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大好きという気持ちを抑えられないまま、最初に貫いたのは一人の姉だった。
憎しみや嫌悪感など一切なく、愛情と衝動をもって彼女の中に白い愛をぶちまけた。
しばらくすると、他の姉たちの肉体(からだ)にも手を出すようになった。
そこにも悪意などなく、ただただ愛さえあれば自分の『行為』は正しいと思っていた。

そしてあるきっかけにより、男にも目覚めるようになった。
さらに、死んでしまった肉体(ひと)にすら愛を振りまくようになる。
それからは心の赴くままに老若男女生物非生物生者死者全てを愛し、貫いていった。

――少年の愛はあまりにも独善的過ぎた、故に愛を振りまく度に他人を傷つけていたのだ。
彼が正しいと思っていたことをするほど周りは不幸になり、恨みは募り敵は増えていく。
自分も他人も省みない者は、『変態』という名の『紳士』ではなく『狂人』という名の『悪魔』なのだ。
だが、少年は周囲に構うものかと、己が暴走を止める気はなかった。
例え命を狙われようが、惨たらしく殺されようが……

気がつけば『レン』は人間を辞めていた。
人間を辞めてしまった怪物の頭にあるものは



犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯犯

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「やめろおおおぉぉぉおおおぉぉぉおおおぉぉぉおおおぉぉぉおおおぉぉぉ!!!!!!!!!!」


@ @ @ @ @




「はッ!」

少年・鏡音レンはどこかの山小屋のベットの上で覚醒した。
夢の世界からから逃げるように、バッと上半身を引き起こす。
寝ていたハズが、まるでマラソンでもしてきたかのようにレンはヒーコラと息を荒くし、体は汗でぐっしょりと濡れている。
呼吸が乱れたまま、少年はボソリと呟いた。

「ハァーッ、ハァーッ……またあの夢か……」
「ボーイ、大丈夫かい? だいぶうなされていたみたいだが……?」

目覚めたてのレンに最初に声をかけたのは、やたら濃い印象を持つ胡散臭そうな身なりの男だった。
まだ起きたばかりで些かぼやけている視界でレンは声をかけた男を見る。
時間が経つたびに視界と思考がすっきりしていく中で、男が自分の命を助けてくれた恩人であると思い出す。

「観音寺さん……そうだ、俺は観音寺さんに暴走した装甲車の中から助けてもらって、それから疲れて車の中で寝てしまって……」

記憶がはっきりしてきたところで、レンは周囲を見回す。
自分は観音寺の乗っていたスポーツカーで寝ていたハズだった。
眠っている間にどこかの家屋に身を移されていたことに気づく。
より詳しく状況を知るためにレンは観音寺に尋ねた。

「観音寺さん、ここはどこですか?」
「群馬県だ。 無人だったこの山小屋を拝借させてもらったのだ。
緊急時であるとはいえ家主には後で感謝をせねばなるまい、ボハハハハハーッ!」
「群馬県……あの群馬県か!」

レンの知っている限りでは、群馬県は他の県とは一線を画しているということ。
具体的には同じ日本とは思えないほど大自然に囲まれているだの。
先住民族(群馬県民)の文明レベルは狩猟がメインの時代で止まっているだの、中には呪術を使える者がいるだの。
何人もの手練の冒険者がここで命を落としているだの、そもそも領土権を持っているハズの日本政府ですら把握してないことが多いだの……
基本的に歌にしか興味のないレンには生涯で立ち入ることのない無縁の場所だと思っていたが、暴走車によって東京からここまで偶然運ばれてしまったらしい。

(なんだか意図せず凄い所に来ちゃったな)

思いがけない場所にたどり着いたことにレンは心の中で感想を漏らした。
すると突然、レンたちのいる部屋の扉をノックする音と、そのすぐ後に裏から声が聞こえた。

「観音寺さん、さっき岩手の方から強い揺れが来ていたけど、大丈夫?」
「ああ、我々は大丈夫だ。 それからレンのボーイも今しがたお目覚めだ、入ってきたまえ」
「……わかったわ」

扉の裏にいるのは知り合いなのか、観音寺は臆気もなく返事をする。
誰なのか、どんな人なのかとレンが考えていると、向こうから扉が開かれた。
そこにいた者は――


「ゲエエエーーーッ、ネル!?」
「叫べるぐらいには元気そうね。 まったく、もうちょい死にかけてたぐらいが憎たらしさもなかったのに」
「なんでおまえがここにいるんだよぉ!?」

レンぐらいの身長にサイドテールの黄色い髪が特徴的な少女、亞北ネルがそこにいた。
レンとネルは知り合い同士らしく感動の再開……とはいかず、再会した両者は苦虫を潰したような表情になっていた。
間を取りなすように観音寺が割り込む。

「おいおい、二人は幼馴染ではないのか? 喧嘩はよくないぞ」
「ええ、確かに観音寺さんとさっき会った時にはこいつとは幼馴染だと言いましたよ。 『仲の悪い』幼馴染だけどね!」

依然、レンとネルはにらみ合っている。

「ええい、ネルに会うぐらいなら東京で変な連中に追いかけまされた方がマシだったよ」
「まあ、生意気なお子様だこと」
「なんだと、誰がお子様だって!?」
「よさないか君たち!」

今にもビートアップしかねない二人の喧嘩。
このまま放っておくわけにもいかず、観音寺は喧嘩の仲裁に入る。
幸いにもレンは観音寺を信頼しており、その彼からの言葉は素直に聞いた。

「……観音寺さんに免じて、今は喧嘩を後回しにするよ」

渋々喧嘩を中断するレン、仕方がないので「べーッだ」と舌を出す程度で喧嘩を済ますネル、一人ホッと胸をなでおろす観音寺。

「それで、観音寺さん……俺は何時間寝てたんです? なんでネルがここにいるんですか!?」

状況が読めないレンは、観音寺に畳み掛けるように次々と質問をする。
観音寺は笑顔でかつ、若干テンション高めで答えた。

「落ち着きたまえボーイ。
この私がボーイの眠っている間に起きたこと説明してあげよう。 ボハハハハハーッ!」


@ @ @ @ @

亞北ネルはレンとは(仲は悪いが)幼馴染である。
幼い時からレンとは喧嘩をしていたらしく、周囲は二人を喧嘩友達だとしていた(本人らは否定)。
レンにとってのライバルと言っていいかもしれない。
レンが所属するVOCALOIDとは所属の違う歌手だが、彼女もレンと同じアイドルである。
持ち歌はまだ無いに等しく、アイドルとしての人気はVOCALOIDたちに大きく劣るが、いつかは実力でVOCALOIDを超えようとしている少女だ。
いちおうアイドルではあるので、観音寺とは多少は面識があり、レンの幼馴染ということもあって合流する際にはすんなり受け入れられた。

合流後は無人の山小屋を借り、未だに眠っていたレンを休ませ、ネルはその間に外の見張りを担当していた(本人曰くレンのためではなく、レンの介抱で手を焼いている観音寺のため)。

「それから君は2~3時間ほど眠っていた」
「そうなんですか……あ! そういえば7時には定時放送があったハズ!
観音寺さん、リンや兄さんや姉さん達は無事ですか!?」

寝ている間に放送を聞き逃し、家族の安否の是非に焦るレン。
そんな彼に観音寺は優しく答えた。

「大丈夫だ、問題ない。 もうそろそろ北海道が禁止エリアになるが、そこに家族がいないことを信じよう」
「良かった……ハクさんに続いてリンやミク姉さん、KAITO兄さんにMAIKO姉さん、ルカ姉さんまで死んでしまってたらどうしようかと思ったよ……」
「……」

一先ず、中毒が祟って目の前で死んだハク以外は全員無事だと知り、安堵するレン。
だが、真実は違う。 放送では姉の一人である巡音ルカの名前が呼ばれていた。
観音寺はレンの精神状態を考慮して、あえてルカの死を隠したのだった。
ネルは彼女の死を知っていたが、事前の観音寺との打ち合わせでルカの死を、殺し合いが終わるまで黙秘することにした。
レンとは互いに仲の悪いネルだが、心身弱っている相手を絶望させてまで貶めたいとまでは思ってないらしい。
真実を知らずに喜ぶレンに何か言いたくとも、ここは無言を貫いた。
また、ルカと同じ理由から同僚でKAITOの友人である氷山キヨテルの死も隠蔽された。
全てはレンのためを思ってのことである。
本当のことを知らないことで幸福を得たレンは次の質問に移る。

「それでネルはどうしてこんな所にいるのさ? 群馬なんて全く興味なさそうだったのに」
「ガールはこれから、シャーマンに会いに行くそうだ」
「シャーマン?」
「ああ、群馬県の原住民のシャーマンは、おそらく私以上に強い霊能力を持っている。
同じ霊能力者でも私はバットスピリッツと戦うくらいしかできないが、群馬のシャーマンなら探し人の居場所を占ってくれるだろう。
彼女はその噂を聞きつけて、群馬にやってきたのだ」
「へえ~、ネルは一体誰を探しているだ?」

霊能力者の観音寺が言うほど、シャーマンは凄い存在らしい。
そんな存在に頼ろうとまでネルが探そうとしている人物は誰なのか?

「アンタも良く知ってる人、重音テトよ」
「テトさんか……確か、ずっと前から行方不明だったな」

重音テトとはVOCALOIDとは違うグループである歌手である。
加えてネルの師であり、彼女とは家族のように仲が良かった。
……しかし、世界を襲った大災害より数日前から行方知れずになっている。
大災害が起きたことによるパニックで警察による捜索は困難になっていた。
そして、バトルロワイアルが始まって国家権力が当てにならなくなった時、ネルは行動に移ったのだ。

「今までは警察に頼ってたけど、殺し合いが始まってからはそれもできなくなった。
テトがどこをほっつき歩いているかわからないけど、いきなり殺し合いが始まって困ってるに違いないわ。
できるだけ早く見つけてあげたいのよ」
「そうだったのか……」
「これだけ広い日本で人探しをするには骨が折れ、時間もかかる。
ならば虱つぶしに練り歩くより、ガールは噂を信じて師匠を探せるシャーマンに会いに行く方が早いと考えたらしい」

話を聞く限り、理に適っているとレンは思った。
宛もなく探している内に家族が死んでしまったら元も子もない。
人探しにインターネットを使う手段もあるが悪戯による嘘の書き込みや、殺し合いに乗った者まで招き寄せる危険がある。
手っ取り早く人を探すにはシャーマンを頼った方が効率が良いのだろう。
そこまで考えたところでレンは閃いた。

「待てよ、俺の家族もそのシャーマンに頼れば早く見つけられるかもしれないな」

彼の中に一筋の希望が見えた。 シャーマンの力を借りて、いち早く家族を探せると。
特に機械音痴で携帯すらもってないKAITOとミクは連絡を取るのが非常に難しい。
まずネットの掲示板は見ないだろうし、本来なら幼馴染のネルと合流できただけでも本当なら奇跡に近いのに、リアルの掲示板に書き込んだ所でそれが見つけられる可能性は幾千分の1%程度だろう。
今のところ、凄い力をもってそうな霊能力者の力を信じる他に方法も思いつかず、これしかないと踏んだ。

「よし、俺もそのシャーマンに会いにいくよ」

ようやく家族を探すための足掛かりを手に入れたと、やや興奮気味で発言する。
ところが、そんなレンの願いを観音寺は制止する。

「待つんだボーイ、シャーマンに会うのはとても難しいのだよ?」
「えっ、でもここはもう群馬だしシャーマンは目と鼻の先じゃないですか! きっとすぐ会えますよ」

観音寺が自分を止める理由がわからず、不満を口にするレンにネルは横から小馬鹿にする。

「アハハハ。 ピクニックにでも行くつもり?
やっぱりお子様ね、アンタは群馬のことを何も分かってない」
「うるさいな、何が言いたいんだよ!」
「……アンタには口で言うより目で見てもらった方が良いわね」

よくわからないまま二人に否定され苛立っている少年に対し、少女の解答は部屋の窓を開けることだった。
レンが何気なく窓から外の風景を覗くと――


「なんじゃこりゃああああああああ!?」


驚嘆の声を上げざる負えなかった。
窓の先に見えるのはとても日本のものとは思えない広大なジャングルが広がっていた。
一見するとアマゾン地帯にも負けないくらいの大自然の庭である。
さらに耳を澄ませば野獣の雄叫びがところどころに聞こえ、目を凝らせば全長10m以上はあるだろう野生動物がそこらに闊歩し、本能で危険地帯だとわかった。
これにはレンも開いた口が塞がらなかった。
群馬が他の県とは一線を画してるとは聞いたが、ここまで凄いとは思わなかったのだ。
驚きを隠せないレンを尻目にネルは話を続ける。

「あのジャングルこそ、魔境『グンマー圏』。 あそこを突破しないと私たちはシャーマンの元へたどり着けない」
「グ、グンマー圏??」
「私たちが簡単に立ち寄れる『群馬県』はあくまで他県との緩衝地帯に過ぎないの。
そして日本でも正しい名前を知る人が少ない最も危険なジャングル『グンマー』。
別名・世界樹の迷宮とも言われる危険地帯で、奥地には原住民の集落があるけど、それまでに猛獣や大自然の猛威による被害で何人もの強者が命を落としているそうよ。
(ここまで民明書房の本の受け売りだけど)」

余談だが、ある男は数時間前に何気なく群馬のネットカフェにいた。
これは男がいたのはグンマーのようなジャングルではない緩衝地帯側であるからだ。
緩衝地帯には猛獣も存在せず、他県と同じくネットができる程度の環境はあるのである。

「シャーマンを探すにはあんなジャングルを越えなきゃいけないのか!?」

己が直にグンマーを目にしたことにより、シャーマン探しの多大なリスクをレンは理解し打ちひしがれる。
自分が大海……いや、群馬を知らない井の中の蛙であると納得せざるおえなかった。
レンは思わず、グンマーの大きさに呆気にとられて両膝を床につける。

(無理だ……戦いに不慣れな俺じゃ集落にたどり着く前に死ぬのが関の山だ)

そう思ったレン、そのまま床に手をつき、床と目を合わせる、すなわち群馬への敗北のポーズであった
そんなレンをネルはスタスタと横切る。

「わかった? シャーマンに会うのはピクニックに行く気軽さじゃ無理ってことよ。
――それじゃあ、陽はとっくに昇ったことだし、アタシはもう行くわ」
「……へ?」

ネルの言葉に耳を疑い、レンは一度、床に向いていた頭をネルの後ろ姿が見える正面へと向ける。

「ちょっと待て、一人であんな場所にいくつもりなのか?」
「そうよ、何か問題でも?」
「無茶だ、危険過ぎる! 本当に死ぬかもしれないぞ!?」

いくら仲が悪いとはいえ、死地に飛び込もうとする幼馴染をレンは放っておけなかった。
レンの言葉にネルは振り返らぬまま、答えた。

「覚悟の上よ、下手すりゃ死ぬかもしれないわね……でも、大切な人が死ぬのはもっとイヤ。
テトのために何もしないで、どこかの隅っこガタガタ震えているぐらいなら死んだほうが良いとアタシは思っている。
最悪でも、大切な人のために尽力して死んだとあらば、アタシは自分を誇れるからね」
「な……ッ!」

ネルの覚悟の強さにレンは絶句した。 彼女のテトを想う気持ちは本物なのだ。
グンマーの危険さを理解した上で、無茶を承知で死地に飛び込もうとしているのだ。
それに比べて自分は……グンマーの危険性に竦んでしまい、情けなく思えた。
勇気でネルに負けているというのが悔しくてたまらない。
だからこそ、家族を守りたい気持ちの強さを示すため、少年は強く決意した。

「……俺も行くよ」

背後からの静かながらも強い一声にネルは、今度は振り返った。
レンはいつの間にか立ち上がっていた。

「言っとくけど、同情ならいらないわ。 アタシが言うのも難だけど無理はしない方が身のためよ」
「そうじゃない! 一人で行くより二人以上で行く方が危険が減ってシャーマン探しも楽になるハズだ。
俺だって一秒でも早く家族に会いたいんだよ。 例え命を賭けてでもな!」

レンの眼には怯えは一切なく強い覚悟が浮かび上がっており、言葉には重みはあった。
それを見てネルは、いつものレンを馬鹿にする嘲笑ではない笑みを口につくり、返答する。

「良いわ、協力することでシャーマンと接触できる可能性が増えるかもしれない――アンタの言った事は一理あるし、行動を共にしてあげるわ。
ただ勘違いしないでよね、アタシもミクたちの安否が気になるから仕方なく協力するんだからね」
「あ、ああ。 こっちこそおまえはともかく、テトさんは気がかりだからな、仕方なく行動を共にするだけさ」

グンマーの奥へ向かい、集落でシャーマンを見つけ出し、家族・知り合いを探させる。
集落にたどり着くまでにどんなに辛く危険な障害があろうとも、乗り越えようとする覚悟はできた。
そんな方針が出来たところで、レンは観音寺に振り返る。
シャーマン探しはあくまで自分たちの都合であり、命の恩人である観音寺まで危ない橋までつき合せる必要はない……レンはここでお別れの言葉を言うつもりなのだ。

「観音寺さん、今までありが(ry」
「う、ううう、まだ幼いながらも、なんと勇気のある子供たちなのだ……う、ううう」
*1

ありったけの感謝を込めて礼と離別の言葉を贈るつもりが、観音寺は特徴的なサングラス越しに大粒の涙を流していた。
呆気に取られて、レンとネルは驚いていた。
やがて、ハンカチで涙を拭い鼻水をかむと、いつものテンションに戻った観音寺が少年少女に宣言した。

「ボハハハハハーッ!
驚かせてすまない、君たちの身を削ろうとする覚悟に感極まり涙してしまった。
その覚悟に敬意を表して、このドン・観音寺もシャーマン探しを手伝ってあげよう!」

なんと観音寺がシャーマン探しに手を貸すと言い出したのだ!
レンは不安を胸に抱いて観音寺に言った。

「でも観音寺さん、気持ちは嬉しいけどグンマーは危険そうですし、無理に付き合わなくても……」
「ノープロブレムさ、ボーイ。 ……それに、私にはある秘策がある」
「……秘策?」

@ @ @ @ @

必要な荷物をまとめ終え、山小屋を後にすることになった一行。
支給品を一通り確認して武器として使えるものは、レンのビームサーベルに似た剣、ネルの某ヒーローがもってそうな光線銃、観音寺の怪しいステッキのみ。
ちなみにスポーツカーでは流石にジャングルを通れないので山小屋近くに放置することにした。
これだけの装備でジャングルを越えていくのは難しいだろう。 しかし、観音寺には危険地帯を進んでいけるだけの考えがあった。

「私にはスピリッツたちの姿が見え、声も聞くことができる。
すなわち、このグンマーで亡くなった者たちの導きに従えば危険を最小限に減らせるというわけだ」

殺し合いが始まる以前からこのジャングルで命を落とした冒険者などがいる。
つまり、いまだに霊となってさ迷っている者もいるハズだ。
そこに目を付けた観音寺は己の霊感を活用し、道中で幽霊から情報を得ることで、冒険家のような知識を持たない三人でも密林突破の道が見えてくるだろう。

「それ、本当に信用できるの?」
「まあ、その辺は観音寺さんを信じようぜ」

霊感が無いため、いまいち観音寺の霊能力を信じられないネル。
同じく霊感はないが、観音寺が嘘をつく人間には見えないので、レンは彼の人柄の方を信じることにした。
そんなこんなで、霊が見える観音寺を筆頭にジャングルを進んでいく一行。
だが、進む途中でレンの足元が一瞬フラついた。
一行の後ろを歩いていたネルが心配とも罵声ともとれる言葉をレンに投げかけた。

「ちょっとアンタ、疲れがまだ取れてないんじゃない?
やっぱり山小屋で大人しくアタシや観音寺さんを待ってれば良かったんじゃないの?」
「むかるみに足を取られただけさ。 気にするなよ」

仲の悪い幼馴染に弱みを見せたくないレンは気丈に振舞う。
しかし、睡眠を取ったにも関わらず、疲れやダメージが体に残っているのも事実だった。

(全部あの夢のせいだな……アレのせいでろくに眠れやしない)

最近よく見る、自分が多くの者を性的な意味で襲う夢。
その夢のせいで寝不足であり、その夢を見たくないためにこれ以上睡眠を取ろうと思わなかったのだ。
生きてる以上は睡眠を取らねばならず、寝れば悪夢を見る、このままでは身も心も持たない。
そこでふと、レンは思いついた。

(シャーマンに頼めば悪夢について何かしらわかるかもしれないな。
家族のみんなを探すついでに聞いてみようか)

強い霊能力を持つ人間なら、自分が見る悪夢について何かわかるかもしれないと睨んだレン。
家族の行方が第一だが、できれば悪夢を見ずに済む方法や夢が何を暗示しているのかわかれば御の字と思い、仮にシャーマンと接触できたら聞いてみよう。
そう思ったレンはフラついていた足をシャンとさせ、観音寺の背を追いかける。

@ @ @ @ @

一方、ネルにはレンや観音寺には秘密にしていることがあった。
それは群馬のシャーマンを探し求めている理由である。
師である重音テトを探していることに嘘はない。
他者に隠しているのはもう一つの理由であり、それは――

(かく言うアタシも寝不足だわ……あの悪夢のせいで)

実はネルもレンと同じく、連日のように悪夢を見ているのである。
化粧でカモフラージュしているが、目の下にはクマが溜まっている。
ネルを眠らせないその夢の内容は凄まじいものだった。

(まったく、なんでアタシが黒光りしたガチムチになったり○○○ー中に殺されたりしなきゃならないのよ!
たかが夢とはいえ毎日のように見てたら気が変態……いや、気が変になりそうよ)

己が変態になる夢にネルは頭を痛めていた。 そして、前を歩いているレンの背中を見る。

(しかも、どのアタシもコイツが好きだったとか……勘弁してよ!
なんでこんなお子様を好きにならなきゃいけないわけ?)

現実ではネルはレンに恋愛感情を抱いておらず、男としても意識していない。
反対に夢の中ではどの自分も狂ったようにレンをなぜか愛していた。
このような悪夢が続いた結果、ネルは不眠症になってしまった。
このままではまずいと彼女は考える。
ストレスと寝不足はお肌に影響が出てくるだろうし、一介のアイドルとして美容を損なうのは致命的だ。
そこで彼女はシャーマンの噂を聞きつけたのである。

(もし運がよければテトを探させた後に悪夢について何かわかるかもしれないわね……そう信じて奥地を目指すわ)

テトの捜索が第一なのは変わりないが、それと同時にシャーマンに悪夢の謎について聞くつもりのだ。
聞くときはレンや観音寺には知られぬよう秘密理に聞く予定である(なぜ秘密にしているのかは夢の内容からお察しください)。
しかし、彼女は知らなかった。
目の前にいるレンも似たような悪夢を見ていることに……


少年少女霊媒師……それぞれの思惑を胸にグンマーでの冒険が今、始まった……



【一日目・9時30分/群馬県(グンマー・入口)】
※『群馬県』の内部に危険なジャングル『グンマー』があるようです。


【鏡音レン@VOCALOID】
【状態】疲労(中)、精神疲労(中)、不眠症
【装備】ゼットセイバー@ロックマンX
【道具】支給品一式
【思考】
基本:生き延びて家族と再会する
1:いち早く家族を探すために仲間とグンマーの奥へ向かい、シャーマンを探す
2:KAITOとミクとは優先的に合流する
3:できれば1のついでに悪夢の件もシャーマンに尋ねてみる


【ドン・観音寺@BLEACH】
【状態】健康
【装備】超スピリッツ・ステッキ @BLEACH
【道具】支給品一式
【思考】
基本:殺し合いを止める
1:レンとネルを守る
2:他の家族も探し、守りたい
3:レンやネルたちの家族・知り合いを探すため、仲間とグンマーの奥へ向かい、シャーマンを探す
※グンマーで亡くなった幽霊の導きに沿ってジャングルを進むため、危険を最小限に減らせます


【亞北ネル@VOCALOID派生】
【状態】不眠症
【装備】アルファガン@チャージマン研!
【道具】支給品一式
【思考】
基本:行方不明のテトを探す
1:テトを探すために仲間とグンマーの奥へ向かい、シャーマンを探す
2:夢の件はレンたちには秘密にしておく
3:できれば1のついでに悪夢の件もシャーマンに尋ねてみる
※9期までとは別人です。 ただし、レンと似たように変態になる夢は見ている模様
※重音テトとは師弟関係があり、テトの弟子設定です
最終更新:2013年06月03日 01:40

*1 お、男泣きッ!?