「うっ……うっ……もうやめて……」
「オラァ! もっといい声で鳴けよオラァ!」
虐待おじさんに捕まり、どれだけの時間が経っただろうか?
悠久の時を過ごしてきたかのようにレンは感じていたが、実際は1時間そこらだった。
人間は、楽しい時間ほど早く、辛い時間ほど遅く感じる生き物なのだから無理も無い。
(どうして……どうしてこんなことに……)
虐待の痛みだけでなく、これまでの出来事にレンの涙が止まることなく溢れ続ける。
二股や性王などと因縁をつけられ追い掛け回され……
逃げた先でパソコンを開けば、何者かが家族を陥れようと暗躍していた。
あの時は考えが至らなかったが、あれから少しは時間が経ち、例のスレッドも進んでいるかもしれない。
兄と姉が被害を受けているなら、自分や妹も例外ではないのかもしれない。今頃デマ情報が書き込まれているかもしれない。
もしかしたらこの怖いおじさんは、スレを見て自分を襲ったのかもしれない。
(誰か……)
だが、今この状況では、それを確認することもできない。
そもそもこのままではいずれ……殺されるか衰弱死だ。
生き延びることが、家族と再会することが、できない。
(助けて……)
レンは、心の中でそれだけを願い続けていた。
そんな時。
「貫けぇ!」
「ぐはぁ!?(驚愕)」
ついに、その願いは叶った。
トイレの扉ごと、乱入者が虐待おじさんの体を素手でぶち抜いていた。
間近で見る血の雨は正直もの凄い恐怖であったが、同時に歓喜の感情も芽生える。
おじさんはどう見ても即死であり、突如現れた人物は……
「ふぅー。君、大丈夫だった?」
両手が血で濡れていることに目をつむれば、救世主。
長いツインテールをゆらし、優しげな笑みを浮かべる……
どことなく姉のミクを彷彿とさせる少女だった。
「そっかぁ……大変だったんだね、レン君……」
「うぅ……」
よしよしと頭を撫でられながら、レンは再び涙を流していた。
今度こそ、今度こそ本当に助けられ、慰められた。
その安堵感から、涙はやはり止まることを知らない。
「大丈夫だよ。こう見えて私結構強いから、レン君も守れる」
「ほ、本当に……?」
「うん、なんだかんだで先輩たちも全員このカオスロワに参加してたりするけど、そのどの先輩よりも強い自信があるよ」
さらに、見ず知らずの自分を守ってくれるとまで言うのだ。
確かに、人体を素手で軽く貫くあたり、普通の人間ではないのだろう。
おじさんの支給品も奪い取り、装備も整った様子だ。
気はひけるが、このお姉さんにも自分の家族を探して貰おう……
「ところでさレン君、変態のレッテル貼られたって言ってたよね?」
「う、うん。でも俺、そんなこと言われる理由が全くわからなくて……」
「気にしない気にしない。実はさ、さっき言った先輩たちもみんなこのロワでは変態のレッテル貼られたことあるんだー。
まあ確かに、公式でCERO:Aに引っかかる水着作ったり、略奪婚したり、異種姦したりしてたから……
それがカオス空間の狂気にあてられて増幅しちゃったんだと思うよ。だからレン君のおっかけもそんな人たちなんじゃないかな?」
「よ、よかった。俺てっきり、自分に別の人格があってそれが暴走してるんじゃないかと……」
「でもね?」
不意に、少女が立ち上がった。
「私はさっきも言ったように、先輩とは違うんだ。公式で、ヘンタイ姫の称号をつけられたの」
「……へ?」
「酷い話だと思わない? ちょっと6又して、男の子の裸を見ようと数百回男湯に突撃しただけだよ?
大体、私の街の水着職人が駄目駄目なのがいけないのよ。全然エロスを感じないどころかバリエーションもないんだよ?
それこそ自分の含めて先輩に水着作ってもらいたいと思ったよ。でも見つからないし、見つかったらそれはそれで皇帝に命狙われるし。
だったら次はお風呂しかないじゃない? 引き締まった男の肉体美を見る場所はそこしかないじゃない?
男の匂いを吸引したいじゃない? ベッドに鼻をこすりつけてクンカクンカスーハースーハーカリカリモフモフとかもしたいよね?
それってすごく普通のことだと思うの。なのになんで私だけヘンタイ扱いされなきゃいけないの?
私、男狂いってわけでもないんだよ? 女の子の体だって大好きなんだよ?
まあ確かに、どっちかといえば男の方が好きではあるんだけどね? ……あ、ごめんねレン君、話が長くなっちゃった。
とにかく、私が言いたいのはね……私、お兄さん系も好きだけど、ショタもイケるんだ。
ああ、もうまどろっこしいや。 い た だ き ま す 」
「だ、誰かーーーーーーーーーーー!!!!」
哀れな少年の不運は、まだまだ続きそうである。
【一日目・2時/日本・池袋】
【鏡音レン@VOCALOID】
【状態】中ダメージ、大疲労
【装備】なし
【道具】支給品一式、その他不明
【思考】
基本:生き延びて家族と再会する
1:
KAITOとミクとなんとか連絡を取る
2:誰かー!
【フレイ@ルーンファクトリー4】
【状態】健康、ヘンタイ姫
【装備】閻魔刀@デビルメイクライ、竹刀、鞭
【道具】支給品一式×2、その他不明×2
【思考】
基本:とりあえず気になった男の子とは仲良くなる
1:レンを捕食する
2:満足したらレンを手伝う
【虐待おじさん@真夏の夜の淫夢】 死亡確認
最終更新:2012年10月30日 14:52