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日本中の新幹線や電車などが次々と運転を見合わせていく中、
東京の「山手線」だけは、
今だ粛々とダイヤを乱さず正常に動き続けている。
放送前にリンちゃんが轢かれそうになったのも山手線だ。
そもそも、山手線が止まるときこそは日本の終焉のときなのだと民明書房の本にも書いてある。

「はぁ……電車動いててよかったなの……」

たくさんの人が乗り降りする山手線の車両のひとつ。
吊り革につかまって、
仕事先のスタジオからホームである765プロへと戻ろうとしているアイドルがいた。
眩しいイエローの髪はきらきらと星のように。
生来のアイドルオーラを感じさせるその少女の名前は星井美希。
今を駆け抜けるスーパーアイドルだ。

「殺し合いなんて……ひどいなって思う。
 しかも、響と伊織はもう……ミキ、みんなが心配なの……」

珍しくうつむいて、美希はずいぶんと落ち込んだトーンで声を出した。
それもそのはずである、さっき行われた野田総理による放送で、
彼女の仲間である我那覇響と水瀬伊織の名前が呼ばれてしまったのだ。
のんきにおにぎりのCMの撮影なんかしてる場合じゃなかったと思う。

「ハニーも……無事だといいけど……」

急いでスタジオから飛び出して電車に乗ったが、765プロの最寄駅までにはまだまだ遠い。
美希は仲間や、大切なプロデューサーのことを考えながら、
はがゆい気持ちで電車に揺られていた――――。

と。

不意にお尻に、違和感を感じる。

(?)

感触は泥。
ぬばっとしたへんなかんじ。
美希は直感で思う……もしかして、痴漢?

「ちょっと……やめて、なの!」

即座に後ろを振り向く。そして叫んだ。
もっとおしとやかというか抱え込むタイプの女子ならここで黙ってしまうものだが、
あいにく美希はそういうタイプとは違って言いたいことは言うタイプだった。

だから彼女は誰も居ない空間に向かって叫んだ。

(――え?)

そう、美希が振り向いたとき、そこには誰もいなかった。
触られたと気付いてから二秒もなかったはずなのに、どこへ?
いや、考えてみれば普通じゃない。
さっきまでこの車両には「自分しか乗っていなかった」はずだからだ。
どういうことなの?
少し怖さを覚えながらも美希が思考しようとすると――。

ぬばっ

また、お尻に不快な感触。

「や、」

しかも今度はさっきよりより強い。もう隠すこともないほどに揉んでくる。
ことここに至って美希は驚きや怒りより恐怖のほうが上回る。
遠慮もなにもないその堂々さが異常に思えたのだ。

(いったい、誰。なの……?)

美希はもう一度後ろを振り向いた。
今度こそ不届きものの姿を確認できると信じて。



そこには、たくさんの「手」があった。


手    手     手    手   手

  手    手  手    手       手

手   手    手   手    手 手

 手    手    手   手        手。


「……きゃあああああ!?」



=================



『2番線に電車が参ります……』


「あっ、来たよ真ちゃん。山手線」
「あんまりこの格好で電車なんて乗りたくないんだけど……」

上野駅のホーム。
千葉県から東京まで歩いてきたものの、
765プロまでにはやはり山手線を使ったほうがいいということで、
二人のアイドルは電車を待っていた。
萩原雪歩は菊地真のたくましい緑色の腕にしがみつくようにして寄りかかっており、
菊地真のほうは困った顔で異形の触角をぽりぽりと掻いている。

『菊地真改造計画』。
765プロ所属の人気アイドル菊地真が、同じく765プロ所属の萩原雪歩の手でさまざまなファッションに身を包む、
毎週日曜日に好評放送中『生っすか!?サンデー』内の(主に女性視聴者に)大人気コーナーである。

そのコーナーで真は、緑の皮膚に赤い目、
うさみちゃんみたいに牙と歯茎が覗いた口、そして触角。。。。という、
怪人めいた仮面ライダーである仮面ライダーシンにガチ改造されてしまった。
男の子っぽいとか女の子らしい格好とかそういうの飛び越した異形の姿。
ものすごく落ち込んだのだが、以外にもパートナーである雪歩からの評判は悪くなかった。

「でも真ちゃんかっこいいと思う……」
「ええっ……?」

こんな感じだったので、真としても改造を決めたスポンサーに抗議するわけにもいかず、
なぁなぁでそのまま収録現場から立ち去るしかなかったというわけだ。

(どうすればいいんだろう。
 でも、殺し合いって状況で仮面ライダーの力が手に入ったんだからメリットはあるのかな?)

せいいっぱいポジティブに考えようと努めて、
真は雪歩とともにホームに滑り込んできた電車のドアが開くのを待った。

そしてドアが開いてみると――。


手    手     手    手   手

  手    手  手    手       手

           美希

手   手    手   手    手 手

 手    手    手   手        手。


「……ふえぇ!?」
「み、美希!?」


「あ……真くん……雪歩……はぁん♪」


そこにいたのは大量のブラッドハンドとマドハンド、
あとマスターハンドとクレイジーハンドにいろいろなところをアレされている星井美希の姿だった。


【一日目・7時55分/日本・上野駅ホーム】


【菊地真@アイドルマスター】
【状態】仮面ライダーシンに改造済み
【装備】
【道具】支給品一式、その他不明
【思考】
1:どうしようこれ
2:どうしたのこれ!?

【萩原雪歩@アイドルマスター】
【状態】健康
【装備】
【道具】支給品一式、その他不明
【思考】
1:真ちゃんはかっこいいなあ
2:美希!?

【星井美希@アイドルマスター】
【状態】上気
【装備】
【道具】支給品一式、おにぎり
【思考】
1:手……手……手……♪

【マドハンド×いっぱい@ドラゴンクエスト】
【状態】健康、なかまをよぶモード
【装備】
【道具】なし
【思考】
1:マドハンド は なかまをよんだ!
2:マドハンド は おっぱいやおしりをもんだ!

【ブラッドハンド×いっぱい@ドラゴンクエスト】
【状態】健康、なかまをよぶモード
【装備】
【道具】なし
【思考】
1:ブラッドハンド は なかまをよんだ!
2:ブラッドハンド は おっぱいやおしりをもんだ!

【マスターハンド@スマブラ】
【状態】健康
【装備】
【道具】なし
【思考】
1:ハッハッハッハッハ(不敵な笑い声)

【クレイジーハンド@スマブラ】
【状態】健康
【装備】
【道具】なし
【思考】
1:ハハッハハッハッハ(不敵な笑い声)
最終更新:2013年03月08日 12:45