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 豪華なデスクに椅子や棚、光を放つシャンデリア、高いワイン。
 様々な高価な物体が散在するこの部屋は、カオスロワンアイドルのメインプロデューサー
 サイモン・コーウェルのオフィスである。
 そんな部屋で優雅にサイモンはワインを嗜んでいる。
 参加者から幾人か死者が出ているのにも拘らず、
 自分がアンチ連盟と呼ばれる過去の産物に襲われたことも無かったかのように。

 コンコンっと何者かが彼のオフィスの扉を叩いている。
 その音に一言どうぞっと冷静に返答し、音を立てた人物は静かに扉を開け
 豪勢な部屋に入室する。

 部屋に入ってきた人物は体型は非常に小柄で、少女と言っても過言ではないであろう人物であった。
 だが顔も同じようかと言われれば、それは正反対とも答えてもいいほど
 非常に落ち着いて大人びており貫禄がある。
 体は美少女で顔は美女、では年の頃はどちら寄りなのであろうか。
 体型の方から表すと小学生だろうか。
 それとも貫禄の面構えから見て20代であろうか。
 もしかするともっと歳上なのかもしれない。
 もっとも、その答えは彼女自体よく存じていない。
 五十歳以上と称してもいいと感じているし、一桁台でもいいのかもしれない。
 つまり、彼女に取ってあまり年齢などに興味を示していないのだ。
 しかしながら彼女を見る人物から思えば、誰もが年齢を予想したいと言わざるをえない。

 そんな彼女であるが、今サイモンに見せている表情は、笑顔でも泣き顔でもない。
 強いて表すのなら、仕事を終え一服したいと考量している顔であろうか。

「おやおや……その様子だとまた面倒な奴を排除してきたようだね?」

 サイモンは扉から出てきた彼女が、まだ彼のデスクの前に歩いている最中に、
 その人物に対して悪意のない笑みを浮かべて口を開いた。
 一方入室した彼女は彼の言葉に意に介さず彼の目の前に、これまた極上の笑顔を浮かべ、
 デスクの前に来るやいなや、スッとデスクに腰をおろし、空のグラスとワイン瓶を手に取り、
 始めにサイモンのグラスにつぎ込みその後自分のグラスにつぎ込む。
 そして乾杯と一言サイモンの目の前で呟きグラスを彼のグラスに寄せる、
 もちろんサイモンもそれに答え乾杯っと言い放ちグラス同士をくっ付ける。
 音を立てるグラス、そして二人はグラスに口をつけワインを嗜む。
 一口したを唸らし、彼女は彼に先程の答えを口にした。

「ええ、優勝候補をあんな地雷原みたいな人と一緒に行動されてカオスロワから退場なんて、
 本当に考えられないことだわ。 まあもっとも、貴方も彼には目を付けているんでしょ?
 だったら彼を決勝戦まで行かせるための必要最低限のフォローはしてあげるべきじゃない?」
 その口調はとても落ち着いている。
 だが内容はあまり美しいとは言いがたい。

「ハハハッ! 君は本当に正直に言うね、まあ俺も彼には目を向けている、
 優勝はわからないが少なくとも決勝の十数名にはコマを進めることが出来るだろうな。
 そこまで行ったら実質アイドルになったことと同じ、それは本家アメリカン・アイドルと一緒だね。
 そんな優勝候補をこんな茶々なステージで、下らない理由で失うわけには行かないな。
 まあ、彼に近づいたほうが悪い、それは妥当だね」
 サイモンはそんな彼女の言いっぷりに思わずせせら笑う。
 無論彼女に対してだけではなく、彼女が殺した人物にもと言う意味も含めている。
 サイモンはそのまま言葉を続ける。
「しかしながら、本当にアンチ連盟やらは厄介だね。
 ……ああ、でも最初に片付けたあの……まあいい、ともかくそいつはアンチ連盟には関係なかったがな。
 もちろんアイツのおかげでアンチ連盟が手段を選ばなくなったから、結果は同じなんだけどね」
 なんと最初に自殺として処理した猫村いろはも、サイモンの目の先にいる彼女の犯行であった。
 ただしいろはの処分はスタッフ総出で決めたことであるからして、彼女だけが罪を背負うということはないであろう。

「本当よね、あの人が目指した内容とかけ離れちゃったのに、今は本当に鬱陶しいだけの組織。
 雑兵も居なくなったんだし、さっさと解散すればいいものの……」
「でも旦那さんが旗揚げして譲渡したものだろ? ある意味成功だったんじゃないか?」
「そうね……皮肉な話だけど。 私たち『真の主催者のエージェント』としては
 参加者がじわじわと減って欲しいものだけど……」
「まあだからこそこの企画にはよって欲しくなかったんだけどね。 ま、来たらさっさと排除、
 アイドル候補たちに手が及ぶ前に迅速にな」
 何とサイモンと彼女は言わばこのカオスロワ八周目の黒幕である
 真の主催者から使命を司られたエージェントだったのだ。
 考えても見て欲しい、何故殺し合いという危険のまっ最中にこれだけの戦力と
 地盤を持っているのかを。答えは簡単、企画自体が真の主催者からの支持を得ていたからだ。
 いくらサイモンの人脈と手腕を費やしても、流石に巨大な組織には出来ない。
 いやその前にサイモン・コーウェルは『アメリカン・アイドル』の審査員から勇退していたから
 彼がこの企画の発案者であるわけがあるまい。
 それでも彼がリーダーであることは、彼が最もこのような企画に精通しており
 なおかつどんなことに対しても冷静に対応できるだけの力を持っているからなのである
 結果は言うまでも無いだろう。
 一番問題が多くばかみたいな人数が会場に現れる一次予選を見事に問題なく捌いている。
 これはサイモン以外の人間には到底不可能だと思われる。
 それくらいサイモンのプロデューサーとして能力は確かなのだ。

 さて、この会話からもう一つお気づきな点もあるであろう。
 それはエージェントである彼女の『旦那』が『アンチ連盟』の創始者であり、
 それを今の盟主(恐らくムルタ・アズラエル)に譲ったということだ。
 彼女がエージェントならば必然的に旦那もエージェントだということは必然的に予想できてしまうことだ。
(事実旦那もエージェントである)
 よって『アンチ連盟』と『カオスロワンアイドル』の根本は同じ『真の主催者』から生まれたものなのだ。
 しかしながら彼女の旦那がアンチ連盟の権利を全て放棄した──大方雑兵たちが離れたことがそれを決断とさせた──
 ことにより、自体はおかしな方向へと向かってゆく。
 旦那も彼女もサイモンも、そして真の主催者でさえもアンチ連盟は崩壊の道を進むと想定していた。
 けれども崩壊はしなかった。雑兵がいないことをいいことに規模を縮小し、欠点を全て取り払い再始動
 その結果何が起こったのか。
 もともと同じ根であったカオスロワンアイドルにも、多くのアンチ連盟が活動をするようになったのだ。
 もちろん完全放棄の前にもアンチ連盟はカオスロワンアイドル内に潜伏していた。
 これは無論同じ根だということを隠すための連中と、本当にアイドルを目指していた連中だけであった。
 だが今潜伏している連中は、根が同じであったことを知らない奴らばかりで、
 その結果自重しない行動に出て、一時期中断せざるを得なくなってしまったのだ。

「だがそれももう決着するだろう。
 何せ完全に部外者である『黒衣マト』が殺されたのだから……自殺って言う風に処理したけど。
 まあ、彼女じゃなくとも良かったんだがな、でもまあさっき言った通りアンチ連盟に狙われている彼の近くにいたから、
 勘違いで殺されたって言われてもしょうが無いだろう、これによってアンチ連盟のリストに入っていない参加者も
 アンチ連盟を憎むようになると、我ながら単純で直ぐにバレそうな策だなと思うよ」
「でもいいじゃない? アンチ連盟排除に努めてくれた参加者は私たちの傘下に入れて
 真の主催者側の戦力を増やすことも出来る、新たなエージェントになれる力を持つアイドル……
 もとい決勝進出の十数名を守ることが出来る、単純でも自分が命を落とす可能性が低くなるのなら、
 その言うことは聞くと思うわ。 自殺と判断させたのは……まあ、これは私が言うとややこしくなりそうね……」
「なんたって君が殺したんだからそう言うしか無いな。 でもまあ何も知らない参加者が新たに関わりを持つことの内容にするための処置さ。
 首突っ込みたくなる人物にはアンチ連盟を締めだしを手伝って貰えばいい」

 その後しばしワインを嗜んだあと、サイモンは彼女をデスクから降りるようにいい、
 そしてデスクの引き出しの中から端末を取り出し、メッセージを送り出す。
 出す相手は当然この事件に対して疑問をもつアイドル候補たちにだ。
 アンチ連盟がすべての原因であり、排除すべき団体であることを
 鮮明に表し、自殺は連盟を油断させるための仕方のない事であった。
 アンチ連盟が全て葬り去った後に、丁重に彼女を葬らせる。
 もの凄く要約すると以上のような文章を候補たちに送ったのだ。

「じゃあサイモン、貴方がその他大勢に連絡を行き届かせたのだから、
 私は被害者と最も信頼関係を築いた6/のもとに行かなきゃ、全ての原因はアンチ連盟ってことを伝えに……」
「おいおい、当の本人を殺したお前が向かうなんて……本当にお前さんは面白いな、東京タワー」

 彼女──東京タワー──は彼の笑いながら言い放つ苦言に微笑みながらそうねと答え
 扉の方へ向かう。
「あ、それと、6/は男の俺からしてみてもモテる奴だと思っているからな、浮気なんてするなよ?
 まあもししていたら容赦なく旦那に連絡させてもらうけど」
「あらぁ? 私とあの人の絆はそんじゃそこらの人じゃあ切り崩せないけど?
 あの人はスカイツリーにうつつを抜かしていても、最終的には私のところに戻ってきた。
 それを笑顔でお帰りって返せるのが、私って言うものなのよ? ま、あの人はちょくちょく浮気するのはもうしょうがないと思っているけど。
 今もスカイツリースカイツリーとか言いながらうつつを抜かしていても、可笑しくはないわね」
「惚気話するってことは、浮気する可能性はなさそうだ。 つまらんな」
 そうよと、すこし悪魔がかかっている微笑を最後にサイモンに振り与え
 東京タワーはサイモンのオフィスから退出する。

 一人になったサイモンはいつも通り憮然とした顔に戻り、
 刻々と今後のイベントスケジュールの調整をし始めた。
 それが自分の仕事なのだから。

【一日目・6時10分/東京・カオスロワンアイドルセカンドステージ会場/天候・雨】

【サイモン・コーウェル@アメリカン・アイドル】
【状態】健康 碌でも無い参加者ばっかでうざったい 常任審査員 エージェント
【装備】予選応募者の名簿
【道具】支給品一式多数
【思考】
基本:カオスロワンアイドルをプロデュース
1:スケジュールの調整。

※今更言う必要もありませんが、カオスロワンアイドル企画側のリーダーです。
※真の主催者のエージェントの一人だったようです。


 部屋を出た私は、黒衣マトと一番関係が深かった6/の下へ向かう。
 すれ違いになってしまう可能性も無くはない、なんたってサイモンへ怒鳴りこんでも不思議ではないのだから。
 でもどうやらそんな心配は不必要だったみたい。
 何故なら彼はボーッと食堂の席に座っていたのだから。
 多分怒鳴りこむ気力さえ失った、それしか答えが考えられないくらい彼は沈んだオーラを出していた。

 フフ……これから彼女を殺した真犯人が自分に話しかけてくるなんて、彼は予想できるのかしらね?
 もっともそれを自分でいい事なんて十中八九ありえないんだけど。
 けれどね6/、あなたはこんなところで沈んだままの人間じゃないでしょ?
 だってあなたは全てのスタンスを経験した、生きる伝説のカオスロワ参加者なんですもの。
 今まででもあなたが興味惹かれていた女性を失っても、あなたは精一杯
 その人の分まで生きて、主催者を倒したのだから。
 まあこれは全部あの人からの口伝なんだけどね。

 ……私やあの人、サイモンは真の主催者のエージェント。
 つまりそれって誰がどう考えても、最後まで生き残るって可能性が無いと断言してもいいくらい死が近いスタンス。
 そんなわけのわからないスタンスに私とあの人は付いている。
 不満はないわけじゃない、だってそんなスタンスにいなければ、私とあの人は優雅に暮らしていたのかもしれない。
 でも、私たちはエージェントに任命されてしまった。
 もしもの話なんてしてはいけない、それ以前にあの人は平気な顔をして『カオスロワを盛り上がる一員になれるなあ』
 って言ってのけた、……そこがあの人のいい所なのかしら。

 話がそれちゃった、ともかく私が6/に話しかけるってことは
 死に一歩とは行かず百歩くらい近づくものよ、だって私が犯人なのだから。
 でも、そんな事を一々気にしていたら、カオスロワは盛り上がらない。
 だから私はあの人と同じように平然に6/に向けて言葉をかける。

「ねえ……? あなたが6/氏で、いいのかしら?」
 6/がゆっくりと私の方に目を向ける。
 少し間の抜けた顔が私の網膜に映る。
 これから私はたくさんの真実を隠し、嘘を付く。
 黒衣マトを殺したのがアンチ連盟だということを。

 6/、伝説の人であるあなたは私の言うことを信じてしまうの?
 それとも疑いを持ちつつとりあえず頷くの?
 もしかしたらすぐに嘘だとわかって私を即座に殺すの?
 または全ての真実を拷問してでも私に口を割らせるの?

 どんな結果が着ても私は悔いを残さないと思うわ。
 何故ならば、私はあの人一緒にカオスロワが盛り上がればいいのだから。

 6/、あなたはどうする?

【一日目・6時10分/東京・カオスロワンアイドルセカンドステージ会場/天候・雨】

【東京タワーちゃん@テラカオスバトルロワイアル】
【状態】健康 エージェント 常任審査員
【装備】予選応募者の名簿
【道具】支給品一式ほか多数
【思考】
基本:あの人と一緒にカオスロワを盛り上げる。
1:6/に嘘を教える。
2:6/、あなたはどうする?

※今期世界の東京タワーの役割も果たしているみたいです。
※猫村いろはと黒衣マトを殺した下手人です。
※真の主催者のエージェントの一人だったようです。
※ついでにカオスロワンアイドルの発案者だったそうです。
※どうでもいいと思いますが、脱衣拳とは切っても切れない程の仲になった模様。

【6/氏@テラカオスバトルロワイアル】
【状態】疲労(小)、精神的疲労(中)、混乱、カオスロワ参加者として引退中
【装備】カオスロワンアイドルの番号札、万年筆
【道具】支給品一式
【思考】基本:カオスロワのアイドルの頂点を目指す。
1:アンタは一体……?
〔備考〕
※今までのカオスロワや他のロワの登場、活躍を全て知っている6/氏です。
最終更新:2011年02月12日 16:55