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ここは大阪の街。
そこはかつて拳王連合軍とホワイトベース組、そして裏で暗躍していた特務機関員、ホワイトベース組に加勢しようとしたネオ・クライシス帝国。
そして、拳王連合軍の預かり知らぬところでホワイトベース組とネオ・クライシス帝国を壊滅に追いやった貧乳歌姫が闘争をしていた場所だ。
その戦争は正に地を揺るがすほどの勢いであり、チート級と理不尽級……二体のガンダムの攻防、飛び交うメガ粒子砲と野球ボール、無駄に強いシグナム、ハクメン、貧乳などの参加者が暴れまわったこの街はいつ崩壊してもおかしくはなかった。
もはや日本の第二の首都という機能を失ったほど、大阪はボロボロだった。

そんな主戦場となった大阪の街の少し離れた街外れの地下には参加者である矢車と葉隠がいた。

「ムニャムニャ……俺の作った麻婆豆腐の味はどうだ、お空、光太郎……」
「やったべぇ……俺、占いを信じたら生還することができたべぇ……Zzz」

二人はハクメンや黒狸と一戦交えた結果敗北し、苗木によって保護されて地下へ匿われたのだ。
今は二人は呑気に夢の中である。
……自分たちが所属していた組織がほぼ全滅したことを知らずに。
だが、それもこれからの彼らには関係なくなるのだろう。


今、大阪に一つの風が吹き、今にも崩れそうだった一つのビルが倒壊し、更にドミノ倒し的にビルがビルを押すことで倒壊していき、それは矢車と葉隠の隠れていた場所へと向いていた。
凄まじい轟音を立てて崩れていくビル群。

「ハッ!?」
「もう食べられないべえ……」

その轟音に矢車は目覚め、一方で葉隠はまだ寝ていた。
目覚めたばかりの矢車には状況がわからないがこの場所が揺れていることから、とにかくまずいことだけはわかり、半ば本能的にゼクターに手を伸ばす。
少なくとも窮地を脱出するためには仮面ライダーに変身する必要があると思っての判断であった。
……が。

「ゼクターが無い!?」

あるはずのゼクターがなくなっていることに焦る矢車。
いったいどこへ行ったのかと視線を泳がせると……自分と一緒にいたもう一人の参加者、葉隠の口元へと辿りつく。

「苗木っち……このエビなんか硬い……Zzz」
「わー!!? 食うな馬鹿! それは食べ物じゃないんだぞ!?」

寝ぼけた葉隠が食べ物と勘違いしてホッパーゼクターを口に含んでいた。
焦る矢車は涎塗れになったそれをすぐに取り出して、すぐにベルトにはめ込んだ。

「……変身できない!?」

ここから脱出するための変身は叶わなかった……葉隠が一部のパーツを食べたり、涎で内部の機械を汚すことでゼクターが故障したのである。

万事休す……何が起きているのかわからないが、このままでは生きて妹であるお空と弟候補である光太郎に生きて会うこともできないだろう。
そう思うと自分に変身不能に追い込んだ葉隠を撲殺したい感情に駆られそうになった。

だが二人のいた地下に響くほどの轟音と振動は……収まった。

「……?」

いったいどうしたと思って天井を見上げる矢車であった。
矢車は知る由もないが、彼らは今、街外れの地下にいる。
彼らを隠した苗木は、戦場になった大阪の街のビルが倒れて二人が生き埋めにならないように街外れの地下へ移したのだ。
こうなればビルの瓦礫に潰れることはなかろう。
事実、ビルはドミノ倒しにはなっても矢車と葉隠の場所に届かず、振動と轟音が襲ってきたが、ビルの瓦礫に押しつぶさることはなかった。
そうならないように苗木が計算したからである。





……だが、世に計算外の事象というものは付き物である。


苗木の計算通り、ビルによる瓦礫の被害は確かに受けなかった。
だが、戦争による大阪の地盤が受けた被害までは計算外であったのか、瀕死状態だった地盤が多数のビルが倒れたことの重みと衝撃によってトドメを刺されて地盤沈下を引き起こし、ビキビキと大地に亀裂を走らせた。
その大きな亀裂は、街外れにまで届き、それは不幸にも矢車と葉隠のいる場所にも届いていた。

「う、うおおおおおおお!!」
「借金帳消し!? ありがとう十神っち! ……すぴー」

そして、先ほどのものすら超える振動と轟音が地下に鳴り響いた。
それはかつてはZECTの隊長として鍛え上げられた矢車すら立てるものではなく、にも関わらず葉隠は相変わらず眠っていた。
そんな彼らに地盤沈下によって生じた地下の瓦礫が襲いかかる!

「お空……光太郎!!」

せめて仮面ライダーに変身できれば窮地を脱することもできたのかもしれないが、後の祭り。
自分が岩塊に潰される寸残に矢車は妹と弟になれるかもしれなかった者たちの顔を思い出し、葉隠は最期まで自分が生還した夢を見ていた。

そして二人の男が天井から降り注ぐ岩塊によって潰れて混ざり合った麻婆豆腐のようになった。



【矢車想@仮面ライダーカブト 死亡確認】
【葉隠康比呂@ダンガンロンパ 死亡確認】

※二人の支給品は瓦礫に押しつぶされて全て使用不能になりました




今回の物語はもう少しだけ続く。
次は概ね同時刻で起きた二人の男の物語を見てみよう。






ハクメンと弦十郎が戦った場所の跡地。
そこには敗者である弦十郎が瓦礫に囲まれてポツンと倒れていた。
装者以外は倒すことができないノイズなど相性さえ悪くなければ、原作最強格の力を持っていた風鳴弦十郎。
しかし、そんな彼も自分を遥かに上回る実力を持つハクメンと、車が突っ込んでくるという予期せぬアクシデントにより満身創痍の怪我を負っていた。
ダメージ・疲労、共に極大。
治療する手段と長く休む時間がない死んでしまうレベルであった。
今の彼相手ならばモブ狂信者三人いればでも確実に殺すことは可能である。
それほどまでに弦十郎は弱っていた。

そんな彼が覚醒したのは大阪内の、彼がいる場所からは程遠い場所で多数のビルが崩れた瞬間だった。
その轟音により朦朧とした意識の中、弦十郎は半覚醒し、遠くで崩れていくビルを視界にいれる。

(ビルが崩れ……あそこに人がいるなら……助けに行かねば……だが、体が……)

朦朧とした意識の中でも彼の正義感とOTANAらしさは人命救助を優先しようとしていた。
だが、消耗しすぎた体の方が言うことを聞いてくれない。
今動けば確実に死ぬぞと、体が警告を発しているのだ。
弦十郎の意識は再び疲れから来るまどろみの中へ沈もうとしていた。



が、しかし。
そんな閉じかけた視界に一つのディパックが映る。
ハクメンに処断されたWゴローの置き土産であるそれはモゾモゾと動いていた。
中に生き物が、もしくは噂に聞く支給品として分別された人間が入っていると、弦十郎は予測する。
実際、中には支給品扱いでロワに参加させられた男、乾巧が中に入っていたのだ。
……それだけなら、この場は無視すれば良かったのだが、問題はディパックの周囲にあった。

燃えているのだ。
Wゴローが乗っていた車が両断されたことで爆発したが、それによって燃えた部品などの火種が周辺に広がり、誰かが入っているであろうディパックの周囲をメラメラと燃やしていた。
それだけでなくハクメンとの戦闘の過程で壊れた車や家屋……その中にあるガソリンやガスボンベにも引火しようとしていた。

(まずい……あのままではディパックの中にいる者が!)

彼に燃料やガスに引火しても距離が空いているため、弦十郎は巻き込まれる危険はない。
このまま寝ていて運が良ければ対主催に拾われて彼は助かるだろう。
動けば死ぬ可能性もある。
だが、炎で熱いのか、ディパックの中でジタバタしているであろう者を見ていると、自分だけ助かろうとする気には彼はならなかった。
弦十郎はOTONA故に。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

弦十郎は気迫と血反吐は吐きながら、疲労から倦怠感や眠気、己が肉体から来る危険信号さえ吹き飛ばして、脳内にアドレナリンを流して立ち上がった。
そして、燃え盛る炎に囲まれたディパックに向けて走り出し、一秒後にはディパックを両手で抱え込んでいた。
次の数瞬後、鍛え上げらた肉体と直感により炎がガソリンとボンベが爆発すると感じ取った彼は、高く跳躍した。
彼の直感通り、乾が入っていたディパックのあった場所は大爆発を起こした。
救い出すのがたった一秒でも遅ければ乾はディパックの中で爆炎に飲み込まれていたであろう。
弦十郎は次になるべく火事になりそうにない、地盤も崩壊しなさそうにない、マーダーもいなさそうな安全地帯を探し、そこへ降り立った。

安全地帯と思わしき場所へ降り立った弦十郎はそこでディパックのチャックを開けて、中から全裸の男……乾巧を救い出した。

「ゲホッ、ゴホッ……助かった……アンタが助けてくれたのか」
「ああ……良かった、無傷……ではないようだが、見殺しにせずに済んだみたいだな……」

乾が無事なのを確認すると弦十郎は浮かべた後にそのまま位置が切れた人形のように倒れた。

「お、おい!
……アンタ、すげえ傷じゃねえか。こんな体で俺を助けてくれたのか! 死ぬ気かよ!?」
「無問題、だ。それに「生きるのを諦めるなッ!」と弟子は言っていた。だから俺も死ぬ気はない」

乾が弦十郎の体を見ると、常人ではとても立っていられない傷を負っていることを知り、驚愕する。
こんな体を根気一つで動かしたのも驚きだが、何より死に体同然の肉体で見ず知らずの自分を救い出そうとしたことがもっと驚きであった。

「本当は自己紹、介とでも行きた、いところだが……流石にもう動、けそうにない。
少、し……休、ませてくれな、いか?」
「ああ、わかった。アンタはもう休んでくれ……本当にありがとな」

無茶をしすぎた反動なのか、弦十郎は今度こそ眠りについた。
自分を助けてくれた名も知らぬ恩人に乾も普段のぶっきらぼうさもなりを潜めて素直に感謝して、彼を地面に横にさせた。


まどろみの中で弦十郎は起きてからのことを考える。
今の時刻は何時なのかわからないし、暴走した姪が既に大阪にたどり着いているかもしれない。
だが光太郎たちは見込みと可能性のある若者たちだ。
さっき跳んだ時に一瞬ではあるが、港にあるはずの死国が沈んでいたのを確認したので、きっと自分の見ていないところではぐれた霧切たちと合流し、ホワイトベース組と連携して拳王連合軍を倒しているのかもしれない。
姪の翼に関してはどうなったか不明だが、ひょっとしたらこちらも既に光太郎やクライシス皇帝の活躍で止まっているかもしれない。
翼も優しい子なのだから、暴走して食人鬼化したのも何か理由があるのかもしれない。
願わくば元のSAKIMORIに戻って欲しいと願う。
だが、ここまでは憶測に過ぎない。
自分にできることは仲間を信じることのみであろう。

キュゥべえ、霧切、友紀 、矢車、お空、クライシス皇帝、そして南光太郎。
皆、殺し合いを止めるという一つの絆と正義を元に動いて戦い、きっと生き延びているだろう。
彼らは誇りある若者。
彼らなら絶望に挫けずに希望を持って戦い続けていると信じなくて何がOTONAだろうか。
――そう、弦十郎は思い、今度こそ弦十郎は眠り付いた。起き上がったらもう一度OTONAとして戦うために、戦士は休息に入った……

























そして、弦十郎はそのままグズグズに腐って、死んだ。





「なっ……!」

恩人が見る見る内に腐りだしたことに驚嘆し絶句した乾だったが、周りを見てすぐに合点がいった。

「この花のせいか……!」

短時間で腐乱した弦十郎と乾は多数のフロワロが包囲していた。
弦十郎は跳躍中という僅かな思考時間で火事も崩落もマーダーとの接触の危険も考えた結果、毒華が密集するここに着地してしまったのだ。
弦十郎はフロワロのことを知らず、元々意識が朦朧としていたので第六感が上手く働かなかったのだろう。

しかも、時間経過と主であるテラカオス・ディーヴァが南光太郎を食らった結果、エントロピーが増大して成長し、比較的古くに撒いた花は赤から黒へと変色していた。
赤でも十分危険だが、こちらは薬や抗体が間に合えば花粉を吸ってしまっても希望はまだある。
だが、黒は耐性のないものが吸ったり触れてしまえば、容易に腐ってしまうほどの猛毒性を持っているのだ。

弦十郎は原作一期ラスボスの攻撃すら渡り合える強靭な肉体を持っている。
もし健全な状態ならばフロワロの花粉も気合でどうにかできそうなほどだ。
だが、彼はハクメンらとの戦いで大いに消耗しすぎていた。
とてもフロワロの毒に対抗できる体力は弦十郎に残されていなかったのである。


「……本当にすまねえ、俺のせいでアンタを殺すハメになっちまったらしい」

乾は表情に涙こそ浮かべなかったものの、あからさまな悲しみを感じていた。
自分を助けたせいで恩人を死なす結果に繋がってしまった……乾と言えど、悲しくないわけがなかった。


「重ねてすまねえ……アンタに助けられたこの命も……もう持ちそうにない」

もはや腐乱して骨さえ見えてきた弦十郎の死体に謝ると、乾の裸体からも青白い炎が湧いてきた。
……それはオルフェノクである者が死ぬ時のサインである。

進化した人類であるオルフェノクはフォトンブラッド以外の毒への耐性も人間よりは遥かに勝さるだろう。
だが、今の乾巧は裸であり、ヒロインXに付けられた傷口もあちこちに残っている。
そこに黒フロワロの花粉を吸ったり、傷口から毒が血管に侵入されたりすれば、いかなオルフェノクとて死期を早めてしまう。
せめて体を外気からシャットアウトできる仮面ライダーのスーツがあれば防げたのもかもしれないが、ファイズギアは紫龍に破壊されており、変身はできない。
むしろ弦十郎に助けられずにディパックから出されずに爆発に巻き込まれた方がオルフェノクである彼が爆発によるダメージを耐え切り、ディパックも燃えて脱出を可能にし、弦十郎ともども生き延びれた可能性もある。
たった一つの頑張りすぎで、双方が死ぬ結果をもたらしてしまったのだ。

(苗木……俺はどうやらここまでみてえだ。
こんな滅茶苦茶な殺し合いでヒーローになれ、とは言わねえ。
……ただ絶望に負けずに生き延びろよ)

自分の死期を悟った乾は最後に、一人の少年の顔を思い出し、彼の無事を願った。
そして青白い炎が乾巧の体を包み込み、一気に灰と化して地面へとばら蒔かれた。
黒い花に囲まれた場所に残ったのは今も溶け続けている腐乱死体と灰、そしてファイズギアなどの支給品であった。




ある少女は『生きるのを諦めるなッ!』と言った。
ところが諦めずに戦い続けても、赤髪で巨乳持ち以外の死神は人の命を容赦なく奪い、耳元で囁くのだ。
『おまえは運に見放され、選択も誤った。命運は尽きたのだから諦めて死ね』と……


自分の死を含む悲劇を変えられなかった者たち……彼らにこの世界で行ける場所などなく、ただ因果という名の死神によって冥府に誘われるのみ……



二日目・13時00分/大阪府 市街地】


【風鳴弦十郎@戦姫絶唱シンフォギア 死亡確認】
【乾巧@仮面ライダー555 死亡確認】

※大阪の街にばら蒔かれれたフロワロがテラカオス・ディーヴァの成長によって赤→黒へ進化し、毒性が増しました
※たっくんと弦十郎が死亡した場所に不明品、ファイズギア(ベルト故障)、通信機などの支給品が散らばっています
最終更新:2017年06月22日 12:43