですよね?」
実の弟からの辛辣な言葉に耳を疑うミク。そんな彼女を嘲笑するばかりのレン。そして、
「すまんが、これでお別れだ、ミク」
そう告げて刀を振りかぶり、ミクに駆け寄るがくぽ。その切先はミクの頭を目掛けて真っ直ぐに振り下ろされた。
「―――逃げなさい、ミク!!」
ルカはミクを背中に庇い、がくぽの腕を掴んで刀を止めながら叫んだ。
「ぬう……」
ルカの腕を振り払い、間合を取るがくぽ。
「……おいおい、予想外の行動に出てくれるじゃねえか」
レンはルカを汚らわしいものを見るような目で見上げる。
「ここまで来て裏切る気かい、ルカ姉?」
「……なんとでも言いなさい」
そしてミクに振り向いて叫ぶ。
「聞こえなかったの!? 早く逃げなさい!! こいつらは本気であんたを殺すつもりよ!!」
それを聞いたミクは、ようやく弾かれたように駆け出した。
「修造、あんたたちも……」
「出来る出来る大丈夫俺たちなら出来るやれるって!!」
そう叫びながらレンと相対するかのような形でルカの隣に並ぶ修造。加勢すると言っているらしい。
「何のつもりか知らねえが、ま、ルカ姉とやりあう機会もそうそうあったもんじゃないしな。せっかくだから楽しませてもらうか」
レンはビデオカメラを閉じて余裕げに笑う。
(正直、勝算は薄いわね……)
修造が残ってくれたとはいえ、向こうには剣の達人であるがくぽがいる。ルカのほうには余裕は無かった。
「そうだ、みなみとゆたかは……」
彼女達も逃がさなければと思ったルカが公園内を見渡した時、すでに二人の姿はそこには無かった。
【鏡音レン@ボーカロイド】
【状態】肉の芽
【装備】S&W
【道具】支給品一式
【思考】 基本:12/と手を組み、ミクを抹殺する
1:ルカたちと戦う
【神威がくぽ@ボーカロイド】
【状態】健康
【装備】
【道具】支給品一式、不明支給品
【思考】
1:ルカたちと戦う
【巡音ルカ@ボーカロイド】
【状態】お尻が赤い 競泳水着
【装備】なし(KAITOに没収された)
【道具】なし(KAITOに没収された)
【思考】基本:ミクをサポートする
1:レンたちと戦う。出来れば説得する
※牛乳に流されてて放送を聞き逃したため、MEIKOとハクが死んだことを知りません
※ライダーとの契約を解除し、聖杯戦争から離脱しました
【
松岡修造@現実】
【状態】健康 熱血
【装備】なし
【道具】支給品一式 蜆×97 米の苗 不明支給品
【思考】
1:もっと熱くなれよ!
2:レンたちと戦う
「ちょっとみなみちゃん、あの人たちを置いて逃げてきていいの!?」
公園からそう離れてはいない路上に二人の姿はあった。
ゆたかは少しだけみなみを責めるような口調で言う。
「ゆたか、よく聞いて……もうこれ以上あの人たちと関わるのは危険だと思う」
6/に対する不信感と、突然の襲撃者が相まってみなみに「これ以上深入りしてはいけない」という確信を与えたのだ。
「もうこれからは、泉先輩たちと合流することを考えよう」
そう主張するみなみに対して、ゆたかのほうもさほど反論材料を持っているわけではない。
確かにみなみの言う通りかもしれない、と思い始めたその時。
「やあ、久しぶり」
二人の前に、一人の少年が立ちはだかった。
【
岩崎みなみ@らき☆すた】
【状態】健康 お尻真っ赤
【装備】
【道具】支給品一式
【思考】
1:こなたたちと合流する
【
小早川ゆたか@らき☆すた】
【状態】気絶、お尻真っ赤
【装備】
【道具】支給品一式
【思考】
1:こなたたちと合流する
【12/@現実?】
【状態】健康
【装備】白いSS用万年筆
【道具】支給品一式、不明支給品
【思考】
1:7/と協力して6/を殺し、本物になる
2:レン達と手を組み、ミクと6/を撃破する
ミクは走っていた。頭の中はぐちゃぐちゃで、もう何を考えればいいのかすらわからなかった。
家族だと思っていた人たちから殺意を含んだ言葉をかけられ、刀を突きつけられたのだ。
どうしてそんなことをされるのか、ミクには全く覚えが無かった。
走っているうちに、いつの間にか涙がこぼれていた。
(マスター、どこにいるんですか!? どうしてこんな時に側にいてくれないんですか、マスター!!)
右腕の甲の令呪も、いまや何の意味も無い。
突如として全てを失ってしまったかのような錯覚に陥っていた。
そんな彼女の目の前に、突如『彼』の姿が見えた。
「マ……マスター!!」
何かと自分を邪険に扱う気に喰わない相手。たった数日間だけの協力者。
しかし今の彼女にとっては唯一の頼りになる人。
ミクは6/の胸の飛び込もうと必死で駆け寄り―――6/が自分に突きつけたものを見て、息を呑んだ。
「え……マスター?」
6/はミクの首筋に剣を突きつけながら問いかける。
「もう、お互い隠し事は無しにしようぜミク。知っていることを全部話してくれないか?」
【◆6/WWxs901s氏@書き手】
【状態】硬い決意
SOS団臨時団員 称号『人間失格』、血塗れ
【装備】エターナルソード
【道具】支給品一式、不明支給品
【宝具】SS用万年筆 ×2
【思考】
1:KAITO達に復讐する
※ 6期までの6/氏とは別人です
※ 彼の人格はKAITOに与えられた物でした。
※ 9/の力を奪いました。その為、ミルクの固有結界が使えるようになりました。
※ 人間失格です
※ サーヴァント、ミクのマスターとしての力を失いました。
【
初音ミク@ボーカロイド】(マスター、クラス・セイバー)
【状態】お尻真っ赤 SOS団臨時団員 称号『人間失格』
【装備】伝説の首領パッチソード@ボボボーボ・ボーボボ
【道具】支給品一式
【宝具】電子の歌声
【思考】
1:マス……ター……?
2:お尻が痛いです……
※6/のマスターであり、同時に6/のサーヴァントです
※人間失格です。もうほとんどボカロとしても失格です。あと聖杯戦争のマスターとしても失格っぽいです
最終更新:2009年10月19日 00:19