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(何でこんなことになっちまったんだよ……何で、マミが……!?)

 赤い魔法少女、佐倉杏子は星と満月が輝く夜空を見上げながら舌打ちをする。
 ようやく友達になれた魔法少女の美樹さやかを失った悲しみを乗り越えて巴マミや暁美ほむらと一緒に魔獣を狩っていたら、いきなりこんな意味のわからない殺し合いが日本全土で起こった。
 何でも、世界中から押し寄せてきた難民を受け入れられなくなったから、殺し合いを始めたらしいが……そんな話は杏子にとって知ったことではない。
 確かにこの世界は強い者が弱い者を食らうという、食物連鎖の法則で成り立っている。寝る場所や食料の確保をするなら淘汰は必要不可欠かもしれないが、だからといって殺し合いとやらに付き合う義理はなかった。
 あのオッサンは共に戦ってきた先輩のマミを、まるでゴミか何かのように殺したのが許せなかった。この殺し合いは生き残った奴を日本国民として認めるチャンスらしいが、その理論からすると奴の行動はまるで矛盾している。
 つまりマミ達は日本国民として認められる資格すら、ないとでも言いたかったのかと杏子は憤りを覚えた。

(ムカつくよ……ああ、ムカつくな! マミ、あんたの仇は取ってやるからな……あたしがそっちに逝くまで、待っててくれよ)

 気に入らない奴はぶちのめすが、主催者の言いなりになる気は全くない。
 真面目を絵に描いたような魔法少女のマミとは色々と言われたことがあったが、それでも大切な先輩だった。そんな彼女の命を奪った奴に従うつもりなど杏子にはない。
 だから、マミの願いを叶える為にも殺し合いを止めて主催者をぶちのめす。正義の味方を語るようで小恥ずかしいが、不思議と抵抗はなかった。

「杏子さん……大丈夫ですか?」
「あんたに心配されるほど、あたしはヤワじゃねえよ……ま、心配してくれてありがとなヴィヴィオ」

 そして今、杏子は見慣れない制服を纏って、腰にまで届くほど長い金髪に二つのリボンを付けた少女に対して、笑顔を向けている。
 その少女の名前は高町ヴィヴィオ。殺し合いが始まってから、どうするべきかと考えていたところに出会った最初の人間だった。何でも彼女はミッドチルダとかいう異世界からやってきた奴らしいが、それは別にどうでもいい。
 亡くなった妹のモモと似たような子どもまで殺し合いを強いた主催者への怒りが、更に強くなっていた。

「にしても、あんたも災難だな……たまたま旅行に来てただけなのにこんな事に巻き込まれてさ。あんた、その元の世界に助けを呼べないのか?」
「私もそうしようと思ってましたが、通信が繋がらないので……でも、私は諦めませんから! この力で、みんなを助けてみせます!」
「そっか。まあ、無理はするなよ……こんなくだらねえ殺し合いとやらで死んだら、あんたの母親も悲しむからさ」
「心配してくれてありがとうございます! 私も杏子さんに無理をさせませんから、一緒に頑張りましょう!」
「ああ……あたし達二人で、コンビ結成だな!」

 暗闇をものともしないような明るい笑顔を向けるヴィヴィオの頭を、杏子は優しく撫でる。
 詳しくは知らないが、ヴィヴィオは格闘技をやっているのでそれなりに戦えるらしい。だが、こんな年下の少女に無理をさせるほど杏子は自分が弱いと思っていないし、何よりもそれをさやかやマミが望んでいるわけがなかった。
 だからヴィヴィオも守るし、殺し合いを止めながら気に入らない奴らを蹴散らす。そう決意しながらヴィヴィオの小さな手を握った、その時だった。

「うわああああああぁぁぁぁぁ!」

 突如、何処からともなく少年の悲鳴が闇の中から響いて、一瞬で杏子の鼓膜を刺激する。
 それは何となくヴィヴィオの声と似ている気がしたが、そんなのはどうでもよかった。

「何だ、今の声は!?」
「杏子さん、あっちみたいです!」

 狼狽するヴィヴィオが指差す方面には、数階建ての小さなホテルがある。
 悲鳴が発せられたということは、あそこで子どもが襲われている可能性が高い。ただ脅えているだけかもしれないが、それでも放っておくわけにはいかなかった。

「やれやれ、早速仕事かい」
「行きましょう、杏子さん! このままじゃ……」
「わかってるよ! けどなヴィヴィオ、さっきも言ったみたいに無理はするなよ」
「はい!」
「それじゃ、行くか!」

 そうして、魔法少女へと変身した佐倉杏子はヴィヴィオを背負って走り出す。その重さを感じて、改めてこれから大きくなるであろうヴィヴィオを守らなければならないと杏子は認識した。
 高町ヴィヴィオをホテルに連れたことで、一体どんな悲劇が起きるのかも知らずに……




「うふふユーノ君……私のこの身体、どう?」
「も、もうやめてよなのは……こんなの、こんなのおかしいよ!」

 千葉県のとあるホテルに備え付けられた和風の庭園。
 そこでは今、豊満な肢体をボンテージを身に纏った女性が妖艶な笑みを浮かべながら全裸の少年に迫るという、あまりにも奇妙な光景が広がっている。
 この状況に至った理由は、高町なのはがユーノ・スクライアに支給された未来の秘密道具であるタイムふろしきを使ったことから始まった。数時間前の行為の後、ユーノが呆然としている隙を突いて、なのはは何を思ったのか突然タイムふろしきを使って25歳までに成長を果たす。
 そのまま、ショックで動けなくなったユーノを抱えて庭園にまで足を進めたのだ。これまたユーノの支給品であるボンテージを身に纏って。

「どうして? その年で野外プレイができるなんて、最高じゃない」
「な、な、な、なんでよ!? 僕は、そんなこと望んでなんか……」
「ええ~? 大人の階段を一気に登れるんだよ? つまり、ユーノ君を一人前の男にしてあげようとしてるんだからね!」
「お、大人って……意味が分からないよっ!」

 あまりにも突拍子のない理論に、ユーノはただ怯えるしかできなかった。
 いつものなのはではない。こうなってしまったのは彼女が未来を知ったかららしいが、ここまで自暴自棄になってしまうなんてどれだけ酷い未来なのか? 
 いつものユーノなら、なのはを立ち直らせるために奮闘しただろうが……それをできるような状態ではない。

「それに、ユーノ君のマンモスもギンギンになってるでしょ? だから、私はその欲望を叶えてあげたいの」
「えっ……?」

 完熟したリンゴのように頬を赤らめるなのはが指している先を見て、ユーノは言葉を失った。何と、彼の小さな生殖器が天に向かうように大きく立っていたのだ。
 当然である。ユーノ・スクライアもまだ9歳の少年とはいえ、正真正銘の男。果物のように豊満な乳房に、ボンテ―ジに覆われたしなやかな肢体を前にしてはこうなるのは当たり前だった。
 加えて、胸の位置から衣服を突き破りそうに勃ち上がっている二つの突起が、全裸よりも扇情的な雰囲気を放っている。悲しいことに、それがユーノ・スクライアという少年に宿る雄の欲望を最大限にまで燃やしていた。

「そんなに勃起してるなんてユーノ君ってとってもエッチなんだね……でも、そんなユーノ君も大好きだよ」
「こ、これは……そのっ……!」
「大丈夫だよ。大人になった私がもっと、ユーノ君を気持ち良くしてあげるから!」
「嫌だ! やめて……いつものなのはに戻って!」

 なのはの笑顔はあまりにも眩しかったが、今のユーノにはそれがあまりにも恐ろしい表情に見えてしまう。
 彼女には悪意が全くない。故に、これからやろうとしている事を決して間違っていると思っていないだろう。だから、先程の行為のように男としての……否、人間としての尊厳が容赦なく奪われてしまう。
 そう悟ったユーノの瞳から涙がポロポロと零れ落ちた、その瞬間だった。

「マ、ママ……何、してるの?」

 怯えるユーノの耳に、震えるような少女の声が響く。
 それによって恐怖に支配されていた彼の意識が急激に覚醒して、はっと顔を上げた。するとその先には、なのはの背後から少し離れた場所に二人の少女が見える。
 赤髪と金髪の見知らぬ少女達は、どちらも愕然とした表情を浮かべていた。




「ヴィ、ヴィヴィオ……!?」

 高町なのはの身体は、突如として現れた少女を見たことで大きく震えている。そして、暴走していた思考もようやく落ち着きを取り戻し始めていた。
 3000年以上前から、古代エジプトに伝わる秘宝・千年アイテムの一つである千年タウクの効果によって、なのはは自分の未来に希望がないことを知ってしまい、自暴自棄になってユーノ・スクライアを性的な意味で襲った。
 しかし、冷静になって思うと決して悪い未来だけではない。戦技教導隊の教導官になって多くの人間から慕われたり、血の繋がりはないにしても愛する娘もできた。
 その娘、高町ヴィヴィオが目の前にいた。

「あ、あのね……ヴィヴィオ、これはね……!」

 今の自分の姿を思い出してしまったなのはは、しどろもどろとなっている。
 千年タウクを通じて見た未来の自分は、ヴィヴィオが憧れるママになっていて、こんな格好になったことがない。ましてや、今のユーノのような少年を襲ったこともなかった。

「ヴィヴィオ……!」
「嫌あああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 なのはが一歩前に踏み出した瞬間、ヴィヴィオは盛大な悲鳴をあげながら逃げるように去っていった。そんな彼女を追うように、もう一人の赤髪の少女も走り出していく。
 そんな彼女達を追おうとしたが、その直後になのはは盛大にすっ転んだ。すぐになのはは立ち上がったが、その間に二人の姿は見えなくなっている。

「ヴィヴィオ、待って! ヴィヴィオオォォォォォォォォォォォォ!」

 高町なのはの叫びは空しく響くだけだった。
 そしてこんな混沌に満ちた状況を影から見守っていた柊かがみは、こう呟く。

「……どうすればいいの、この状況?」


【一日目・1時30分/日本・千葉県 ホテル庭園】


【高町なのは@魔法少女リリカルなのは】
【状態】思考暴走、25歳の身体、ボンテージを着ている、激しいショック
【装備】レイジングハート@魔法少女リリカルなのは、千年タウク@遊戯王、タイムふろしき@ドラえもん、ボンテ―ジ
【道具】基本支給品一式
【思考】
1:??????
【備考】
※千年タウクの効果によって、高町ヴィヴィオの存在を知っています。
※タイムふろしきを使ったので、25歳の肉体に成長しました。


【ユーノ・スクライア@魔法少女リリカルなのは】
【状態】ショック
【装備】なし
【道具】基本支給品一式
【思考】
1:こんなのってないよ……
【備考】
※不明支給品はタイムふろしき@ドラえもんとボンテ―ジです


【柊かがみ@らき☆すた】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】基本支給品一式、不明支給品
【思考】
基本:家族および友人と合流
1:どうしよう、この状況……






 どれだけ走ったのかはわからないが、ホテルから離れたのは確かだった。
 しかしそんなことはどうでもいい。杏子にとって、今はヴィヴィオを何とかして慰める方がずっと大事だった。

「ひっく……ママ、なんで……なんであんなことを……」
「ヴィヴィオ……まあ、なんだ。元気出してくれよ……」

 大好きな母親が子どもを襲うなんて光景を見せられたら、誰だって凄いショックを受けるに決まってる。
 母親が奇行に走ったせいで泣いている高町ヴィヴィオの為に、一体何をすればいいのか? それが佐倉杏子にとって当面の課題だった。



【一日目・1時30分/日本・千葉県】


【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
【状態】健康、困惑
【装備】ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ
【道具】基本支給品一式、不明支給品
【思考】
基本:マミの仇を取る為にも、殺し合いを止める。
1:とりあえず今はヴィヴィオを何とかして慰める。
〔備考〕
※最終回で世界が改変された後からの参戦なので、鹿目まどかの存在を知りません。


【高町ヴィヴィオ@魔法少女リリカルなのはVivid】
【状態】健康、激しいショック
【装備】セイクリッドハート@魔法少女リリカルなのはVivid
【道具】基本支給品一式、不明支給品
【思考】
基本:殺し合いには乗らず、みんなを助ける
1:ママ……何で、あんなことを……
最終更新:2012年09月06日 08:53