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長崎県。
そこでは超人血盟軍の一人であり、正義超人の一角であるブロッケンJr.が先にザ・ニンジャと相討ちとなった風見幽香の狂信的ファンであるモブ主催兵士達との戦いを繰り広げていた。
数十分に及ぶ戦いの中でブロッケンの足元には大量の死体が山積みになっており、それでも生き残っているモブ兵士は犠牲に構うことなく攻め続ける。

「ベルリンの赤い雨! ベルリンの赤い雨! ……くッ、こいつら、やけにしぶとい!」
「ふははははは! 俺達は普段から幽香様に“ご褒美”を貰い続けてきたため、全員打たれ強くなっているのだ!」
「腕がちぎれ飛ぶ程度ではゆうかりん親衛隊は倒れん! モルヒネなど邪道! 痛みこそ喜び!」
「ゆうかりん社会の完成形は大多数のマゾヒストとそれらを統べる女王である」
「この変態共が! おまえらと遊んでいる暇はない! ベルリンの赤い雨!」
「ひでぶ!」「あべし!」「たわば!」

ゆうかりん親衛隊を名乗る兵士達は日頃から風見幽香にいじめられ続けた結果、モブの中でも心身ともに打たれ強くなっていた。
致命的なダメージを与えねば、ゾンビのようにすぐ立ち上がってくる。
おまけに飼い主である風見幽香が死んだことにより、我も続くぞと言わんばかりに捨て身でかかってくる。
さながらDMC狂信者のようなものであり、違いといえば崇めていた対象が二度と戻らないと思っているか思っていないかの認識の違いだけである。
とはいえ、彼らとブロッケンの前には実力差という大きな壁がある。
どれだけ打たれ強かろうが、赤き手刀によって切り裂かれて死体の山を増やし、逆に親衛隊はどれだけ犠牲を払おうともブロッケンに攻撃が届くことはなかった。
多少粘り強くても15分もあればこの場の兵士はブロッケンによって駆逐はされるだろう。

そこへ空から3機の巨大ロボットと複数の戦闘機が現れた。
主催陣が持つ機動兵器であるマグネスファイブ、 マルス、ザマンダー、そして戦闘機のゴーストの群れだ。
援軍の到着に親衛隊は歓声を上げ、増援の出現にブロッケンは苦い顔をするのであった。

「変態共の次は巨大ロボか……!」

1機ならまだしも、一人で巨大ロボ3機を一度に相手にするのは分が悪いと感じたブロッケンは、この場は引くべきだと思い、退却を試みる。



……しかし、それを許す親衛隊ではなかった。

「今だ! 畳み掛けろ!」
「「「ジーク、ゆうかりん!!!」」」
「「「アイーム、ゆうかりん!!!」」」」
「「「オールハイル、ゆうかりん!!!」」」
「!?」

多くの親衛隊達がブロッケンに向かって一斉に畳みかかり、隙間も作らないように覆いかぶさったのだ。

「誰が乗っているのか知らんが、俺達に構わず撃て! 俺達ごと幽香様の仇を討ってくれ!」
「こいつら……自分達ごと俺を撃たせるつもりか?!」

なんと親衛隊達は自分達の肉体を檻にしてブロッケンを閉じ込め、巨大ロボに諸共吹き飛ばしてもらう気なのだ!
超人と言えど巨大ロボによる攻撃の直撃……特に複数機による集中砲火には耐えられない。
親衛隊の真意を知ったブロッケンはベルリンの赤い雨を持って大急ぎで肉の壁を切り裂き、掘るように脱出を図る。

「離せ! 貴様ら、離せ!!」
「幽香様、今お傍に参ります……」

だが、幽香によって(虐められて)鍛えられた者達は異常に打たれ強く、死ぬまで……いや、死んでもブロッケンを肉の檻から出さんと言わんばかりに脱出を拒む。
ブロッケンが辛うじて外の様子がわかるくらい切り進んだ頃には手遅れであった。
その頃には既に3機の機体が自分に向けて一斉攻撃を放っていた。

「ここまでか……」

そして、ブロッケンJr.と彼を囲う親衛隊に向けて、マグネスファイブ、 マルス、ザマンダーによる一斉砲火が雨のように降り注ぐ……


【ブロッケンJr.@キン肉マン 死亡確認】



「やったぞー! 仇を討ち取ったぞーーー!」

ブロッケンが消し炭になったことを確認したゆうかりん親衛隊の生き残りが歓声を上げる。
あの男一人によって半数以上の者達が死亡したが、全滅止むなしというダメ元で戦っていたことを考えれば大戦果であった。
なにはともあれ、超人血盟軍の一角が崩れ、結果として亡き幽香の仇の一人は討ち取ったのだ。
まだ侵入者は多く存在し、戦いは続いているとわかっていながらも、親衛隊は戦果を喜ばずにはいられなかった。

だが、その喜びも束の間のことであった。

「お前達のおかげで本当に助かった。 ありが……」

一人のモブ親衛隊が救援に駆けつけてくれた巨大ロボにお礼を言おうとした瞬間。
そのモブが巨大ロボの1機に踏む潰されたのだ。
これには目を見開き驚く親衛隊達。

「な、なにィ!?」
「どうして味方が……ぎゃああああああああああ!!!」
「うわああああああああああああああ!!!」

さらに機動兵器達がブロッケンを殺した時のように、無慈悲な火の雨を親衛隊の頭上から降らした。
いくら打たれ強いといえど、巨大ロボの集中砲火に耐えられる道理はない。
そうして親衛隊はものの数分で壊滅した……
リングの上で永遠の眠り付いたザ・ニンジャや風見幽香の亡骸も、リングごと手荒い火葬を受けることになった。



――時は遡り、ロワ開始前。
すなわち、ユウキ=テルミがハザマとしての肉体を失っておらず、バット星人のグラシエが存命時の話である。

「グラシエさん、この機械をいくつかの機動兵器につけておいてください」
「ハザマ様、これは?」
「AIに作用する一種の外部装置です。
取り付けて、時が経てばロボット達は私達の手足として働いてくれますよ。
ビアン博士などに気づかれないようにこっそり仕掛けてくださいね?
なお、できなかった場合はあなたのお命を……」
「わ、わかりました。 必ずやり遂げましょう!」
「その意気ですよ。
従順に働けば、あなたのことを私の“中にいる方”も気に入り、きっと滅び行く世界からあなたの命を助けてくれるでしょう」
「………」


あなたは、いつぞやの話を覚えているであろうか?
そう、ハザマこそがグラシエに世界滅亡の件を教えた人物であり、グラシエは裏でハザマと共謀して、彼の工作に手を貸していたのである。
その工作の一貫がマシンを掌握する装置を秘密裏に取り付けるというものだった。
その装置はユウキ=テルミの魔力を感知すると、機動兵器の自動AIを乗っ取って書き換え、オートパイロット(無人)で勝手に動き出すように仕向けられている。

その上でユウキ=テルミ(と既に亡くなっているグラシエ)以外の人間を抹殺する殺戮マシーンへと変えてしまうのだ。
件の機動兵器は主催陣の戦力であったが、今やユウキ=テルミのためだけの玩具に過ぎない。

そして殺人マシーン達は自身の脳であるAIを使って、次に殺す獲物を何にするか考える。
主催陣営の者達は言わずもがな、滅日の計画に邪魔になる超人血盟軍の超人もターゲットである。
飛竜を寄り代に復活したユウキ=テルミに超人血盟軍という隠れ蓑はもはや不要なのだ。
マシーンは主催陣だろうが侵入者だろうが見つけ次第、つい先ほどブロッケンやゆうかりん親衛隊を殺したように全力を持って殲滅しにかかるだろう。

そして、AI達は主人であるユウキ=テルミへ最も貢献できると思われる殺戮すべきターゲットを思いつき、兵器達は用のなくなった長崎県から飛び去っていった。
マシーン達が向かう先は少なくとも、九州ロボの中枢である福岡、バッファローマンのいる熊本、バーダックと四次元殺法コンビが交戦中の大分のどこかなのは間違いないだろう。
ちなみにデウスエクスマキナの配下であったヒトマキナ達も九州ロボの各所に配備されているが、司令塔であるデウスを失ったことによって彼らは混乱状態に陥っており、今の彼らでは殺戮マシーン達を足止めすることも難しいと思われる。
この九州ロボにおいて、彼らを止められる者は限られていた。



長崎県の赤い雨は止んだ。
しかし、殺戮と惨劇の雨は九州にまだまだ降り注ぐ。


【ニ日目・7時45分/日本・九州ロボ 長崎県】
※ユウキ=テルミの細工によって格納庫にあったマグネスファイブ、 マルス、ザマンダー、ゴーストが自動操縦で動き出しました
 いずれの機体も、ユウキ=テルミ以外の敵を殲滅する殺人マシーンになっています
※マグネスファイブ、マルス、ザマンダー、ゴースト複数機が熊本・大分・福岡のいずれかに向かいました
※グラシエに世界滅亡を教えた「あの方々」とはハザマ(ユウキ=テルミ)のことです
最終更新:2014年11月17日 08:58