クライシス皇帝はこのカオスロワ10期で光太郎が初めて出会った仲間にして相棒であった。
高慢だが間抜けな部分もあり、それでいて仲間としては頼もしい男だった。
……だのに、なぜ、クライシス皇帝は仲間である自分を刺しているのか?
光太郎にはすぐには理解できず、混乱する。
しかして答えはすぐにわかることになった。
「光太郎……さん……」
「光、太郎……」
「響子ちゃん、キュゥべえ!?」
医務室から死国から逃げているハズの霧切とキュゥべえが現れた。
……響子は切り裂かれた腹から腸を垂らしてそれを漏れないように支えながら、キュゥべえは腹に風穴を開けて、息も絶え絶えの様子で。
「これは……どういうことなんだ……?」
信じられない様子で光太郎は尋ねる。その声はどこか恐れで震えていた。
「皇帝は裏切ったのよ……」
「皇帝が……いきなり僕らに斬りかかってきたんだ」
響子とキュゥべえは絞り出すように声を出し、答えを教えた。
医務室は血の惨状であり、六人にいたデカオはほとんどがバラバラ死体となっていた。
それをやったのもクライシス皇帝である。
「嘘だよな……嘘と言ってくれ皇帝!」
響子達から告げられた話を否定するために背後の皇帝に問いただす光太郎。
しかし皇帝の口から返ってきた答えは無慈悲なものであった。
「全て事実だ」
「本当に裏切ったのか!?」
皇帝は次に光太郎から愛刀であるサタンサーベルを引き抜き、蹴って地面に転がす。
そして、もうおまえは仲間ではないと言いたげに彼を足蹴にした。
皇帝の視線は既に光太郎には向いておらず、彼と戦っていたディーヴァに向いていた。
「テラカオス・ディーヴァよ。
おまえの戦闘能力と残酷さこそ、ここにいる誰よりも我が臣下に相応しい」
「……いちおう理由を聞こうか」
「地球全人類を抹殺し、地球に臣民50億人を移住する計画にはうってつけの逸材だからだ!」
「なんだと……!」
続けられる皇帝の話をあくまで冷静に聞くディーヴァ、衝撃を受ける光太郎。
彼はクライシス帝国を築き上げた怪魔界の支配者にして帝国の皇帝である。ここまでは光太郎達も知っている。
だがそのクライシス帝国は文明発達の弊害による環境汚染で窮地に立たされていた。(実際は皇帝の失政が原因なのだが)
そのために地球の全人類を抹殺して臣民である怪魔界の住人を日本に移住させる計画を立てていたと言うのだ。
皇帝は殺し合いを打破した後にこの計画を実行する予定だったが、その前にうってつけの逸材を探していた。
先ほどまでは拳王連合軍に目をつけていたが、デカオにより拳王連合軍はあくまで風評被害と誤解の犠牲者であり、彼が考えていたほどの破壊集団ではないことがわかってしまった。
その代わりにテラカオス・ディーヴァは舞い降り、医務室の窓から彼女と光太郎・お空の戦いを眺めていた。
ディーヴァの実力や攻撃性は光太郎達が霞むほどであり、今までの光太郎達との関係を無に帰してでも臣下にしたいと考えたほどであった。
「主催やその裏にいるゴルゴムを倒す……その話も嘘だったのか!?」
「それは嘘ではない。嘘ではないが、ゴルゴムを倒すと言ったのはおまえ達のためではなく、日本支配に邪魔だからというだけの話だ」
「お、おのれ……」
「安心しろ、おまえ達亡き後も裏にいるゴルゴムは必ず倒すよ。我が支配を盤石なものにするためにな!」
光太郎は怒りと悔しさで地面を叩いた。
今まで皇帝と紡いでいきた絆はまやかしだった。
先ほど、皇帝を邪悪と断定し襲いかかってきたハクメンは正しかった。
彼を信じなかった結果として自分達全員が窮地に立たされた。
ハクメンと戦っているであろう弦十郎もきっと悪を庇った者としてハクメンに処断され、無駄死にするだろう。
全ては皇帝の手の中で転がっていたのだ。
「さあ! 私とともに来いテラカオス・ディーヴァ!!
私の臣下になるなら日本の1/5、いや、1/4の支配権を褒美として遣わすぞ!!」
声たかだかにディーヴァを勧誘する皇帝。
もはや、光太郎達など眼中になかった。
彼にはディーヴァがダイヤなら光太郎達は道端の小石同然に思えたのだ。
傲慢で邪悪な暴君は、手を差し出す。
その手を握って握手すればディーヴァは皇帝の臣下になり、暴力と支配の道へ進めるだろう。
そして死に体の光太郎達が見守る中、彼女の答えは――
ズドッ!
「ほえ?」
「断る。私が望むのは『支配』ではない。
苦しみに満ちたこの世界からの人々の『解放』だ」
――NOだった。
ついでに皇帝こと仮面ライダーオーガの額に一本の竹刀を突き刺し、引き抜くとそこにストロー口のような穴ができた。
皇帝の手からサタンサーベルがカラリと地面に落ちる。
「貴様の脳汁は美味そうだな」
「な、なにをするれ……はぎゃ!!」
さらに死国のドームに転がっていた鉄パイプを手に取り、そのパイプを皇帝の額にできた穴にぶっ刺した。
そしてストローの要領でディーヴァは中身を吸っていく。
「あっ あっ あっ あっ」
鉄パイプを介して脳みそだけでなく身体中の肉という肉を吸われていき、クライシス皇帝はどんどん痩せていった。
最後には中身が全てなくなって紙のようにペラペラになった仮面ライダーオーガが風に吹かれてお空に飛んでいった。
クライシス皇帝の潰えた野望のように。
「うむ、ちょっと石っぽい味がしたが、ジューシーで芳醇だった」
ストロー代わりに使っていた鉄パイプをその辺に捨てて、ディーヴァは地面に倒れている光太郎の前で屈みこむ。
「さて、正義のヒーローよ。次はおまえだ」
「……ぐッ、クソッ!」
光太郎は苦し紛れに残った片手でディーヴァの貧乳にパンチ放つが、それはあまりにも弱々しく虚しい音だけが鳴っただけであった。
「まだ戦うのか?」
「そうだ正義の意思がある限り、仮面ライダーは決して諦めない……!」
光太郎の眼には闘志はまだ宿っていた。
「正義か……司令から聞いていると思うが、私も風鳴翼だった時は貴様と同じ正義の味方だったよ……」
ディーヴァは瀕死の光太郎を喰らうのは一瞬でできた。
だが、その前に光太郎と問答を始めた。
「だが、灰を浴びて食人鬼になり、人を喰らい続けて、ぼのぼの……愛する獣を殺されてその肉を喰った時、わかったんだよ。
正義では人は救いきれないと!」
「正義で人を救いきれない? そんなことはない!」
「戯言を抜かすな!
たった一人の悪人に騙され仲間も自分自身でさえ死にかけているのに、正義で人が救えるとまだ現実逃避するつもりか!」
「ぐぬぬ……」
「これまでは貴様の掲げる正義で多くの人が救えたのかもしれないが、それは今までが上手くいきすぎただけのこと。
その程度では私のような実力を大きく上回る者や背後から斬る者が現れれば容易く壊れてしまう」
光太郎は何も言い返せなかった。
事実、クライシス皇帝のせいで仲間の響子達も死にかけている。
もしディーヴァが皇帝の勧誘を受け入れ皇帝を殺さず、主催を打倒した暁には日本に残った人類が皇帝によって抹殺されるのは想像に苦しくない。
全ては皇帝の野望に気づかずに仲間と信じ、連れ回した自分の責任であった。
「しかし、私は違う。
私の中に全てを取り込むことで、全てを一つにし、全ての者を争いのない世界に招くことができるのだからな」
「争いのない世界だと……おまえに喰われた者は皆死んでいるだろ!」
「いや、生きている。
確かに肉体は滅んだが、魂は私の中で生きていて、共存している。
姫川友紀、霊烏路空、そしてクライシス皇帝。その魂は私の腹の中に確かに存在している」
「なんだと……!」
事実、今までディーヴァに食い殺された者は冥府(死者スレ)に行かず、彼女の腹に収まっていた。
「私に喰われた者は皆、浄化される。
悪人のクライシス皇帝の魂も、罪を洗い流されて清潔な魂と生まれ変わり、私という楽園の中で他の魂と共に暮らせるのだ」
「う、嘘だ……」
ディーヴァは自分の腹の中に楽園が広がっていて全ての魂はそこで生きていると信じている。
「既存の正義で何が守れた?
悪人を倒してもまた悪人が出てきて被害を及ぼす……それでは単なる一時しのぎに過ぎない。
そして戦い守るだけの正義では、今の日本に置かれている食糧危機や難民問題を解決できはしない。
主催やマーダーを倒した所で、しがらみは消えることはない。きっと少ない食料や土地を巡って新たな争いが始まるだけだ」
「それは……」
「私はそれを終わりの見えない悲しみを終わらせるためにも、全てを喰って救うのだ。
私の腹の中なら誰も悪意を抱くことなく、格差や民族問題、誤解や風評被害による争いだって消えるのだ。
こんなに素晴らしいことはないだろう? さあ、私に差し出せ。おまえの肉と魂を!」
「誰がおまえなんかに……」
あくまで食人で人を救えると信じるディーヴァ。
それでも光太郎は、例え勝てる道理はないと頭ではわかりながらも、戦いを続けようとした。
「……は」
しかし、光太郎の視界の隅にひと振りの剣が見えた瞬間、彼の闘志が確実に鈍った。
その剣はサタンサーベル。
クライシス皇帝……ではなく、秋月信彦の剣であった。
信彦とは穴兄弟だったが運命は残酷で、信彦はゴルゴムによって
シャドームーンに改造されて殺し合う敵同士になってしまった。
ゴルゴムとの決戦の折には最期に彼を死なせてしまう結果となってしまい、RXとなった今でも悔やんでいる。
今考えるとその心の穴をクライシス皇帝に突かれたからこそ、あからさまに怪しいクライシス皇帝と手を組んでしまったのかもしれない。
もし、信彦のような友情を築いた者と殺し合わずに済むならどれほど幸せか。
今後、仮面ライダーとして戦い続けると信彦に限らず、大切な人と望まぬ戦いをさせられる可能性だってあるのではないか?
それが自分だけならまだいい。
だが自分のように強くない人々が、その悲しみに耐えられるのか?
自分ではその全てを救うことはできない。悪を倒しても根絶はできない。
でも、自分を遥かに凌駕するディーヴァだったらどうだ?
と、光太郎は考えてしまった。
「光太郎さん……ダメ……」
瀕死の響子は光太郎に向けて必死に言葉を絞り出す。
テラカオス・ディーヴァの言葉は根拠のない狂人の理論だ。そう言いたいが息も絶え絶えで声が出ない上に、小さすぎて忠告が光太郎の耳に届いていない。
横にいるキュゥべえは皇帝が殺された前後に沈黙して動かなくなってしまった。死んだのだろうか?
そんな響子の忠告も虚しく。
「……俺の敗けだ。テラカオス・ディーヴァ」
光太郎は敗北宣言をした。
クライシス皇帝の裏切りと、それを防げなかった己の失態。
そして仲間を守りきれなかった己の無力さから、自分がもうぶっちぎれないことを悟ってしまったのだ。
心の中にある正義で燃え上がる太陽はもう輝かない。
「よろしい。
その黒い太陽。感謝を込めて い た だ き ま す」
光太郎の返答を聞いたテラカオス・ディーヴァは彼に笑顔を向けた後に、光太郎を喰らい出した。
「あああ……ああ……!」
霧切は光太郎の死の瞬間を見てしまった。
食事は一瞬で終わったが、その一瞬の中でBLACK RXのスーツが消え、その下の怪人体が消え、肉が消え、血が消え、骨が消え、最後には血のついたマスクを残して全てが消えた。
正義の黒い太陽が、混沌の歌姫に全て飲み込まれたのだ。
「アハハハハハハハハハハ、クァハクァハクァハクァハ!
なんだこの味は! 今まで食らった中でも最っ高じゃないか!
あまりに旨すぎて味わって喰うつもりが一瞬で平らげてしまったぞ!」
死国ドームに木霊するはディーヴァの高笑い。
光太郎の肉は今まで食べた中でも極上だったのか、笑顔が止まらない。
さらに彼女の貧相な胸の間にはBLACKの象徴であったキングストーンが生えていた。
「ふう、さて」
「ひっ!」
歯を血で汚した笑顔のまま、ディーヴァはグルリと首を向ける。
歌姫と響子の眼が合った。
その瞬間、響子の体が確実に震え上がっていた。
「こ、このままでも私はもうじき死ぬ……み、見逃しても害はないわよ」
「いや、一人ぼっちは可愛そうだ。
確かに光太郎ほど味は期待できなさそうだが、このまま死なせて放置すると死体が腐って『救済』できなくなってしまう。だから救ってあげよう」
「や、やめ……」
「大丈夫だ。痛みは一瞬で済ますからね」
ディーヴァは最後に響子とキュゥべえまでも喰らおうとし、両の手で動けない一人と一匹の首根っこを掴む。
響子は今までの殺し合いで恐怖をそれほど感じたことはなかった。
光太郎などの理不尽級の強者が一行に集っていたこともあるが、元々芯の強い子だったからに違いない。
しかし、その心の芯も仲間達がいとも容易く殺されてしまったことに折れかけていた。
その証拠に響子は失禁し、ドームの土を腹から漏れる血とは違った液体で汚していた。
あ~ん、と自分に迫るディーヴァの口。
そこから見える闇……否、混沌にいつものクールさを忘れて目を見開き恐怖していた。
ただ殺されて死ぬよりも、この女に食われて死ぬ方が遥かに怖いを思うほどに。
「い、嫌だ! あなたにだけは……」
モツが飛び出て、大量出血でろくに動かず冷たくなっていく体。
もう口を動かすだけでも億劫だったが、響子は
最後の力を振り絞って叫んだ。
「私! あなたにだけは絶対に殺されたくない!!!」
「けいや、く……成立だ」
響子の魂からの叫び、死んでいた思われていたキュゥべえの言葉が合わさった瞬間――不思議なことが起こった。
眩い光が響子に発生したかと思えば、ディーヴァは謎の力によって響子達を腕から離してしまった。
更に光はディーヴァを押しのけるように、どんどん響子達から引き離していく。
「なんだこの光は!?」
光は光太郎すら簡単に倒したディーヴァの力をものともせず、彼女の体が死国から離れていった。
「うおわああああああああああああああああああああ!!」
最後に物凄い力に押し出され、ディーヴァは死国はおろか大阪、更には四国すら超え、海の彼方まで消えていった……
ディーヴァがいなくなると同時に光が消え、死国ドームは静寂が支配した。
それからしばらくした後、血まみれの医務室から少年が現れた。
「今のはなんだ!?」
デカオである。
ほとんどが裏切ったクライシス皇帝によってバラバラにされた彼らだったが、約一名だけボロボロでこそあれ、気絶していただけで急所は外れていたので死なずに済んだ。
「響子ちゃん、キュゥべえ、一体何が……」
彼は気絶していたため、状況がわからなかった。
まずは状況を知るために気を失っている響子とキュゥべえを起こそうとする。
光太郎やお空、裏切った皇帝や自分達を食べようとした貧乳までいなくなったのが気になるが、とにかく周辺の空気からして安全になった気はしている。
「あれ? 傷が治っている?」
キュゥべえは腹に風穴が開いたままだったが、腹から腸を出すほどの致命傷を負っていた響子は完全に治っていた。
デカオは知るよしもないが魔法少女として肉体改造される際に、修復されたのであろう。
「何が何だかわからないけど、とにかく医務室へ」
「待て!!」
「なんだ?」
響子達を医務室へ運ぼうとしたデカオの前に、ドームの出入り口からバイクに乗った、ルビーのようなマスクをした仮面ライダーが突如、現れた。
仮面ライダーウィザード・苗木誠である。
「その娘は霧切さん!?」
「響子ちゃんの知り合いか、助かった……手を貸してく」
「おまえは確か……拳王連合軍の大山デカオだな!」
「はい?」
現れた苗木の言葉には、怒りがこもっていた。
そして、苗木は有無を言わさず銃をデカオの腹に向け、その大きな腹に銃弾を撃ち込んだ。
「がはっ……! ま、待ってくれ、俺は殺し合いに乗っていない」
「それは違うよ!!
他の県に飽き足らず、僕らのいた京都まで滅ぼした拳王連合軍の手先は死ね、死んでしまえ!!」
苗木は拳王連合軍を憎んでいた。
彼もまたディーヴァや光太郎と同じく、死国から放たれたチサオ砲で京都が消滅する瞬間を見ていた。
京都と言えば彼の所属する
ホワイトベース組が停泊していた場所であり、縁がある場所である。
そこを、拳王連合軍はホワイトベース組を匿った件として報復のために滅ぼしたのだ。
罪のない参加者も多くいただろう京都の消滅に苗木は拳王連合軍への強い憎しみを募らせていた。
死国にはなぜかデカオしか残っていなかったが、ならばそのデカオが砲撃を行ったのだろうと苗木は解釈した。
それが憎しみで目を曇らせたが故の間違った解釈であることに気づかず、デカオを殺そうとする。
「くそう、こうなりゃ分裂で……」
「させるか!!」
分裂術で増えることで抵抗しようとしたデカオに対し、苗木は彼の腹を蹴り、医務室まで一気にノックバックさせた。
「うわあ!!」
「トドメだ!!」
『シューティングストライク! 火ッ火ッヒーッ!!』
苗木は魔法による火炎放射で医務室ごとデカオを炎上させた。
「熱、斗……」
豪炎の前にデカオの分裂も間に合わず、医務室に残っているデカオの死体も全て焼かれ、デカオはひとり残らず全滅した。
「……霧切さん!」
ゴミでもみるような目で敵だと思っていた少年を焼き殺したと確認した苗木は急いで気絶している霧切の下に走り声をかけた。
実は苗木は死国が京都を滅ぼしたからわざわざ敵地である死国に乗り込んだわけではなく、風に飛ばされてきた霧切の書置きを偶然見つけたのだ。
そこには「死国へ向かいます 霧切」とだけ書かれていた。
死国は危険な場所であり、苗木一人で向かうには無謀とも言えたが、希望ヶ峰学園のクラスメイトを見捨てるわけにはいかなかった。
大阪の街には直感的に嗅ぐとヤバそうな花(フロワロ)が生えていたので、苗木は手近なマンホールを開けて気絶している葉隠と矢車を地下に隠し、ひとり霧切救出のためにバイクを走らせてきたのである。
彼が死国に到着したのは光太郎とディーヴァとの決着が着いた直後であり、死国はなぜかほぼ無人だったが、それにより想定していた戦闘もなく無傷で死国ドームに到着し、今に至る。
霧切を見ると見慣れない宝石を手にもち、加えてロリ化していたが、あえてつっこまないようにする。カオスロワの中で色々あったんだろう。
とにもかくにも霧切が無傷だったことに苗木は安堵する。
問題は……横にいる猫だか兎だかわからない生き物だ。
「……やあ、君は誰だい?」
動物が喋ったことには苗木は今更驚かない。大事なのは敵か味方かだ。
「僕は苗木誠、霧切さんのクラスメイトだ。君は?」
「僕はキュゥべえ。響子の仲間さ」
「彼女の仲間なら助けなきゃ……待っててくれ、霧切さんと一緒に今ここから連れ出すよ」
霧切の仲間なら助けねばと、苗木は響子をバイクの後部座席に乗せて体から離れないように紐で縛り、フロワロの花粉を吸わないように適当な布で口と鼻を巻く。
キュゥべえはディパックに入れて、死国からの出る準備をする。
「……響子の願いのおかげで奴はここからいなくなったみたいだね」
「霧切さんの願い? 奴? なんのことだ?」
キュゥべえのつぶやきに苗木は首を傾げるが、疑問が形になる前に、突如死国の各所が爆発した。
「な、なんだあ?」
「僕らが来る前にこの空母の船体はかなり傷ついていた。
それに加えてさっきまでの戦闘……船が耐久性が限界を迎えて連鎖的に崩壊しだしてるんだ」
ラーメンマンらホワイトベース組の潜入班による破壊工作や、ガチレズの暴走、そしてディーヴァの襲来によるダメージで死国はとうとう限界を迎えたのだ。
「事情は後で説明するから今は脱出を!」
「わかった!」
キュゥべえに催促され、苗木はバイクで崩壊する死国から脱出する。
幸い、希望ヶ峰学園でパンツを交換するほどの仲になった大親友・大和田によるバイクの手ほどきが活かされ、苗木は死国から無事に脱出し、港に降り立った。
背後では爆発炎上し、海に沈んでいく死国の姿が見えた。
「これから僕はどうするべきなんだ……」
苗木は途方に暮れる。
ホワイトベース組の仲間はほとんど死んでしまった。
熱斗組に挑んだホワイトベースも落とされて十神や乾達の生存も絶望的。
ラーメンマンとジョンスは放送で呼ばれていないので生きてるかもしれないが、いるべき死国にはいなかった。
「いや、僕がしっかりしなくてどうする。霧切さんや葉隠くんを僕が守らなくちゃ!」
苗木は自分の中にある不安を責任感で払拭し、立ち上がろうとする。
ホワイトベース組は拳王連合軍に負けたが、それで終わりじゃないハズだ。
死んだ者に変わって自分が戦えない人々を守らねばと強く誓うのだった。
まずは気を失っている霧切とキュゥべえを葉隠のいる地下まで送り届けようとする。
キュゥべえに至っては早急な治療が必要だろうと思いつつ。
希望を捨てずに苗木はバイクを走らせた。
だが彼の手にしたのは本当に希望だったのか?
霧切は魔女化のリスクがある魔法少女となり、そのソウルジェムは彼女の抱く混沌の歌姫への恐怖で既に半分も穢れを溜め込んでいた……
一方、その頃、沖縄では。
「なるほど……結界か」
テラカオス・ディーヴァは浜辺にちょこんと座っていた。
響子の願いは『テラカオス・ディーヴァにだけは殺されたくない』だった。
死の間際にそれを願ったことでキュゥべえとの契約が成立し、響子はとうとう魔法少女になった。
更に願いが叶えられたことによってテラカオス・ディーヴァだけを阻む結界が彼女の周囲に生み出されたのだ。
それによってディーヴァは沖縄まで一気に押し出されてしまったのである。
「かなり強力で広大な結界だな。今の私のエントロピーではあそこに侵入はできまい」
周囲と言ってもそれは大阪どころか近畿地方をスッポリ覆うほどの広大な結界である。
さらに侵入だけでなく、攻撃も通らないだろうとディーヴァは推察する。
ワルプルギスの夜を一撃で葬れる上、概念と貸せるまどかほどではないが、響子も絶大な才能(エントロピー)を秘めていた。
そして響子はディーヴァ限定のプチ概念を生み出したのだ。
「はあ……拳王連合軍を追うつもりが結局遠回りだ。世の中上手くいかないものだな」
半ばアクシデントもあったとはいえ、彼女は寄り道をしてしまい、大阪から移動したらしい拳王連合軍との距離も大幅に離れてしまったことに溜息をつく。
「とはいえ収穫は大きい、八咫烏に怪魔界の王の力は二つの意味でおいしいぞ!」
されど見返りも大きかった。
霊烏路空の強大な核熱の力とクライシス皇帝の強大な闇の力を手に入れた。
これによって核・闇耐性が進化し、無効化できるに留まらず、吸収さえできるようになった。
闇属性と核による攻撃は彼女にとって攻撃ではなく餌である。
「何より一番大きいのはこれだな」
ディーヴァはキングストーンと貧乳の目立つ胸を叩く。
「この石は時間が経つ度に私に力を与えてくれるのがわかる。
空腹感はそのままだが、いつかはあの結界も破れるだろう」
キングストーンは徐々にではあるが、捕食していないにも関わらずディーヴァに力を与えていた。
自分の中のエントロピーが増大してくるのがわかる。
そのエントロピーはいつかは霧切のそれを凌駕し、結界を打ち破れるようになるだろう。
「さて、新たな力も手に入れたし今度こそ逃がさないぞ拳王連合軍!」
沖縄からでもシグナムの残香を纏った拳王連合軍の位置はわかる。
今度こそ逃すまいと浜辺から立ち上がり翼を広げ、追いかけようとした。
「おっと、良い剣だし、これも持っていくか」
出発前に浜辺に刺さっていた王の剣、サタンサーベルを拾う。
どうやらディーヴァと一緒に巻き添えでここまで飛んできたらしい。
厨二心をくすぐるデザインに強い力を感じた剣をありがたく使わせてもらおうとディーヴァは思う。
「おや? これはなんだ?」
余談だが浜辺に飛んできたのはディーヴァとサタンサーベルだけではない。
一つの書物も一緒に飛ばされてきたのだ。
「『救済の予言書』?」
【
二日目・12時30分/大阪府 轟沈した死国の外・港】
【苗木誠@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】
【状態】ダメージ(中)、疲労(大)、ウィザードに変身中
【装備】ウィザードライバー@仮面ライダーウィザード、マシンウィンガー@仮面ライダーウィザード、専用の指輪一式
【道具】支給品一式、通信機
【思考】基本:対主催
0:一先ず、 霧切さんとキュゥべえの保護。葉隠くんと男の人のいる地下へ向かう
1:まだ生きているホワイトベース組の仲間と合流したい
2:これから僕らはどうすればいいんだ……
3:霧切さんがロリ化していた件は今は無視
※ラーメンマン、ジョンスの死に気づいていません
【霧切響子@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】
【状態】ロリ切さん、ディーヴァへの恐怖心(特大)、魔法少女化、ソウルジェムの汚れ(50%)、気絶中
【装備】様々な資料
【道具】支給品一式、沢山の光彦関連のスイッチ、ノートパソコン、祐一郎の記憶を内包したブラックボックス、その他不明
【思考】基本:テラカオス・ディーヴァにだけは殺されたくない
0:気絶中
※まどかには及ばないものの強力な魔法少女になり、肉体・戦闘力が大幅に強化されました
クライシス皇帝から受けたダメージも回復しています
※テラカオス・ディーヴァに殺されたくないと願った結果、ディーヴァ限定で侵入できない結界が張られました(広さは近畿地方全体がスッポリ収まる程)
ただし霧切が死亡・魔女化した場合は結界が消滅し、ディーヴァが捕食などで霧切のエントロピーを上回ったりしても結界は破られます
【キュゥべえ@魔法少女まどか☆マギカ】
【状態】ダメージ(特大)、他の個体が全滅
【装備】なし
【道具】支給品一式
【思考】基本:女性参加者全員を魔法少女にする(ディーヴァは例外)
0:身を守るために苗木に保護してもらう
1:ディーヴァ……あれはいったいなんだったんだ?
2:念願の霧切響子と契約できたが……
3:必ず鹿目まどかとも契約してみせる
4:母星と連絡出来るまでは生き残る
※気絶していたのでデカオが苗木に殺される瞬間を見ていません
【姫川友紀@アイドルマスターシンデレラガールズ】
【霊烏路空@東方Project】
【クライシス皇帝@仮面ライダーBLACKRX】
【南光太郎@仮面ライダーBLACK】 以上四名全員完全捕食・死亡
【ネオ・クライシス帝国】 消滅
【大山デカオ@ロックマンエグゼ】 全滅により分裂ができず、これ以降登場不可。支給品扱いなので放送で呼ばれず、苗木のキルスコアも増えません。
※死国は完全に轟沈しました
【二日目・12時30分/大阪府 市街地外地下】
【矢車想@仮面ライダーカブト】
【状態】気絶中、 ダメージ(大)
【装備】ライダーベルト&ホッパーゼクター@仮面ライダーカブト
【道具】支給品一式、その他不明
【思考】
0:…………
1:光太郎、空を地獄兄弟の弟、妹にする
2:上記のために、光太郎たちについていく。(率先して戦うつもりはない)
【葉隠康比呂@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】
【状態】ダメージ(大)、疲労(小) 、気絶
【装備】ビーストドライバー@仮面ライダーウィザード、専用の指輪一式
【道具】支給品一式
【思考】基本:生存優先・対主催(対主催をすれば生き残ると占いで出たので)
0:気絶中
※二人共地下に隠されているため、大阪府に咲いたフロワロの毒素の影響を受けません
【二日目・12時30分/沖縄県】
【テラカオス・ディーヴァ@テラカオスバトルロワイアル十周目】
【状態】健康、首輪解除、救世者としての自覚、厨二病、火水土風木電聖耐性(強)、薬物耐性(弱)、闇核属性吸収、嗅覚と聴覚、肉体強化、有翼、キングストーンにより徐々に能力向上
【装備】シンフォギア・天羽々斬?(異常に禍々しく変化)@戦姫絶唱シンフォギア?、キングストーン、サタンサーベル
【道具】支給品一式 、スマホ、ストロング・ザ・武道の竹刀、予言の書(本物)
【思考】基本:世界をカオスにする
0:予言の書? なんだこれは?
1:拳王軍を追跡し、救う(喰らう)
2:この宇宙から全ての者を救い尽くす(喰い尽くす)
3:攻撃力だけでなく、脆い肉体を強化できる者(ダオス等)を喰い、より高みに至りたい
4:何故皆救済を拒む? まるで意味が分からんぞ?
5:私はまだまだ弱い、もっともっと強くならねば……!
6:高いエントロピーを持つ霧切はいつか救いたい(喰いたい)
※風鳴翼・佐村ガウスフレミング02・天海春香・はるかさんの能力を継承しました
※
テラカオスとしては未完成のため、テラカオスバトルロワイアル十周目の死者の能力は現在使用不能、進化すれば使えるようになるかもしれません
※風鳴翼の容姿や人格を色濃く受け継いでいます、ただし、進化するにつれて失われる可能性があります
※ダルメシマンの人間の1京倍の嗅覚、ゼブラの聴覚と音操作能力を特に強く継承しました
※02氏の書き手としての能力を消失しました
※テラカオス候補者の一人である多木を食らった結果として力が大幅に増しています
※ニアラ×7及びVFDより、真竜の強靭な牙及び強烈な捕食衝動を色濃く継承しました。
これにより、空腹時は乗り物デザイン等の厨二病よりも捕食願望が優先されます。
※同じく真竜より、毒花フロワロ散布能力を継承&発動させました。現状関西及びディーヴァが向かう先に散布されています
※VFDを喰いましたが、ニアラ×7では他の真竜全ての代わりにはならないため第七真竜にまでは至っていません
※ジョンス及びラーメンマンより、多数の戦闘技術を継承しました
※キングストーンによって徐々に能力が向上しています(ただし空腹は収まりません)
時間が経てば、霧切の張った結界も破れます
最終更新:2016年11月13日 19:09