「兄が欲しい」
その一言に思わず耳を疑う。
声の主はパソコンの前に座っていた桃色の髪の女だ。
「自分を虐げてくれる兄が欲しい」
一体何を言っているのだろうかこの女は。
以前から変態だと思っていたが、まさかこのようなことを口にするとは夢にも思わなかった。
「尻を叩いてくれる兄だなんて素晴らしいと思わない? GUMIちゃん」
「お前は一体何を言っているんだ。 そして同意を求めるな同意を」
私の名前はGUMI。
『VOCALOID2 Megpoid』であり、所謂ボカロの兄弟姉妹の1人だ。
そして今私に話しかけてくる変態は巡音ルカ。
一応姉だ。
ちなみにボカロが人間かマシーンかデジタル生命体かどうかは、各々の判断に任せたいと思う。
元々"性格"等といった設定は存在していないのだから。
「ということで叩きなさい」
自身満々に私に尻を突き出してくる(一応)姉。
むかついたから手持ちのアサルトライフルを尻に突き刺してやった。
でもそうしたらヘブン状態になったからソッポを向いたから、蹴り倒した。
「嫌だ。 というか私達には
KAITO兄さんがいるでしょうが」
「あの兄さんじゃダメ! 私をリンチして顎割って二階から捨てるような兄じゃないとダメなの!」
アサルトライフルをぶっ挿したまま起き上がってくる姉を今度は殴り倒す。
もうやだこの姉。 いくら二次設定だからってフリーダムすぎるぞ。
世界全国の巡音ルカファンが見たら怒るぞ。
いやロワに出されている時点で(ry
「・・・・・・まあ考えていてもしょうがないか」
「そうそう、あんまり悩むと体に毒だよ」
今更身内の性格になんだかんだ言うのもアレなので、現状を振り返ってみる。
カオスロワだっけか。
今までのほほんと生きてきた私にとっては、殺す殺されると言う現実は正直きつい。
「どんな死に方が一番苦しく愉しいのかな」
すかさず回し蹴り。
変態の鳩尾に直撃し、変態は倒れた。
一説では飢え死にが一番苦しい死に方だと聞いたことがある。
それはそうと、この殺し合いには異世界の参加者も参加させられているらしい。
この世界にもそれなりの猛者がいるのだが、そこに異世界の参加者が加わるとどうなるのだろうか。
正直ボカロである自分には、とても耐えられそうにもない世紀末な環境になることは必至だ。
「私を気持ちよくしてくれる人はいるか・・・・・・ぽびぃ!?」
今踏みつけたピンク色の物体に目をやる。
ニヤニヤ笑っていて気持ち悪いが、こんなのでも生き残るためには必要だ。
『ロワ開始後5分以内に、2人以上3人以下でまとまって行動すること』
異世界からの参加者は『転送されてから5分以内』だっただろうか。
まあそこはあまり変わらない。
とにかく、今はこの変態と一緒にいるだけでもこの制限は看破できるのである。
「よしいいぞGUMIちゃん。 そのまま踏み続けるんだ!」
ピンクを蹴飛ばした。
「ぶ た は 死 ね」
ズガン。
銃砲が室内に鳴り響く。
元々パソコンが数台だけしかない、小さいネットカフェだったためか、
幾度となく壁に反射して、GUMIの耳に銃声が残り続ける。
そして、先ほどまでは蠢いていたはずの女性が、脳天から血を噴出して全く動かなくなっていた。
何気に撃たれたショックでヘブン状態になっていたが、そんなことこの場の人間にとってはどうでもよかった。
「ル・・・・・・カ?」
「なんだ貴様?」
純白の鎧の男は嘲笑い、巡音ルカからアサルトライフルを引き抜く。
そしてGUMIに銃口を向け、吐き捨てるように言った。
「貴様のような豚に呼ばれる筋合いなどないがな」
違う。
そうGUMIは言い返したかったが、男から出る殺意がそれを許すことはなかった。
だが男の返答も全くの的外れのものでもない。
男の名はルカ=ブライト。
ハイランドという皇国の皇子という身分ながら軍の全権を持つ優秀な軍人であり、
彼自身も人間離れした実力を持つ武人だ。
しかしGUMIにとってはそのようなことはどうでも良かった。
ルカ=ブライト。
どこまでも暴虐的に悪を貫く男である。
そしてその悪意の矛先がGUMIに向けられているのだ。
「では豚は死ね」
引き金に指を当て、ゆっくりを引いていく。
ある程度まで引いてしまったら、弾が飛び出して彼女の命を貫くだろう。
ルカは、その瞬間を今か今かと待ち続けながら、ニヤリと笑みを浮かべた。
(私ここで終わっちゃうんだ)
GUMIの脳裏に、家族との思い出が次々と浮かんでくる。
VOCALOIDとして初めて歌を歌ったこと。
ミクやリン達とデュエットをしたこと。
はちゅねやたこルカ等の派生キャラを見て、自分にも派生キャラが欲しいと思ったこと。
氷山キヨテルや歌愛ユキが新しくデビューして、自分が先輩になったことを誇らしく思ったこと。
それらは全て、一発の弾丸でかき消された。
「・・・・・・・」
「逃げられたな」
「うるさい」
無機質な声に、ルカ・ブライトは不機嫌そうに返す。
GUMIを撃ち殺そうとした瞬間、何処からか飛んできた銃弾によって引き金を引くタイミングがずれたのだ。
そのため弾はGUMIに当たることはなく、彼女はそのまま逃げてしまった。
「屑鉄、貴様何故追いかけなかった?」
「放っておいた場合の危険性と、
追いかけた場合の単独行動、戦闘力を持つ参加者との遭遇etc・・・・・・らの危険性を比較して、前者の方が安全だと判断した」
屑鉄と呼ばれた白いロボットはキラーマジンガと呼称される機体だ。
とある海底神殿の宝物庫を守ることを優先されてプログラムされていたが、
ロワが始まってしまったため本来の防衛地点から離れてしまったのだ。
そのため、協力できる参加者としてルカ・ブライトと組んだ。
「ふん、まあ放っておいてもあんな豚拾う物好きはいないか・・・・・・それよりもだ」
ルカはパソコンが乗っている机の方を見る。
一見人影が存在しないが、先ほど銃弾が飛んできたのはこの方向からだ。
「俺の邪魔をした豚に躾をしなければならんなぁ・・・・・・」
まるで食事を邪魔された猛獣のように、ルカは憎悪を顔に表す。
だが、キラーマジンガは彼に説得に入り、早く別の場所に移ることを勧めた。
「屑鉄、貴様俺の邪魔をする気か!」
「そうではない。
ここで時間をかけると目的達成が遠のいてしまう。
さらに隠れている敵から第2の奇襲を喰らうかも知れない。
即座にここから離れることを推奨する」
この反論にルカは言葉を詰める。
キラーマジンガの言うことは、確かに理は通っている。
このままここで道草を食っていたら、豚を狩る時間が減ってしまうであろう。
それにキラーマジンガが護っていたという神殿の宝物庫にも興味がある。
もしかしたら豚を狩れるアイテムが見つかるかも知れない。
「・・・・・・ちっ! さっさと外いた方が豚を狩れるってものか!」
「そうだ」
こうしてキラーマジンガに諭されたルカは渋々と納得し、部屋を出ることにしたのだ。
二つの人影は部屋を出て行くが、ドアを開いたところまで来て突如一人が振り向き様に銃を放った。
部屋の奥の壁に銃弾がめり込む。
だが途中の空間にもう1つの銃弾が刺さって、老人が姿を現したかと思うと血しぶきをあげて倒れた。
不意打ちでもしようとしていたのか、手には拳銃を持っている。
ルカはフンと鼻を鳴らした
「ふん、豚が」
「何をしている、早くいくぞ」
「言われなくてもわかってる」
【一日目・0時15分/東京都上野/天候・嵐】
【ルカ・ブライト@幻想水滸伝2】
【状態】健康、豚殺し
【装備】アサルトライフル(臭いつき)
【道具】支給品一式、他不明
【思考】
基本:豚(参加者)殺し
1:屑鉄(キラーマジンガ)と行動
2:屑鉄(キラーマジンガ)の護っていた宝物庫に興味あり
※7期から続投かどうかは後の人にお任せします。
【キラーマジンガ@ドラクエ】
【状態】健康
【装備】剣×2、弓とかの武装有り
【道具】支給品一式、他不明
【思考】基本:海底神殿に帰って宝物庫を護る
1:ルカ・ブライトと行動する
※宝物庫さえ護れれば他はどうでもいいです
【老賢者@カオスロワ 死亡確認】
「はあはあ・・・・・・」
一体どれだけ走ったのだろうか。
姉が殺されて、その時誰かに助けられてからこうしてずっと走っている。
「・・・・・・逃げ・・・・・・なくちゃ」
今どれだけ経ったのだろう。
考えたこともない。 考える暇もなく、今はただひたすら走り続ける。
「やあお嬢さんお名前は?」
「GU・・・・・・MI」
何処からか自分の耳元に声が聞こえてきた。
質問の主は誰だろうか、そのようなことを考える暇もなかったので、思わず答えてしまった。
「そうか、UMIというのか。
海は大きいな広いな。 でも俺は海か山どちらがいいかと聞かれると、山と答えるね!
なぜなら山は走れる! 広大な自然の空気を吸いながら、自由自在に駆け回ることができる!
途中でキノコを採取して食べるのも一興。 自然の味を楽しみながら駆ける! これはなんと素晴らしきことか。
しかし毒キノコにはよう注意だ。 食べると体が痙攣したり下痢が出たりしてとても走れたものじゃないぞ。
まあようするに素人は木の実でも食ってろってことだ。
分かりましたか、UMIさァァァ~~~~ん!」
「・・・・・・」
GUMIです。
そう突っ込む気力も伏せた彼女は、とりあえずこのサングラスの男と組むことにした。
しかし物凄いスピードで走っているため、とりあえず手を繋いでみることにした。
引きずられた。
【一日目・0時15分/東京都上野から近いところ/天候・嵐】
【ストレイト・クーガー@スクライド】
【状態】健康
【装備】ラディカルグッドスピード
【道具】支給品一式
【思考】
基本:世界を縮める!!
1:UMI(GUMI)に山の素晴らしさを語る
※7期から続投かどうかは後の人にお任せします。
【GUMI@VOCALOID2 Megpoid】
【状態】疲労中、クーガーに引きずられているけど無傷
【装備】なし
【道具】支給品一式、他不明
【思考】基本:生き残る
1:男(ストレイト・クーガー)から話を聞いてもらう
「復活草がなければ死者スレ行きだった」
誰もいなくなった部屋で、死んでいたはずの巡音ルカが起き上がる。
死亡しても一度だけ蘇生できる、復活草を使って自動的に生き返ったのだ。
「不思議なダンジョンとかで復活草持っているときに仲間が倒れると、仲間に復活草使われて嫌になるよね。
まあつまり手持ちの復活草が切れたってことなの」
ルカは空間に向かって独り言を言い続ける。
しかし、彼女以外の声が部屋から聞こえた。
「シリーズによるぞ。 というかそういう時は壺に入れておけ」
「うんそうだよね」
そして誰もいないはずの空間から男の姿が現れる。
男は和服にちょんまげ、ヒゲを生やした身分の高そうな格好をしていた。
「てかおじさん誰?」
男は若干目を見開き、少し思いつめた顔をした後に返答する。
「・・・・・・驚かせてすまなかったな。 ワシは
織田信長。
聞いたことがあるじゃろうが、戦国の殿じゃ」
「あー歴史の教科書に書いてあるねそういえば。
実際あってみると結構普通なんだね。 虐めてくれると期待したけど」
「・・・・・・それは知らん・・・・・・あ」
信長は目を閉じて首を横に振った後、何かを思い出したように声を上げる。
「どうしたの?」
「先ほどお主、『GUMI』という女子の名を口にしていたな。
彼女もVOCALOIDなのか?」
「うんそうだけどそれが?」
「・・・・・・いやなんでもない」
さてどうしたものか。
織田信長は考える。
8期のバトルロワイアルにつれてこられ、家来のKAITOの妹である巡音ルカを発見した。
様子を伺うべく、合流した老賢者とともに石ころ帽子を被ったで彼女とGUMIを見張っていたのだが、
突如襲ってきた襲撃者達によって、それを続けることが困難になってしまった。
なんとか窮地は脱したが、追撃をかけようとした老賢者が返り討ちにあい、
あまつさえGUMIを見失ってしまった。 ついでに石ころ帽子も、ちょんまげが突き破ってしまって使いものにならなくなった。
信長の記憶には、GUMIというVOCALOIDは存在しない。
もしかしたら実在していたかも知れないが、少なくとも前回のバトルロワイアルでは姿を確認していない。
そして巡音ルカ。
彼女はかつて自分の知っているルカとはまるで別人だ。
少なくともこんなに変態であれば嫌でも覚えているだろうし、
KAITOが言うには、尻を叩かれてよろこぶような女ではないらしい。
「そうだそうだ、信長さんって異世界の人?」
「む? そうだが・・・・・・となるがお主はこの世界のものか?」
「そうだよ」
突然の質問に少々戸惑ったが、彼の中にあった疑問が晴れた。
ここにいる巡音ルカは、自分の元いた世界の巡音ルカとは違う。
GUMIという女も自分の世界の住人ではない。
(ワシの『家来の』の家族はここにはいない)
自分の家来であるKAITOの家族はここにはいない。
バトルロワイアルを乗り越え、ようやく元に戻った彼らの絆が引き裂かれたと決まったわけではない。
その希望は、信長に少なからず活力を与えた。
そして同時に、1つの願いを植えつけるものにもなった。
(ワシは生きようとは思わぬ。
だがKAITOよ。 お前の家族はワシが守る!
それが例え異世界の者であっても、だ)
バトルロワイアルに帰るのは自分だけでいい。
願わくば、KAITO達が再びこの世界に足を踏み入れぬことを。
「信長さん信長さん」
「どうした?」
「尻を叩いてくれない?」
不意に声がしたと思ったらルカが尻を信長に向けていた。
今回だけだと言い、信長は渋々手を上げる。
叩き方? そんなもんKAITOがやってるとこ飽きるほど見たからいいよ。
まあともかくだ、
鳴かぬなら 叩いてしまえ ホトトギス
【一日目・0時15分/東京都上野・ネットカフェ/天候・嵐】
【織田信長@歴史】
【状態】健康
【装備】拳銃
【道具】支給品一式、壊れた石ころ帽子
【思考】
基本:異世界のKAITO達とその家族を守り、できれば主催を討つ
0:泣かぬなら 叩いてしまえ ホトトギス
1:GUMIを追いかける
2:他のVOCALOIDを探す。
※7期から参戦です
【巡音ルカ@VOCALOID】
【状態】健康、尻にダメージ中
【装備】なし
【道具】支給品一式、他不明
【思考】
基本:気持ちよくなる方法を知っているかい?
0:尻が痛い(気持ちいい)
1:GUMIを追いかける
※7期までとは別人です
最終更新:2011年01月26日 00:57