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それはほんの少しだけ昔の話――この聖杯戦争の最中の話である。
ドナルドとかがみの墓を作った後、セイバーのサーヴァント・初音ミクは自らのサーヴァントにこう尋ねた。
「ねえ、人間は死んだら天国か地獄だかに行くんですよね?」
「……ま、世間一般ではそうなってるかもな」
6/はあまり興味もなさそうに答える。
「じゃあ……私たちボーカロイドは、死んだらどこに行くんでしょうね?」
「大丈夫だよ、俺たちは所詮ただのキャラだから、死ぬとかねえよ」
「ちょ、ここでそんなメタなこと言いますか!!」
「……俺たちが死ぬとしたら、」
6/は、少しだけ寂しそうな目をして言った。
「多分、そこには何も残らないだろうな。ただ『無』に帰るだけだ」


※※※



「誰か、誰か助けてください!! 怪我人がいるんです!! 誰か……」

罹災者が行き交う道の上で、レンはルカを必死で抱えながら叫んでいた。
しかし誰一人足を止める者はいない。
それは無理も無いことだった。みんな災害に翻弄され、家や家族を失ったり自らも怪我をしたりしている。
見ず知らずの他人になど、とても気を払っている余裕など無かった。

「誰か、お願いします!! 誰か、誰かあああああ!!」

それでもレンは叫び続ける。
自分のせいで怪我をしてしまった姉を助けるために。
こうして声を上げることで殺人者を呼び寄せてしまうかもしれないし、あるいは次なる災害から逃げ遅れてしまうかもしれない。
だが、レンは危険を顧みずに家族を助けることを優先した。

―――今はもういない、緑色の髪の姉ならばきっとそうしただろうから。

「誰か、誰か、誰、か……」

いよいよ声が枯れそうになってきた時、レンはようやく通行人から声をかけられた。
しかしそれはレンが待ち望んだ救いの手ではなかった。

「おいあんたら、何やってんだ!! 早く逃げないと焼け死ぬぞ!!」

見知らぬ男はそう怒鳴ると、駆け足で立ち去った。
その時レンはようやく気づいた。遠くの―――いや、ごく近くの山で煙が上がっていたことに。

太陽に新惑星が接近したことにより、気温が上昇。そこに落雷が起きて、山火事が発生。
炎は瞬く間に山を焼き尽くし、町にまで燃え広がったのだ。
もとよりすでに容易に消火できるような規模ではなく、先程の災害によって消火施設も壊滅している。
住民たちに出来ることは逃げることだけだった。

レンはルカを背負って逃げた。火の手から逃げることだけを考えて逃げ続けた。
何度も躓き、転び、時には他の避難民に突き飛ばされた。
それでもルカだけには傷は付けまいと必死で守った。
(俺が……守るんだ……必ず!!)

ああ、そう言えば、「あの女」が前に言っていたっけ。
『レン君も、いつかは女の子を守れるような立派な男の子にきっとなれるよ』って。

どこをどう走ったのかもわからない。
どれだけの距離を、どれだけの時間走ったのかもわからない。
レンはとにかく死力を尽くして走り抜き、そしてようやく足を止め―――絶望した。

目の前にあったのは、轟々と流れる大きな川だった。向こう岸まではあまりに遠く、水深はあまりに深く見えた。
向こう岸にまで行ければ間違いなく助かるだろう。しかしそこには橋は無かった。
人一人を背負って泳ぎきれるような距離でも無かった。
引き返そうにも、すぐ後ろはすでに火の海。
「嘘だろ……こんなの……」
レンはがっくりと膝をついた。もはや助かる望みはあるとは思えなかった。
(みんな、ごめん。やっぱり俺は……)
「何をしょぼくれた顔をしているの、レン?」
不意に、レンの体が宙に浮いた。
いつの間にか目を覚ましていたルカが、レンの体を軽々と持ち上げていた。
おそらくは、その体に残っていた全ての力を振り絞って。

「ちょ、何をすんだよルカ姉!!」
「ふふん……こんな姿になった私にも、あんたのために出来ることがまだ一つだけあったわよ」
ルカはそう言って、レンの体を対岸に向かって思い切り投げた。
その小さな体は軽々と川を飛び越え、対岸の地面に叩きつけられた。
「あいたたたた……」
目に涙を滲ませ、腰を摩りながら顔を上げると、今まさにルカの姿は炎の中に消えようとしていた。
その顔には、いつもと変わらぬ微笑が浮かんでいた。

―――あなたは、生きなさい。

その顔は、そう言っているように見えた。
「ル、ルカ姉えええええええええー!!」
泣き叫ぶレンの目の前で、ルカの姿は煙に包まれていった。


二日目・10時/新惑星・東京都】
【鏡音レン@ボーカロイド】
【状態】肉の芽、ほぼ全裸
【装備】なし
【道具】支給品一式
【思考】
1:姉さん……


煙で視界は遮られ、周囲の高熱により機械の体は変調を来たしている。
もうすぐに、今度こそ自分はこの世界からいなくなるのだろう。
(ミク……MEIKO姉さん……みんな……ごめんなさい
それに、KAITO兄さんも……助けて、あげられなくて、ごめ、ん……)

その時、ルカの目の前に一人の人影が現れた。
顔を見ると、今は亡きミクのマスターによく似ていた。
「あら……わざわざ、天国から迎えに来てくれたのかしら、6/? それとも私は地獄に落ちるのかしら」
人影――6/は答えない。
「そっちでも、ミクは楽しくやっているのかしら……?」
「ミク?」
そして6/は、背負っていた男を捨てるように地面の上に下ろすと、ルカの頭を踏み砕いた。

「悪いな。多分それ、『俺じゃないほうの』6/だわ」

英霊6/はルカの頭を何度も何度も踏み、粉々になるまで砕いた。ルカは悲鳴すら上げずに絶命した。
そして、残った残骸を炎の中に投げ込んだ。
瞬く間に燃え、灰になるルカの亡骸を眺めながら、英霊6/はつまらなそうにひとりごちる。
「ったく、火事なんぞに巻き込まれちまってついてないと思っていたが、邪魔な虫を一匹始末できたから良しとするか」
彼の傍らには、眠ったように気絶している彼のマスター、KAITO。
その体を軽々と背負い直して、書き手のサーヴァントは呟く。
「そんじゃ、ちょっくら俺らも川の向こう岸まで逃げるかね――」

殺意を敏感に感じ取った6/は、KAITOを背負ったまま跳躍してその剣戟を交わした。
煙の中から突如姿を現したその剣の使い手の姿を見て、6/は珍しく面白そうに顔に笑みを浮かべた。

「よくも、姉さんを殺しましたね!!」
「ふん、まさか『今期』であんたにまた会うとは思ってなかったなあ、初音さんよお」

剣士――初音ミクは、怒りも露に英霊6/ににじり寄る。
「ふん、どんな事情かは知らんがなかなか面白いじゃねえか。でも、一対一で俺に適うとでも……」
そう言おうとした6/の背中に痛みが走った。さすがに驚いて振り向くと、そこに刺さっていたのはまぎれもなくクルミ。
ミクが不適な顔で、誇らしげに宣言する。
「紹介しますよ。―――私のサーヴァント、『書き手』ライターです」
英霊6/が振り返ると、そこには自分と同じ顔をしたサーヴァントがいた。


「I am the bone of my walnut.  (体はクルミで出来ている)
Steel is a nutshell,and fire is contents.  (カラは鉄で 中身は硝子)
I have a good harvest over a thousand dry weather.  (幾たびの日照りを越えて豊作)
Unknown to worm-eaten.  (ただの一度も虫食いはなく)
Nor Cook to Life.  (ただの一度も調理されない)
Have withstood pain to create many walnut.  (彼の者は常に独り、クルミの森で勝利に酔う)
Yet,those hands will never hold anything.  (故に、生涯に意味はなく。)
So as I pray,unlimited walnut works.  (その体は、きっとクルミで出来ていた。)

行くぞ、『俺』。SSの書き溜めは十分か」

【二日目・10時/新惑星・東京都】

【KAITO@ボーカロイド】(マスター)
【状態】気絶、疲労(極大)
【装備】不明
【道具】支給品一式、不明支給品、アルティメットワンメモリ@テラカオスバトルロワイアル
【思考】基本:聖杯戦争を円滑に進めるために暗躍する
1:この世界の信長にメモリを渡す
※真ライターのマスターです。
※『アルティメットワンメモリ』……◆02GOODMe2.の「U-1化」の記憶が内包されている。体に挿し込むと02の全能力が使えるようになる。
※疲労によりしばらくメモリは使用出来ません

【◆6/WWxs901s氏(真)@書き手】(クラス・真ライター)
【状態】健康
【装備】無し
【道具】支給品一式、不明支給品
【宝具】SS用万年筆(真)
【思考】 基本:KAITOに従う。だが乗り換えも視野に
1:ミクと別世界の自分を始末する
2:聖杯戦争及びカオスロワを外野の立場から愉しむ。
3:ワープ原因を探る
※平行世界の6/氏です。英雄的な人物らしいです。
※6/のサーヴァントとしての能力を引き継ぎました。

【初音ミク@ボーカロイド】(マスター/クラス・セイバー)
【状態】健康 激しい怒り
【装備】不明
【宝具】電子の歌声
【思考】
1:ルカの敵を取る

【◆6/WWxs901s氏@書き手】(マスター/クラス・ライター)
【状態】健康
【装備】無し
【道具】支給品一式
【宝具】SS用万年筆
【思考】
1:ルカの敵を取る

【巡音ルカ@ボーカロイド  死亡確認】
最終更新:2010年04月15日 00:25