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「なんということだ……殺し合いだなんて」
中世ファンタジー世界の戦士らしき風貌の男が、憤りを露にする。
男の名はアモス。ある世界のある町で、英雄と呼ばれたこともある男。
そして彼の隣には、これまた不思議な民族衣装らしき格好の、眼鏡をかけた少年がいた。
「まったく、理不尽な話です。あの主催者には、天罰が与えられるべきでしょう」
眼鏡の少年の名は、チャモロという。
「行こう、チャモロ。断じてこんなことを許すわけにはいか……ぶべらっ!!」
アモスが言い終わる前に、チャモロのまわしげりがアモスの右頬を捉えた。
「この僕を呼び捨てとは、いつの間にそんなに偉くなったんですか?えぇ?」
「ひ、ひぃ……すまない、チャモロ、君……」
続いてとびひさげりがアモスの顔面に正面から打ち込まれる。
「ひぃ……チャモロ、さん……」
せいけんづきが、アモスの腹を打った。
「あ、が……げ、ほっ……」
「チャモロ様、でしょう!!このクズが!!」
蹲りむせ返るアモスの頭を足蹴に、チャモロは言い放った。
「は、はい……チャモロ、様……」

「まったく……それにしても、この僕が支給アイテム扱い?バカにしてくれますね」
そう。アモスの支給品袋に入っていたのが、彼、チャモロであった。
「よりにもよって、こんなクズのアイテム扱いとは……おふざけもいいところですよ」
「し、仕方ありませんよ……」
なんとかダメージから回復し、クズ呼ばわりされた本人・アモスは立ち上がる。
「こういう形式でも取らないと、今後DQキャラ参加のロワが行われてもチャモロ様が参加できる可能性なんて……」
直後、アモスの身体にばくれつけんが連続ヒットした。
「あべしひでぶっ!!」
「調子に乗らないでいただきたいですね。一山いくらの兵士と同じグラフィックキャラの分際で!
 そんなに過去、パロロワに何度も出られたのが嬉しいですか?えぇ?」
「ご、ごめんなさい、ごめんな……がふっ!!」
仰向けに倒れたアモスの腹に、とびひざげりを叩き込む。
「ふん、クズ風情が……行きますよ。さっさと立ちなさい」
「げほ、げほっ……は、はい……あの、どちらへ……」
質問を言い終わる前に、しっぷうづきが飛んできた。
「ぎゃぅっ!」
「君のようなクズごときが、この僕に偉そうに質問しないでいただきたい。
 君はおとなしく、僕の言うことを聞いていればいいんです」
「う、うぅ……」
「わかっていますよね?初期レベルのままルイーダの酒場に放り込まれて一度も戦っていないあなたが、
 幾度となく経験をつみ全ての職業をマスターしたこの僕に勝てる見込みは億に一つもありません。
 今は殺さないよう精一杯手加減していますが、これ以上反抗的な態度を改めないのなら……」
「ひぃぃぃぃぃっ!!ごめんなさい、許してください、もうしません!!」
「よろしい。では……ん?」
言いかけて、チャモロは茂みの向こう側に何かを見つけた。
「あれは……?」

一糸纏わぬ姿の女の子が、そこに倒れていた。
「これは……なんとも破廉恥な」
「し、死んでるんでしょうか」
アモスが言葉を発したと同時に、またもしっぷうづきが飛んでくる。
「偉そうに喋るなと言ったでしょう」
「ぐ……ふっ……」
彼らがやり取りを行っている間に、眠っていた全裸の少女は目を覚ました。
「う、ぅぅ……ここは……わたし、一体……」

「や、やだ!?なんで私こんなカッコを!?どうして、どうしてこんな……」
目覚めてパニックになったかと思うと、瞬く間に涙目になって、その場にへたり込んでしまう。
その様子を見ながら、チャモロは彼女を冷静に分析していた。
「ふむ。痴女というわけではなさそうですね。誰かに襲われて、身包み剥がされた……といったところですか。
 それにしても……」
少年の眼鏡の奥の目つきが、変わる。
「なかなか悪くない女性ですね。
 童顔で、それでいて胸も大きいし、あのオドオドした性格も……結構、僕好みです」
「は、はぁ……」
呆然とするアモスに、チャモロは言った。
「アモス君。せっかくです、あの子、食べちゃいましょう」
「な!?」
その言葉に、アモスは耳を疑う。
「ほ、本気で……がふっ!」
即座にせいけんづきが顔面に飛んでくる。
「質問は一切許しません。さあ、あの子を襲ってきなさい」
「そ、そんな、襲うだなんて……」
「何ですか、丸腰の一般人の小娘一人、どうにかできないわけではないでしょう?」
「い、いえ、それは……」
「仕方ありませんね。使えないクズは即座に始末しなければ、足手まといになるだけです。
 処分させていただくとしましょうか……」
そう言って、チャモロは大きく息を吸いこむ。次の瞬間に口から出てくるのは、しゃくねつほのおか、かがやくいきか。
「ひぃぃぃぃっ!!!わかりました、行きます、行かせていただきます!!」
全力で土下座するアモスに慈悲は下り、炎や吹雪が襲うことはなかった。
「よろしい。では行きなさい」

「だ、誰かそこにいるんですか?」
胸元と局部を隠し……その少女、朝比奈みくるは、声の聞こえた茂みを掻き分けていく。
恐怖と不安に怯えながら。
こんなあられもない格好で、もし声の主が危険人物だったとしたら……今の彼女には、抗う術がない。
それどころか、最悪の展開へと陥る可能性も……
「だ、誰なんですか……キョン君?それとも涼宮さん……?」
僅かな望みを抱きながら……足を進める。
だが、彼女の祈りは届かなかった。
そこにいたのは……

ケダモノと化した、男の姿だった。

「い、いやぁぁぁぁ!!」
その異質な姿に、少女は絶対的な恐怖を感じ取り、悲鳴を上げる。
「や、やめて、こないでください!」
逃げようとするも、すぐにその手を掴まれ、押し倒される。
そして、ケダモノ――アモスは、そのまま少女の上に覆いかぶさった。
「い、いや!やめて、やめてくださ……」
必死で抜け出そうと暴れるも、彼の前にみくるの力ではあまりにも無力だった。
無駄なあがきだとわかりながら、みくるはなおも暴れる。
やがて、体力を消耗し……その抵抗もおさまってきた。
「た、助けて……許してください……」
弱々しい言葉。
露になった、彼女の美しい裸体。それをこれから汚すことに、激しい罪悪感を覚えつつも……アモスは、手を緩めない。
「たすけ、て……」

(ごめんなさい!!)

そして……
少女の全てが、奪われる。

「いやああぁぁぁ―――――――――ッ!!!!!!!!」

そう。みくるは、そのままケダモノによって「食べられて」しまうのだった―――

「ごめんなさい……今の私には、こうするしか……」
やってしまった、後悔が……アモスの心を支配する。
我が身可愛さに、自分は人として最低のことをしてしまったがゆえに。
やがて彼の目から、涙が零れてくる。
「私は……私は……ッ!!」


「このクソボケがあああああああああああああああ!!!!!!!!」
絶叫とともに、チャモロはがんせきおとしを連発する。
ケダモノ……というか、魔物「モンストラー」と化したアモスの全身に、大量の大岩が浴びせられた。
「ぎゃっ、ぎゃっ、ぎゃああああ!!ど、どうして!?」
「あの状況で女の子を食べよう、ときて……そこで“本当に食べる”馬鹿がどこにいるというのです!!!」
彼らの周りには、アモスの「食べ残し」である朝比奈みくるの手足が転がっている。
「本当に君は……知能も魔物レベルのようですね!」
立て続けにメラミを放ち、モンストラー・アモスの顔を焼く。
「あづい、あづい……ひぃぃぃぃっ!!」
ダメージを受け、魔物は人間の姿へと戻っていった。
火傷した顔を抑え、転げまわる人間アモスの無様な姿がそこにはあった。
「まったく、いい歳した大人が、気が利きませんね……
 せっかく、雌奴隷を一匹ゲットできるかと思ったのに……」
物凄い腐れ外道な台詞を口にする。
「あの子、顔から性格から体つきまで、最高に虐めがいがありそうだったのに……もったいないことをしましたよ。
 調教した暁には、君にも少しくらいお零れをあげようかと思ってたんですがね。
 本当に、使えないクズですね、君は」
チャモロは、ダメージを受け元の人間の姿に戻ったアモスの頭を踏み躙った。
「まあいいでしょう。いずれあの子も、僕が生き残るには死ぬことになる運命だったんです。
 それが少し早まっただけのこと……」
「チャ、チャモロ様……?主催者を倒して、殺し合いを止めるはずでは……」
直後、急所に衝撃が走り、アモスは再び転げまわった。
「何を言ってるんです。僕は初めからそんなこと一言も口にしていませんよ?
 もっとも、そんな都合のいいことができるなら、それに乗るという手も考えますけどね」
「あ……あ……?」
「要は、生き残ればいいんです。どんな手段を行っても、最後の最後まで生き残れば。
 そのためには、全員殺して優勝する……という手も選びますよ、僕は」
「そ、んな……」
「そして、バトル・ロワイアルにこのチャモロありと見せ付けてやろうじゃありませんか。
 今までこの僕を無視してきた愚かな連中に、ね……」
そこまできて、チャモロはアモスの自分を見る目が変わっていることに気づいた。
「ん……?」
「き、君という子は……!」
「なんですか、その目は?この僕に何か不満でも?
 君のような凶悪で醜悪な畜生風情が、この僕に逆らおうって言うんですか?」
「……」
「言っときますが、僕は君を仲間だと思ったことは一度もありませんからね。
 イザやハッサン、ミレーユ達はどう思ってるかは知りませんが……
 醜い魔物に変身する君を、僕達人間と同列に考えないでもらいますよ。侮辱です」
そう言って、アモスの顔に唾を吐き捨てる。
「ぐっ……」
「さあ、今度こそ行きますよ。僕の邪魔をする者は、君に排除してもらいます。
 ゆくゆくはゲントの民の神として君臨することになる僕が、この程度のことで手を患わせたくありませんからね」
「わ、私に……人を殺せと?」
「何を今更。今、実際に殺したじゃないですか。それも、無抵抗の少女をね」
「あ、あれは……」
「それも、その人を食べて……正常な人間なら、絶対にできないような行為をやってのけたんです。
 今の君になら人殺しなんて簡単でしょう?君のような、魔物なら……ね?」
「く……っ」
今更のように、口の中に嫌な食感が広がる。
人を食べた、という恐るべき行為の余韻が。
自分の行いの非道さを、嫌というほど思い知らされる。
「せいぜい頑張ってもらいますよ。君に許される道は、僕の言うことに忠実に従うことのみです。
 そのことに、むしろ感謝していただかなくてはね」
「……う……ぅっ……!!」

アモスは、涙を流した。ただ泣くしか、今の彼には許されなかった。


【一日目 5時】
【A-3 森】

【アモス@ドラゴンクエスト6】
[状態]:全身に激しい打撲の跡、顔面に火傷。深い絶望。自己嫌悪。
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、チャモロ
[思考]:チャモロの命令に従う

【朝比奈みくる@涼宮ハルヒの憂鬱 死亡確認】


最終更新:2007年03月01日 21:25