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「お前は!」「貴様はあの時の!」

再び出会ったクーガーとプラシド
しかし、僅か数時間前だというのに、状況は大きく変わっていた。
以前のように、互いをダサいと罵る女性もいない。

そしてクーガーは見た。プラシドの持つ、真っ赤に血塗れた剣と、傍に倒れている二つの屍を。
「お前っ……!」
クーガーはすぐさま臨戦体勢を取った。だが、それがまずかった。

「っ!俺に、俺たちに近寄るなああああああ!」「!?」
プラシドの剣が勢いよく一閃、クーガーを狙ったが、クーガーはこれをなんとか回避した。

(こいつ……殺人に乗っているのか!?
いやだが、背中に女の子を?守ってる……のか?だが、今はまともに話せそうにないな……)

プラシドの斬撃をかわしつつ、クーガーが選んだ行動は一時離脱であった。

※※※

「はぁ……はぁ……なんとか凌いだか……」

どこかへと走り去って行くクーガーを見て、プラシドは深いため息をついた。
プラシドからしても、クーガーは警戒すべき相手だったのだ。
アクセルシンクロ、かつて自分の上半身がもげる原因となった召喚の使い手に似ていたから……
だが今は、誰であれ自分たちに近づく存在全てを警戒していたというのが大きい。
優しげな参加者でも、アンチ連盟の追っ手かもしれないのだから。
そして、少し落ち着いてから、彼は血に塗れた剣と二つの遺体に視線を向けた。


「……これでいいだろう」

プラシドは機皇帝ワイゼルに掘らせた穴にラグナの遺体を埋葬する。
剣を墓標代わりにすることも考えたが、カード以外に武器を持たないのもまずいと思い止めた。

もう一方のシン・アスカの遺体も一応埋葬する。見るに耐え難い肉塊をリンに見せないために。
「……貴様はこれで十分だ。罠カード『硫酸の溜まった落とし穴』」
一気に開いた落とし穴にシン・アスカの遺体は落ちていく。
少しだけジュッと音がしたあとに、穴は自動で塞がった。

※※※

プラシドはリンを乗せて、逃げて来た道を戻る。

途中、アンチ連盟の兵士達がゴロゴロと転がっていた。
斬られた断面からは凄まじい怒りを感じる。黙らせたとは、こういう意味か。
大量虐殺に触れないためだろうか、胴から下を斬り落とされたものや、両腕を飛ばされたもの……
辛うじて生かされている兵士達は、呻き、嘆いていた。
「いてぇ……」「助けて……」「どうしてこんな目に……」「俺達が何をしたっていうんだ……」「ぐぅぅ……」

「……っ!殺れ、ワイゼル!」

機皇帝の一撃は、元々半死半生だった兵士達を絶命させるには十分だ。
もはや死んでも誰も気に留めない、死者に含まれない、歴史にも残らない兵士達は屍を残すことなく消え去った。
だが、兵士が残した言葉により生まれた怒りは消え去らない。

(少なくとも、貴様らがいなければ……!)

歯を軋ませつつ、プラシドはやがて木の根元に倒れる少女の姿を見つけた。
(傷がない……?まさかあいつ、自分の手で……?
愛する者を自ら手にかけなくてはならない……これも絶望だな……)
おそらくは、自分の様に苦痛の中で血に塗れ死に絶えることを避けるための苦肉の策だったのだろう。
先程の刻まれた兵士達は、アンチ連盟への怒りと自分の無力さへの怒りの表れ。
プラシドはそれを理解することができた。そして、自分が愛した恋人を思い出す。
目の前で機皇帝に無惨に殺された、恋人を。
(…………考えるな)
首を振り、プラシドは傷のないエリスの遺体を担ぎ、再び引き返した。

(愛する者のために、その者の分も生き続けるか……愛する者と共に死ぬか……
どちらが……幸せなのだろうな……
やがて世界は愛さえ必要無くなる。だが……)

※※※

(……あまり墓らしくないな)

一度穴を掘り返し、二人の遺体を並べてから再び埋めた。
墓標代わりには、如雨露が置かれている。
今度の作業はプラシド自身が行った。ワイゼルは今はいないのだ。
ワイゼルは、主の命に背いて自立行動し、少し前に爆発があった場所に向かっている。
プラシドには、もうそれを止める気力も無くなっていた。

(……)

バイクで運んだにも関わらず、リンは未だに意識を取り戻していない。
(このまま眠り続けたほうが……絶望しないのではないか?)
そう考え、リンの首筋に剣を近付けるプラシド。
しかし、その手を動かすことはできなかった。

(鏡音リンの防衛……そのためにあいつらは命を落とした。
俺とリンを見捨てていれば、多少傷を負ったにしても、逃げることは出来たはずだ。
俺が今この場で剣を横に動かせば、それは無駄になる。
そして、こいつの他の『家族』が絶望を味わうことになる……
だが、生き続けても絶望するだけ……しかし、死ねばそこで終わる。未来の希望が無くなる……
こんな世界に希望などあるというのか……?
……7期と呼ばれた、この世界の平行世界で希望を通り越した奇跡があった話を聞いたばかりじゃないか。
いやだが、そんな奇跡を手にした者も俺の前でこうして倒れたではないか……
結局は、希望にみせかけた絶望だということなのか……)

プラシドの頭の中を、絶望と希望の言葉が飛び交う。
そもそも何をもって絶望、希望というのだろう。
今プラシドとリンが置かれている状況も、どちらとも言えてしまう。
仲間が死に、放送で姉の名前も呼ばれたという絶望。
仲間のおかげで生き延び、放送で呼ばれた姉の名前は一人で、まだ他の家族は生きているという希望。
結局は、捉え方、考え方でそれは変わってしまう。

では、絶望も希望も一度置いておくとしよう。切望なら、どうなるだろうか?

(俺の切望……未来を変えること……
リンの切望……生きて家族と会うこと……
絶望が降り掛かろうが、希望があろうが、変わることのない確固たる願い……
そして奴らが切望していたのは……リンを守り、主催者を倒すこと……
……俺は……)

プラシドは、やがてひとつの答えにたどり着いた。

※※※

「…………」
「む、戻ったか、ワイゼル……その手に持っているのは……」

気付けば、ワイゼルも帰還していた。
ただ出発前と違う点は、ワイゼルの体には泥やらなんやらが付着し、細かい傷ができていたこと。
そして、その手に何かを持っていたこと。
それは、焼け焦げてしまっているが、髪留めだったと思われるもの。
それは、原型を保ってはいるが、既に機能は停止している白い球鉄塊。
それはワイゼルが爆心地から見つけだした……亜北ネルと、防衛システムの遺品だった。
ワイゼルは、如雨露の置かれた墓の横に髪留めを置き、白い塊を自分の中に吸収する。
そして……

『マスタープラシド……ワタシハ、トモノイシヲツギ、リンノボウエイスル。
アンチモシュサイシャモタオス。マスターハ、ドウスルカ』

言語プログラムを借りたのか、ひどくたどたどしい片言で。
しかし確かな意志を持って、主人に言葉を告げた。

「ふっ……お前に言われるまでもない。俺の道は、決まった」

――この状況は、確かに絶望だ。だが、立ち止まってはならない。
――僅かでも希望がある限り、絶望を乗り越えて進め。歩みを止めるな。
――家族を、愛する者を失う絶望を知っているか?
――知らなければ、それが一番平和だ。知っているなら、受け止めて前を見ろ。
――その先にさらなる絶望は存在する。愛すらいらない孤独な世界が。
――だがリン……お前はそれまで知る必要はない。まだ間に合う。残った家族が、お前を待っている。
――孤独ではない。先の絶望を知る必要はない。だから前を見て、絶望ではなく希望の道を進め。
――今の俺にできるのは、お前を俺と同じ運命を歩ませぬようにすることだ。
――深き絶望は分割して耐えろ。俺も少しは受けとめてやる。だからまずは……

「起きろ、リン」
「ん………ん……?」
「俺が今から話すことを、しっかりと受けとめろ……いいな」


【一日目・6時20分/静岡県/天候・雨】
【プラシド@遊戯王5D's】
【状態】ダメージ(中)、決意
【装備】サイクロン号、機皇帝ワイゼル∞(スターダスト、防衛白コア入り)
【道具】支給品一式、覇邪聖皇剣、回復薬
【思考】
基本:世界の破滅の根源であるニアラを消す。アンチ連盟も。不動遊星は保留。
1:リンに全てを伝え、諭す
2:リンを防衛し、絶望の道を歩ませないようにする
3:速い男(クーガー)を警戒
※神龍ニアラがシンクロモンスターだと思ってます
※7期の世界を知りました

【鏡音リン@VOCALOID】
【状態】ダメージ(中)、絶望、悲しみ、混乱、半覚醒
【装備】不明
【道具】支給品一式、その他不明
【思考】
  0:……?
※7期とは別人です。
※7期の世界を知りました


プラシドは、絶望への反逆を誓った。それは同時に、希望を信じることでもあった。

「やっと見つけた……ぞ……?」
「……」

だが、愛する者を失う絶望を知る……知った者はここにもいた。
彼は、彼らの道は、どこにつながる……?

【一日目・午前6時20分/富士山近辺/天候・雨】
【カズマ@スクライド】
【状態】健康
【装備】アルター解除
【道具】支給品一式、かなみのリボン@スクライド
【思考】
1:……

【ストレイト・クーガー@スクライド】
【状態】健康、困惑
【装備】ラディカルグッドスピード
【道具】支給品一式、ブルーアイズジェット
【思考】
基本:世界を縮める!!
1:まさか……
2:カズヤ(カズマ)とかなみを見つけた後、最速で東京に戻りふ京(右京)に協力する
3:バイクの男(プラシド)を警戒
※7期から続投です
※右京とGUMIが海外に居る事を知りません
最終更新:2011年02月10日 22:15