アットウィキロゴ
「ハァハァ、畜生何でこんな……」
混沌の街を駆けていく一つの人影があった。
激しく息を切らしながらも懸命に走るそれは、彼の直面している危機の大きさを示している。
即ち、生命の危機を。
マフラーをたなびかせながら一心不乱に足を動かす彼――KAITOは逃げていた。後ろから迫りくる規格外の化け物から。
殺し合いが始まったのは知っているし、
何故自分がこんな目に合わなければならないのか。

「くそッ!」
苛立ちを含んだ声を上げるが、足を止めることは決してない。
やばいやばい、と身体中のあらゆる器官が警告を発しているのだ。
恐怖のあまりちらりと後ろを振り向く。

それは雷を纏い、強靭な四肢を躍動させ猛然と迫ってくる。
その凶悪な牙や雷を帯びた角は明確な力の象徴のようにも思えた。
それは名をジンオウガといった。
3rdでリストラされたラギア先輩の後釜を生めたモンスターである。

速度は明らかにあちらが上、
しかし、所詮は獣。建物の影を利用してやれば避けることはたやすい。
無論、それは無限に体力が持つと仮定したのなら、だが。
そういう意味では、KAITOは善戦していたと言える。
最小限の力で可能なかぎりモンスターをやり過ごす。
決して戦闘能力に恵まれた訳ではない彼にとって、それは最善の戦い方だった。
しかし、いくら避けることができてもこちらから攻撃できなければ敵を倒すことはできない。
体力で負けてる以上、何時かは限界は来てしまう。

そして、限界は遂に来た。


ぐはぁ、と悲痛な声を上げながらKAITOは瓦礫に躓いてしまう。
慌てて再び駆け出そうとするが、足が言うことを聞かずうまく進めない。
それでも懸命に進もうとするが、あまりに遅い。。
―――――ゾッ
そうこうしてる内にKAITOは背後に気配を感じた。
蛙が蛇に睨まれた時のような、恐ろしい感覚だった。
冷たい汗が体中を撫で回す。
振り返るとそこには居たのは凶悪な牙をちらつかせたモンスター。
死ぬのか俺は、KAITOは戦慄した。

「……っんな」
なんだよ、これ。おかしいだろ。
「……ざっけんな」
俺は認めない。こんな終わり方、認めない。
「ふっざっけんなって言ってるんだよぉぉぉ!」
自らの置かれた余りに理不尽な状況を理解した時
KAITOの中で何かが弾けた。

――そうだ、それでいい。
誰だよ、アンタはっ!
――そうだね、一つ前の君って所だ。
何を言っている?
――本来は僕がやるべきことなのかもしれないが、今回の僕は脇役のようだ。頼むよ8週目の僕。
黙れ、俺は今、忙しいんだ。意味分からないことを喋るんじゃ……。
――まぁ精々生き残ってくれ。これはせめてもの餞別だよ。
……ッ!? アンタは一体なんなんだ!?

一瞬の白昼夢。
それが一体、何の意味を持つのかなど、知りはしなったがやるべきことだけは鮮明だった。
手には剣、目の前には敵。
戦なければ、生き残れないのだ。


「餞別だかなんだか知らないが、使わせてもらう。俺は生きるんだ!」

そう言ってKAITOは氷の魔剣を振りかぶり――





「よくやりましたねぇ。
 雷に氷は相性が良いとはいえ、まさかあそこから逆転するとは思いませんでしたよ」
「……誰だ?」
激闘を終え、満身創痍のKAITOに怪しげな声がかけられた。
その男はこの殺し合いの中でありながら、悠然と全てを知り尽くしているように余裕を持って佇んでいた。

「良い質問ですねぇ。気になりますよね。
ちょっとこちらを見てください」
「何なんだ、次から次へとっ!」
KAITOの苛立ちを含んだ声も、悠々と受け流して男は笑った。

「私は池上彰といいます。ある人達からは先生、なんて呼ばれてますけどね」
「その先生が何の用なんだ」
「貴方が次にどこに行くのか困っているのかと思いましてね。
――東京へ向かうと良いですよ。そこには貴方の妹たちや貴方を知っている人達が居る筈ですから」
「……ッ!? 何でアンタがそんなこと知って……」


KAITOが問い質すべく振り向いた先に


もう池上と名乗った男は居なかった。


【一日目・0時20分/京都/天候・嵐】

【KAITO@VOCALOID】
【状態】疲労(大)
【装備】ヴォーパルソード@テイルズオブシンフォニア
【道具】支給品一式
【思考】
1.生き残る
2.家族に会いたい
3.東京へは………
※七期とは別人です。

【池上彰@現実】
【状態】健康
【装備】???
【道具】???
【思考】
1.???

【ジンオウガ@モンスターハンター】
【状態】瀕死
【装備】なし
【道具】???
【思考】
1.死にそう………
最終更新:2011年01月26日 01:13