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 青森県。
 そこは極寒の地であり、侵入者を猛吹雪が頑なに拒む魔境であった。
 しかしそんな中、歌を歌いながら真っ直ぐ進む一団が。
 そう、熱気バサラ達である。
 名前の通り暑苦しい一行は、吹雪をものともせず吹雪の発生源に近づいていた。
 ATフィールド+火幻竜の灼熱領域+赤竜のブレスという万全すぎる構えだから当然といえば当然だ。

「暑いぜぇ、暑くて死ぬぜぇ!? いや大丈夫だがな!」

 むしろバサラは汗をかく程である。
 そんなこんなでかなり早めに目的地にたどり着いたのだが……

「なんだ、これは……!?」
「グォウ……」

 彼らの目の前には、惨殺体が転がっていた。
 それこそ、東北地方全域を飲み込む程の吹雪を生み出し、とうとう下山し本格的に動こうとしていたオーバーデビルそのもの。
 冷気や凍結とは無縁のバサラ達が到着した以上、どのみちオーバーデビルは倒されていたであろうが……
 目の前の光景は倒したというよりも、嬲られて殺されたように見えた。

【ムーンブルクの王女@DQ2】 死亡確認
【オーバーデビル@OVERMANキングゲイナー】 死亡確認

 しかし、オーバーデビルは非常に強い。
 単独で世界を滅ぼすことも可能な、生ける災厄と言っていいだろう。
 それが、こうも無惨に殺されるとは。一体何があったのか?

「む?」
「!!!」

 そして、その理由はすぐにわかった。
 オーバーデビル程の実力者を惨殺するなど、同等かそれ以上の生ける災厄以外にできるわけがない。
 そしてその姿を見たとき……バサラを乗せる赤竜は恐怖した。
 残る面々も思わず息を呑んだ。

 下手人は、漆黒の竜。
 その竜は偉大なる赤竜より巨大で。
 雷鳴と共に現る者より美しく。
 氷嵐の支配者より知的に見えた。

「くくっ……誰かと思えば、愚かな三竜の一匹ではないか」

 だが、彼の纏う気が全てを台無しにしていた。
 破壊と殺戮を好む隠しようのない嗜好が、その表情から滲み出している。

「な……なんなんだい、あのドス黒く歪んだ存在は……!?」
『冥闇に堕した者……俺達三竜が、神竜エルダーより封印を任されていた……邪悪な存在だ』

 カヲルの言葉に、赤竜は震えながらに答えた。

「神竜に仕えし忌まわしき三竜よ! 我の封印を守る使命がありながら人の世に干渉し、その性癖を隠そうともしないとは!
 しかもわざわざ新たな世界樹も生み出してくれるとは……実に愚かなリ!」

 冥竜の醜悪な笑みに、赤竜はただ低く唸る。
 何故、自分達が存命している今でも封印は破られてしまったのか?
 それはわからないが、ただ一つ確かなことはあった。
 この竜を放置すれば、間違いなく世界は焦土と化し、地獄となる。

「よくわからねぇが……とりあえず俺の歌を聴けえぇぇぇぇぇぇ!」

 しかし、赤竜には今までにない希望があった。
 熱気バサラ、この人間の素晴らしい歌があれば、いかに冥闇に堕した者であっても浄化される。
 好みの女性以外の人間に対する憎悪の塊であった自分を、この男は救ってくれたのだから。

「グオオオォォォウ!」
「さあ、相手が誰であろうと僕らがやるべきことは一つ! 歌おう!」
「グルルルルル!」

 バサラの歌声にあわせて、竜と使徒も歌い始める。
 ワルプルギスの夜と同じように、冥竜を浄化しにかかる。

「 は は は は は は ! く だ ら ぬ ! そ ん な も の が 歌 だ と ! ? 」

「なっ!?」

 しかし冥竜は浄化されるどころか、笑い始めた。

「愚かなリ、愚かなリ赤竜よ! どこまでも愚かなリ! その程度の歌、我の心にはまるで響かぬわ!」
「ば、馬鹿な!?」
「よいか……? 歌というのはだな……! こ う い う も の だ !」

 突然、冥竜の咆哮にあわせて1000はいるであろう人間が飛び出してきた。
 そして……

「「 俺 は 地 獄 の テ ロ リ ス ト !
   昨 日 は 母 さ ん 犯 し た ぜ ! 明 日 は 父 さ ん 掘 っ て や る ! 」」
「な、なんだこの吐き気のする歌詞はぁ!?」
「「 殺 せ 殺 せ 殺 せ ! 親 な ど 殺 せ ! 殺 せ 殺 せ 殺 せ ! 全 て を 殺 せ ! 」」

 世にも恐ろしい歌詞の大合唱が始まった。
 彼らはDMCの狂信者であり、敬愛するクラウザーさんの歌を歌い続ける。

「っ! そんな歌より、俺の歌を聴けっ……!」
「愚かなリ人間! 貴様如きが、神聖なるクラウザーさんの歌を妨害するなど赦されぬ!
 しばし黙るがいい…… 冥 闇 の 呪 縛 ッ ! 」
「がっ!?」

 歌い返すことにより反撃を試みるバサラ。
 しかし彼の歌声は圧倒的な物量差に飲み込まれ、さらに冥竜の放った闇の鎖で口を塞がれてしまう。
 いや、腕にも脚にも鎖は絡みついていた。
 見れば赤竜もカヲルもフレクザィードも、どこかしらを鎖で封じられていた。

「バサラ! 不味い、ここは一旦退くんだ!」
「……! ……!」

 顔には鎖が巻きつかなかったカヲルが叫ぶが、バサラは自分の鎖を外そうと、歌おうともがき続ける。

「く、ハァ! どうだ、こうやって身体を縛られると、堪らなく気持ちいいであろう……!?」

 自分自身にも鎖を巻きつけた冥竜は、興奮した様子だ。

「その状態で……クラウザーさんへの生贄になって貰おうっ!」

 それでいて、振るわれた冥竜の死の爪、デッドクローは。

「「 S A T S U G A I せ よ !  S A T S U G A I せ よ ! 」」

 まるで歌にあわせるように力強く、無慈悲に。
 歌を愛した熱い男の体を、完膚無きまでに蹂躙した。

【熱気バサラ@マクロスダイナマイト7】 死亡確認

『バサ……ラ……!?』

 赤竜が全身に巻きついた鎖をようやく引きちぎった頃にはもう手遅れだった。
 彼の背に乗っていたバサラであった肉の塊は、力無く狂信者達の中へと堕ちていく。

「「 S A T S U G A I せ よ !  S A T S U G A I せ よ ! 
   未 来 な ど 血 に 染 め て や れ ぇ ぇ ぇ ぇ ! ! ! 」」

 瞬く間に、肉塊はくず肉へと変えられていった。
 飛び散る血飛沫に、狂信者達も冥竜も、おぞましい笑い声をあげる。

「よぉし、また一人クラウザーさんへの生贄が出来た……だが足りぬぞっ!
 オーバーデビル? 世界を凍結? はっ、クラウザーさんが望むのはそんな白い世界ではない!
 世界中の大地を穢せ! 血と内臓と骨で徹底的に! あらゆるものを染め上げろ! それこそクラウザーさんに相応しき世界!」
「「 う お お お お お お お お お ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! 」」

 もう、バサラであったものはどこに行ってしまったかわからない。
 そこらじゅうに赤黒く飛び散ったものが、そうだというのだろうか。
 そして冥竜は、狂信者達は、次の生贄……バサラを殺され呆然とする赤竜へと向かっていった。

 その時……


「 ゴ ガ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ッ ! ! ! 」
「むぅ!?」

 凄まじい咆哮を上げ、全身を真っ赤にさせたフレクザィードが冥竜達に突っ込んだ。

『ゆけ、カヲルよ! 赤竜と共に!』
「き、君はどうするつもりだ!?」
『我とて四幻竜が一柱、破壊を司る火幻竜フレクザィード! そう易々とやられはせん!」

 背に乗せていたカヲルを赤竜へと投げ飛ばし、自身は狂信者の中央に降り立った。
 直接踏み潰されてさらに地面を赤く染める狂信者、発生した巨大な衝撃波でばらばらになり、やはり血をぶちまける狂信者。
 それでも彼らは笑いながらフレクザィードへと襲いかかる。
 彼らは一切死への恐怖を持たない。自らも生贄になれるのだと考えているのだから。
 炎の翼に焼かれ、巻き起こる火災旋風を浴びても、それでも笑い続ける。

「「 S A T S U G A I せ よ !  S A T S U G A I せ よ ! 」」
「面白い、ただの火竜ごときが我に挑むなど、身の程をわきまえるがいい!」

 この集団のリーダーである冥竜もまた、醜悪な笑みを浮かべながら火幻竜へと爪を振り下ろす。
 灼熱の鱗が一部欠け、続けて振るわれる爪によりその身が切り裂かれ、炎のように真っ赤な血が飛び散った。

「 ゴ ア ア ア ア ア ア ア ア ! 」
「うごぁっ!? き、貴様ぁ!」
「「 S A T S U G A I せ よ !  S A T S U G A I せ よ ! 」」

 火幻竜は自分の傷も気にせず片足を軸にその場で回転し、テイルストライクで狂信者もろとも冥竜を吹き飛ばす。
 最も強固な鱗と棘で武装された尻尾は、冥竜の翼を切り裂き、禍々しい紫色の血を流させる。

「く、行くぞ赤竜!」

447 :救いの歌、滅びの歌:2014/02/28(金) 00:12:11 ID:w.jsWjBA0 巨大な竜同士の戦いは一進一退。
 しかしカヲルは赤竜に命じ、この戦場からの離脱をはかった。
 彼には……いや、赤竜にもわかっていた。
 連続では使えないようだが、冥竜はあの凶悪な呪縛を持っている。
 再びあの鎖を放たれ、身動きがとれなくなってしまえば、どうなるか。
 フレクザィードもそれを承知であの場に残ったに違いない。
 彼の決意を無駄にしないためにも、二人は振り返らずに空を行く。








 ……どれだけ飛んだだろうか。
 もう竜の咆哮も、あの恐ろしい歌声も聞こえてこない。
 もう……自分の背中で歌を歌う人間も、新しくできた友人もいない。

『お、俺が奴の呪縛に捕らわれなどしなければ……そうすれば……!』
「……君のせいじゃない。僕も、あの呪縛にはまるで反応できなかった。
 しかし今は悲しむ時ではない。彼の、バサラの遺志を継いで僕らは歌い続け、この悲しい戦いを終わりにしなければならない」
『だが……!』
「……わかるさ。だからこそ歌おう。せめて彼らの魂が、恐ろしい生贄とやらになってしまう前に……」

 東北地方の雪の止んだ夜空。
 そこにはしばらく、竜と使徒の悲しげな歌声が響いたという。
 大切な仲間へ捧げる、レクイエムが……

【一日目・23時20分/東北地方上空】
【偉大なる赤竜@新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女】
【状態】ダメージ小、傷心
【装備】無し
【道具】もくたん@ポケットモンスター、支給品一式
【思考】基本:歌で自然環境の保護を世界に訴える。
1:都庁の仲間達、カヲルを守る
2:バサラ……フレクザィード……
3:仇であるDMC狂信者は確実に根絶やしにする
4:冥竜への対抗策を考える

【渚カヲル@新世紀エヴァンゲリオン】
【状態】ダメージ小、傷心
【装備】キーボード@楽器
【道具】支給品一式
【思考】基本:バサラの遺志を継ぎ、彼の歌を届けて殺し合いを終わらせる
0:これからどうするべきか……
1:シンジ君を探して一緒に歌う。
2:DMC狂信者と冥竜は許さない
3:しかし僕にバサラの代わりが務まるのか……?
※使徒だからか、偉大なる赤竜と会話が可能です。


 漆黒の瘴気が撒き散らされ、冥竜に膨大な力が集中する。
 眼前には、全身を鎖で雁字搦めにされてしまい、もはや全く身動きが出来なくなってしまった火幻竜。

「クラウザーさんのために死ぬがいいっ! ス ー パ ー ノ ヴ ァ  ! ! ! 」

(ここまでか……歌、素晴らしいものであった。ああ、我が主よ、最後にもう一度……)

 火幻竜の体を持ってしても耐え切れない程の、圧倒的な破壊エネルギーが辺りを全て破壊し尽くす。
 眩い閃光が収まるころには、もうそこには何も残されてはいなかった。

【フレクザィード@ルーンファクトリー4】 死亡確認

「やっと……死んだか。おのれ、余計な力を使わせおって……」

 完全に敵が滅んだことを確認してから、冥竜は忌々しげに吐き捨てた。
 体のあちこちから紫色の血液を流しながら、特注のスマホでツイッターを開き

『翼折れた。少し遅れそう』

 とだけ呟いた。

「この傷はあの愚か者共が新たに生み出した世界樹を喰うことで癒すとして……
 くそ、こうも多くの同志が殺されるとは……
 足りぬ、足りぬぞ! もっと多くの生贄を捧げ、クラウザーさんを復活させるのだ……!
 クラウザーさんが蘇るに相応しい世界を作り、クラウザーさんを正式に王の座につかせる……
 その時こそ、新たなる時代の幕が上がるのだ!」

【一日目・23時20分/青森県】
【冥闇に堕した者@世界樹の迷宮4】
【状態】ダメージ中
【装備】DMC狂信者50人
【道具】支給品一式、スマホ
【思考】基本:あらゆる生物をSATSUGAIし、クラウザーさんを蘇らせる
1:道中信者仲間と合流しつつ、ビッグサイトを目指す
2:到着後、東京の世界樹を喰らい力をつける
3:クラウザーさんの歌以外は歌と認めない
最終更新:2014年03月03日 02:27