「まさか、秀吉様がこのような忌まわしき催しの主催などをなされるとは・・・・・・」
黒田官兵衛は、熊本の城下町を散歩しながら現状を分析していた。
とにかく確かなのは、自分はいつの間にか全く知らない時代に飛ばされ、しかも信長様や秀吉様までいるらしい。
そもそも自分はとっくに死んだはずではなかったのか。流石の名軍師も、こんな状態で戦況をすぐに見渡すことはできなかった。
「しかし、何ゆえに民までが殺しあわねばならぬのか。浅ましきことよ」
戦国時代の軍師として数々の敵将を葬ってきたとは言え、降伏してきた敵や敵の遺族、自分の領民には寛容な態度で接し
「戦国随一のヒューマニスト」
とさえ言われる彼にとって、農民も女も子供も殺しあえなどとは例え秀吉の命令であっても受け入れることは出来なかった。
やはり、今こそその時なのだろうか。
生前にはどうしても実行に移せなかった、馬鹿げた計略。
秀吉様が天下を安泰に治められている限りは、自分などの出番はあるまい。しかし、此度はどうか。
このままではこの国が廃るのも火を見るより明らか。ならば、主君を裏切るという大罪を犯してでも、世のために立つべき時ではないのだろうか。
「しかし、一体どうすればよいのか。今の私にはあの頃ほどの力は無い」
第一に、この時代の勝手がわからない。第二に、今の自分には一人の兵さえいない。
「しかし・・・・・・そうだな、この私が復活したということは、竹中殿もこの時代にいるかもしれぬということか」
彼の助力を得られれば、この程度の困難などは解決するはずだ。
いや、もしかしたら山本勘助殿や真田幸村殿もおられるかもしれない。今は戦国の世ではないようだ、彼らにだって協力を頼むことは可能だろう。
「彼らに会えれば幸甚といったところか。たとえ兵などなくとも、戦う道が見つかるはずだ」
もはや官兵衛には迷いは無かった。自分は始めて秀吉様に弓を引く。そして自分がこの国を治める。
それしかあるまい。
「にしても、このこんびになるもの、さては非常時の兵糧を貯めておるのか。どれもこれもなかなか上手し」
まずは腹ごしらえということで、官兵衛は町のコンビニを漁っていた。今までの三日間で、缶詰やレトルト食品の食べ方は見抜いていた。
ひとしきり空腹を満たし、それでは一部の食料と水を持ち出そうとしたその時。
「やはり、お主も居られたか」
コンビニの入口にいたのは、見覚えのある顔だった。
「・・・・・・三成殿」
関が原の合戦の西軍の大将。そして、官兵衛の息子の策によって破れ、官兵衛自身とも因縁浅からぬ武将。
石田三成は、自分のライバルの一人だった軍師の顔をじっと睨みつけていた。流石は歴戦の武将、その眼光は只者ではない。
「黒田殿。そなたも今、某と同じことを考えているのではあるまいな? 」
「ほう。そういえばあなたもそうでしたか。お互い生前に一度夢に敗れたもの同士、この期に乗じて再起を、ということですかな」
「左様。こんな機会を逃す手はなし。しかし某はいかなる理由があろうとも秀吉様に弓は引けぬ。某の敵はただ一人、徳川家康その男。
おそらくあ奴も秀吉様のお側にいるはず、あやつを成敗し、その後に秀吉様を説得する」
「変わりませんな、あなたも」
だからこそ、この男はあの合戦に敗れた。
しかしまた、だからこそ後世まで称えられる石田三成、か。
「黒田殿。そなたは秀吉様を亡き者にしようとしておられるか? 」
官兵衛はしばしの沈黙の後答えた。
「致し方なしかと」
次の瞬間、三成は刀を抜いていた。
「黒田殿、さらば」
構えを取ることも無く、一気に間合いをつめてくる三成。官兵衛は陳列棚を足で蹴って倒してバリケードとした。
三成はそれを軽々と飛び越え、官兵衛の前に着地する。官兵衛はすぐさま後ずさった。三成の刀の切っ先が虚空を切る。
官兵衛は雑誌の棚を腕でつかんで倒した。美少女の水着写真が表紙になっている雑誌がばさばさと音を立てて散らばる。
官兵衛はそのうちの一冊を三成に向かって投げつけた。
「なんと小癪な。そなたらしくもな・・・・・・」
その雑誌を即座に払い捨てようとした三成は、その表紙に映ったビキニ姿の少女を見て目を見開いた。
「お前・・・・・・」
その隙を、官兵衛が見逃すはずは無かった。彼は即座に懐から短刀を取り出す。
それは、彼に「支給品」として配られた、見慣れない南蛮のものらしい刀だった。
説明書に書いてあったとおりに、その刀の名を叫びながら大きく振りかぶる。
「ルール――――」
三成が、ようやく対抗して構えを取ったときにはもう官兵衛の刀は振り下ろされていた。
「――――ブレイカー!! 」
官兵衛の手にした刀から、ビーム兵器を思わせるような光線が発射された。
そして、死の間際に妻を思った稀代の武将は、この世に跡形も残さず消滅した。
ルールブレイカー、全ての秩序を破綻させ、あらゆる魔術を無効化する宝具。
それこそ、すでに死したはずにも関わらず常ならぬ力によってこの殺し合いに参加されられた者共に対して最大の破壊を負わせる武器だったのである。
そして、その犠牲となったものは三成一人だけではなかった。
「なんと・・・・・・これはどうしたことか・・・・・・」
京都にいた孔明は愕然とした。目の前で起きたことが信じられなかった。
蜀軍三十万のうち十五万が、一瞬にして消えた。
「ぬ・・・・・・」
「龍馬さん、どうかしたんですか? 」
相沢祐一が、突然胸を押さえてうずくまった坂本龍馬に駆け寄る。
「な、なんでもないちや。そんなてがうなや」
そう言いつつも、龍馬は内心では漠然とした恐怖感に似た感覚を覚えていた。
(なんや、これ。ワシの体の一部が抉られてしもうた
みたいな感じや)
ルールブレイカーから出た光線は、熊本から京都にまで達し、その間にいた「秩序を壊して存在していたもの」全てを消した。
つまり、この時代にいるはずがないのに、主催者によってつれて来られた全てのもの。
しかし、それ以外の者・・・・・・もとからこの時代に生きていた人間には、何の影響も与えなかった。
「予想以上だ。これは後々も使えるかもしれん。しかし、一度の使用でここまで体力を削られるとは・・・・・・」
官兵衛は、立ちくらみを覚えて思わず床にしゃがみこんだ。
丁度目の前に、三成に投げつけたのと同じ雑誌があった。
この雑誌の表紙にいる、肌も露な格好をした少女が三成の妻と
瓜二つであったからこそ、彼に勝機が生まれた。
「恩に着る。名も知らぬ娘子よ」
官兵衛は、ビキニ姿の美少女に深々と頭を下げた。
そして、後でゆっくり使おうと思ってそれをバッグにしまった。
【黒田官兵衛@歴史】
[状態]:極度の疲労
[装備]:ルールブレイカー@Fate/stay night 青年向け漫画雑誌
[道具]:支給品一式
[思考]
1:仲間(できれば竹中半兵衛、山本勘助、真田幸村)を探す
2:秀吉を倒し、自分が国を治める
【四日目 京都府郊外の森 3時】
【諸葛孔明@三国志(横山光輝版)】
[状態]:健康
[装備]:蜀軍十五万
[道具]:不明
[思考]
1:さて、どうしたものかのう…
2:元の時代に戻りたい(どうしても無理なら主催を止める。基本この時代のことはこの時代の人間に任せたい)
【四日目 高知県はりまや橋付近 3時】
【坂本龍馬@歴史】
[状態]:ルールブレイカーの影響により一時的な体力消耗(命に別状は無い)
[装備]:クロウカードセット@カードキャプターさくら
[道具]:支給品一式
[思考]
1:空腹を満たす
2:京か江戸に行き、仲間や情報を集める
基本方針:主催者を倒す
【石田三成@歴史 死亡確認】
【源義経@歴史 死亡確認】
【北条時宗@歴史 死亡確認】
【平将門@歴史 死亡確認】
【紫式部@歴史 死亡確認】
【卑弥呼@歴史 死亡確認】
【エドワード懺悔王@歴史 死亡確認】
【シャルル無能王@歴史 死亡確認】
【ピタゴラス@歴史 死亡確認】
【グラックス兄弟@歴史 死亡確認】
【項羽@歴史 死亡確認】
【孫策@三国志 死亡確認】
【張角@三国志 死亡確認】
【ドードー@絶滅動物 死亡確認】
【ニホンオオカミ@絶滅動物 死亡確認】
【ケナガマンモス@氷河期 死亡確認】
【ティラノサウルス@白亜紀 死亡確認】
【プテラノドン@白亜紀 死亡確認】
【ステゴサウルス@ジュラ紀 死亡確認】
【ディメトロドン@あの背中に帆のあるやつね 死亡確認】
【アノマロカリス@カンブリア紀 死亡確認】
【オパビン@カンブリアQTS 死亡確認】
【シーラカンス@生きた化石 死亡確認】
【サン・ジェルマン伯爵@不死身 死亡確認】
*ルールブレイカーが現作の設定より遥かに大きな威力を持っているのは、官兵衛の持つ強大な魔力のためです
また、官兵衛自身はルールブレイカーの影響を受けていないようです。
*官兵衛は主催者交代のことを知りません。
最終更新:2007年01月31日 22:41