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沖縄――TCエネルギーが満ち人の生存領域ではなくなった場所。
気候は安定せずに荒れ狂い、時間は人々が感知できぬほどに乱れ、物理法則は意味をなさなくなった。
このような場所になった故に動植物は死に絶え元々あった道具すらも壊れ果てた。
幸いこの異常は霧切響子の張った結界により今の所外に漏れだす気配はない、これは結界が再構築された際TCエネルギーも吸収したことによるものだろう。

そして、この魔境にて相争う二人の影が舞っている。

一人はテラカオス・ディーヴァ、狂った救世主にしてすべての希望になりえる最初のテラカオス。
もう一人はテラカオス・ディーヴァ・シャドウ、何もかもが不明なTCエネルギーを纏いしディーヴァが滅ぼすべき存在。
そのような強大な二人が終わる地沖縄にて激戦を繰り広げていた。

「ハァ!!」
「……………」

ディーヴァの気合いの入った鋭き掛け声とともに繰り出される無数の技。それら全てが一撃必殺の威力を誇る。
それに対しシャドウはサタンサーベル・摸写を無尽蔵に振った、ただそれだけだった、しかしその後に不可思議な現象が起こった、
無数の斬撃がディーヴァの無数の技を迎撃したのだ。

「ッ!!」

全ての技が迎撃されディーヴァは奥で歯ぎしりしながらも後方に飛びのいた。
それをシャドウは迎撃することもなくただ見ていた、そして変わらず悠然と立っている。

(途轍もなき存在だ……私が思っていたほどにな)

幾度も行った交差の数秒の攻撃の連続、されどその全てをシャドウは迎撃し、すべてを無効とした。
己の摸写存在であるシャドウに有効な技をこの刹那の攻防で作り上げた技をだ。
最初に放った一撃を余裕で防ぎきられ心にかすかに残っていた摸写存在に対する慢心すらも捨て去ってもこれだ。

(ああ、だが感じるぞ私がこの戦いで成長する感覚を)

そう、この時間が狂った世界での戦いはディーヴァの実力は天才すら超える速度で成長していった。
刹那の中で生み出した技がその成長の一つと言ってもいいだろう。
だが、その成長ですらも未だシャドウの実力には到底及びはしていなかった。

「…………」

ディーヴァをじっと見ていたシャドウが動く気配を見せた。
それを感じたディーヴァは咄嗟に警戒態勢を取った、だがそれは何ら意味をなさなかった。
なぜなら、その警戒態勢ですら反応できないほどに速く、見れば顔が触れられるほどに距離を詰められていた。

「おおッ……!!」

しかし、コンマ一秒でディーヴァがシャドウに対し必死の攻撃を仕掛けた。
突飛ばし、ディーヴァが放ったその攻撃はシャドウを見事に突き飛ばすことに成功し、シャドウは勢いよく吹っ飛ばされた。
だが、ディーヴァはそれに対し少しの違和感を感じた。

「……どうゆうことだ」

そう、自分の無数の技を防いできたシャドウがここに来てディーヴァの攻撃をもろに食らってしまったからである。
普通であれば防ぎ、そこから攻撃を食らわせることができるだろう、ましてやシャドウほどの存在であるのなら。
だがシャドウはディーヴァの反撃になんらの行動を示さずに受けたのだ。

「もしや経験は模倣していないのか?」

そう思い至り、ディーヴァはシャドウと戦った刹那の記憶を引き出していく。
そして気が付いたのだ今までの戦いでシャドウの攻撃は今までの自分の模倣であるということに。
あの無数の技を迎撃した無造作な剣の振りも己がやった振りとそっくりであったのだ。

「まだ生まれて間もない赤子のようなものか、それならば好都合だ」

ディーヴァはほくそ笑んだ、勝機はまだあるのだと思えたがゆえに。
素のスペックでは恐らくシャドウの方が上だろう、その事に関してはディーヴァは異論を持たない。
しかしである、経験は生まれながらに持てる物ではなく、ならば経験と言う一点ならばディーヴァは相手を上回るのだ。

「だがそうなるとすれば決着は早く済ませなければならないか」

そう、少しの興奮を抑えてディーヴァは結論付ける。
何故かと言われれば、シャドウもまた己と戦うことにより経験を得るだろうという確信があったからだ。
シャドウはまだまだ強くなる無限に――ならば阻止しなければならない。

「……終わらせよう、次の一撃にて」

ディーヴァは決意した、必ずやあのおぞましき存在を次の相対するとき、一撃で葬り去ると。
そうしてディーヴァは動き出す、シャドウが吹っ飛ばされた方向へと。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「……………」

吹き飛ばされながらシャドウは思考する、そう思考する。
本来、破壊の化身としてこの地に顕現した存在であるシャドウには本来必要のない機能だ。
だが、シャドウにはその機能が備わっていたのだ、そしてその機能がディーヴァとの戦いの末に完全な形で機能し始めたのだ。

「…………」

シャドウは思考する、なぜ自分がディーヴァに吹き飛ばされたのかと、スペックでは自分が上回っているはずなのにと。
高速で接近しぶつかる、そうすればディーヴァは死なずとも途轍もない重傷を負ったはずだ、シャドウの単純な力はディーヴァを上回っているのだから。
だが現実はそうならずディーヴァは無傷で自分が吹っ飛ばされている有様だ、幸いダメージは負わなかったが。
何が駄目だった、何がいけなかった、そう思考を続けに続ける。

「…………」

だがダメだ、思いつかないのだ何がダメだったのかが。
しかしそれは当然だった、何せシャドウは生まれたばかりの赤子に等しいのだ、それが経験であると気づけるはずではないのだ。
ならばと、シャドウに一つの思い付き浮かんできた。
そう、ディーヴァを徹底的に模倣することだ。そうすれば何か掴めるかもしれないと思い至った。

「…………」

最初に吹っ飛ばされているこの状況からの復活方法をディーヴァが行ったことをやってみることにした。
まず空中にて態勢を整え地上に足が付くように調整して、地上に足を付けた。
そしてそこから勢いを殺すためにしっかりと足に力を入れる、しかし足に力を入れてもなお勢いを殺しきれずに勢いよく後ろにスライドする。
沖縄の大地に大きなダメージを与えつつも更に足に力を入れて勢いを殺しきりスライドが止まった。

「…………」

完全に止まった後にそのスライドの後をなんとなしに見つめる。
そしてこう思った、もっとうまく止まれなかったのかと。
そこからシャドウは脳内でシュミレートし始める、どうやればもっとうまく止められたかを。
なぜこの思いが出てきたのかはシャドウにも分からない、だが必要だと何故かそう考えてしまう、シュミレートすることが。

「…………」
「――ようやく見つけたぞ」

ディーヴァの声が聞こえた直後にシュミレートを一時中断し前を見る。
そうすればディーヴァの姿が見えた。

「ここで終わらせる」
「…………」

その言葉とともにディーヴァは構えを作る、剣を主体とする構えだ。
それに対しシャドウもまた見様見真似でディーヴァの構えをまねる、その構えは完全に同じものだった。

「なるほど、今度はこれを模倣したか」
「…………」

ディーヴァがポツリとこぼし、シャドウは変わらずに何も答えない。
剣の構えと同時に静寂の時間が訪れた、その時間は数分か数時間か、壊れた時間の中の沖縄には正確に測れぬことだ。

「………ッ!」
「………!」

瞬間、二人同時に動いた、ディーヴァは己の今までの場数による勘にて、シャドウは相手に合わせて。
それは再びの一瞬の交差、しかし今までのように無数の技が飛び出すのではなくそれ唯の一撃で決まる交差だ。
ディーヴァは己の経験全てとTCエネルギーを吸収したが故に、シャドウはそのスペックゆえに。

「…………」
「…………」

そして、もはや人の領域を脱した一つの交差が終わり、両者ともに相手が立っていた位置に立っている。
暫くの静寂、その間二人は相手に振り向かずにいた。
そして暫くの地に体勢を崩し倒れる――シャドウ。

(紙一重であった)

そう心の中で呟くディーヴァ。
剣の構えの摸写、されどその模写によって己が使った剣のやり方をもすべて摸写しきったのだろう、あの一瞬ですべて理解できた。
そうあの一瞬、ディーヴァがシャドウとの戦いでの最高の一撃をシャドウは繰り出し再現してきたのだ。

(だがそれ位予測できることだ、それを形作ったのは己なのだから)

ディーヴァはシャドウがどの技を繰り出してくるのか分かったのだ、その技を繰り出す専用の構えをシャドウをしていたのだから。
だから、ディーヴァはあの一瞬の交差でシャドウがその技を繰り出した際、その技を最小限の動きで躱し、躱した直後に一撃を叩き込んだのだ。
しかしリスクはあった最小限の回避も動きを出来るかと言うことだ、二人の格闘家捕食していたとはいえこのような超高速戦闘では早々にできない動きだからだ。
だがそれを成し遂げ、ディーヴァは勝利者となったのだ。

「ああ、だがこの戦いとても良きものだった」

そう言ってシャドウの方を振り返る、振り返った先のシャドウは倒れた時から何とか片膝を付いている状態だ。
そこから動く気配も感じられない、しかし地とは違う黒色の水分を含んだものを流れ出していた。

「感謝しよう、この戦いで私はさらなる力を手に入れられた」

そう言って、一歩一歩シャドウに向かって近づいていく、今までの戦いを噛みしめるかのように。
今までの戦いの経験を己の者にするかのように。

「その感謝としてこの手で止めを刺そう、もっとも聞こえているとは思えないがな」

得意げに、余裕ありげに、しかし体に出ていないだけでその肉体は結構なダメージを負ってしまっている。
だがそれを覆い隠しての救世主だとディーヴァは思う。
そして、シャドウの近くにより。

「――さらばだ」

――そのサタンサーベルをシャドウの首に向けて振るった


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


シャドウの意識は混濁していた。
己が死んだのか、それともまだ生きているのか判断できないのだ。
だが一つわかることがある、己はあの一撃で今この状況に陥っているのだと。

「…………」

シャドウはその状況になっても一言もしゃべることはない、そのような存在であるからだ。
そして思考する、思考する、思考する。
この状況になって何の役に立つのか、だがそれでも思考をやめることはない、それが癖になってしまったのかとシャドウ自身は思う。

「…………」

諦めるという言葉をシャドウは知らない、それが破壊の存在として不必要だから、故に思考する思考する。
すると、何か見えてきた――それは光だった。

「…………?」

光――シャドウはそれに向かって歩き出すイメージをした、するとどうだろう光に向かって一歩前進したのだ。
コツを掴みシャドウはまた一歩、また一歩、前進する。
そして光のその先へとたどり着いたとき、シャドウは見た――生き生きとする者達を。

「…………………?」

シャドウは理解できなかった、なぜ人がいるのか、なぜみんな楽しそうにしているのか。
そうしてあたりを見回しているとピンクのロングヘアの女子が現れた。

「あら、新入りかしら?」
「…………?」

シャドウはその女性が言ったことが理解できなかった、自分がいた場所は人っ子一人いない場所だったからだ。
そんな場所にいた自分がなぜ人と出会っっているのかわからない、そうやって色々と困惑していると。

「あー、そりゃそうゆう反応もするわね私もそうだったし、……単刀直入に言うわあんた死んだのよ」
「…………!?」

死と言う単語が出てきてシャドウはさらに困惑した、そして納得もしたディーヴァの一撃はシャドウを殺しうる最高の一撃だったからだ。
だがそれならばなぜ自分は意識を保ってここにいるのかと次の疑問が沸いた。
そう考えるとピンクのロングヘアの女性が考えているのに気づかずに話しを続けた。

「そしてここは死者スレ、死んだ人たちが集まる場所らしいわ、……一回壊されたけど」

そのようにして語っていくピンク色のロングヘアの女性、しかしシャドウが死者スレの単語に反応した。
そう――ないはずの胸の奥がドクンと鼓動が鳴ったのだ。

「けれど安心して、死者スレに引っ越してた冥府の神様たちがここを再生させたからもう安全よ……って聞いているのかしら?」

聞いているように見えないシャドウにピンク色のロングヘアの女性は怪訝な顔をしてシャドウを見る。
シャドウは胸の奥の高鳴りがさらに大きくなっていくのを感じる、そしてこの胸の高鳴りがなぜ起こるのか、それを本能で理解した。
――ああ、そうゆうことか。

シャドウが笑みを浮かべた。

そしてシャドウはピンクのロングヘアの女性の腕を掴んだ。

「ちょっ、私が可愛いからっていきなり掴むとか――」

ピンクのロングヘアの女性は気づいた、シャドウの掴まれた方の腕が黒く染まっていくのを。

「へっ……」

何故だか理解できぬままピンクのロングヘアの女性は一気に黒に包まれた。
そして、ピンクのロングヘアの女性の女性を黒く包み込み終わってから一気にシャドウから黒きものが放出された。
それは死者スレを飲み干すほどの黒きものだった。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


――ディーヴァがサタンサーベルをシャドウの首に向けて振るった直後、シャドウが黒く光った。

「なに!?」

ディーヴァは驚き一目散に後方へと飛んだ。
そしてディーヴァが見たものは――シャドウが黒き光を纏ってゆく姿だった。

「なにが……起きている……」

ディーヴァにとっても理解不能だった、なぜ瀕死であったシャドウがこのようなことになったのかと。
だから見守ることしかできなかった。
そして徐々に徐々に光が一つにまとまっていき、一瞬大きく光り――散った。

「…………貴様は………誰だ……」

散った黒の光の先でディーヴァは驚愕しながら問うた、己が見た先の存在、シャドウだった存在に。
その顔はディーヴァの元となった人物風鳴翼とそっくりでありながら髪は黒く、肌は灰色だ。
シャドウだった存在はしばし沈黙し、口を開いた。

「私はテラカオスエネルギーの一部であり、自身を形作った者」
「自身を形作った……?」

そうディーヴァはオウム返しに聞いた。

「左様、概念のままではこの世界に干渉できぬゆえに」
「…………何が目的だ」

ディーヴァは目的を問いかける、気を許さず、警戒していつでも仕掛けられるように。

「無論――世界の破壊と再構築」

その一言が出た瞬間にディーヴァは一瞬にして動き出す、この敵を存在を殺すために。
だが、それと同時にシャドウだった存在は無表情のまま、手を動かす。
するとディーヴァの周りに影が出来――ディーヴァは叩き落された。

「ガハッ……!?」
「無意味なりや」

そうしてシャドウだった者の近くに二つの人影が現れた。
それは、死したはずの存在、風鳴弦十郎とウルフオルフェノクだった。
ディーヴァに反応しそうな風鳴弦十郎なにも反応せずそこに立っていた。

「この……気配……まさか、死人を……!?」
「左様」

ふっ、とシャドウだった存在は笑った。

「私は貴様の一撃で生死を彷徨った、だが私はそのおかげでたどり着いた死者スレに」
「死者スレ……」
「左様、このロワイヤルにて戦い散って行った者達が集う場所だ」
「まさか……!」
「その通り、貴様のおかげで私はさらなる力を手に入れた、そう死者を召喚し意のままにすることができる」

ディーヴァは驚愕した、まさかそのようなことが起こるとはまったくもって思ってもいなかったのだ。
だが、それは仕方のないことだまさか死してそのような能力を得るなど普通は考えられないことだ。

「……もしくは私は死者スレを掌握するために生み出されたのかもしれぬな」

そうぼそりとシャドウだったものは呟いた直後、
ディーヴァは立ち上がった、なんとしてでもこの存在を滅するために。

「…………お前は生かしておけない」
「ほう、それはなぜか」
「私は多くの者を救済せねばならないからだ」
「そうか、ならば乗り越えてみよ」

そう言ってシャドウだった者は武器を生成して見せた、それは聖約・運命の神槍――死したラインハルト・ハイドリヒが使用していた武器。
それをディーヴァに向け、黄金の光線を発射した。

「……ツッ!?」

ディーヴァはその光線が自信を滅ぼして有り余るものだと勘ずき全力で回避した。
だがその回避した先で使役されている風鳴弦十郎とウルフオルフェノクが襲い掛かってきた。

「クッ」

それを危い動きで回避し、反撃として核攻撃を光線として発射した。
ドォンと言う派手な音共にディーヴァは体勢を立て直した。
そして撃った方を見れば、二人は今だに健在であった。

「……どうやら、仕留め損ねたようだな」
「だが見事、ギリギリの所で回避し二人が被弾する場所を一瞬で狙うとは」

そう、よく見れば二人は回避しきれなかったようでボロボロであった。

「クク、その実力と私の力の半分を持っている者達を此処までにするのはさすがと言ったところだ」
「ありがたいものだ」

そう言って警戒する態勢を崩さずに油断せずシャドウだった者を観察する。
どこかに逆転できるところはないかとじっと見つめる。

「無意味なり、いくら見たところで逆転は叶わず」
「……それはどうかな?」
「ほう?」

ディーヴァが発した一言にシャドウだった存在は興味深く反応した。

「疑問に思っていたんだ、なぜ力を得たお前が一気に勝負を付けずこんないたぶるような真似をするのかと」
「それが私の趣向だからではないのか?」
「いや、それはない、なぜなら貴様は破壊する存在だだから私は救わず貴様を滅すると決めた」
「ほほう、それで?」
「お前が持っている感情、だがお前の本質は破壊だ、決していたぶるなんて感情は出てこない」

一息、ディーヴァが言いを吐いて吸った。

「そしてその力を得たお前ならば私など一瞬にして滅ぼせる、そしてその二人の従僕も私を滅ぼせるほどの強化できるはずだ、だがそうはなっていない」
「ふむ」
「だからこう考えた――お前は死者スレを完全に掌握できていないのではないか?」

そう言った瞬間、シャドウだった者が大きな声で笑った。
見破られたと、そのような思いを込めながら。

「見事見事、短時間でよくぞ見破れた、それもまた私の対存在でもあるからかな?」
「どうだっていいそんなことは」
「うむうむ、確かに私は死者スレを完全に掌握できていない――死者スレで抵抗されているからだ」
「抵抗か」
「うむ、だがその抵抗も時間の問題よ、なんせ私のリソースの大半を死者スレ掌握に使っているからな」
「そうか、ならば勝機は見えた」

そう言ってディーヴァは二っと不敵な笑みを作った。
強がりだ、ただの。

「大半のリソースを貴様は作っているのだならば私でも滅せる」
「ふふ、やってみるが良いさ」

そう言ってシャドウだった者は風鳴弦十郎とウルフオルフェノクの二人を前面に押し出し自身は後方援護をする構えに入った。
ディーヴァは今ここに存在するTCを体を壊さないギリギリまで吸収する。

(ああ、そうか何故私が今ここに居るのか、わかった気がする)

そう思い、TCを吸収しきった直後に、二人が攻撃を仕掛けてくる。
まずウルフオルフェノクがディーヴァですら捉えられないスピードで接近する。
それに対しディーヴァは静かに接近する瞬間を待ち――吸収したTCをエネルギーに変換。

「フッ!!」
「!?」

変換したエネルギーを放出し、一時的に能力を向上させてディーヴァはウルフを捉え接近してくる場所を先読みし。
そのまま到着するのと合わせるようにしてサタンサーベルを振りぬいた。
ウルフはその攻撃をもろに受け、切られた真っ二つに。

「!!」
「クッ!」

だがその手ごたえを感じる前に弦十郎が急接近し発勁の一撃、正拳突きを放つ。
その攻撃をディーヴァは紙一重で回避する、だがこれは読まれ弦十郎はすぐにキックを放つ。
この攻撃を回避しきれずディーヴァは吹っ飛ばされる、しかし空中で姿勢を立て直し両手をフレミングの法則に変え。
その両手から接近せずに使用できる飛ばしフレミング法則から発生する電撃を飛ばした。

「…………」

その電撃を冷静に弦十郎は回避する、だがそれこそが狙いだった。
回避する場所が予測道理の位置であることを把握したディーヴァは再びエネルギーを放出。
回避場所に両手がフレミングの法則のまま突っ込んでゆく、そして弦十郎にフレミングの法則が直撃した。

「フン!」

そのままディーヴァは電撃を発生させ弦十郎を殺そうとし――黄金の光線が発射された。

「チィ!」

再びエネルギーを放出し光線の範囲外まで高速で後退する。無論ディーヴァとの戦いで重傷を負った弦十郎は回避できずに巻き込まれた。

「ひどいことをするものだな」
「死者ゆえに、私が呼べばまた復活する」

そう、この戦いで召喚された者は死人であり再召喚もたやすいためこのような方法を取れるのだ。
所謂支給品と同じ扱いのため放送でも呼ばれることはない。

「ではこのまま続けてゆこうか」
「チッ!」

シャドウだった者は聖約・運命の神槍から次々と黄金の光線を連射した、それをディーヴァは回避していく。
そうしながら徐々に接近していく、が。

「なるほどでは、これはどうであるかな」

そうしてシャドウだった者は四源の舞を発動、それで強化されたのは無論黄金の光線。

「やって、見せるともぉ!!!」

それに対し極太となった黄金の光線をディーヴァは翼を広げ空を飛ぶことで回避に移る、極太光線が当たらぬ場所まで。

「ツッ!!」

ギリギリであったが光線を回避することに成功、だが完全にとはいかなかった。
極太であり尚且つ強化された光線はその余波でディーヴァを着実に削ったのである。

「だが、空を飛んだことは無駄ではない」

空を飛ぶディーヴァはシャドウだった者に対し翼をはためかせ一気に急降下を開始した。
急降下しているときに捕食したお空のスペルカード強烈に発光させてを発動させる、それは「ヘルズトカマク」。
発動した直後、シャドウだった者の左右をふさぐ巨大な恒星弾を出現させ、そこから全方位に光弾をまき散らす。

「ハッ、笑止」

しかしシャドウはそれに対し慌てることなく神槍をまるで血を落とすかのように振るう。
すると、全方位にまき散らされた光弾も巨大な恒星弾もその振るいにより霧散させられてしまった。
だが、シャドウだった者は気づいたディーヴァがいないことに。

「むっ、どこへ?」
「………!!!」

ディーヴァは無言の気合と共にサタンサーベルをシャドウの後ろから横向きに振った。
その行動はシャドウだった者の不意を確実についた。
サタンサーベルが大きくシャドウだった者の体に傷を付けた。

「クッ……!」
「逃がさん!!」

そのまま離脱しようとするディーヴァにシャドウだった者はサーシェスの触手髭を展開、そのままディーヴァを捕らえる。
ディーヴァを捕らえて触手髭を左右自由自在に操り、ディーヴァを連続で地面にぶつけまくった。
さしものディーヴァも連続でしかも勢いよく地面にぶつけられたて無事なわけもなく。
全身から血があふれ骨は骨折した、驚異的な自己再生能力が追い付かないほどに。

「さあ、終わりにするとしよう」
「…………」

シャドウだった者がそう呟き触手髭にディーヴァを己の元へ連れてこさせた。
それにディーヴァは無抵抗だった。
ディーヴァの体をシャドウだった者は手を使って浮かせる、その動作は嘗てのアナキンのジェダイそしてシスが使っていたフォースの使用方法だ。

「感謝しよう、貴様のおかげで私は己の本分を果たせそうである」
「ああ……そうかい……!!」

この状況になっても不敵に笑うディーヴァにシャドウだった者は疑問に思う。
なぜそんなに笑っていられるのかと。

「……いや、詮無きことだ」

そう言って神槍をディーヴァに向ける。

「貰うぞ、貴様の魂」

そして、神槍をディーヴァに突き刺す前にディーヴァから膨大なエネルギーを感じた。
だが、シャドウだった者が気づいた時にはすでに遅く――ディーヴァから金色の焔が発射された。

「!?、ガァァァァ!?」

ディーヴァの全身全霊をこめた一撃は何もできないと思っていたシャドウだった者に直撃した。
シャドウだった者が金色の焔に飲まれ、数分性質ディーヴァは地上に落下した、あたりに煙が立ち込める。

「ふっ……最後の最後に油断したのがお前の敗因だ」

ディーヴァがそう金色の焔を発射した場所に目を向けながら言った。
だが、ディーヴァも無事ではないあの焔を放った反動のせいでまともに立ってなどいられない。

「このまま自己再生するのを待つか……しかし、ここまで消耗されるとはな」
「――ああ、私も予想外だとも」

その言葉が聞こえディーヴァはぎょっとし、すぐさま顔を上げる。
すると煙が晴れた場所そこには全身ボロボロながらも歩いてくるシャドウだった者がいた。

「なぜだ……」
「あの一撃は確かに効いた、私が消滅を覚悟するほどにな」

そうディーヴァを称賛する。

「だが、私は死者スレに割いていたリソースの多くを私が模倣した貴様の能力、そのうちの自己再生に当てたがゆえに耐え切った」
「…………」
「おかげで死者スレの掌握がさらに遅れるが致し方なしよ」

シャドウだった者は手をかざし自分がいる場所に引き寄せるように手を動かした。
するとディーヴァが一気にシャドウだった者がいる方向へと引き寄せられる。
そして、ディーヴァはシャドウだった者が取り出した聖約・運命の神槍によって串刺しにされた。

「ガッ……!!!」
「頂くぞ、その魂」

神槍に魂を吸い取られる感覚をディーヴァは感じた、そしてそれがまずいことも。

「グゥ……な、ガハッ……!」
「抵抗は無意味だ、大人しく吸収されるが良い」
「だ、れがぁ!」

激しい感情を発露したディーヴァにTCが集まってゆく。
これにはさすがにシャドウだった者も驚愕した。

「まだ、まだこれほどのことができるとはな!」
「うおぉぉぉぉぉ!!」

だが、どれほどTCを集めようと最早ディーヴァに勝ち目はなく、だからこれ以上の強化を防ぐ。
即ち、己の肉体を破棄し魂を飛ばす術を実行する。

「ハッ、無意味、そのようなことをしたところで結局のところ私に吸収されるだけなり」
「それはどうかなぁ!!」

ディーヴァがやろうとすることの意図を見破り、無意味と嗤うシャドウだった者。
だがそれでもディーヴァはやめることはない、救世するものである自分がこのような破壊の権化ともいうべき存在の力になるのはごめんだからだ。

「ハアァァァァ!!」
「クッ、まさか本当にやり切ると言うのか」

少しばかりシャドウだった者が動揺する、そして魂を吸い取るスピードを速めた。
だが、それでも間に合わずに。

(道半ばに倒れるのは無念だ、ならば次に託すとしよう、次の『私』よ成し遂げろ)

その思いと共にディーヴァと言う存在は消え去った。

【テラカオス・ディーヴァ@テラカオスバトルロワイアル十周目 消失確認】


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「………ああ、まったく最後の最後までやってくれたものよ、怨念の集合体にして混沌と殺戮と言う存在では私に敵わぬというのに」

シャドウだった者が愚痴をこぼす。
ディーヴァ最後の抵抗により魂の吸収は規定の3分の1になってしまったからだ。
これでは完全に力が発揮できるようになるまでどれだけ時間がかかるのやら。

「死者スレの掌握に自己回復、やれやれリソース管理が面倒になってしまったがやむを得ないか」

そう言って椅子を生成し座る、この程度の生成ならばシャドウだった者は容易になしえるのだ。

「さて、あの存在が放出した魂いずれ実体化しどこぞへと落ちるだろう……その前に潰しておく必要がある」

呟きチラリと沖縄の外を見る、シャドウだった者は忌々しそうな顔をした。
そう、霧切響子によって張られた結界が再生し更に強固になっていることに。

「ああ、忌々しきかなこの結界はあの者を模倣し魂を吸収した私にも反応するとはな、それにTCを吸収し強固になっておるわ」

吐き出した、ふぅと一息つく。

「テラカオスエナジーは本来中立的な物、善も悪もなし強き思いに反応するが、これほどとはな」

今のシャドウだった者ではこの結界は壊せない、そう感じるほどに強固になっていたのだ。だからこそあの激しい戦いにも耐えたのだろう。
だが力を取り返したならば分からないが。

「だが、私以外の者には無効と言う事らしいな、ならば」

指をパチンとならす、すると三人の死者が召喚された。

「行け、あの者の魂を破壊せよ、ただし単独行動は控えよ貴様たちは私の眷族になり強化されたがそれでも殺されることがあるからな」

召喚された死者たちはその言葉に頷き、そのまま魂の追跡を始めた。

「これで今は良しか、だが召喚できる死者が三人だけとは参ったものだ」

椅子に座りながら呟き空を見る。

「さて、私が世界を滅ぼすかそれとも時間切れとなり大災害が世界を滅ぼすか、それとも人が勝つか、結末はどうなるか」

二日目・15時30分/沖縄県】

【シャドウであった者@テラカオスバトルロワイアル十周目】
【状態】ダメージ(大)、疲労(大)、休憩中、弱体化
【装備】聖約・運命の神槍@Dies irae 他不明
【道具】不明
【思考】基本:世界の破壊
0:あの者の魂の破壊
1:死者スレの掌握
2:体力と傷の回復
※シャドウが現れた沖縄ではTC値が増大しています。
※ディーヴァの捕食した能力も込みで持っているようです。
※死者スレを掌握、しかし掌握途中のため使える能力には制限がある模様。
※死者たちの召喚や使用していた装備なども使用可能、ただし掌握途中の為、制限あり。死者召喚は三人まで。
※死者スレ掌握及びディーヴァとの戦いでの傷を癒すのにリソースを割いているため弱体化中。

※テラカオス・ディーヴァの魂はどこかでいずれ実体化する模様。
※それを召喚された死者が追跡中、召喚された死者は道具扱いの為アナウンスされない。
※召喚された死者は誰かは不明。
最終更新:2018年01月11日 17:28