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巨大なカブトボーグとゼロがぶつかりあい、強い爆発音が辺りに鳴り響く。
当然ゼロと密集する形でいたシリウスとマスターアルバート、そして三沢は巻き込まれ、光の彼方へと消えていった。
爆風が奇跡的にも対主催を襲わなかったのは、同じく張り付いていたハンター試験受講者達が盾になったからであろう。
何人かは怪我を負ったが、爆発の直前に退いたためか致命傷に至る者はほとんどいなかった。
生存者は大量の粉塵に咳払いをしながらも、跡形も無く消え去った目玉の化物を見て、今度こそ勝利を確信したのだ。
その時は誰もが確かにバトルロワイアルの終焉を期待していた。

「なんで・・・・・・」

リュウセイが嘆く。
土煙の中から現れたものの正体に。
結論から言おう、リュウセイ達の全力を注いだ一撃は確かにゼロへと直撃した。
そして彼の取り巻きであった、シリウスとアルバートは確かに消滅した。
しかし・・・・・・

「なんでまだ生きてるんだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

ゼロは生きていた。
傷一つついていない体は、再生したというよりは新品に取り替えたといった方が適切なのかも知れない。
いや事実取り替えたのだろう。
黒かった体が真っ白に変わり、淀んでいた黒い眼が血のように赤くなっていた。

「糞!このままじゃ俺達は・・・・・・」

黒が嘆く。
ゼロの強さは決して倒せないものではなかった。
だが、何度倒しても一向に倒したという手ごたえが感じないのだ。
殺した次の瞬間にまた体を新品同様に再生させ、何度でも何度でも襲い掛かってくる。
対主催の全エネルギーを込めて、ようやく取り巻きを倒すことができた。
しかし逆に言えばゼロを倒すことは適わなかったのだ。
ゼロはバトルロワイアルのゲームマスター。全てのプレイヤーの命を握る存在だ。
彼を倒せぬ限りバトルロワイアルが終了することはない。

「シリウス達は・・・・・・逝ったか。
 まあいい、すぐに再生させてやろう」
「え?」

誰かが呆けた声を上げたがもう遅い。
ゼロが目を光らせた瞬間、ゼロの左右で数人の人型が形成されていく。
シリウス、アルバート、初音ミク、三沢、ブラックロックシューター、デッドマスター、
全て光の中へ消えていった者達だ。
彼らもまた、先のダメージを感じさせない新品同様の肉体で臨戦態勢を取り始める。

「まさかここまでしぶといなんてね・・・・・・」

10/が頭をかきながらぼやく。
口調こそいつもの彼女ではあるが、手を膝に落とし息を切らしている様子からして、
それほど余裕は残っていない。

「どうすれば、どうすればあいつらを倒せるんだ・・・・・・」
「簡単なことだ」

拳を握り、床に伏しているリュウセイに、ダークマターは語りかける。

「お前達もアンデッドになってしまえばいい。
 アンデッドになれば私達と戦う必要は無くなる・・・・・・
 最も天野河リュウセイに松岡勝治、貴様らは既に似た様なものではあるがな」
「俺が・・・・・・アンデッドに・・・・・・?」
「リュウセイ君!」
「リュウセイ!」

ゼロの声に耳を貸そうとしているリュウセイに勝治達は叫んだ。
アンデッドになること、それは主催の操り人形になることを意味する。
天野河リュウセイと松岡勝治は、主催が関わらない特殊な経緯で蘇生したため支配を逃れることができた。
しかしここでゼロに屈してしまえば、リュウセイ達は今度こそ主催と戦うことができなくなってしまう。

「わかっているさ。でも・・・・・・」

わかってはいる。
ゼロを倒さなければ黒達までも主催の手に落ちてしまうことも。
ゼロを倒さなければ世界が終わってしまうことも。
ゼロを倒さなければ・・・・・・







「アンデッドが支配する世界だと?」
「その通りだ。
 ゼロはこの世界の住人全てをアンデッドに変えて思いのままに操るつもりだ」

困惑するアカレッド達にクライシス皇帝は言い放つ。
マーベラスを見送り、ゴーカイガレオン内で療養していたアカレッドの前に、
突如としてタチバナという仮面の男が率いる集団が転送されてきたのだ。
最初は警戒していたが、このガレオンを守る戦力はほとんど残されていなかったため、
彼らの交渉に応じるしかなかったのだ。
そして彼らから語りだされた情報は、ガレオン内の乗員達を戦慄させるには十分であった。

「そ、そんな馬鹿なことが・・・・・・」
「あるんだから仕方ないだろう!」
「ナニバカナコトイッテルンダ!」
「ひっ!?」
「でもこのままだとマーベラスさん達が危ないですよ!」

数刻前、主催の本拠地を得たマーベラス達はレジスタンスの残党や
『円堂守』と名乗る男達の協力を得て首輪を解除した後に、主催達に殴りこみをかけたのだ。
『円堂守』やレジスタンス達に力を借りようとしたが、
彼らは彼らで首輪をつけている参加者達を助けるべく何処かにいってしまった。
また、ガレオンの乗組員だった蒼沼キリハも、円堂守の仲間である工藤タイキという少年と合流して
彼らについていってしまっていたのだ。

「あいつのことだからすぐくたばることはないが・・・・・・」

言いかけて口を止めたのはマーベラスの相棒であるジョーだ。
自称ネオ・リモネシア国王シオニー・レジスを始めとし、
ブンビー、櫂トシキ、カスミ、巡音ルカ、それから途中で拾った一般人など、
あまりにも戦う力を持たない人間が多い。
各々自衛用の武器は持っているが、殺し合いに乗った者を前にしたら数分も持たないであろう。
おまけにアカレッドやアムロ、江蓮もまだ傷が癒えていない。
彼らを守るために船に留まりざるを得なかった故に、先に行ってしまった戦友の安否が気にかかる。

「心配することはないわ、既に手は打っているもの。
 あなたのお仲間や他の対主催も無事よ」
「そうか・・・・・・しかし何故俺達にこの情報を教えた。
 お前達の実力ならこの船を沈めることぐらい簡単だろう?」
「ひっ!?」
「ちょっとジョーさん怖いこと言わないでくださいよ!
 シオニーさんが怯えちゃったじゃないですか!」

シオニーを落ち着かせているブンビを尻目に、ジョーは紫に問い詰める。
宇宙空間からピンポイントでガレオンの内部にワープするほどの者達だ。
オンドゥルオンドゥル言っている男はともかく、八雲紫と名乗る女はどうにも胡散臭い。
クライシス皇帝やマルクほどの覇気は、ザンギャック帝国でも並べる者はいないであろう。
タチバナと名乗る宇宙服の男も、胡散臭さだけならこの中でトップクラスである。
弁当箱から触手が飛び出た時は艦内の女性陣が姦しく悲鳴を上げていたものだ。
敵意は感じられないが、今のガレオンだったらいつジャックされてもおかしくない。

「ふん、私だって貴様らのような正義の味方に力を借りるのは本来ならばお断りだ!」
「ひ!?」
「・・・・・・だが、今はそうも言ってられん」
「どういう意味だ?」
「言葉通りの意味だ。
 今の主催、ゼロは最早我々の手に負えんところにまで来てる。
 思い出せ、さっき言ったことを」

最初にタチバナが話したことは、アンデッドに関する情報だ。
アンデッド、その名の通りゾンビのことだが、映画に出てくるような腐食したゾンビなどではない。
見た目は生前と変わらないが、生きている人間との最大の違いは死んでもすぐに蘇生することである。

「最初はそいつらのことを野比玉子症候群、と言ったな」
「ああそうだ。 死んでもまたどこかで即座に再生する人間のことをそう言った。
 そして主催は野比玉子症候群を人工的に作り出す実験を行っていた」

死んでも即座に再生するのであれば、人類の長年の夢、不死が叶ったこととなる。
誰もが死に怯えることなく、死に悲しむことのないある意味理想の世界であろう。

「でも野比玉子症候群には欠点があったはず、じゃないですか?」
「その通りだよトシキくん。野比玉子症候群には致命的な欠点が一つだけあった」

トシキが指摘した症候群の欠点、それは野比玉子症候群は
無限の命と引き換えにすぐ死ぬ体質になってしまうこと。
この症状にかかった者はうっかり階段から足を滑らせたり、うっかり自動車に轢かれたり、
うっかり流れ弾に当たったり、うっかり大量虐殺の巻き添えを食らったりしてよく死んでしまうのだ。

「最初の内は上手くアンデッドが作れず、すぐ死ぬ性質だけを受け継いでしまうこともあった。
 だが、いくつものアンデッドを作成する過程で
 ついに彼らは野比玉子症候群の長所のみを受け継いだアンデッドを作り出すことに成功したのだ!」







「それが我らの求めた真のアンデッド!
 死にやすく、不遇な野比玉子症候群の短所を克服した最強の存在なのだ!」
「馬鹿な!?そんなのどうやって倒せばいいんだよ!」

告げられた真実にリュウセイは地面を叩きつける。
ゼロ達はどれだけ殺してもその場ですぐに蘇るのだ。
野比玉子症候群の最大の弱点を克服した主催達は不滅の存在。
ほとんどの受講者達はその事実に絶望し、戦うことを放棄してしまっている。
蘇るならば何度でも倒すと意気込んでいた対主催達さえ、
体中が悲鳴を上げて立ち上がることさえもままならない。

「倒す方法などない、貴様らは私達に従うしかないのだ。
 今楽にしてやるぞ・・・・・・」

ゼロが瞳に琥珀色のエネルギーを収束し始める。
リュウセイ達を殺すために、必殺の一撃を放とうとしているのだ。
ある者は目を瞑り、ある者は恨み言を呟き、またある者は叫ぶ。
主催者達の嘲笑の中、彼らの命は潰える・・・・・・はずだった。



「おらぁ!」
「うお!?」

何者かが放った電撃がゼロの目玉を突いたのだ。
不意打ちに驚いたゼロはビームのチャージを中断してしまう。
誰かと思って通路の方に目をやると、そこには虫型の怪人の姿があった。

「ウヴァ!?どうしてこんなところに・・・・・・」
「話は後だオーズ!これを受け取れ!」

ウヴァと呼ばれた怪人は仮面ライダーオーズにメダルを投げ渡す。
オーズが手のひらを確認すると、強面の男の姿が掘られた三色のメダルがあった。

「貴様、私の邪魔をしてただで済むとは思うなよ?」
「いかん!オーズ!早くそのメダルを使え!」
「わ、わかった!」

ウヴァの気迫に押され、オーズは三枚のメダルを腰のバックルに合わせる。
そして新たな形態への変身を遂げるために、オースキャナーをスライドさせた。

『ラオウ!トキ!ケンシロウ!』







「どうやってその化物を倒すつもりだ?」
「アンデッドはどこまで行ってもアンデッド。
 アンデッドは死のエネルギーで動いていると言っても過言ではない」
「よくわからんがそれでどうすればいいんだ?」
「簡単な話なのサ。
 死のエネルギーで動いているなら・・・・・・『天に帰る時が来たのだぁぁぁぁぁぁ!!!!!!』
「ひっ!?」

ゴーカイガレオンが主催本部に接近した直後、野太い男の声とともに本部の天上が砕け散ったのだ。
一筋の光の柱は主催本部に打撃を与えるだけに留まらず、遥か空高く上り雲に大穴を空けるに至った。
同時にその場にいた者全てが粉塵のように舞い上がり、オーズ以外の全ての対主催達が
弁当の触手により捕縛された。

「どうやら成功したようなのサ。オーズはウヴァが回収するから問題ないのサ」
「よし、今の内に船を後退させろ!態勢を立て直すぞ!」
「アカレッド!?もういいのか?」
「いつまでも休んでいるわけにはいかないさ」

医務室から戻ってきたアカレッドの指示に従って、
ジョーはガレオンを主催本部から遠ざけようとした・・・・・・

「許さんぞ貴様ら!」

その時、ゼロが巨大な体で身を乗り出してきたのだ。
ゼロの体の上には他の主催者達も乗っかっており、
主催本部から遠ざかろうとするゴーカイガレオンを追いかけてきている。

「ブロウクンマグナム!」
「効かん!」

589 :最終回後半:2012/07/11(水) 01:26:49 ID:ayNlL8B.
ガレオンから発進したジェネシックガオガイガーが必殺の鉄拳を叩き込むが、
抉れたはずのゼロの体はすぐに元通りに戻ってしまう。

「ならばディバイング・・・・・・」
「駄目だアムロ!ここはガレオンの援護に徹して後退するんだ!」
「ちぃ!」

いかに勇者王を関するロボットとはいえ、無限に再生し続ける相手は分が悪い。
どこかに再生を促している装置でもあれば話は別だが、生憎そんな物は元から存在していない。



「どうするんだ!このままじゃいつか追いつかれるぞ!?」
「心配することはないのサ。
 勝利の鍵は既にここにあるのサ」
「・・・・・・だったら・・・・・・早くそれを出せ!」
「リュウセイくん!?」

困惑するロビー内で、リュウセイはマルクの胸倉を掴む。
弁当の触手で回収されてきたばかりの彼は、先の戦いの影響で全身傷だらけだった。
彼だけではない、黒を始めとした対主催達もロビーまで集まってきていたのだ。

「ジョー、これはどういうことだ?」

黒の肩を借りて足を引きずってきたマーベラスがジョーに尋ねる。
たった今ガレオンに戻ってきたマーベラス達は、クライシス皇帝やマルクに面識がないのだ。
見るからに胡散臭い格好をした者が自分の船を仕切っているのは気分が悪い。

「すまないマーベラス。だがこれには」
「そんなことはどうでもいいんだ!
 教えてくれよ!勝利の鍵とやらをよ!」
「あーわかったのサ!早く出てくるのサ!」

話を戻し、マルクは八雲紫に呼びかける。
スキマを出して中に顔を埋めた紫であるが、
数秒後、酷く慌てた表情で叫んだ。

「ちょ、あいつら!」
「どうしたのサ!?」
「どうもこうもないわよ!
 だってあいつら・・・・・・」

紫が言いかけた瞬間、ガレオンに衝撃が走った。
空を飛んでいるガレオン内に地震の影響が及ぶことはありえない。
外部から、つまりゼロからの攻撃を食らっているのだ。
振り落とされないよう、乗員は柱や壁に捕まって耐える。
すると船内に妙な雄たけびが聴こえてきた。


『俺はゼロの攻撃を食らってもなんともないぞ!』『ナンデー?』
『    なんでかって?! そう、それは、鍛えているからだー!!!
    ジャアアアアアアアアアアアアアアアアアン

 ズバーンハンマー!カブふがチョー気持ちいい!!バシャア!!あ~いいすっねぇ。
 うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお。ハアハア…ハアハア…ハアハア…ハアハア…。ナンデー?
    なんでかって?! そう、それは、鍛えているからだー!!!
    ジャアアアアアアアアアアアアアアアアアン』


「なんであいつら船の外にいるのよ!」
「なんか触手に捕まった時に外に張り付いていたのを見ましたが」
「プリッ」
「早く言ってよ!」
「見つかったなら早く持って来い!」

妖夢達に紫は突っ込むが、クライシス皇帝の指摘に紫はカブトボーグを取り出す。
ガレオンの外で、HARASHIMA達と張り付いていたカブトボーグだ。
野生らしく、紫の手に捕まっても未だに暴れ続けている。

「カブトボーグ・・・・・・それで何をするんだよ。効かなかったじゃん」

紫が取り出した"勝利の鍵"にリュウセイ達は落胆する。
無理もない、リュウセイ達はゼロにカブトボーグを全力投球した。
それでも全く通用しなかったのだ。
今更似たような道具でどうやって戦えというのか。

「それは生命エネルギーが足りなかっただけなのサ」
「生命エネルギー?」
「そうだ。カブトボーグにチャージをかけるとき、
 実は微かな生命エネルギーを消費している」

リュウセイの問いにタチバナは答える。
ボーグバトルでボーガーはカブトボーグに対してチャージを行うのは周知の事実だ。
実はそのチャージの際にボーガーの生命エネルギーをカブトボーグに対して送り込んでいるのだ。
よって、過度のチャージによりボーガーも疲労することがあるとかなんとか。

「じゃあ俺達はあの時カブトボーグをチャージする必要があったのか・・・・・・」
「いや、恐らくそれだけの人数でチャージしてもゼロを倒すことはできないだろう」
「じゃあどうすんだ!」
「紫のスキマ能力を使って今いる参加者にむけてゲートを作る」
「全参加者でチャージを行うのか!」

全世界に生存している参加者達でチャージを行えば、
アンデッドを滅ぼすだけの生命エネルギーを注ぎ込むことができるであろう。
どんなに個が強くてもそれだけではアンデッドを、野比玉子症候群を滅ぼすことはできない。
各組織のトップが手を結んだのはそういう理由があったのだ。

「しかし連合のやつらはカブトボーグを憎んでいるんじゃないのか?
 レジスタンスやディバイン・カオスはともかく、連合にカブトボーグを見せた途端壊されるかも知れないぞ」
「カブカーブ」
『野生のカブトボーグは連合に壊されることはないぞ!』『ナンデー?』
『    なんでかって?! そう、それは、鍛えているからだー!!!
    ジャアアアアアアアアアアアアアアアアアン

 ズバーンハンマー!ふがチョー気持ちいい!!バシャア!!あ~いいすっねぇ。
 うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお。ハアハア…ハアハア…ハアハア…ハアハア…。ナンデー?
    なんでかって?! そう、それは、鍛えているからだー!!!
    ジャアアアアアアアアアアアアアアアアアン』
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「みんな、振り落とされないように掴まるんだ!」

ゼロの攻撃が激しくなっているのか、
先ほどよりも揺れの頻度が増えている。

「もう時間がないのサ!
 早くチャージインをするのサ!」
「わかった!」

タチバナ、あかりんの弁当、仮面ライダーブレイド、クライシス皇帝、紫は
野生のカブトボーグのチャージを終え、それをシオニーに渡す。

「ひっ!?」
「きゃぁ!?む、虫!?」
「怖がっていないで早くチャージしてください!」
「ひぃっ!?」

シオニーとカスミは蠢くカブトボーグに恐怖を見せる。
押し付けても怯えるだけなので、ブンビーは仕方なく彼女達にカブトボーグを掴ませて、
無理やりチャージインさせた。

「チャージイン!さあ次は誰だ?」
「私達がやります」

キリハが振り向くとそこには医務室にいたはずのルカ達の姿があった。

「こういうことぐらいしか役に立てないから・・・・・・」

無力な一般人は、このバトルロワイアルの中で友、恋人、家族、様々な者を失った。
奪われるだけだった彼らが唯一主催に報復できる瞬間を見逃すはずがない。
充血した眼を拭って、自らもカブトボーグを手に取る。

「俺にも貸せ!」
「マーベラス!?怪我はもういいのか?」
「これぐらいどうってことねえよ」
「はん!雑魚が粋がっているのに私が寝ているわけにもいかないわ」
「チャージするだけなら問題ない・・・・・・」
「黒、私も力を貸すわ」
「あなただけに抜け駆けはさせませんよ」

休んでいたはずの対主催達も活気を取り戻し、カブトボーグを手に取る。
椅子で、机で、床で、カブトボーグをスライド、チャージさせる。
船のほとんどの者がチャージインを終えた時、野生のカブトボーグは淡い光を放っていた。


「リュウセイ、後はあなただけよ」
「わかったよマダムジェニファー・・・・・・う!?」

マダムジェニファーから野生のカブトボーグを受け取ろうするリュウセイ。
しかし、カブトボーグを手にした瞬間、指を滑らせて地面に落としてしまう。

「リュウセイ!?」
「・・・・・・いや大丈夫だ。
 まだダメージが残っていたらしい、俺は後にするよ。
 あー医務室行ってこようかなー」

心配するマダムジェニファーを尻目に、リュウセイはリビングを出ていく。
結局野生のカブトボーグはゴーカイガレオン外にいる連中に転送されることとなった。






「野生のカブトボーグが!転送されてきたぞ!」ナンデー?
「なんでかって?! そう、それは、鍛えているからだー!!!」
    ジャアアアアアアアアアアアアアアアアアン

 ズバーンハンマー!ふがチョー気持ちいい!!バシャア!!あ~いいすっねぇ。
 うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお。ハアハア…ハアハア…ハアハア…ハアハア…。ナンデー?
    なんでかって?! そう、それは、鍛えているからだー!!!
    ジャアアアアアアアアアアアアアアアアアン

チャージ完了!


「いかんあれは!?」
「どうしましたかゼロ」

ゴーカイガレオン外でチャージされた野生のカブトボーグを見たゼロは、
初めて冷や汗を垂らす。
微量ながらも生命エネルギーが込められたカブトボーグ、
それは自分達アンデッドの死のエネルギーの対極となる物。
もしもエネルギーが充電されてしまえば・・・・・・

「私達の敗北は免れんというこ「ブロークンマグナムwith野生のカブトボーグ!」

言いかけたところで野生のカブトボーグを持ったジェネシックガオガイガーが、
ゼロを台にチャージを完了させる。
すかさずカブトボーグを破壊しようとするが、今度は江蓮の頑侍がハリセンで妨害をしてきたのだ。
そして戸惑う間にカブトボーグはどこかへとスキマ送りされていく。
やけになったゼロはとりあえずゴーカイガレオンを破壊しようとした。






「どうやらうまくいったようだな」

医務室で寝転がっていたリュウセイはカブトボーグの気配が消えたことにため息をついた。
このまま全世界の住人でチャージをすればゼロを倒すことができる。
グダグダだったけどロワを終わらせることができるのだ。もう自分が戦う必要はない。

(この体ももう限界か)

後ろに回していた手の一つを前に置く。
先ほどマダムジェニファーからカブトボーグを受け取った手。
ピシッという音がして、石灰みたいな白い砂粒が顔にかかってくる。
天井を仰いだその手から、彼の体は亀裂を帯び始めていた。



最終更新:2012年07月16日 23:07