「素晴らしい……まさに家臣の鑑じゃ!カシンミラーじゃっ!」
戦国武将、徳川家康の頬を涙が伝った。
彼が見ているモニターには、主のために奔走し、同時にショッカー科学者達も始末した青年の姿が。
「そうじゃ……今やこのバトルロワイヤルでは、わしらも絶対的な存在ではない……」
家康は悔しげに唇を噛み締める。
世の中、実に沢山のバトルロワイヤル企画がある。
そのほとんどにおいて、主催者側は絶対的な力を持つ。
だが家康は、自分たちにはそれほどの力が無いことを悟ってしまった。
いや正確には、以前から薄々とわかっていた。ただ、それを認めたくなかっただけだ。
「いくら禁止事項を強力にしようとも……首輪がなければ、わしは何もできん!」
首輪を楽々解除する参加者、首輪無しの乱入者、爆発しても死にやしない化け物たち……
現在首輪を発動して倒せるのは、せいぜい症候群発症者だけだろう。
「ここは太陽……無敵の自然要塞かと思ったら、そんなことはなかった!」
空間転移能力所有者、宇宙空間をものともしない金属生命体や宇宙人、そして凄い漢……
よりによって強者に主催者基地の場所をばらした書き手の存在も大きい。
「信長様も強い!配下の者も強い!じゃが……!」
それでも安心しきれない、ここまで生き延びた歴戦の猛者に、まだ見ぬ参加者たち……
主催者を脅かす存在は、無数にいるし、今後出現しないとも限らない。
「わしらはほとんど、参加者と変わりがないんじゃ……!」
家康はそこまで喋り、うなだれた。
そう、家康たちも高みの見物決め込んで、ニヤニヤとロワの様子を眺めていられる状況ではない。
それこそ、眺めているだけで終わる程バトロワは甘くないのだよ!
とか言われてズガンされかねない。
ありえない、そう否定しきれないのが、実に恐ろしい。
「ただ見て、待っているだけでは、確実にやられる……!
KAITOのように!もっと自ら積極的に行動するべきだったんじゃ!」
そして徳川家康は、ついにその結論に至る……!
「ふふふ……そう、ただ眺めているだけでは駄目なのです……」
そんな家康の背後から、声が響いた。
「だ、誰じゃ貴様は!いつわしの部屋に……!」
慌てた家康は刀を抜きながら振り返る。
するとそこには、シルクハットとタキシード姿の男が立っていた。
「刀をおしまいなさい、徳川家康。私は別に、貴方に危害を加えるつもりはない……」
「なんじゃと……!」
「私は貴方達を評価しています。楽しいショーをありがとう。
何も起こらない平穏な生活、そんなつまらない生き方をしてきた者に殺し合いをさせる……
素晴らしいですよ!乱れ狂い、必死で藻掻く人間のなんと面白いこと!」
心底愉しげに、シルクハットの男はよく喋る。
しかし突如黙り、身体の動きも止まった。
「ですがそれも束の間……乱れも少なくなり、彼らにも退屈してきました。
そこで私は、何度かこの世界に干渉しました。より殺し合いを円滑にするためにね……
手始めに、山田を増やしました。自己顕示欲の塊であるデコ人間も煽りました。
さらに、『秋葉原』を覚醒させ、異次元から竜を呼んだり悪夢の破壊神を呼んだり……」
「なんじゃと!?ではあれらの事件や乱入者は……!」
「ええ、全て起こるべくして起こったこと。『神』である私には……造作もないことですよ」
シルクハットの男……『神』はそこで家康に軽く一礼をする。
対する家康は困惑し、同時に激怒していた。
自分がノイローゼになった理由のほとんどがこの『神』の仕業だとわかったのだから。
「神じゃと!?その神が何故、そんなことをしたんじゃ!いつ連中が惑星を壊し、信長様の命を狙うか……!」
「私にとっては信長も所詮、創られたモノですからどうでもいいんです。
私が見たいのは、人間の、運命を変えようと足掻き、挑み、死に、それでも諦めない姿。
人間は脆弱な存在です。そんな存在が、命の輝きを見せる様は……神ですら感動ものです。
ですが、輝き過ぎるのもまた問題。この惑星は、命の輝きが強すぎる。
人間が、最高級の料理や小説でも毎日繰り返されたらいずれ飽きるのと同じように……
輝きっぱなしでは意味がない。消えては輝きまた消えて、そしてまた輝いて……
それでこそ価値がある。いつまでも散らない閃光花火に、人間は心動かされますか?
命と死、希望と絶望は表裏一体。さて、ここで問題です。
このバトルロワイヤル、『参加者』から見た場合、『主催側』は希望と絶望どちらでしょう?
逆に、貴方達『主催側』から見た場合、迫る『参加者』は希望と絶望どちらでしょう?
答えは両問とも絶望です。しかし絶望に立ち向かっているのは『参加者』だけ……
そう、貴方達『主催側』は最早楽な立場ではない。絶望にあらがわなければ……消える運命。
殺るか殺られるか、貴方達もこの
ゲームの一参加者にすぎないのです。
互いがぶつかりあってこそ……命、そして死が輝く!それでこそ面白い!
徳川家康……貴方は参加者という名の絶望から、信長という名の希望を守る気はありませんか?」
神の話を聞き終え、家康はしばらく黙っていたが、やがて軽く息を吐き、
神を、見据えた。
「愚問じゃな。わしがその考えに至ったからこそ、貴様はここに現れたのじゃろう?」
「……ご名答」
「ならば神よ、わしはまず何をするべきか?」
「力を、与えましょう。とびきりの、破壊の力を」
神が指を鳴らすと異空間が開き、そこから悪夢の破壊神・ダークドレアムが転がり落ちた。
傷は殆どないが、意識は無くしている。
「この神にもがっかりです。青甲虫を惨殺し、仲間の人間に絶望を与えるかと思えば、
人間の底力を認め、殺さずに逃がすなんてね……仕方ないから私が回収しました。
徳川家康、貴方なら、本当に情け容赦ない破壊をしてくれることを期待していますよ……」
家康の手が神に導かれ、ダークドレアムの額に触れた。
その瞬間、ダークドレアムの持つ、破壊神の力の全てが家康へと流れこんでいき、
やがてダークドレアムはその力の全てを奪われ、己自身を無に還した。
「こ、この力は……!」
「素晴らしいですよ、徳川家康。さあ、この私に見せてください……
参加者と主催者の、互いの命のかがやぎぃっ!?」
全てを言い終える前に、神は家康にその身体を貫かれていた。
「がっ!?がふっ!な、なにをする……!?」
「貴様は……先程信長様をモノと言ったな?自分にとってどうでもいい、と。
信長様もいずれ飽きたとか言って殺すつもりなのは明白じゃ……!
じゃが、わしにとってはそうではない!あの方は死なせるわけにはいかんのじゃ!
貴様の望み通り絶望にあらがってやったぞ!信長様に迫る、貴様という名の絶望を砕いた!
そう、わしは信長様の希望となるのじゃ!」
「お……の……れ!き、きさま……!か、かみであるわたしを……!もののぶんざいで……!」
「神ならわしのことをもっと知っとくべきじゃったな。わしはな、かつて踏み絵を行った程……
神が!大っっっ嫌いなんじゃよおおおおお!!!!」
かみ は しんだ
◆
「わしは希望……信長様の希望……信長様唯一の希望……
わしだけが守れる……秀吉達には守れない……わしが……信長様の敵を討つ!」
瞬間移動の能力を手に入れた家康は、イナバ製作所上空に移動していた。
ここに集まっているのは、一人残らず全てが対主催思考の参加者達……
つまりは、信長の命を狙う、信長にとっての絶望でしかない。
「わしが!わしが!わしが信長様ををを!」
咆哮をあげ、家康は刀を上段に構える。
「皆殺しじゃ……!信長様の命を
狙う者は、全てぇ!
ヒーローの存在に気付いていないとでも思っておったか!?まずは貴様から消えるがいい!」
家康が縦に、横にと刀を振るえば、真空の神の刃、グランドクロスがイナバ製作所を襲う。
神の神聖なる刃の前には、如何なイナバ壁といいかなわない。
「っ!?」
この奇襲に気付けただけ上出来、されどかわすことはできず、マスターもサーヴァントも塵となる。
「くっ……くくく!信長様!あなたは、わしが守ってみせましょうぞ!
全ての敵から……!くは、くはははははははは!」
主催から参加者の一人へ……
信長に絶対の忠誠を誓う『忠神』が、参加者に絶望をもたらす……
【
三日目・2時40分/新惑星・大田区】
【徳川家康@現実?】
【状態】健康、忠神、暴走した破壊神の力で若干の精神崩壊、魔力消費と疲労(小)
【装備】斬鉄剣、神の肉体、シルクハット
【道具】脇差
【思考】
基本:
織田信長を守る
1:イナバ製作所の対主催者とショッカー達の皆殺し
2:対主催者は例外なく殺す。信長の協力者だけは生かす
3:余裕があれば羽柴秀吉もどさくさにまぎれて殺す
※ダークドレアムと神の全ての能力を奪い取りました
※主催者基地を離れたため、参加者の動向を確認できなくなりました
【ダークドレアム@ドラゴンクエスト6】死亡確認
【神@魔界塔士サガ】死亡確認
【蒼崎橙子@空の境界】死亡確認
【蒼崎青子@月姫】死亡確認
【孫悟空@ドラゴンボールZ】死亡確認
【古畑任三郎@古畑任三郎】死亡確認
最終更新:2010年03月01日 00:16