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「ああ……悲しい…とても悲しい話をしよう」

青く染まった工具服を二十歳くらい男がとある工場にいた。
その手にはものすごく……大きい……レンチが握られている。
そのものすごく……大きい……レンチは工具と言うよりもメイス並に大きい。
青年はそれを両手で弄びながら、饒舌に話を進めていく。

「まず最初に悲しいのは、ニューヨークにいた俺がいきなりこんなところにいることだ」

鮮やかな金髪に普通の成人男性くらいの体型。

「どういうことだ? 俺はただ解体作業がしていただけのはずだ?
 それなのに、何で俺はこんなところでまた悲しい話をしなければならないんだ?
 それがまた、さらに悲しい……聞いてくれるのは一人しかいないっても悲しい」

 パシリ、パシリ。

徐々にレンチを投げて受ける間隔が短くなっていく。
それに合わせて比例的に、レンチが加速していく。

 パシリ、パシリ。
 パシリ、パシリ、パシリ、パシリ。

「なんで俺が呼ばれなくちゃ、ならねぇんだ!」

 パシッパシッパシッパシッパシッパシッパシッパシッ

「何がどうなってる!」

  パシッ
    「俺が一体ッ」
          パシッ
            「何をッ」
                パシッ
                  「したってッ」
                パシッ
          「いうんだ!!」
                パシッ
                  パシッ
                パシッ
          「神様ですか!!」
                パシッ
      「神様ですか、この野郎!!」
                  パシッ
                パシッ
         パシパシパシパシ
  パパパパパパパパ
パパパパパパパ
    パパパパパパパパパ
パパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパ


最高の速度ですごく……大きいレンチの回転が安定した所で、レンチを投げることを止める。
そして、今度は両手でバトンのように回し続けた。

「この世界は神は一体どうなってるんだ! 俺はただものを壊したかっただけなのに!
 悲しい話だ。ああ、ああ、悲しい話だ! 俺に悲しい話をさせて神はどういうつもりだ!
 この世界はどういうつもりだ! くそ! 悲しい。実に悲しい! この世界に舐められてる気がして悲しい!
 悲しくて悲しくて悲しくて悲しくて悲しくて悲しくて悲しくて悲しくて悲しくて悲しくて悲しくて悲しくて悲しくて
 ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
 ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ――――――ッ!」

 男の叫びが最高になった所で轟音が響いた。
 持っていたレンチで近くにあったドラム缶をぶった叩き、破壊したのだ。

「あああああ、ああー、あっ、あ、あああ~~~。~~~~~ああ、あああ―――――すっきりした!」

次の瞬間、男に何かのスイッチが入った。
その表情はとても晴れやかだ。

「さて、楽しい話だ! 楽しい話をしようじゃないか! 笑っておくなら今の内だ!」

テンションの方向性だけが540度ぐるり変化した。

「人生は楽しい! 一日一万回唱えてみろ! 頭がおかしくなって本当に全ての苦痛が無くなる!
 OKOKOK。悲しみを乗り越えて俺はまた一つ強くなった! レベルが上がった! 進化しそうだ!
 今なら、俺はこの世界の主催者を倒せそうだ、そう思うだろ、アリス?」
「そうね、アンタが頭のネジが数本ぶっ飛んでるってことがよく分かったわ」

男――グラハム・スペクターと組んだ少女――アリス・マーガトロイドは今更、後悔した。

【一日目・0時30分/東京都太田区/天候・嵐】
【アリス・マーガトロイド@東方Project】
【状態】健康
【装備】邪鬼銃王
【道具】不明
【思考】基本:生き残る
1:……疲れる

【グラハム・スペクター@バッカーノ】
【状態】ハイテンション
【装備】すごく……大きいレンチ
【道具】不明
【思考】基本:この世界の神を壊す
1:アリスに人生の楽しさを伝える
最終更新:2011年01月30日 01:57