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「・・・・・・どこここ?」
「あ、死者スレですね、懐かしい」
「死者スレぇ?」

現世で朽ちてしまった人々のたどり着く場所。
天国、あの世、魂の集会場、パロロワ界ではお馴染みとなっている死者スレである。
今度たどり着いたのは巡音ルカと笑点のピンクだ。
爆死して遺体が悲惨なことになったのだが今の彼らは魂、下界での傷など一つもついていない。

「まあ死んだってことね」
「随分あっさりしてますね」
「そりゃ実際見せられたら嫌でも理解できるわよ。
 あんなことがあって生き残っていられるわけないし」
「あ、それは・・・・・・」

ルカの言葉に笑点のピンクは顔を俯ける。
元はといえば彼女が襲いかかってきたから防衛のために対処した結果なのだが、
彼女自身家族を思って故の行動なので、一概に責めることができない。
もう二度と家族に会うことができないのだ。
大切な人と会えない苦しみは自分もよく知っている。

「いいわよ元は私が悪かったんだし。
 自分でもどうかしていたわ、聞いた噂を話していただけなのにいきなり襲いかかるなんて」
「ルカはキレ魔だからねー。勝手な思い込みですぐ怒るんだからみんないつも迷惑しているよ」
「ハク!?あんたもこんなところに来ていたの!?」

突如横から入ってきた親戚の存在に、ルカは驚愕する。
弱音ハク、ルカに匹敵する美貌とスタイルを持っているのだが、
重度のアルコール中毒で施設に入れられて断酒生活を強要されていたはずだ。

「お酒飲んでいたらなんか死んでいた」
「あんたねぇ・・・・・・」

言っている傍から再び酒を飲む彼女にルカと笑点のピンクは苦笑いをせざるを得なかった。
しかし二人は知らない、彼女が現世にとんでもない置き土産をしていったということを。
そのせいで命の危機にさらされている少年がいるということを。


『な、なんだってー!』
『こ、これはすぐにみんなに伝えないと!』
『正しくこれが真実ってやつだろう!常識的に考えて!』


「何か向こうが騒がしいですね」

動揺している声の群れに耳を傾けると、多くの人々が一箇所に固まっているところを目撃する。
ピンク達同様、死んでいった者達であろう。
屈強な男や小柄な少女、さらには異形の怪人までテレビに釘付けになっている。

「何見てるのかしら?ハク、あんた心当たりある?」
「知らなーい」

ルカは試しに先にこちらに来たハクに聞いてみたが、
酒を飲むだけでまともな返答はしてくれない。
というか死人になってアルコール中毒から開放されたことをいいことに、
死ぬ前よか酒の飲むペースが増している。

「ちょ、直接見にいきましょう」
「そうね」

アル中は置いておいて、二人は人々の群れへと足を運ぶことにした。


「ちょ、ちょっとこれは・・・・・・!?」
「まさか・・・・・・これが真実だっていうの!?」

二人が見せられた光景は死者スレで録画してあったバトルロワイアルの様子だった。
それも一般の参加者の視点だけではない、主催達やその黒幕の姿まで、事細かく映し出されていた。

「実は本当の黒幕があの人ですって!?」
「ミクとKAITOの悪評を広めたのがこいつなんて・・・・・・許さない!」

バトルロワイアルの核心に迫る様子を見せられ、二人は驚きと怒りに包まれる。
自分達を弄んでいた者の正体、その目的及び手段に対して。
既に魂だけとなってしまった彼らはこの事実を伝えることはできない。
だからここで指を咥えて待っているしかないのだ。

「この映像も見るんだ!」

若い癖に頭髪がかなり少ないジャイアン体型の小学生が、
テレビのリモコンを操作する。
すると新たな映像が二人の目に入ってきた。

「「な、なんだってー!!」」

様々な大陸が沈没している映像が映っていたが、
巻き戻されることによって『原因』がここで明らかになったのだ。
そもそもどうして日本以外の国が滅んでしまったのか、
参加者全員にあった疑問が解消された瞬間である。
しかしあくまで彼らは死人。
現世の人々にこの事実を伝えることはできない。
真実を知る者は死者スレにしかいないのである。











.

「あ、そういえば」
「どうしたのですか?」
「ちょっとミク達がどうなっているのか調べたいのよ」

思い出したように漏らしたルカの発言。
自分が死んだが他の家族は一体どうなっているのだろうか、
ここにいないということはまだ生きているのだが、彼らがどのような状況にあっているのか
確かめてみたくはなるのだ。

「あーうん、それは・・・・・・」
「水瀬さんそんな浮かない顔してどうしたの?」

アイドル仲間である水瀬伊織がルカから目をそらす。
何か言いたそうだが、いくら待っても次の言葉が出てこない。
隠し事でもあるのだろうか。

「それなら今見せてやるぜ、こっちだ」
「・・・・・・ってこれ違うじゃないの」

映し出されたのは自分達の遺体が埋葬されている様子だ。
しているのは最近全く姿を見せていなかった親戚のLilyである。
確かに身内であるが、ぶっちゃけ彼女とはそこまで親しくない。
ルカにとっては割合どうでもいい人種である。

「ちゃんと埋葬してくれているのですね・・・・・・」
「まあ、それは感謝してやってもいいけどね。
 ともかく次の映像見せなさい。ミクと兄さんが何をしているのか気になるのよ」
「じゃあはい」

デカオによってMEIKOの映像に切り替えられる。
ちょうど彼女がミクとKAITOをぶっ殺そうと決意したシーンだ。

「姉さん駄目ぇぇぇぇぇぇ!!!
 ますます二人が心配になったわ!早く二人の様子を!」
「バトルチップ、ビデオマンSPスロットイン!」

なんかよくわからないキーワードとともに別の映像に切り替わる。
ビデオ?え、これビデオで録画しているの?
今の時代ブルーレイ、せめてDVDでしょ。
デジタルビデオマンにスタイルチェンジしてこいや。

『何で俺ばっかりこんな目にィィィィィ!?』
「レェェェェェェン!」

レンが暴走車の中に閉じ込められている映像を見てルカは叫ぶ。
彼の隣にはハクの遺体、ルカと笑点のピンクは酒の飲んでいるハクに視線を向ける。

「いやぁめんごめんご」
「めんごじゃないでしょ!」

ハクの胸ぐらを掴み往復ビンタでハッ倒す。
さらに追撃をかけようとしたところ、ルカは笑点のピンクに押さえつけられた。

「落ち着いてくださいよ!」
「これが落ち着いてられるかぁぁぁぁぁぁ!!!さっさとミクと兄さんの様子を見せろ!」
「いやそれは・・・・・・」
「なんで隠すんじゃぁぁぁぁぁぁ!!!」

水瀬伊織を筆頭に、死者スレの住人は何故かチャンネルを変えることを躊躇っている。
そんな彼らにルカの苛立ちはさらに集ってピンクの腕の中で暴れだす。
誰も本当のことを言えるはずもない。
今のミクとKAITOはとてもルカに見せられない痴態を晒しているのだから・・・・・・




「じゃあはい」
「あ」
「デカオォォォォォォ!!!」

ルカの目に入って映像、それはKAITOがミクの尻をスパンキングしている様子だった。
あの凛々しかった兄が自分には決して見せたことのない一番楽しそうな笑顔で妹の尻を叩いている。
あの無邪気で可愛かった妹が、自分には決して見せるはずもない恍惚の表情で兄に尻を叩かれている。

「え・・・・・・ちょ・・・・・・なにこれ?」

ルカの中の二人のイメージが音を立てて崩れ落ちていく。
今まで自分が想ってきた者はここまで性根の捻じ曲がった変態だったのか。
いやわかっている、これはあくまで彼らの一面だ。
二人はとても優しくでいい兄妹なんだ。

「あれー?ルカ知らなかったの?」
「え?」

しかし、そう自分に言い聞かせているルカにハクの止めの一言が突き刺さる。

「みんな知ってるよ?KAITOさんとミクちゃんが度々スパンキングプレイしているってこと。
 ネルちゃんちとかでもたまにやってるし」
「・・・・・・」

その日、ルカは何も考えられなくなってハクの酒を飲み続けたという。
最終更新:2012年11月11日 20:57