「結局集まったのはこれだけか……」
かつり、かつりとコンクリを鳴らし、歩みを進めるのは門矢士。
ぼやく青年の隣には、志を同じくする五代雄介。
「もう2人か3人くらいは欲しかったんだがな」
「無いものねだりをしても仕方がないですよ。俺達は、今の俺達にできる分だけのことをしないと」
振り返る士の後ろには、多くの仲間達の姿がある。
悪を打ち砕き正義を掴むべく、彼の呼びかけに応じて集まった、正義の
ライダー軍団だ。
不安がないわけではない。もっと大勢集めておくべきだったかもしれないとは思う。
おまけに南光太郎に至っては、移動中に行方不明になってしまった。
だが、それを言っていても何も始まらない。
これ以上奴らを野放しにしては、より多くの犠牲が出る。
ならば今ある戦力の全てで、ベストを尽くす他に道はない。
かつ、かつ、かつ、と。
靴の裏でアスファルトを叩き、仮面ライダー達は道を歩む。
この殺し合いを止めるために。
殺戮を呼ぶ者達を、その手で叩き潰すために。
闇に囚われた漆黒のライダーを、その手で救い出すために。
「色々考えてみたんですけど……やっぱり最悪の場合、アマダムを壊さなくちゃいけないかもしれません」
「ユウスケを救うために、あいつから戦う力を奪う、か……それはそれで、あいつにとっちゃきついだろうな」
雄介の言葉に、士が返した。
小野寺ユウスケ――かの仇敵に操られ、悪に魂を穢された男。
彼は強すぎる。
正気を取り戻させるためには、彼の変身能力の源泉――ベルトを破壊しなければならないかもしれない。
真っ向から戦って駄目だった場合は、彼からライダーの力を奪うことも、覚悟しなければならない。
それが愛する者との約束を叶える力を、無残に打ち砕く道だとしても。
「――また君達ですか」
と。
その時。
前方から聞こえる、声。
目前に待ち構えていたのは、倒さねばならない邪悪な敵。
銀髪と青き鎧が特徴的な、自らを空気の王と称する者――ウッドロウ・ケル。
筋骨隆々とした巨大な体躯を、真紅の肌に包んだ赤鬼――バーサーカー。
そして漆黒の鎧甲を身に纏い、四本角を輝かせる魔神――アルティメット・クウガ。
「カズマはいないようだな」
「彼は君達を追って、どこかへ行ってしまったのでね」
言いながら、武器を握る
空気王。
赤き鬼が咆哮し、黒きライダーが構えを取る。
全てはこのためだ。
彼らに対抗するために、ライダー軍団はここに集った。
この一戦を制するために、彼らは力を合わせたのだ。
「今度はさっきのようにはいかない。ユウスケを返してもらうぞ」
士が手に持つのは純白のベルト。
正義の鎧を生み出すディケイドライバー。
集いし仮面ライダー達も、それに呼応するように、各々独自の構えを取る。
立ち込める緊迫。
鋭さを増す気配。
東京の地に満ちる闘志。
ここに戦いは幕を開ける。
正義の味方が鎧を纏い、戦士へと変わる言霊と共に。
「「「――変身!!」」」
叫びは一斉に上がった。
一斉に男達の姿が変わった。
同じ志の元に集ったライダー達が、その力の全てを解き放つ。
炎のごとき鮮やかな赤と、黄金の二本角を生やした古代の戦士――仮面ライダークウガ!
青き機械の鎧を身につけ、奇跡の伝説に挑む科学の結晶――仮面ライダーG3!
その身が模すのはサバンナのレイヨウ、長く鋭き角を持つ傭兵戦士――仮面ライダーインペラー!
クローバーを表す緑の鎧に、危険な狂気を宿した封印の術者――仮面ライダーレンゲル!
マスクの下から覗く顔と、復讐のために身に着けたカセットアーム――ライダーマン!
しなやかなエイの力を身につけた、真紅の鎧を纏う戦士――仮面ライダーライア!
赤銅色は錆びの印、されどその身の力は衰えず――仮面ライダーゼロノス!
そして、全てを破壊し全てを繋ぐ、通りすがりの風来坊――仮面ライダーディケイド!
◆
「ぐわあぁぁぁっ!」
絶叫を塗り潰すは灼熱の業火。
青きG3の装甲が、見る間に真紅に染め上げられていく。
轟と燃え盛る必殺の炎熱は、瞬く間に氷川誠の身体を飲み込んだ。
「検索結果が出たよ。凄まじき戦士――アルティメットクウガのあれは、空気中の元素をプラズマ化することで発生している現象だ。
言うなれば、超自然発火能力……一度射程範囲内に入れば、回避する手段はまずないと言っていい」
ライダー軍団の頭脳・フィリップが導き出すのは、絶望的な検索結果だ。
烈火の戦士・マイティフォームをも凌駕する格闘能力。
水流の戦士・ドラゴンフォームをも凌駕する運動能力。
疾風の戦士・ペガサスフォームをも凌駕する超感覚。
大地の戦士・タイタンフォームをも凌駕する防御能力。
そしてあらゆる標的を確実に捕捉し、瞬時に焼き尽くす超自然発火能力。
暴走というリスクの見返りにしても、過剰と言っていいだけのオーバースペック。
まさに何者にも晴らせぬ究極の闇――それが凄まじき戦士となった、黒きクウガの圧倒的猛威だ。
「――ッッ!」
びゅん、と空を切る音が鳴る。
紫の翼を羽ばたかせ、漆黒の影が猛然と殺到。
銀色の爪を突き立てるのは、四つ目の召喚蟲・ガリュー。
刹那の瞬きの間に肉迫した魔獣が、猛然と魔神へと斬りかかった。
きん、と鳴り響く乾いた音。
いかに瞬速を誇るガリューといえど、アルティメットフォームを一撃で下すにはパワーが足りない。
「!」
反撃が来る前に素早く後退。
一撃80トンの威力を誇るクウガの剛拳が、虚しく空をぶち抜いた。
黒き甲虫の飛行速度は、まさに俊敏の一言に尽きる。恐らく軍団の中でも、最速と言っていいだろう。
同じくユウスケと相対する雄介は、内心でガリューをそう評した。
空気王一派を倒すに当たって、彼らライダー軍団の戦力は、以下のように割り当てられた。
まず、空気王の相手はディケイド、ライダーマン、ライア。
続いてバーサーカーにゼロノス、レンゲル。
最後のユウスケにクウガ、G3、インペラー、ガリュー。
本来なら光太郎ことBLACK RXもユウスケに当てるつもりだったが、いないものは仕方がない。
そしてむしろそれ以上に、更に面倒な事態が発生した。
「ァァァァ――ッ!」
案の定、スパイダーアンデッドの思念が暴走したのだ。
結果として、敵味方の見境なく暴れまわる、第二のバーサーカーと化したレンゲル相手にライアが割り当てられる。
おまけに熾烈な激戦の中で、ライダーマン、G3、インペラーが倒れた。
「があぁっ!」
そしてたった今、新たにライアが撃破される。
早くも戦力は半分近くにまで減少した。
状況は確実に、士らライダー軍団に不利に傾きつつあった。
「……!」
びゅん、びゅん、びゅん、と。
縦横無尽に宙を舞い、紫のマフラーをたなびかせるガリュー。
手のひらから牽制の魔力弾を連射し、一瞬の隙を突いての直接攻撃。
そして瞬時に後方へと下がる、ヒット・アンド・アウェイの繰り返し。
「!」
だが、それも終わる。
遂に甲虫の剣呑な刃が、アルティメットクウガの右手に掴まれたのだ。
逃れようにも逃れられない。
凄まじい握力を前に、ぎちぎちと爪が虚しく軋む。
ぼっ、と。
刹那、灼熱。
火の玉に包まれたガリューまでもが、その命を散らせたのだった。
「ガリュー! ……うあぁぁっ!」
赤きクウガの両足が大地を蹴る。
叫びを上げる雄介が、黒きクウガ目掛けて疾駆。
振りかざした右拳でストレート。左拳のコンビネーション。
おまけと言わんばかりに繰り出すのは、右足の強烈なハイキック。
「ユウスケ君! 正気を取り戻すんだ! これ以上、憎しみに心を囚われて……みんなを傷つけちゃいけないっ!」
絶え間なく攻撃を叩き込みながら、説得の言葉を投げかける雄介。
されど、凄まじき戦士は動じず。
棒立ちのまま構えも取らず、悠然とマイティクウガの連続打撃を受け止める。
悲しいまでの実力差だ。
同じアマダムの戦士でありながら、こうまで絶望的な戦力差とは。
「うわぁぁっ!」
鈍い打撃音が鳴った。
鋭い悲鳴が沸き上がった。
遊びに退屈した子供のように。
遂に反撃に出たユウスケの拳が、容赦なく雄介を吹っ飛ばす。
自身の約27倍の、圧倒的なパンチ力だ。
その破壊力は、黒と金のマイティフォーム――アメイジングマイティの必殺キックすら凌駕する。
当然それだけの一撃を食らえば、ただで済むはずなどない。
盛大に吹き飛ばされた真紅の装甲が、もんどりうって地を転がった。
そしてあまりの衝撃に、その変身さえも解除される。
「くっ……ぅあ……あ……っ」
口元に血のラインを引きながら、弱々しい呻き声を上げる雄介。
元々満身創痍だった彼の身体には、この威力はあまりに強烈だ。
かつり、かつりと音を立て、悠々とアルティメットクウガが歩み寄る。
圧倒的暴力の権化と化した魔神が、とどめを刺さんと近寄ってくる。
間に合わない。
相手はただ歩いているというのに。
激痛に鈍った身体では、その間に立ち上がることさえも間に合わせられない。
(このままじゃ……殺られる!)
もはやここまでか。
ここで何もかも終わりか。
ユウスケを救うこともできないまま。
殺し合いを止めることもできないまま。
散っていった人々の死に、報いることすらも叶わぬまま。
悔しさに唇を噛み締める雄介に、無情な鉄拳が浴びせられる。
『――FINAL FORM RIDE』
その、瞬間。
響き渡る、声。
無機質な機械音声が、戦場の空気を震わせる。
『K K K KUUGA!』
刹那、駆け抜けたのはマゼンタの影。
ほとばしるのは黄金の閃光。
「っ……!?」
眩い光を放ちながら、突如アルティメットクウガの動きが停止する。
咄嗟の出来事に驚愕しつつも、五代雄介の相眸は、極光の彼方に立つ存在を捉えていた。
「やはり、そう簡単には効かないか……だが、おかげで動きは止められた!」
「士さん!」
黒きクウガの背後に姿を現したのは、仮面ライダーディケイド――門矢士。
突き出された両腕は、漆黒の装甲の背中をがっしりと掴んでいる。
ディケイドと仮面ライダーの放つ協力奥義――ファイナル・フォームライドの態勢だ。
咄嗟にディケイドライバーに差し込んだカードは、クウガをゴウラムへと変形させるためのもの。
当然究極の力を発揮したユウスケには、そう簡単には通用しない。
しかし、なまじ抵抗できてしまうが故に、それを行う瞬間には隙ができる。
機転を利かせた士は、なんと攻撃用のカードで、アルティメットクウガの動きを封じたのだ。
「いい加減に思い出せ、ユウスケ。お前は、みんなの笑顔を守るために戦うと決めたんだろ……そう八代刑事と約束したんだろ……!」
「!」
「そのお前が、こんな無様な戦いをしてどうする! お前のそんな姿を見れば、あいつは間違いなく悲しむぞ!
惚れた女を泣かせることは、男として最低なんじゃないのか!
それともお前の“あねさん”への想いは、その程度のものだったのか!?」
「グ、ァ……ァアア……!」
さながら獣の唸りのごとく。
拘束から逃れんともがくユウスケの口から、呻くような声が上がる。
これまで一切の感情を見せず、沈黙を保っていた究極の戦士が、確かな動揺に声を荒げた。
「思い出せ、本当のお前を! お前の笑顔を、もう一度俺に見せてみろ!」
「ガァアアアアアアッ!」
八代藍。
かつて小野寺ユウスケが慕い、そして救えなかった女性警官。
私の笑顔だけでなく、みんなの笑顔を守るために戦ってくれ――死に際に最期の命令を託し、息を引き取った愛しい人。
その名がユウスケの心を揺さぶり、苦悩の絶叫を上げさせる。
満足に動かせぬ四肢を振り回し、鼓膜を引き裂かんばかりの咆哮を上げる。
「早くしろ、五代! 今のうちに変身を……!」
クウガを抑える士の声にも、徐々に苦しげな響きが混ざる。
何から何まで規格外の相手だ。その抵抗に耐え続けるにも、相当なパワーが必要なのだろう。
「……ありがとう、士さん」
すっ、と。
痛む身体に鞭を打ち、五代雄介は立ち上がる。
両の手のひらを腰に当て、再び出現させるはアークル。
されど、そこに浮かぶ霊石の光は、マイティフォームの赤にはあらず。
アマダムが放つ光の色は、眼前のクウガと同じ黒。
「五代……お前、まさか……?」
「俺、なります……究極の力を持つ者に……凄まじき戦士に」
もう迷っている暇はない。
この命を繋いでくれた士のためにも。
自分を取り戻そうとしてくれているユウスケのためにも。
普通のクウガでは、究極の黒にはまるで手も足も出なかった。
究極の戦士の相手役は、究極の戦士にしか務まらない。
憎しみに支配されるだとか、自我を失うかもしれないだとか、そんなことは関係ない。
そんな不安のために変身を渋り、結果皆を死なせてしまうわけにはいかない。
覚悟を、決める時だ。
「だから、見ててください」
暴力を振るうことは好きじゃない。
未確認生命体と戦う度、拳の痛みに心が痛んだ。
戦うことでしか解決できない虚しさに、ひたすら涙を流し続けた。
これ以上、強くなりたくなんてなかった。それでしか解決できないだなんて、あまりにも悲しすぎるから。
もちろん、今のこの瞬間にも、心は痛み続けている。
それでも。
安いものだ。
自分独りが苦しむことで、誰かの涙を拭えるのなら。
自分にできる無理をするだけで、誰かの笑顔を守れるのなら。
「俺の――」
この手の力は、壊すための力じゃない。
クウガの力を突き動かすのは、憎しみの心なんかじゃない。
それは守るための力。
今この手に込めるのは、人々の笑顔を守るための、優しく暖かい心の力。
大丈夫。
必ず、大丈夫にしてみせる。
みんなが見てくれているんだ。
みんなが信じてくれているんだ。
たとえ憎しみの闇であろうと、優しさの光で照らしてみせる。
万感の想いを言霊にして。
遂に雄介はその言葉を紡ぐ。
「変身」
瞬間、爆裂する力の奔流。
漆黒のオーラと黄金の稲妻が、霊石アマダムを中心に展開。
渦巻く闇の中姿を現すのは、深淵の黒に染まりし戦士の甲冑。
暗黒色の凶悪な鎧を、金色のラインが駆け抜けていく。
クワガタ虫のごとき顔面のホーンは、二本角から四本角へと。
――聖なる泉枯れ果てし時、凄まじき戦士、雷の如く出で、太陽は闇に葬られん――
されど、黒き闇の戦士の瞳は――生命の赤に輝いていた。
「赤い瞳の、アルティメットフォーム……」
呆然とした声音で、士が呟く。
ベルトの記述に従うならば、本来凄まじき戦士となったクウガは、全身黒に染まるはずだった。
しかし、雄介の変身したクウガには、その大前提が通用しなかった。
彼の変身したアルティメットフォームの目には、元のクウガのそれのように、赤い光が宿っていたのだ。
「うあっ!」
「余所見をしている暇はありませんよ!」
刹那、苦悶の声が上がる。
背後から空気王に斬りつけられたことで、ディケイドのファイナル・フォームライドは中断。
黒き瞳のユウスケは、カードの拘束から解放された。
「グゥゥ……アアアアアッ!」
未だ苦しげな唸りと共に、右手で額を押さえ左手をかざす。
漆黒の魔手から放たれるのは、超自然発火能力の高熱プラズマ。
「………」
されど、不動。
今や同じ究極の力を得た雄介に、その程度の火力は通用しない。
たとえ全身火だるまになろうと、アルティメットフォームの防御の前では、何の障害にもなりはしない。
「はあぁぁっ!」
雄叫びを上げ、疾走。
一直線に距離を詰め、再び右ストレートを叩き込む。
手応えあり。
先ほどは通じなかったパンチ。されど今度は、間違いなく相手がぐらつくのを感じる。
「はっ! うああっ!」
「グゥッ! ガアアアッ!」
両雄、ここに激突す。
互いの拳と足をもって繰り広げられる、アルティメットフォーム同士の肉弾戦。
最強対最強。
究極対究極。
赤と黒の凄まじき戦士の激突は、まさに凄絶の一言に尽きた。
揺らめく陽炎は大気を歪め、拳が衝突する度に、びりびりと空気が振動した。
愚直なまでの真っ向勝負。
凄惨なまでの殴り合い。
そこにカタルシスなど存在しない。禍々しく、そして痛ましい拳の応酬。
まさに暴力を突き詰めた者達の、極限にして最悪の末路だ。
(このまま戦っても、確実に勝てるとは限らない……)
内なる魔物と戦いながら。
身を蝕む圧倒的憎悪と狂気に耐えながら、雄介は消え入るような理性で思考する。
同じアルティメットフォームに目覚めたと言っても、未だ形勢はユウスケが有利だ。
片や先の戦闘で傷を負った赤の究極と、片や未だ無傷の黒の究極。
その絶対的構図がある限り、まともに戦っていては、雄介の不利は揺るがない。
否――たとえ勝てたとしても、この身体は限界を迎えて死ぬだろう。
ならば、どうする。
残された力で成し遂げるべきは何だ。
小野寺ユウスケを救うことだ。
残る力で闇を晴らし、もう1人のクウガを解き放つことだ。
晴れない暗闇なんてない。たとえ雨が降ろうとも、その先には青空が広がっている。
若き戦士が救われれば、五代雄介の希望は死なない。
たとえ命が尽きようとも、残された者が希望を繋ぐ。
「アアアアァァァァァ―――ッ!」
唸りを上げるユウスケが、再び灼熱の炎を放った。
超自然発火能力の連続発動。
たちまち赤きアルティメットの身体は、紅蓮の海に飲み込まれる。
鎧越しに感じる莫大な熱量が、じりじりと雄介の肌を炙った。
それでも。
この程度で止まるわけにはいかない。
持てる力の全てを脚力に注ぎ、焼けつく体躯で大地を蹴る。
憎しみの業火に焼かれながらも、渾身の力を込めて跳躍する。
優しさを糧に戦うクウガは、憎悪の炎になど絶対に負けない。
残る力の全てを、この右足の一撃に込める。
霊石アマダムにかけた想いの、その全てをありのままにぶつける。
憎しみの闇を晴らすために。
狂気の雲を払うために。
優しき戦士を救うために。
これで最後だ。
この身が砕け散ろうと構わない。
この想いに応えろ、アマダム――!
「五代っ!」
ディケイドの声が、耳に響く。
それが五代雄介の、最後に耳にした声だった。
「ウォォリャアアアアァァァァァァァァ―――――――――ッッッ!!!」
紅蓮の炎を纏う雄介の飛び蹴りが、もがき苦しむユウスケへと命中し、目も眩むまばゆい光を放った。
◆
身体の中のアマダムが、俺に語りかけてくる。
互いのベルトの霊石を通じて、もう1人のクウガの想いが伝わってくる。
誰よりも暴力を嫌い、誰よりも平和を愛した男。
みんなに涙を流させないために、やるせない思いと、自分の身体が変わっていく恐怖に、涙を流し続けた男。
たとえ自分が傷ついても、決して誰にも弱音を吐かずに、命を賭けた戦いに臨み続けた馬鹿な男。
こんなに優しいはずのあんたが、ずっと戦い続けていたのか。
こんなにつらい想いをしながら、ずっと戦い続けていたのか。
へらへらとしたその笑顔の下で、こんな痛みと悲しみを、ずっと抱え込んでいたんだな……
……大丈夫だ。
もう、あんたは休んでいい。
あんたの戦いは、俺が受け継ぐ。
ようやく思い出したこの想い、もう二度と手離したりはしない。
みんなの笑顔を守りたい――その想いは、あんたにだって負けはしない。
俺だって、あんたと同じだ。
この地獄のような戦いの連鎖を、ずっと戦い続けてきたんだ。
想いを貫き通すための力を、ずっと培い続けてきたんだ――!
「――超変身ッ!!!」
後は俺に任せて、ゆっくり休んでくれ――五代雄介。
◆
奇跡は起きた。
激突の後に残ったのは、赤き目のクウガただ1人。
されど、そこに立つクウガは、五代雄介ではなく小野寺ユウスケ。
されど、そこに立つクウガの姿は、凄まじき戦士のそれではなかった。
漆黒の鎧を覆うように、新たにその身に纏ったのは、眩い光輝を放つ黄金の鎧甲。
よりたくましく、より荘厳な姿へと生まれ変わった、誰も見たことのない戦士の姿。
それは凄まじき戦士を超える者。
戦士の力の極限と言われた、究極の黒をも凌駕する者。
RISING ULTIMATE(伝説を塗り替えし者)。
正しき未来におけるその姿は、大神官ビシュムによって授けられた地の石より生まれる、最も邪悪なライダーのはずだった。
霊石アマダムと地の石――究極の闇をもたらす2つの石をその身に取り込んだ、禍々しき破壊神のはずだった。
されど、今ユウスケの身に宿されたのは、地の石ではなくもう1つのアマダム。
五代雄介と完全融合を果たした、凄まじき戦士の霊石を、雄介ごとそのベルトに取り込んだのだ。
「ユウスケ……五代は、死んだのか……?」
おずおずと士が問いかける。
興奮と驚愕を抑え込むように。
赤き目の黒きクウガ誕生をも、遥かに凌駕する衝撃を、その胸に押し止めるように。
「……大丈夫だ。五代は今も、俺の中で生き続けてる」
こつ、こつ、と。
突き立てた右の親指で、己がアークルを示しながら、ユウスケが問いかけに答えた。
究極を超える戦士に宿されたのは、果てなき憎悪の闇ではなく。
笑顔が似合う1人の冒険野郎の、太陽のごとき優しさの光。
故に、ライジングアルティメットの瞳は真紅に輝く。
五代雄介の光が闇を祓い、小野寺ユウスケの炎を力強く後押しする。
「闇が晴れたということですか……バーサーカー!」
しばしその光景に沈黙していた空気王が、己の下僕へと号令した。
洗脳が解けたというのなら、ユウスケは彼にとってもはや用済みだ。
下手に噛みつかれるよりも速く、迅速に始末しなければならない。
「ガアアアアアアアッ!」
どすんと大地を揺らしながら。
びりびりと大気を震わせながら。
狂乱の巨人と化した赤鬼が、猛然とユウスケへと襲いかかる。
その驚異的なパワーは、僅か二度のパンチでディケイドに大ダメージを与えた。
まともに食らい続ければ、いかにライジングアルティメットといえど無事では済むまい。
「はぁっ!」
されど。
ばっ、と持ち上げられた右腕が。
狂戦士の身体を炎色に染める。
「ギャァァアアアアアァァァァァァァァァ―――ッ!!」
断末魔の金切り声だ。
灼熱に煽られた赤鬼が、耳をつんざく悲鳴を上げた。
それも僅か数瞬のこと。
筋骨隆々とした赤色の巨体が、あっという間に消し炭へと変わる。
何という破壊力。
これが究極をも超えたクウガの力か。
超自然発火能力の一撃で、あのバーサーカーが焼き殺された。
「俺はもう迷わない……誰にも俺は止められない! 今度こそ、みんなの笑顔を守るために、俺はお前達を倒す!」
烈火に揺らめく陽炎の中、ユウスケの雄叫びが響き渡る。
もう二度と、闇に堕ちることはしない。
暗闇を照らす炎となって、人々の涙を招く暗雲を払う。
あの日約束したあねさんのために。
自分の笑顔を悪くないと言った士のために。
命と引き換えに、忘れかけた想いを揺り起こしてくれた五代のために。
どんな困難が立ちはだかろうと、この拳で打ち砕いてみせる。
それが伝説の戦士クウガの使命だ。
「……まったく、随分手間をかけさせてくれたな」
ふ、と苦笑を浮かべながら、マゼンタのライダーが呟いた。
されど、そこに不快な気配は宿されていない。
随分と乱暴な物言いではあったが、そこには確かな信頼があった。
「行くぞ、士!」
「ああ!」
門矢士と小野寺ユウスケ。
仮面ライダーディケイドと仮面ライダークウガ。
幾つもの世界を巡る旅を、共に歩み続けてきた、最高のゴールデンタッグの復活だ。
「これは撤退した方がよさそうですね……」
バーサーカーは死んだ。ユウスケは奪回された。
もはや彼の陣営の戦力は、空気王たった1人だけだ。
優勢だった戦況が、あっという間に覆された。
であれば、これ以上の戦闘続行は危険だ。
態勢を立て直すためにも、この場からの退却を図らんとする。
「逃がすかよ!」
しかし。
そこに立ちはだかる、赤銅のライダー。
苛立った声を上げるのは、仮面ライダーゼロノス・ゼロフォーム。
「ったく、手間かけさせやがって……もうこれ以上の面倒は御免だからな!」
見れば暴走していたレンゲルは、既に変身を解かれ気絶していた。
「僕を除いても3対1だ。そう簡単には逃げられないよ」
たった1人生身を晒したフィリップが、余裕の声で宣言する。
前にゼロノス、そして後ろを振り返れば、ディケイドとライジングアルティメットクウガ。
「囲まれましたか……」
「ここが
年貢の納め時だ。そろそろ決着をつけさせてもらうぞ」
【門矢士@仮面ライダーディケイド】
【状態】ディケイド、ダメージ(大)、数カ所の骨折
【装備】ディケイドライバー@仮面ライダーディケイド、ライドブッカー@仮面ライダーディケイド
【道具】支給品一式、不明支給品
【思考】
1:全てを破壊し、全てを繋ぐ
2:空気王を倒す
3:カズマを止める
【小野寺ユウスケ@仮面ライダーディケイド】
【状態】クウガ・ライジングアルティメット、ダメージ(小)
【装備】アークル@仮面ライダーディケイド
【道具】支給品一式、不明支給品
【思考】
基本:殺し合いを止める
1:空気王を倒す
【桜井侑斗@仮面ライダー電王】
【状態】ゼロノス・ゼロフォーム、ダメージ(中)
【装備】ゼロノスベルト@仮面ライダー電王、デネビックバスター@仮面ライダー電王
【道具】支給品一式、不明支給品
【思考】
基本:殺し合いを止める
1:空気王を倒す
2:ライダー軍団の一員として、士について行く
【フィリップ@仮面ライダーW】
【状態】健康
【装備】ガイアメモリー(サイクロン、ヒート、ルナ)
【道具】支給品一式、不明支給品
【思考】
基本:検索する
1:ライダー軍団の一員として士について行く
【上城睦月@仮面ライダー剣】
【状態】ダメージ(大)、気絶
【装備】レンゲルバックル@仮面ライダー剣
【道具】支給品一式、不明支給品
【思考】
基本:殺し合いを止める
1:………
【空気王@テイルズオブデスティニー】(マスター)
【状態】健康、闇化、魔力減(小)、令呪残り5個(2人分)、若干の焦り
【装備】斬魄刀『鏡花水月』@ブリーチ、ソーディアン・イクティノス@TOD、拳銃
道具】支給品一式
【思考】 基本:笑点のピンクを従えて活躍し、空気脱却
0:ピンクを呼び戻さなければ…
1:この場から離脱する
2:殺し合いを楽しむ。最終的に
織田信長との殺し合いを楽しむ
3:とりあえずアーチャーとか殺しましょうか
4:笑点のピンクとはしばらく別行動
5:サーヴァントの数が減るまでは裏方に徹する(ステルスマーダー気味)
6:自分のように空気化と闇化の素質があれば仲間に誘ってみる
7:何、気にすることはない
8:もし02が死んだらあの人はどんな顔をするんでしょうかねぇ…?
※アサシンとバーサーカーのマスターです
※02の生死は確認していません
【五代雄介@仮面ライダークウガ 消滅確認】
要因:ユウスケのアマダムと融合
【結城丈二@仮面ライダーV3 死亡確認】
死因:空気王により斬殺
【氷川誠@仮面ライダーアギト 死亡確認】
【佐野満@仮面ライダー龍騎 死亡確認】
【ガリュー@魔法少女 死亡確認】
死因:ユウスケの超自然発火能力により焼死
【手塚海之@仮面ライダー龍騎 死亡確認】
死因:ブリザードベノム
◆
オラァ、どうしてこんなことになっちまったんだろうなぁ。
誰も殺したくなんてなかったはずだったのになぁ……
……ああ……
せめて……殺しちまった人達に、謝りたかったなぁ……
【赤鬼@泣いた赤鬼 死亡確認】
【バーサーカー 脱落】
死因:ユウスケの超自然発火能力により焼死
最終更新:2009年11月22日 09:11