アットウィキロゴ
6/らに安全と判断され苗木・霧切・キュゥべえはアウラのドラゴンの背に乗り、空でイチリュウチームとの平和的な接触が果たされるかに思われた。


「その娘と……ツバサを会わせるなあ!!」


それが二人と一匹を見た時のアナキンの、焦りと怒号の混じった第一声である。
元ジェダイの騎士にしてシスの暗黒卿、アナキンはフォースの力によって接触してきた苗木・霧切・キュゥべえの心を読んだのだ。
内二人は個人的復讐や生存に関する打算的な思いがあったのは確かだが、少なくとも世界の破滅――大災害を招きたがるような者ではなく、接触は有益と判断できたが、問題は残る一人である霧切。
彼女の心は崩壊しかけており、トラウマの原因であるツバサを引き合わせたら最後、確実に崩壊することがわかった。
絶望したら魔女になる魔法少女ならトラウマの火に油を注ぐことになる。

だが、アナキンの忠告は遅く、霧切はイチリュウチームに匿われているツバサを見てしまい……発狂、ソウルジェムは一瞬で真っ黒に染まり、砕けた。

「やめるんだ、霧切さ――」
「キョウコ……なにを、きゅっぷい――」

今にもツバサに飛びかかろうとした霧切を苗木は抑えつけようとするが、彼は触れた瞬間に彼女から溢れ出る魔力で一瞬にして蒸発。
せめて彼がダイヤの指輪に似た魔法石の効果を知っていれば結果は変わったかもしれない。
続いて近くにいたキュゥべえもまた、蒸発した。
キュゥべえは人間と違い、心や感情を理解できないために、ツバサを会わせた場合のリスクを予測できなかったのだ。

『キュゥべ……苗木ク……うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!』

自らが原因で、親友二人を殺してしまったことにも魔法少女の絶望を加速させる。




私はただ、この世界の謎を解いて希望を見出したかっただけなのに――




その思考を最期に、霧切響子は絶望で死んで、魔女として生まれ変わった……
そしてイチリュウチームは咄嗟の判断で脱出できたラミレス・ホルス・ふなっしー、そしてツバサを除いて脱出不能の結界の中に閉じ込められた。

 □

魔女誕生による魔力だけで100名近いアウラの民が命を落とした。
姫巫女であるサラが民の死を嘆くが、クリスとシマリスは彼女を立たせようとする。

「なんてこと……また、多くの民が」
「サラ! 悲しみたいのはわかるが、手を止めてる場合じゃないぜ!」
「あの魔女をやっつけないと、ぼくらは全滅でぃす!」
「ええ……わかっています」

魔女の誕生から30分が経った。
幸いというか、ここまで生き延びたイチリュウチームのメンバーは猛者が揃っていただけに、ある者は直感的に回避し、ある者は優れた耐久力で、ある者は強い運に助けられ、またある者は野球による技術によって誕生時点で死亡したメンバーはゼロであった。
だが、そこからが真の戦いの始まりであった。


霧切が巨大な魔女……宙に浮いている落書きのような希望ヶ峰学園のような見た目をしたソレは、体から出す魔力の結界でイチリュウチームを閉じ込めていた。

イチロー、ナッパ、6/、クリス、シマリス、ガレオン級のような火力に優れ、または遠距離攻撃ができるものは魔女に攻撃をしかける。
仲間になるかもしれなかった少女を攻撃するのは気が引けるが、アナキンと蛮の見立てによると魔女化した時点で霧切は既に死に、魔女は呪いの集合体でしかないと教わり、殺すことこそ霧切のためだと言われたため、仕方なく総攻撃を開始することにした。

レーザービーム、ジャイアントストーム、クルミボール、バレットパーティー、無数のクルミと火球が魔女に直撃する。

「……む、無傷!!?」
「なんて堅牢な結界なんだ! 俺のレーザービームさえ通用してない!」

だが魔女を守る結界は……彼らの総攻撃すらものともしなかった。
基本的に火力が控えめな胡桃使い二人、まだ発展途上のシンフォギア装者であるクリス、モブドラゴンならまだしも、イチローの魔王すら一撃粉砕せしめる投球やスーパーサイヤ人の攻撃さえものともしないと言えば、どれだけ規格外な結界かわかるだろうか?
更に言えば自分たちを閉じ込めている結界そのものにもイチローは既にレーザービームを投げたが、通用しなかった。
それと同じレベルの防御結界が魔女にも敷かれているのだ。

そして、魔女側からも反撃のロケットみたいな形状の魔弾が地上のイチローたちに降り注ぐ。
ロケットの威力はガレオン級たる大型ドラゴンが一発で消し飛ぶレベルであり、サイヤ人でもない限り直撃は死を意味していた。

だが前線に立つイチローたちはバット・エネルギー弾の乱射・胡桃・銃弾によって迎撃や回避に転じ、雨あられのように降り注ぐロケットを死人を出さずに切り抜けた。

「……こんな状況じゃなきゃ良い野球の練習になるんだけどね」
「言ってる場合か! アンタやナッパの攻撃でもダメって……どうすりゃいい! このままだとジリ貧だぞ!」
「焦るな6/、今度は一点集中で攻撃してみよう、どこかに弱点はあるハズだ」

なんとか戦線を奮い立たせようとするイチローであったが、彼自身もまた形成が不利であることは理解していた。
ドリスコルが乗るグレートゼオライマーでさえレーザービームの直撃には耐えられなかったであろうが、今度はそのレーザービームが直撃しても倒れない敵が現れたのだ。
宗則のようなホモ愛……もといメジャーリーガーのようにレーザービームを爆発する前に受け止められる存在もいなくはないが、直撃を受けて無傷な敵はこれが初めてである。

(この戦い……真正面からじゃ勝てないかもしれない、どうにか脱出口を見つけてくれ蛮!)




「はあ!」

イチリュウチームの後方ではアナキンがおり、双剣でイチローたちが迎撃しきれなかった魔女のロケット攻撃を斬り払う。
さらにその後ろでは蛮・はやて・サラの三人に数名のアウラの民が、穴を掘っていた。
塹壕作り……ではない。塹壕程度では魔女の攻撃で地面がめくれ上がってしまう。
魔女霧切から発せられた結界は地表のみで地下には及ばないのではないか?、と考え、地下から脱出口を作ろうというのだ。
結界の外に出れば、閉じ込められている時よりは希望があるし、最悪イチローでも倒せない敵から逃げてしまうことも可能になる。
魔女も都庁の勢力と合流できれば対処法もあるかもしれない。
首輪を外しているとはいえイチローたちの体力は無限ではないので、急ぐ必要があった。


「メタグロス、コメットパンチだ!」

蛮の指示によりメ6/から借りたメタグロスから放たれる強烈なパンチによって地下に大穴が空いて行く。
何発か打ち込み続け硬い岩盤やコンクリを砕いた結果、どこかの地下鉄トンネルへの道が開けた。
それはおそらく、結界外の場所にも繋がっている。

「やったで! これで皆を外に……」
「待て!」

脱出路が見つかったことにはやては喜び外へ踏み出そうとするが、蛮が制止をかける。
実際、蛮の直感通り、はやてのぬか喜びとなった。
明かりを灯すとその地下通路に繋がる道にも魔女による結界が敷かれていたのだから。

「そんな……」
「やはり異形となった彼女を討つ以外、道はないのでしょうか……」

どうやら結界は魔女を中心に、障害物に関係なく一定範囲内に設置されるようだ。
無理に突破しようとすれば苗木たちと同じく蒸発するだろう。
はやてとサラ、蛮、ついでにメタグロスは苦い気持ちを抱きながら仲間に報告するために、溜息を吐き肩を落とすように地上に戻った。



一方、地上。

「……耐えきるだけならなんとかなりそうな気もする」

そう呟いたのは6/である。

「何を言ってるでぃすか、どうみてもピンチでしょうに!」
「待て待て、冷静に状況を考えてみろ」

一見、状況を呑み込めてように見える台詞だが根拠はある。

「確かに攻撃力や防御力は理不尽だが、肝心要の攻撃は大味だ。
アウラの民やまともな装備がないサラとはやては流石に苦しいが、他の面子なら防いだり弾いたりするのは余裕だ」

実際、魔女の攻撃はロケットらしき砲弾を乱射してくるだけ、避けるだけなら一定の実力があれば苦労はしない。

「外の様子はわからねえが、結界から脱出したラミレスやツバサたちは確実に生きている。
あいつらが都庁に辿りつき、都庁の連中が狂信者の攻撃を凌いで勝利していれば、救援も来てくれて外側から魔女をやっつけてくれるかもな。
となるとイチローやナッパで倒せねえ、蛮たちの脱出路を探す作戦もダメなら、俺たちがとる道は持久戦!
敵も魔力は無限じゃないだろうし、耐えきることなら勝機は見える!」
「そうですか……そう思うと少し気が楽になるでぃす」
「そうだ、最後まで希望を捨てちゃいけねえ!」

6/の持論は多少強引かもしれないが、シマリスや他の仲間にも光明を見せた。
都庁同盟軍からの救援が来るのなら、手数が限られているイチリュウチームよりは魔女を退治する手段があるかもしれない。
攻撃も脱出もダメだとわかったならば、それに絶望するよりは、終わらない戦いはないことを信じて耐え忍ぶ道を選べば希望も見えたのだから。









――そう、うまくいくかしら?






6/は油断していたわけでも、魔女がロケット以外の攻撃を持っている可能性を忘れていたわけではない。
相応の覚悟、注意、予測を立てたからこそ皆の前で希望を口にしたのだ。
彼の不幸は魔女のもたら絶望は予測を遥かに上回っていたことにある。


「な、なんじゃこりゃあ!」
「6/! うわああああ!」

突如、6/の足元に魔法陣が現れたと思いきや、彼を中心に新たな結界が現れて仲間たちを押しのけるように追い出した。

「俺の周りに結界が!」
「助け出すんだ!」
「クソッ! 伝説のスーパーサイヤ人になった俺の力でもビクともしねえ!」
「ソウルエッジとソウルキャリバーでもダメだ!」

イチローたちは大慌てで結界に閉じ込められた6/を救い出そうとするが結界は割れる気配を見せない。
当の6/も内部から胡桃を投げて対抗するが、抵抗は無意味だと言わんばかりに胡桃を弾く。

「これは魔女の攻撃……!? どうすれば……」
「6/! 後ろだ!」
「え?! がッ!!」

仲間の忠告も虚しく、6/は閉じ込められ呆然としていた隙に何者かに羽交い絞めにされた。
彼を捕まえたのは魔女が生み出す『使い魔』であり、それらが地面から複数這い出て結界の中の胡桃使いを捕えた。
使い魔はいずれも禍々しい落書きのようなタッチで描かれた霧切に似ていて、いずれも6/レベルの腕力では追い払うことはできなかった。

そして使い魔の産み主である上空の魔女霧切から声らしきものが発声された。


――オシオキターイム!


……ノリノリの青狸みたいな声で。



『胡桃千本ノック、行きます』


使い魔がそう告げると、本当にいつの間にかの内に一体の使い魔の恰好が野球のユニフォームさながらとなり、6/から奪った千個の胡桃でノックを始めた。
明確な殺意と共に打ち出された球は動けなくなった6/に、正確無比に向かっていく。

「げふッ、ぐあああ!」
「6/、やめろおおおおおおおおお!!」

6/の顔や腹に打球が命中し、肉体を抉りながら流血させる。
そこから魔女の言った「オシオキ」とは「処刑」のことだと察した仲間たちは彼を助けるため(特にナッパは)自身の消耗を度外視して助け出そうとするが、結界は一切の揺らぎを見せなかった。

外にいる仲間たちの頑張りを嘲笑うように、内部での胡桃ノックはさらに威力と速度を増していた。
もはやノックというより速射砲であり、一秒間に何発打っているかわからない胡桃はいずれも6/に全弾直撃。
200発目までで歯の八割が折れて、400発目で両目を失明させ、600発で左足が複雑骨折し、800発目で選手生命である右手を失った。
そして900発目までに6/は悲鳴を発することもなくなり……

迎えた最後の1000発目では、全身から血を垂れ流すボロボロの革袋のようになっていた。

「6/……そんな……」

6/の死に仲間たちは失意を覚える。
もう何度目かわからない喪失のショックがイチリュウチームの心を抉った。








「か、……勝手に殺すなよ」



「6/!」
「生きてた! まだ生きてるでぃす!」

否、死んだと思われた6/は、まだ生きていた。

「この俺が、げほッ、胡桃で死ぬことはあっちゃならねえ」

胡桃使いである6/は胡桃を受けながらも、飛んでくる胡桃の角度を計算し、僅かな微動で最もダメージの少ない部分にあたるよう調整していた。
それでも虫の息だが、千本ノックを確かに凌いだのでである。

「嘆くなよナッパ、シマリス
俺は志半ばで倒れたハラサンや仲間たちのためにも、選手が野球をしないまま死ぬわけには行かねえんだよ!
必ず、イチリュウチームが優勝して、預言も完遂して、ツバサが世界を救うところを見てやるんだ!」

血反吐を吐きながら苦し紛れでも、声を絞り出す6/。
彼の宣言には一欠けらの闘志の鈍りも見せなかった。
そんな彼が仲間の視線を受けながら負傷も無視して立ち上がろうとする。

今、彼は東京と千葉の県境で最も目立っていた。
不屈の闘志を持つ野球選手◆6/WWxs901s氏にイチリュウチームとアウラの民の皆が注目していた。







『ハイ、通行の邪魔です』
「ぎゃッ!!?」

千本ノックを乗り越え、皆の注目を浴びていた6/の闘志は虚しく。
いきなりやってきたリリーフカーに高速で衝突され、彼の肉体は胡桃のカスか肉片かわからないくらい粉々になった。
彼の死と一緒に、彼を閉じ込めていた結界も消えた。


【◆6/WWxs901s氏@カオスロワ書き手 死亡】


「うおおおおおおおおおおおおお、よくも6/をおおおおお!!」
「許せない、でぃす!!」

ナッパとシマリスは6/を殺された報復として、霧切似の使い魔たちを拳や胡桃で殲滅していく。
流石に魔女より格段に戦闘力が低いことや、無敵の結界に守られなくなったこと。
何より6/殺害後は全く無抵抗にだったため使い魔たちはものの数秒で全滅した。
だが全滅した端から、魔女の中からまた新しい個体が生み出されて補充されていく。

「ナッパ、シマリスやめろ! 弾と体力の無駄だ」
「ナッパ様、親友を奪われた気持ちはわかりますがここは抑えて」
「うっうう……」
「チクショォォーーー!!!」

蛮とサラに制止され叫ぶナッパとシマリスは攻撃の手を止める。
使い魔をいくら潰した所で、本体の魔女には一切の打撃を与えることもできないのだから。


『うふふふ、味わってくれたかしら?
私は受けた絶望と悲しみ、そこから生み出された呪いを』


ふと、聞き覚えのある声がどこからか聞こえ、イチリュウチームは振り向く。
声を発したのはすぐ近くにいた霧切似の使い魔…だが、ただの使い魔ではなく、白と黒のクマみたいな顔のマスクを被り体格も高校生相応、明らかに特別仕様と思われる者からだった。
警戒しつつ、アナキンは声をかける。

「おまえは他と違って知性があるみたいだな」
『ええ』
「喋れるってことはまさか響子ちゃん本人やんか……?」
『それは違うわ。
私はしいていうなら魔女となる寸前の霧切響子の残留思念を色濃く受け継いだ使い魔、コピー品みたいなものよ』

敵意を持っているとはいえ相手と意外な形でコミュニケーションが取れると思わなかったイチリュウチームは驚く。
ちなみに本体である魔女霧切も空気を読んだのかは謎だが、攻撃の手を止めていた。

「コピー品でも構わない、話し合いができるなら君にどうしてもお願いがある。
僕らをこの結界の中から出してくれ」
「オイ、何を言ってんだイチロー! こいつは6/を殺し――」

いちおう仲間を殺した怨敵である魔女との交渉を図ろうとするイチローにクリスは批判をするが、イチローは手で制した後、話を続ける。

「僕らは大災害で世界が滅ぶ未来を回避するために、どうしても都庁にたどり着いて、野球もしなければならないんだ。
大災害が着てしまえばTCという物質で響子ちゃんも含めて何もかも滅んでしまう。
6/を殺されたことは心が痛いが……もし逃がしてくれるなら攻撃したりしない、それぐらい大災害回避は僕らに取って急務なんだ」

なんとか残留思念と言えど響子に善意があることを信じて、訴えかける。

『ふふふ……世界を救いたい?

ふざけないで。
こんな腐った世界にうんざりしたから彼女は魔女に身を堕としたのよ。
何もかも滅んでしまえばいいんだわ、こんな絶望しかない世界なんて。
それに霧切響子は人としてとっくに滅んでいる……自分ごと世界が滅びてくれるなら嬉しいわ』
「くっ…!」

現実は非情、交渉は決裂である。
更にマスク越しでもわかるレベルで使い魔は凄む。

『彼女はこの世界の謎を解いて希望を見出したかっただけだった。
だけど世界は彼女が想像した以上にエゴに塗れて醜かった』

この使い魔の力なのか、彼女の背後に映像のようなものが映る。
そこに映るのはクライシス帝王、姫川友紀、安倍総理、Wゴロー、ハクメンそして食人鬼としての風鳴翼。
全員の瞳が、方向性は違えどむき出しの狂気に満ちていた。

『この世界の人たちは我良しなら他人はどうでも良い連中ばかり……
己の欲望のためならそれまで共にやってきた仲間を平気で裏切ったり、名声のために危険に晒すことも厭わぬ人。
無軌道な破壊と、自分が得をするために規則と合理性を盾に他者を食い物にする連中。
そして自分勝手な正義のために食い荒らす化け物ども……』
「待て、世界は悪い奴ばかりじゃない!
こうなったのも、殺し合いを仕向けた黒幕がいるからなんだ!」
『全部黒幕とやらが悪い? いいえ。
黒幕はきっときっかけに過ぎない…大災害と殺し合いで漸く、隠されていた人の本性が暴かれたのよ。
どうせ皆殺しにするんだから黒幕だろうが誰だろうが、関係ない』
「勝手な理屈を言いやがって! ただ自分が悲しい目にあったから他人も不幸にして良いと思ってんのか!」


イチローとクリスが反論すると映像には存命時の南光太郎、霊烏路空、矢車想、風鳴弦十郎、デカオの姿も映るが……いずれも無残な死体へと変わっていく。

「う……これは、総司令まで!?」
『確かに良い人もいたわ。
だがそういった人ほど悪人どもに利用され、騙され、殺される。
善人も心変わりしていつかは悪人になるかもわからない。
世界の闇に悶え苦しめられるぐらいなら善人も諸とも殺してあげた方が温情よ』
「だが滅ぼすことで助けになるなんて思い込みは――」
『そして……魔女となった霧切響子が最も許せなかったのは』

サラの意見を遮るように、最後の映像が流れたが、それはツバサを中心に守るように囲う、イチリュウチームであった。


『彼女の仲間や人々をたくさん殺した、食人鬼を善人だと思っていたあなたたちが匿っていたことよ!』



「「!?」」
「待てよ、今の翼先輩は…ツバサは違うんだ、生まれ変わって食人鬼じゃなくなったんだよ!」
「それに理性を持ったテラカオスは必要不可欠、僕らの世界にはどうしても彼女が必要なんだ」
『誰がなんと言おうと罪人は罪人として裁かれるべきよ。だのにあなたたちは匿った。
主催による放送もあったのだから食人鬼のことを知らないとは言わせないわ。
信頼していた人を殺していった風鳴翼が英雄になることなんて私は認めない。
罪人の力を借りてでも助かりたい人々も世界も滅びて然るべきよ!』

霧切響子にテラカオス・ディ―ヴァの残滓であるツバサがどのような経緯で心身ともに生まれ変わったかなど、知る由もない。
否、仮に知ったところでツバサ一人に頼らざるをえない人々と世界に絶望するだけだろう。

「頼む話を聞いてくれ、それには深い事情があるんだ」
「諦めるんだイチロー
「アナキン!」
「こいつは響子の残留思念、あくまで精神状態をなぞっただけの偽物でこれ以上は深い思考はできない。
ツバサを呪い、僕らを呪い、世に呪いの言葉を投げかけるスピーカーでしかない」
『ご名答よ、私はもちろん魔女が考えを変えることはない。そもそも彼女は自我だって残ってないのだから。
ただ呪いだけが残っている。
あなたたちが苦しむところを見たいというね』
「くっ……」

苦虫を噛み潰したような顔をするイチリュウチーム。
説得は無意味とわかったが、さりとて6/を一方的に処刑した隠し種を持っている。
その気になれば、全員先ほどのように結界の中で一人残らず皆殺しもできるのだ。
隠し種の正体がわからないと全滅である。
ではどうすればいい……そう考えていたイチリュウチームの足元に何かが落ちてきた。

落ちてきた物体の正体はウィザードライバーと、インフィニティリングだ。
持ち主と大半の指輪は吹き飛んだが、ベルトとこの指輪だけは破損を免れたらしい。

「これは苗木くんがつけていたベルトの…なんのつもりや?」
ゲームをしましょう。
そのベルトには魔女と同じ魔力を込めた…それを嵌めて仮面ライダーになれば、変身者は結界の外へ出られる』
「一人だけ助けてやるっちゅうことか」
『話はまだ終わってない。
インフィニティスタイルの力さえあれば、今の弱った風鳴翼なら簡単に倒せる。
そして翼を殺して来たのなら結界を解いて、他の全員も逃がしてあげる』
「なんやて!」

これは取引だった。
ツバサをイチリュウチームの誰かが結界の外に出て殺しに行けば、ツバサ以外の全員を助けると言うのだ。
だが……

「できるわけねえだろ!
ツバサは仲間だし、世界を救えるかもしれない混沌の化身だ。
殺しちまったら世界を救えねえ!」
『あら、そう。
従わないなら魔女の呪いであなたたち八人を20分に一人、ランダムにオシオキしていくわ』
「魔女の呪い、オシオキ…さっき、6/を殺したアレか」
『あなたたちは予言の完遂のために化身の他にも野球をしなければいけないのよね?
残るメンバーは外に出た二人を含めても10人……あと最低2人死んだらチームで野球はできなくなるわね。
おっと、そこのモブドラゴンたちで人数を稼ごうなんて思ないでね。
彼らなんてイチリュウチームがいなくなったらオシオキなしでも全滅するから数に入れてないわよ。
それからツバサを殺さずにベルトを持ち逃げしたり、ベルトをつけたまま魔女に反抗したら即全員オシオキよ。
変な考えは起こさないことね』

ツバサを守ろうとすれば今度は野球チームが一つ壊滅する。
究極の選択であった。

『このゲームは化身か野球か、どちらかしか選べないのよ』
「ひ、卑怯でぃす!」
『彼女も食われて死ぬか魔法少女として生まれ変わるか、選択を迫られたわ。
突き詰めるとどっちも絶望だったわけだけど……あなたたちも同じ絶望を味わいなさい』

使い魔はほくそ笑みながら消えていき、そして魔女からの再度のロケット乱射と次のオシオキへのカウントダウンが始まった。

(く……どうすればいい、ツバサもチームも大事だ。片方だけ選ぶなんて僕にはできない…!)
テラカオスは他になのはがいるが、どう見ても制御できてるようには見えない…不屈の勇者たるテラカオスを探しだすより大災害の方がきっと早い)
(だが野球チームの作り直しも難しい、考えている内に選手は減っていく……これまで以上に最悪の自体だな)

イチローが、アナキンが、蛮が、その場にいるイチリュウチームの対主催たちが戦いながら打開策を考える。
その窮地に比例して使い魔から託された希望を追い求め絶望の波にのまれた少年の忘れ形見、インフィニティリングが妖しく輝いていた。



 □


その頃、結界の外側。
都庁からの救援として来たほむらは、オオナズチの背に乗り、空から重機関銃による射撃を魔女に向けて試みていた。
しかし、銃弾は結界は貫けず、蒸発するだけであった。
一方で結界の外への反撃も一切なかった。
ほむらは機関銃をリロードしつつ、オオナズチに話しかける。

「これだけ撃ってなぜ、反撃してこないのかしら?」
「一瞬で捻りつぶせる羽虫だから今は反撃する必要がないと思っているのか、それとも攻撃できない事情があるのかどちらかでしょう。
ほむほむが言う魔法少女の呪いが形になったものならば、何も考えてないって線もあるかもですなw」
「慢心か秘密か白痴か……いずれにせよ、それが私たちの付け入る隙にはなりそうね」

ほむらの盾の中には死した貴虎が所持していたN2爆弾が三つある。
起爆コードがなければ意味ないハズだが、これは出征前の天才ハッカー犬牟田がほむらが千葉へ旅立つ前に解除してくれた。
威力が高すぎるため、世界樹の前では使えず、魔物たちもこのような武器を嫌うので防衛戦闘には使えなかったが、生存者がほとんどいなくなったこの場所なら大丈夫だろう。

「この爆弾を三つ同時に発破すれば、あの魔女を倒す、もしくは大きな打撃を与えることもできるはず」
「結界の中で生きてるであろうイチローたちは大丈夫なんでしょうな?」
「そこは任せて、爆風がチームを傷つけないように調整するのには自信があるわ。
…問題なのは、この堅牢すぎる結界ね」
「ラミレス氏が言うには、このまま攻撃を続けてほしいそうですが、結界の穴を見つける前に弾薬そして中のチームは持つんでしょうな?」


魔女から町一つ分、離れた場所のとあるビルにはラミレス・ホルス・ふなっしー・ツバサがいた。
ふなっしーは怪我と消耗が激しいツバサとホルスを介抱し、ラミレスが双眼鏡を使って遠くから巨大魔女とほむらオオナズチたちの様子を見ていた。

「ラミレス監督、ほむらに攻撃させてるけどアレは意味あるなっしか?」
「弾の無駄遣いホル、仲間は気になるけどツバサだけでも都庁に送り届けた方が良くないホルか?」
「都庁ハマダ、狂信者ト交戦中。迂闊二向カウノハ危険デス。セメテ都庁ガ勝ッタトイウ報告ガアルマデ待ッタ方ガ良イデショウ。
ソレ二、ほむらサンタチ二攻撃サセテイルノハ無駄ジャナインデス」
「どういう意味なっし?」
「一見無敵二見エル結界モ、ドコカニ穴ガアルハズ。ソレヲ見極メル為二撃タセテイルノデス」

よく見るとほむらたちは適当に弾を撃っているのではなく、一か所に火線を集中したり、結界の違う場所を攻撃したりしている。
僅かにでも穴が開いたら、その穴にほむらは時間停止の魔法を使ってN2爆弾を魔女本体へ叩き込み、ダメージを負わせる作戦なのだ。
仮に失敗しても都庁の戦力と合流したときに、結界の特性を知ることができただけでも重要なデータとなるだろう。

「ンン?!」
「どうしたホル!?」
「今、確カニ弾丸ガ、バリアノ中ヲ通ッタ様二見エマシタ」



「オオナズチ、今確かに……」
「見えましたぞw たったの一瞬ですが結界が弱まって、たったの数発ですが魔女に弾丸が直撃したところを!」

撃ち続けていたほむらとオオナズチは、刹那の瞬間だけ結界が弱まり、魔女に命中したところを。
もちろんワルプルギスの夜以上の戦闘力を持っているであろう魔女霧切相手に機関銃程度では大したダメージにはなりえないが、結界が貫徹したことが大事であった。

この時刻はちょうど6/が魔女と使い魔にオシオキされた時間と一致する。
実はオシオキの瞬間だけ内部の対象者を確殺するためにエントロピーが集中するため、一瞬だけ結界が弱まるのだ。
ラミレスが言った通り、一見無敵に見えても相応の弱点が存在するようだ。

その事実にほむらはラミレスたちはまだ気づいてないが、ただの刹那の内でも結界を破った事実に、イチリュウチーム救出の希望を見出し、今度は武器を変えるなりして検証を続けるのだった。




二日目・23時00分/東京~千葉・魔女の結界内】


【霧切響子(魔女)@ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】

※外観は宙に浮いている劇団犬カレー作画の希望ヶ峰学園、結界の防御力はイチローのレーザーさえ貫徹できないレベルです
※呪いの力で20分毎に一人、イチリュウチームのメンバーを強制的にオシオキ(処刑)できます
 即死耐性は無効化、どんなに強くても結界の中にいる限り、強制的に殺されます
 オシオキから逃れるためには代表者を一人決めてウィザードライバーとインフィニティリングを装備し、結界の外にいるツバサを殺害しないといけません(殺害しなかった場合は結界の中のメンバーが全員オシオキされます)
※ただし、オシオキ中は結界の力が僅かに弱まる模様
 この瞬間のみ結界を貫けるかもしれません



【イチリュウチーム】

イチロー@現実?】
【ナッパ様@ドラゴンボールZ】
【サラマンディーネ@クロスアンジュ 天使と竜の輪舞】
【アナキン・スカイウォーカー@STAR WARS】
【八神はやて@魔法戦記リリカルなのはForce】
【美堂蛮@GetBackers-奪還屋-】
【雪音クリス@戦姫絶唱シンフォギア】
シマリス@ぼのぼの】

【生存アウラの民】
スクーナー級×200、ガレオン級×15

※アウラの民はオシオキの対象外
 イチリュウチームが全滅すると守り手や指導者がいなくなって自動的に全滅します
※ギムレーの手で屍兵化されていたアウラの民は、ギムレーが死亡したため消滅しました。


二日目・23時00分/東京~千葉上空・魔女の結界外】

【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
【オオナズチ@モンスターハンターシリーズ】
【ターバンのナシ(ふなっしー)@ゆるキャラ】
【ラミレス@横浜DeNAベイスターズ】
【白光炎隼神ホルス@パズドラ】
【テラカオス・ディーヴァの残滓『ツバサ』@テラカオスバトルロワイアル十周目】
最終更新:2020年02月06日 20:45