魔物に占拠され、もはや依然とは別物になった東京都庁。
その魔境に足を踏み入れている長身の和服の男が一人、頭部には角が生えている。
彼の名前は『鬼灯』。地獄の鬼である。
「噂には聞いていましたが、本当に様変わりしてますね…」
鬼灯はもはや巨大な樹と化した都庁を見上げるとハリトンボイスで呟いた。
彼が都庁に足を運んだのは理由があり、都庁の責任者と話をするためである。
話の内容はもちろん都庁軍の都庁占拠行為及び人類の抹殺をやめてもらうため。
そしてすぐに殺し合いを終わらせるために行動してもらうためである。
都庁が何故こんなことをするのか理由は知っている。鬼灯もどちらかというと環境には気を使うほうだ。
だが地獄の鬼から見ても彼らの行為は明らかにやりすぎだと判断したためにこうして都庁に向かっているというわけだ。
「人間とて自然から生まれた自然の一部。彼らは気づかないのでしょうか…自分の目的のために自然を刈り取ろうとしていることを。
科学の発展を理由に自然を刈り取った人間と同じようにね。はて、それは愚かなのやら哀れなのやらブツブツ……」
と説教染みた事をいうが実は彼の本音は違った。
鬼灯は元々休暇を何日かもらって、その間旅行のために地獄から現世に舞い降り…いや這い上がってきたのだ。
そのときに丁度カオスロワに巻き込まれてしまったのである。
殺し合いが長引いてはせっかくとった休暇が全部台無しになってしまうというわりと俗な理由で一刻も早く殺し合いを止めようとしていたのだ。
そんな彼の耳に入ってきたのは都庁軍の噂だった。
「やれやれ、連中に教えてやらねば…」
鬼灯は恐れずに足を進めていく。
もちろんこの間に魔物からの襲撃は受けている。
が、彼は地獄の閻魔大王に仕える鬼であり襲ってきた魔物を追っ払えるくらいの力量は持っていた。
ちなみに殺しはせず撃退に留めているのはあの世の住人が現世の殺生に関わるのはどうなのかと思ったからだ。
「それにしてもここの魔物は妙に引き際がいいですね…。これはかなり統率の取れてる動きですよ。
もしかしたら上の連中に報告しているかもしれませんね」
だがそれは鬼灯にとっては好都合。彼は話し合いが目的なのだから、なるべく話の通じて地位の高い者を引っ張り出したいとこだった。
ツイッターによると都庁軍は魔物だけでなく金髪の人間が何人か味方しているとのこと。
最近では超サイヤ人
みたいな奴も現れて都庁への侵入者を相手に暴れて何人も\デデーン/しているという情報まであり、
それを目撃した人物らしき人が『もう駄目だ…おしまいだぁ…』というツイートを残しており、その後もいくつか『皆殺される…』『逃げるんだぁ…』などと言ったヘタレなツイートを残している。
「金髪の魔王と青年ならともかく、その戦闘民族には会いたくありませんね…。
っとようやく着きました。やけに時間がかかりましたね。あれは…竜?なるほど、都庁の番人というわけですか」
鬼灯の視線の先には都庁の入り口そして入り口を守る番人ならぬ番竜、叫帝竜・ウォークライ。
「グオオォォォォォォォォウ!!!」
ウォークライは鬼灯を見つけるとウォークライは大きな雄叫びを上げた。
鬼灯は思わずその端正な顔を歪ませて耳を塞ぐ。
そしてウォークライは鬼灯を喰らおうと大きな口を開けて迫る!
完全に鬼灯を捕捉したウォークライは彼の身を引き裂くべく巨大な口を閉じ…
「グォウ!!?」
閉じられることは無かった。
喰われる瞬間、鬼灯の持っていた鬼の金棒がウォークライの口の中でつっかえ棒になり、口を閉じることが出来なかったのだ。
大口を開けて驚愕するウォークライ、今度は彼を鬼の怪力による蹴りが襲った。
あまりの威力にその巨体を大きく吹き飛ばされるウォークライ。鬼の力は竜をも吹き飛ばすのだ。
その際にウォークライの口から飛び出した金棒をキャッチする。
そして立ち上がろうとするウォークライを見下すように話しかける。
「そこの竜、聞こえてますか?通じてるかは分かりませんが…。
私に敵わないと認めていますぐ話を通じる責任者を連れてきなさい。早く!!」
が、ウォークライは再び立ち上がって臨戦態勢を取る。
「やれやれ、分かってくれませんか。こうなったらしょうがないですね。鬼の怖さをそこの竜に教えてあげねば」
「待ちなよ」
鬼灯が溜め息をついてウォークライを撃退しようと金棒を構えるが、その時声がかけられた。
都庁の入り口から出てきたのは金髪の青年レスト…それと彼に従う角と尻尾を生やした少女サクヤ。
レストは鬼灯を敵意バリバリで睨み付け、ウォークライに合図を出して下がらせる。
「『鬼のように強い人間にやられた』って傷つけられて逃げてきた魔物から報告があったから来たけど…それは君かい?だとしたら許せないな、僕は」
「これは失礼、私は地獄で閻魔の補佐をやっております、鬼灯と申します。ですが、貴方は勘違いをしておられる。
まず先に襲い掛かってきたのはそちら方の者で、私は自分の身を守るために戦わざるをえなかっただけのこと。
そして次に、貴方は敵意むき出しですが私には貴方方と殺しあうつもりはないということ。
最後に、私は鬼のように強い人間では決してございません―――」
そして鬼灯は目を閉じ、溜めるように息を吸い込むと目をカッと開いて口を開いた。
「私は鬼ですから」
レストは鬼灯の目を見て本当に殺しあうつもりはないと察する。
その目は今まで接してきた人間のどれとも違っており、自己紹介をして鬼灯の話に応じることにした。
「僕はレスト。……分かったよ。貴方が話し合いをご所望だとね。じゃあ僕がここで話を聞こう。
僕はここの責任者とは親しい関係にあるからね。でも話の内容次第では貴方の命は保障できないよ」
「それは有難い…では早速用件を言いましょう。まずは東京都庁解放及び修繕…
そして、貴方達が進めている人類抹殺の計画を今すぐに止めていただきたい――」
「断る」
鬼灯の要望をレストは一刀両断。
鬼灯はやっぱりと言った態度で溜め息をつく。
「やはり、自然の保護が最優先。そして自然を破壊してきた人間は許せないということですか…」
「そういうことさ。これ以上君と話すことは無い、僕らの機嫌が悪くなる前に消えたほうがいいよ」
「分かりますよ、貴方方の気持ち。私とて自然には気を使っている方ですから
ですが貴方達はやりすぎた……このままだと貴方達、地獄に落ちますよ?」
地獄に落ちるというワードにウォークライとサクヤは焦る様な反応するが、レストはただ悠然としているだけだった。
「地獄に落ちるだって…?舐められたものだね。そんな脅し文句が通用すると思うのかい?」
レストの回答に鬼灯は人差し指と中指を立てた状態で前方に突きつける。
「貴方はまたまた勘違いを二つ程しておられますね。
まず一つ目、地獄は本当に存在するということ。
二つ目は地獄を舐めているのは貴方だということ。地獄は貴方が思っている以上に辛く苦しい場所ですよ?
ですが、ご安心ください。罪を悔やみ償えばその分罰も軽くなるのが地獄の良い所です。今からでも…」
「罪?ふざけるな、僕らがこんなことをしたのは、全ては自然とそこに棲まう生物のためだ!
貴方が仮にもあの世にすむ鬼…しかも閻魔大王の側近というなら、僕らの行動が間違っていないことが分かるだろう!?
間違っているのは自らを生んだ自然を壊し、軽視する人間のほうだっ!」
「分かりますよ。ですが…」
鬼灯はずいっとレストのすぐ眼前に迫る。
そして間髪いれずにレストに顔面陥没パンチを喰らわした。
鬼の拳をまともに喰らってしまったレストは吹っ飛んで尻餅をつける。
鬼灯はレストを見下ろし眼前で今までの紳士的な態度を崩し絶○先生の如く次々と捲くし立て始めた。
「それで人を殺し、都庁を私物化することを正当化する理由にはなりませんっ!!
都庁の元住人を皆殺した上で乗っ取る…手段としては最悪じゃないですか!
他に手段なんていくらでも考えて見つけられたはずでしょう!
何故こんな物騒な手段を選んだのですか!?
そう、貴方方は手段を選ばなさ過ぎる!!!
そして何より、何故今自然保護活動をやるんですかっ!
よりによって殺し合いの真っ最中にするんですか!?
『じゃあいつやるの、今でしょ!』ってもう既に廃れてるネタでしょうに!!
こんな緊急時に自然に熱心になってる場合じゃないって分かるはずでしょう!!
何ですか?貴方は頭良さそうな顔して馬鹿なんじゃないですか!?
手段の選ばなさは殺し合いを止めることに使いなさい!!
それが貴方方の今積める善行ですよ!!
自然保護活動はその後に存分おやりになればよろしいでしょうがっ!!」
「ちょっと、レスト様に何を――」
「貴女は黙っていなさい!私はこの人と話をしているんです!!」
「あひぃっ…」
主人を殴った上に上から目線で説教を働く鬼灯をサクヤは止めようとする。
が、鬼灯の半端無い気迫につい悲鳴を上げて恐縮してしまう。ウォークライも割り込めずにいる。
鬼灯は再びレストに説教しようとするが、レストは既に立ち上がり剣を構えていた。
「もう貴方の話はたくさんだ。貴方が僕等の理想を理解しないのならッ!
今ここで殺すしかない!ここの自然と魔物達のためにも――」
「やれやれ、暴力で訴えるということですか。
いいでしょう、どうやら貴方は558459(ここはじごく)回くらい引っ叩かないと分かりそうにないですからね。
歯食いしばりなさい、貴方のような人間は修正してやります――」
レストは天ノ村雲ノ剣、鬼灯は金棒を取り出し構える。
自分のそれぞれの得物を持ち互いはぶつかりあった――
その時、鬼灯の背後から何かが飛来。それが鬼灯に当たったかと思うと鬼灯の姿は一瞬にして消え去った。
鬼灯を消したものの正体はアイテムのバシルーラの杖@トルネコシリーズ。
本来はモンスターを別の場所に飛ばすアイテムで、カオスロワでは日本のどこかに飛ばす効果になっている。
それはサクヤがダンジョン化した都庁内部で拾ったもの。
鬼灯がレストの相手をしているのを見計らって使用したのだ。ここでは使い捨て式なので杖はもう消えている。
「勝手に杖を使ってすみませんレスト様。
さっきのお方はいろいろな意味で手に負えなさそうなくらい理不尽だったので…」
「いや、助かったよ。あの男の言葉に冷静さを失うとこだった、ありがとう」
「グォウ…」
「君も心配してくれているのかい、でもこのぐらい大丈夫さ。
ウォークライもあの男に一発蹴られただけで大してダメージが無いみたいでよかったよ」
レストはウォークライの無事を確認し笑顔を浮かべる。
そこにはもう自然を壊す人間を憎む面影はどこにもない。
彼らは願った。願わくばあの鬼が二度と現れませんように――
【一日目・22時50分/都庁樹の迷宮入り口】
【レスト@ルーンファクトリー4】
【状態】顔に打撲の跡(軽症)、全属性攻撃吸収、無属性攻撃半減、サクヤの飼い主
【装備】天ノ村雲ノ剣
【道具】支給品一式、不明品、謎の壁材、水晶の壁材等の素材
【思考】
基本:[[都庁の軍勢]]を守りつつ星の自然環境改善
0:なんだったんださっきの鬼は…
1:都庁樹の施設と素材を使い、戦闘準備を整える
2:機械っぽい外見の奴は問答無用で潰す
3:四条化コンビを警戒
4:あわよくば竜と結婚できる世界を作りたい
※フレクザィードの飼い主でしたが、バサラによりその権限を奪われていることに気がついていません
※連れて歩けるモンスターは二匹までです
【極光の麒麟・サクヤ@パズドラ】
【状態】健康、調教済み
【装備】不明
【道具】支給品一式、スマホ、都知事のパソコン
【思考】
基本:レストに服従
0:さっきの鬼が怖い…
1:ネットに疎い主に代わり情報収集
2:実は青龍と違ってドラゴンではないことはこの際黙っておく
【ウォークライ@セブンスドラゴン2020】
【状態】ダメージ(小)、空腹
【装備】無し
【道具】支給品一式
【思考】
基本:都庁の防衛
1:都庁に近づく相手を蹴散らす
2:美味そうだったら喰う
「やられました。まさか侵入者を転送させる手段を持ち合わせているとは…。はて、ここはどこなのか」
鬼灯は先ほどいた場所とは違う所にワープさせられていた。
周りの風景を見るにちゃんとした陸地であることは間違いない。
そして首輪も爆発しないことから禁止エリアではないのも確かだろう。
もちろんいしのなかだというオチもなさそうだ。
「残念です、都庁の彼らを何とか反ロワ派にできれば殺し合いの終わりに近づけたものを。
それに狂信者を何とかするには彼らの力が必要でしたでしょうに…」
そして鬼灯が目をつけていたのは都庁の軍勢だけではなく
DMC狂信者と呼ばれる連中もであった。
だが彼らはどう見ても問答無用で殺そうとしてくる奴らばかりで話が通じそうに無かった。
規模も凄いことになっていたので、恐らく戦力としては互角だろう都庁の軍勢に何とかしてもらいたかったのである。
せめて狂信者を何とかしろぐらいは言うべきだったかと鬼灯は後悔していた。
「このままではせっかくの休暇が全てバトロワで潰れてしまう…。何か手を打たねばなりませんね」
これ以上失敗を悔やんでもしょうがない。
立ち上がった鬼灯はとりあえず場所を把握すべく辺りを探索することにした。
【一日目・22時50分/日本の陸地のどこか(禁止エリアではない)】
【鬼灯@鬼灯の冷徹】
【状態】健康、若干不機嫌
【装備】自分専用の金棒@鬼灯の冷徹
【道具】支給品一式、不明品
【思考】
基本:休暇がつぶれる前になるべく早く殺し合いを終わらせる
0:現在地の把握
1:間違っていると思った奴には説教
2:できるだけ殺生はしない
最終更新:2014年02月28日 14:35