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場面は死国のドームに移る。そこでは剣と弾幕が飛び交う死闘が繰り広げられていた。

「先手必勝だ! パーフェクトゼクター!!」
「援護するの!」

お空が弾幕でディーヴァの足を止めている内に、光太郎ことBLACK RXは虫取り棒であるパーフェクトゼクターを取り出す。
その威力はミカルゲ戦で折り紙つきだ。
いかなる猛者でも直撃すれば分子レベルで分解される一撃を放たんとする。

「喰らえ、マキシマムハイパーサイクロン!!」
「ふむ、虫取り棒ならあの力を使おう。『虫を操る程度の能力』!!」

マキシマムハイパーサイクロンという竜巻状のエネルギー波が放たれる寸前に、ディーヴァはパーフェクトゼクターに向けて手をかざした。
その瞬間、パーフェクトゼクターは放つべきエネルギーを撃たずに止まってしまった。

「なんだ? ゼクターが動かなくなった……うわ!」
「光太郎!?」

それだけでなく、パーフェクトゼクターに引っ付いていた四つのゼクターが外れて一斉に光太郎に襲いかかり、ダメージを負わせ、自分達が集っていたパーフェクトゼクターをへし折った。
ディーヴァがかつて食らって簒奪したリグルの虫を操る力は虫型の機械であるゼクターにも有効であった。
ちなみに虫がベースの仮面ライダーであるBLACK RXはキングストーンの力に守られているので、操られることはない。

「くッ、仕方ない。パーフェクトゼクターの力を失うのは惜しいが……」

光太郎が光に包まれると黒い仮面ライダーからメカメカしい黄色が基調の仮面ライダーに変わる。

「俺は悲しみの王子、ロボライダー! そしてボルティックシューター!」

ロボライダーにチェンジした光太郎の装甲にゼクター達の攻撃は一切通用しなかった。
そして備えられた銃でゼクターを撃ち落としていく光太郎。
カブトゼクター、ザビーゼクター、サソードゼクター、ドレイクゼクター全てに弾丸が命中し、鉄屑に変えた。

「む? フォームチェンジ能力か。だが、その程度で救世主は止まりはしない!」
「くッ……ボルティックシューター!」
「核熱『核反応制御不能』!」

剣を構えて突撃してくるディーヴァに対し、光太郎とお空は弾幕を張って迎撃する。

「遅い遅い遅い!!」

だが、ディーヴァはその高い機動力で弾幕を回避し、僅か数瞬で光太郎に肉薄する。

「は、速いッ!」
「懐に入れさせてもらったぞ。そして、見せよう。
フレイング、ジョンス、ラーメンマンの力を一つにした我が奥義を!!」

ディーヴァの刀をしまって空手になる。
すると両の拳に電気が宿り、僅か0.01秒にも満たない間に構えを取る。
その構えは独自の理論で新しい格闘術を生み出したフレミングの構えにも、発勁の達人であるジョンスの構えにも、中国の正義超人ラーメンマンの構えにも見えた。

「雷神発勁百烈拳!!」

放たれるはかつてディーヴァ(風鳴翼)が食らった三者の格闘術を融合した拳打。
超人のスピードをもった百の拳の前にロボライダーは避けることもかなわない。

「ロボライダーの装甲が通用しない!?
ぐあああああああああああああああああああ!!」
「光太郎ーーーッ!」

スピードだけでなく、威力も超人のパワーと雷・発勁の力が合わせっている分だけ大幅に向上しており、ロボライダーの圧倒的防御力を上回る拳によって光太郎に打撃を与えていく。
しかし、彼はここでやられるヤワな仮面ライダーではない。
拳の嵐の中で光太郎はたった二発の拳だけでも動きを見切り、そこから両手でディーヴァの両腕だ。

「なんと!?」
「……肉を切らせて骨を断つだ」

初めて使った技とはいえ、常人はおろか並の超人でも見切れまい奥義が破られ、捕まえられたことに驚くディーヴァ。
一瞬の攻防の中で光太郎は、機動力を大幅に上回る敵に対してあえて殴らせて敵を捕まえる作戦に出たのだ。
されど光太郎も両の手が塞がっていしまい、これではディーヴァに攻撃ができない。
そのため光太郎がディーヴァを抑えている間に、彼の代わりに攻撃できる者が必要だった。
そこで霊烏路空の出番である。

「今だお空! 俺ごと最大威力で彼女を撃て!」
「え!?」
「貴様、自分ごと私を討つつもりか!」

光太郎から自分ごと敵を撃てという言葉にお空は戸惑う。

「でも、そんなことしたら光太郎だって……」
「俺は、大丈夫だ! 気にせず撃ってくれ!」


光太郎としてもただディーヴァと心中するつもりで仲間に撃てと言ったのではない。
今の彼は熱や炎のエネルギーを吸収できるロボライダーだ。お空のスペルカードの直撃を受けても耐え切れる自身が光太郎にはあった。
それを口と意図がディーヴァにバレてしまうため、お空には説明しなかったが、代わりにアイコンタクトを送った。
お空の頭では光太郎が何を考えて自分に撃たせるのかわからなかったが、彼の赤い複眼の先にある自信を信じることにした。

「わかったよ光太郎! いくよ! 私の必殺技!」

お空はスペルカードを取り出す。
それは先程はハクメンには破られた技である。
しかし今度は状況が違う。
敵であるディーヴァは光太郎に押さえつけられ、防御も回避もできない絶好の状態だ。
必ず直撃させられるとお空は確信する。


「爆符 ペタフレアアアアアアアーーーッ!!」


放たれるは核融合を操る程度の能力、太陽神・天照大神の使神である八咫烏の力を全力全開で解き放ったもの。
その熱は死国ドームの大半を焼き尽くし、容易に溶解させていく。
その炎は光太郎もディーヴァをも飲み込んだ。


やがてお空から放たれた核の炎が鎮静に向かうと、死国のドームは煙に包まれていた。

「光太郎ーーーッ!? 無事!?」

ディーヴァは直撃を受けた瞬間をこの眼で確認したのでまず間違いなく死んだだろう。
心配なのは光太郎の方だ。
何やら自信有りげな様子だったが、本当に全力全開の核熱を喰らって生きていられるのだろうか?
それだけが気がかりだった。

だがお空の心配は無用であった。
数瞬後に彼女の視界にロボライダーの姿があった。
光太郎はロボライダーの熱エネルギーを吸収する力とキングストーンの加護の下で核熱に守られ生きていたのだから。
そしてその光太郎は――


「うわあああああああああああああああ」
「光太郎!?」


――煙の中から弾かれるようにお空の側面を高速で横切って、死国ドームのベンチの中に突っ込んだ。
それを目で追い、ベンチに振り向いたお空だったが……


ガブリッ

「かはッ!?」

次の瞬間にお空の喉元に牙が深々と突き刺さり、喉元から夥しい血が溢れた。

「残念だったな。核攻撃耐性は既に手に入れていたのだよ」

ディーヴァは核物質を主食とするムートーを食らった時点で核耐性を手に入れていた。
故にロボライダー同様ほとんど無傷だったのだ。

「では、太陽神の力、いただこうか!」
「さ……さとり様……ア゛ッ」

ディーヴァは獲物を喰らう冷酷な猛獣のように、お空の喉元に突き立てた牙をさらにめり込ませた。
それによってお空の喉にある頚動脈と髄が断ち切られ、お空は即死させた。
死国ドームにて二つの内、一つの太陽が落日を迎えたのだ……
ベンチから這い出た光太郎はそれを見て絶叫をあげる。

「おくううううううううううううううーーーッ!!」

長く付き合ってきた仲間の死に光太郎は叫ぶ。

「う、旨い! まるで太陽を食べているかの如き暖かさだ!」

逆にディーヴァは今しがた殺したお空の肉体を素手で上半身と下半身に引き裂いて分断し、断面からモリモリと肉と臓物を頬張り、ご満悦な様子だ。
八咫烏の力を持つ少女の味と力はディーヴァをも唸らせていた。


「テラカオス・ディーヴァ……友紀さんだけに関わらず、お空まで……」
「!?」

食事を楽しんでいたディーヴァだったが、その途中で光太郎から言い知れぬ殺気と無視できない力の増大を感じた。
それはもう少しゆっくり楽しむつもりだった八咫烏の食事を、時の狭間を移動する能力を応用して肉の全てを口の中に掻き込まなけらばならないほどに。
光太郎を見ると太陽のような光が彼を包み込んできた。

仲間を殺した残酷な敵への怒り、仲間を守れなかった自分の弱さへの怒りが光太郎の体内にあるキングストーンに新たな力を発揮させたのだ。


「貴様だけは絶対にゆ゛る゛さ゛ん゛!!!」




――その時、不思議なことが起こった!



光太郎の体が光に包まれたかと思えば、その光はロボライダーと化していた光太郎の体のつくりを一瞬で変えてしまい、青い仮面ライダーへの変貌を遂げさせたのだ。

「さらに姿が変わっただと?!」
「俺は怒りの王子、バイオライダー!
ディーヴァ! この力でおまえを倒す!!」

仲間の死により新たな力に目覚めた光太郎とディーヴァは互いに構える。
光太郎はもう完全に狂気に染まってしまったテラカオス・ディーヴァの説得は完全に諦めている。
そして手加減どころか120%の力で戦うつもりでなければ勝てない相手だと判断し、全力で殺しにいくつもりだ。

「面白い、新たな力がどれほどのものか見せてもらおうか! ボイスミサイル!!」

手始めにディーヴァは口から音の衝撃波を吐き出し、光太郎に発射する。
光太郎はこの攻撃を避けようとしない。
直感で喰らっても大丈夫だと悟ったのだ。
そしてボイスミサイルが直撃する寸前でバイオライダーは不定形の生きた水のようになり攻撃を躱した。
ついでにゲル化した瞬間、首輪も外れ、これで100%の実力で戦えるようになった。

「体が溶けただと?」
「これがバイオライダーの力! ゲル化能力だ!」

バイオライダーの代名詞的能力であるゲル化能力を発動した光太郎。
ディーヴァは続けて電撃やブレス攻撃で光太郎を撃とうとするが、体がゲルと化した光太郎にはビクともしない。
いかに強力な攻撃を持っていようとも当たらねばどうということはないのだ。

「この!」
「今だ!」

そしてゲル状のまま、光太郎はディーヴァに飛びかかる。
刀でディーヴァは切り払おうするが斬撃ではゲルを斬れる道理もなく、ゲルはディーヴァの肉体にへばりつき、体を完全に拘束した。

「くッ……やる!」
「どうだ! このままおまえを倒してやる!」

身動きの取れないディーヴァは反撃も防御も回避もできない案山子同然だ。
体外からの圧殺、口と鼻を塞いで窒息、体内に侵入しての破壊。あらゆる手段を講じて光太郎は彼女を倒そうとする。

ピキピキ……

「!?」
「己の体をゲル状に変化させる能力には驚いたが……なんということはない。
斬れないほど柔らかいなら、斬れるほど硬くしてしまえば良いだけの話だ」

突如、ディーヴァに触れていたゲルの部分が急速に金属化してしまった!

「俺の体の一部が金属に!?」
「地獄のジャタールの『触れただけで敵をブロンズ像に変える能力だ』!!」

ゲル化した光太郎に対してディーヴァは触れただけで敵をブロンズ像に変える力を使ったのだ。
全身をブロンズにしてしまうと食べられなくなってしまうので滅多に使わなかったが、体を極限まで不定形にできる相手には有効な攻撃手段であった。

「まずい、離れなければ!」
「アハハ、遅い!」
「ぐわッ!!」

全身がブロンズにされてしまうのは危険だと感じた光太郎は急いでディーヴァから離れようとするも、ディーヴァが隙を見逃すハズもなく、ブロンズになった部分だけを狙って切断する。
ディーヴァから脱出しようとした光太郎は無様に転がり、ダメージを受けた影響かバイオライダーからノーマルフォームであるRXに戻った。
さらにRXにはブロンズにされ切断された部分……左腕が肩の付け根から綺麗になくなっていた。

「くッ……」
「諦めろBLACK RX。おまえはVFD以上の強者ではあったが、私には勝てない」

ディーヴァの高い戦闘能力と多彩な技の応酬によって、光太郎は今の今まで彼女にダメージらしいダメージを与えていない。
ブロリーやWゴローといった強マーダー達を簡単に倒し退けてきた仮面ライダーにしてもディーヴァは高い壁であった。

「……諦めるものか。
この世に悪がある限り、仮面ライダーは戦いを諦めはしない!」


だが、正義の戦士である光太郎は立ち上がった。
欲望のままに人を食い散らかすディーヴァは許せなかった。
それだけでなく、ここで逃げたり敗北を認めてしまえば、ディーヴァは仲間達に襲いかかるので負けるわけにはいかなかったのだ。
体はボロボロでも心の中に正義で燃え上がる太陽がある限り、仮面ライダーは何度だって立ち上がるのだ。

「この輝きは!」
「正義の光だ!」


そのような光太郎の意思に呼応するようにキングストーンは再度輝き出し……



その時不思議なことが起こ





             ザクッ!!





「がッ?!」
「!?」

RXに奇跡をもたらす『不思議なこと』はキャンセルされ、正義の光は立ち消えた。
光太郎の背中からキングストーンのある腹部を貫いた一本の剣によって。

剣を刺した下手人はディーヴァ……ではない。ディーヴァは光太郎の正面にいて、彼女自身も背後から刺された光太郎の姿に面食らっている。
ではいったい誰が?
その答えを知るべく、マスクごしに血反吐を吐きながら光太郎は後ろを振り向く。
すると、目を疑うような者がそこにはいた。











「クライシス皇帝?!」
「今までご苦労だったな、南光太郎。だが、おまえ達とはここまでだ」

光太郎を刺したのはサタンサーベルを持った仮面ライダーオーガ。
仲間だったハズのクライシス皇帝であった……

最終更新:2016年11月13日 19:08