「な…なんとか逃げられたんでしょうか」
「夜の都会、しかも嵐だ。そこに人間が紛れ込めば、そうそう見つけられはするまい。
ましてや、あの巨大兵器からの視界ではな」
フォウ・ムラサメの駆るサイコガンダムの手から逃れるべく、飛竜と神夜は、
東京の地下街を歩いていた。
「えーと…飛竜さん、でしたっけ?まだ私達のこと疑ってるんです…よね?」
「気にするな。あれはポーズに過ぎん」
「は?なんで?」
「最初に主催者は言っていた。2人以上3人以下でまとまって行動しろと。
逆に言えば、単独は勿論…4人以上の集団でも、首輪爆破の対象となる可能性がある」
「うぇっ!?そ、それじゃあの時4人でまとまってたら…」
「だから、あえて距離を置くことで『4人の集団』ではなく『遭遇し、対立する二組』を演じた…
今こうして首輪の爆破がないということは、猿芝居は功を奏したか…
もしくは、最初から杞憂だったのかもしれんがな」
「そこまで考えてたんですか…」
感嘆のため息をつきつつ、周囲を見回す。ここには、飛竜と神夜以外の参加者はいない。
「ところで、ティアさんとミクちゃん…はぐれちゃったみたいです」
「…同じ方角に逃げた以上、そう遠く離れてはいまい。
もっともルールに則るならば、このまま合流していいものかとは思うが」
「あのミクちゃんは戦闘経験のない一般人の子みたいだし、心配極まりないです…
でも、ティアさんがいるなら大丈夫ですよね!ちょっと怖いけど、私よりずっとしっかりしてますし」
「…」
「ティアさんも飛竜さんと同じ考えだったんでしょうね…私も見習いたいです」
「…どうだろうな」
飛竜は思い返す。ティアが自分に、いや自分達に向けていた敵意は、果たして本当に演技だったのか。
彼女の中の甘さを、飛竜は見抜いていた。
【一日目・2時00分/東京都墨田区地下街/天候・嵐】
【飛竜@ストライダー飛竜】
【状態】健康
【装備】ライトセーバー@スターウォーズ、光剣サイファー
【道具】俺にそんなものは必要ない
【思考】
基本:主催者共を闇に葬り去る
1:サイコガンダムから逃げる
2:制限が解けるまで神夜と行動する。ティアを警戒
※7期からの参戦です。
【楠舞神夜@無限のフロンティア】
【状態】びしょ濡れ
【装備】護式・斬冠刀、チャクラム@テイルズオブシンフォニア
【道具】支給品一式
【思考】基本:主催者の打倒
1:サイコガンダムから逃げる、ティアとミクが心配
2:知り合いを探す
3:風呂に入りたい
4:ティアに苦手意識
「なんとか撒いたようね。神夜さん達は…はぐれたのかしら」
「ぜぇ、ぜぇ…ま、待ってくださいティアさん!い、息がっ…」
「…しょうがないわね」
ティアとミクもまた、東京の地下街でサイコガンダムから逃れていた。
「はぁ、はぁ…ティアさんも皆さんも、足速すぎです…ゲホゲホッ」
「いつまでもここに立ち止まってはいられないわ。
敵に襲われても、十分対処できる場所まで移動しないと」
周囲を見回す。天井が低く、隠れる場所も皆無のここでは、敵に襲われれば一溜りもない。
自分だけならまだしも、この戦闘経験もなさそうな少女を守りながらというハンデを加えれば、
ここで敵を迎え撃つにはあまりにも危険すぎる。
「ミク、この殺し合いの中ではいつ敵に襲われても不思議じゃないわ。
いつでも、あなたの腰に下げている剣を抜けるようにしておきなさい」
「え…えぇぇ!?私、剣なんて使ったことないんですけど!?」
「生憎だけど、今はそんな悠長なことを言っていられる状態ではないのよ。
ここは戦場。戦場では、武器を持てば子供でも戦うわ」
「そんな肝の据わった子供なんて現実にいるわけないじゃないですかっ!」
言いたいことはわかるが、無茶な理屈だ。この人、今までどんな修羅場で生きてきたというんだろう。
半ば呆れつつ憤るミクに、ティアは容赦なく正論を突きつける。
「悪いけど、あなたの言う現実は、今はそんな甘ったれたことを許容してはくれないわ。
最後の一人になるまで殺しあわなければならない。何時何処で、命を狙われるかわからない。
そしてこれから先出会う人が、無条件で信用できるとは限らない」
「そ、それは…でも飛竜さんは殺し合いには乗ってなかったし、ティアさんや神夜さんも…」
「本当にそう思えて?あの男が、本当に信用に値するという確証はあるの?」
「なっ…」
「あの男だけじゃない。私はまだ、あなたも全てを信用したわけではないわ。
私にはあなたを守る義理はないし…その気になれば、いつでも見限ることができるのよ?」
見限る―その言葉を聞いた時、ミクはスカイツリーで自分達を敵視してきた彼女の表情を思い出し…
その言葉がどういう意味を示しているのか理解し、背筋を凍らせた。
「…心配はいらないわ。私はあなたを手にかけるつもりはないし、殺し合う気もない」
「そこまで言われて、あなたの言うことを信じろというんですか」
「なら、さっきも言ったとおり、最低限の自衛手段くらいは身に付けておきなさい。でも…」
「…」
「どちらにせよ、今のうちに覚悟は決めておくことね。殺される覚悟、そして殺す覚悟も」
「…」
「このバトルロワイアルという現実は、あなたの思っているほど甘くはないのよ」
(少しお灸が効きすぎたかしら?…でも、今は彼女の都合に合わせてはいられない)
ティアは決して冷血女というわけではない。
殺し合いというこの過酷な状況下、いつまでも腑抜けた気分でいられては困るのだ。
その油断が本人の死を招くこともある。時には、仲間に危害を及ぼすこともありえる。
一応、ティアなりにミクを思ってのことであり、正論であった。
しかし、それはあくまで彼女の基準でしかない。
その基準が他の人間全てに適応できるわけではなく、ましてや押し付けられるものではない。
(私に…どうしろと言うんですか)
ティアとの一連のやり取りで、ミクは極端に神経を擦り減らしていた。
現実と称して戦いを強要され、置かれている状況の危険をこれでもかと突きつけ、
出会った人間との信用・信頼関係にまで疑問を投げられ、挙句覚悟まで決めろなどと。
しかもミクは一般人。ほんの数時間前まで戦いや殺人とは一切無縁のボーカロイド。
死の恐怖に押し潰されかけ、必死に家族を捜し求めたか弱い少女でしかないのだ。
そんな彼女に今すぐ戦士としての覚悟を完了しろなどと、無理難題でしかない。
そういう意味では、飛竜はミクの扱いを実に心得ていたと言えた。
物事には、順序というものが必要だ。それを無視すれば、押し潰され壊れるだけである。
順序だてる余裕がないといえばそれまでだが…
それを押し付けられるミクの心は、既に過酷を受け入れる器の許容量を突破していた。
【一日目・2時00分/東京都墨田区地下街/天候・嵐】
【
初音ミク@VOCALOID】
【状態】精神疲弊
【装備】逆刃刀@るろうに剣心
【道具】支給品一式、他不明
【思考】基本:死にたくない
0:………
1:サイコガンダムから逃げる。飛竜と神夜と合流したい
2:家族に逢いたい。
※7期までとは別人です
【ティア・グランツ@
テイルズオブジアビス】
【状態】びしょ濡れ 苛立ち
【装備】ナイフ
【道具】支給品一式、その他不明
【思考】基本:殺し合いからの脱出
1:サイコガンダムから逃げる
2:知り合いを探す
3:替えの服が欲しい
4:神夜に苛立ち、ミクと飛竜に不信感
(ていうかこれカオスロワですよね。
この人なんでここまでマジになって色々突きつけてくるんですか)
憤るミクの前を歩くティアは、相変わらずピリピリした空気を纏っていた。
どうも彼女には、カオスロワという冗談が通じていないようである…
最終更新:2011年01月31日 00:51