外の喧燥はだんだん近付いて来る。
職員室の前には一応バリケードは貼ってあるが、こんなもの時間稼ぎにすらなるまい。
こっちにある武器はポッキーのみ、味方は強キャラとはいえひよこ一匹。
包囲網フラグ王は三杯目のコーヒーを飲みながら、
「ここまでか……」
と呟いた。
最初に突入してくるのがマーダーでも対主催でも、もう自分の運命は決まっている。
奉仕マーダーなら捕らえられて忍術学園に送られるだろう。
対主催だったら、多くの対主催にマーダーだと誤解されている自分は多分殺される。
かがみを引き渡す代わりに自分は見逃してもらうか?
しかし、そんな取り引きに安々と応じる奴がいるだろうか。あくまで学園長の指示は「二人とも捕まえてこい」なのだ。
「積んだな」
ツンデレが積んだ、なんて洒落にもなってねえよ。
もっと色々とやりたいこともあったんだけどな……新規ロワも最後まで読みたかったし、もっと俺の嫁との脳内恋愛を楽しみたかったし、
積んであるラノベも消化したかったし、もっと他のロワにも参戦……はしたくなかったけど。
これもカオスロワ一期で
シマリスや
かみなりさんを書いた報いなのだろう。
「ねえ、6/」
押し黙っていたかがみが口を開いた。
「どうした?」
「コーヒーのついでにポッキーも食べさせてくれない? ほら、今食べておかないともう食べれないかもしれないから」
「そうだな。最後くらいパーっとやっちまうか。……なんならポッキーゲームでもするか?」
「は、はぁ? そんなのするわけないじゃない!! ……ま、まあ、最後だしね。どうしてもって言うんなら……」
「……バカ、じょ、冗談に決まってるだろ!!」
「ぴよっぴー、ぴっぴーよぴ」
「う、うるさい!! 焼き鳥にして食っちまうぞ!!(失言だったか……)」
不機嫌そうにそっぽを向きつつポッキーの袋を開ける◆6/WWxs9O1s氏。
「二人とも、まだ諦めるのは早いぞ!!」
突然、天井から一人の女が飛び降りてきた。いや、よく見ると女装した男だった。
「あんたは、忍術学園の!!」
そのキャラのプロフィールを知っている◆6/WWxs9O1s氏は両手にポッキーを握って身構える(すごいカッコ悪い)。
「まあ待ちなさい。私はあんたたちの味方だ」
気味の悪い女装の忍者、山田伝子もとい山田伝蔵は手を振って二人をなだめる。
「忍術学園の中にも、強硬な学園長に反対する穏健派の教師がいる。我々穏健派は学園長の今回の野望も阻止すべく動いているのだ。
そこで、学園長が欲しがっている二人のツンデレの特徴に合致するあんたたち二人を保護しに来たのだ」
「なん……だと?」
願ってもない申し出だった。一人でも味方が欲しかった自分たちにとって、これほど心強い言葉はない。
だが、今までの経験上そう簡単に信用する気になれないのも確かだ。
実際かがみは女装の男に対してかなり胡散臭そうな視線を送っている。
「とりあえず、そこの窓から飛び降りろ。下にはマットを敷いているし、この『人よけジャイロ』という道具を使って周囲に人が寄りつかないようにしている。
学校の裏門にまで回れば、私の同僚で穏健派の土井先生がいるはずだ。彼と合流すればひとまずは安全だろう。
それと、丸腰では不安だろう。これを持っていけ」
そう言って、◆6/WWxs9O1s氏に一本の刀を投げた。
山田先生はそういうと、懐から手裏剣を取り出して職員室の扉と対峙した。
すでに扉は外側から押されて軋み出している。
「なんで、なんで俺たちのためにそこまでしてくれるんだよ?」
不信を込めた声で問う◆6/WWxs9O1s氏に、山田先生は背中で答える。
「若者を助け、導く。教育者なら当然のことだろう。こんなところで無駄に命を散らすな、生きろ!!」
それは、幾多もの死線を潜り抜け、同僚や
好敵手の何人もの死を目の当たりにしてきた、一人の教育者の言葉だった。
「立ち止まるな、行け!! 時間は無いぞ!!」
職員室の扉は、すでに半分ほど開いていた。バリケードの向こうには数多の殺気立った人間や人外の気配が見える。
「っ―――分かったよ、先生。いいな、かがみ?」
「ええ。で、でもその前にポッキーを一本だけ……」
「空気嫁ばかがみ」
6/WWxs9O1s氏はかがみを小脇に抱え、窓枠に足を乗せた。
「なんだひよこっこ、お前も来るのか? そんな義理はないし、一緒に暮ればお前も狙われるぞ?」
「勘違いするな。お前の脇にいる女にきっちり借りを返してもらいたいだけだ」
「わかった。勝手にしろ」
「いや、いま普通に人間の言葉喋らなかった? このひよこ」
かがみの疑問は無視して、男は肩に鳥を乗せて窓から身を乗り出し、眼下のマットに向かって飛び降りた。
それと同時に、職員室のバリケードが破られ数人の人間達がツンデレコンビを捕らえるために踏み込んできた。
「来たな。お前達の目も覚まさせてやるわ!!」
山田先生は彼らに向かって手裏剣を投げた。
『投擲武器禁止エリア』で物を投げたため、山田先生は死んだ。
「おい、みんな大丈夫か?」
「ぴよっぴー、ぴっぴよ」
「そうか、良かった……あれ、ばかがみは?」
「……ここよ」
かがみは◆6/WWxs9O1s氏のスカートの中にいた。
「あ、すまん……」
「男のパンチラは初めて見たわよ……しかもあんたみなみちゃんの履いてるし」
「仕方ないだろ、他に無いんだから」
土井先生と合流したらまずはちゃんとした服を貰おう。この際忍者服でもいい。
「それでかがみ、この学校の裏門ってどっちなんだ?」
「この学校結構大きいから遠いわよ?」
「ならなるべく急いで走るか」
服についた汚れを払い、立ち上がった時だった。
「ひゃーうまそうだぁ!!!!」
「ぴよよよよ!?」
三人の足もとの地面から突如顔の半分潰れた男が湧き出してきて、ひよこっこを捕まえてしまった。
「な、なんだよお前!!」
「僕はお腹が空いて空いてもう死にそうなんだよ!! 頼むからこのひよこを食べさせてくれよ!!」
「その声……まさかあんたは」
そう、日曜夜六時半から放送されている国民的アニメのメインキャラの一人、通称ハイエナ。
しかしその顔は鈍器で殴られたかのように潰れ、あのキャラとは似ても似つかなくなっている。
「で、でもどうして? 確かあの女装の人は、ここには他の人は近寄れないって……」
「そうか、ノリスケさんあんたもう人間じゃないな?」
顔の潰れた男は幽鬼のようなおぼつかない足取りで、同じ場所をぐるぐると歩き回っていた。
「ああ、どうやら僕は死んだらしいね。だから今の僕は幽霊ってことになるのかな?
でも神様はやっぱり見ていて下さるね。僕はまだまだするべき事が沢山あるんだ。
タイコやイクラを助けて、この殺し合いを止めさせることさ。
……ああ、喋ってる間にまた腹が減ってきたよ。んじゃ、このひよこいっただっきまーす!!」
「ぴよっぴー!!」
ノリスケは大きな口を開けて、ひよこっこを丸呑みにしようとした。
「やめろ!!」
6/WWxs9O1s氏はすんでのところでひよこっこをノリスケから取り返した。
ノリスケは激怒した。
「なんだい、なんで僕の食事を邪魔するんだい? あれ、君たちはひょっとしてさっきの放送で呼ばれてたツンデレコンビ?
これは丁度いいや、君たちを連れていけばタイコもイクラも助かる」
ノリスケは酷薄な笑みを浮かべ、◆6/WWxs9O1s氏とかがみのほうに近付いて来る。
(なんでだよ……なんでどいつもこいつも、自分や家族のことしか考えないんだよ……俺たちはどうなってもいいのかよ……)
そうだ。みんな勝手に誤解して、勝手に自分を殺人者だと決め付けて、
さらにあんな放送があったら今度は勝手に自分たちの命と他の誰かの命を天秤に懸けるのか?
目の前の男も自分も、対主催なのに。
「ああ、でもそれよりも今は腹が減ったなあ。そこのひよこ一匹くらいじゃもう満足できないよ。そうだ、いいこと考えた!!
キミ、もし僕にそのひよこと生首を譲ってくれたら、キミは見逃してあげるよ。
なんなら二人で一緒に食べようか? ひよこはともかく、こっちはあんまり美味しそうじゃないけどねえ」
ノリスケはかがみのツインテールを引っ張った。
「イヤ、やめてっ!!」
「はっはっは、活きがいいねえ。ねえ、キミも僕と一緒に腹ごしらえをしてから、一緒に主催を倒さないかい?」
「―――!!」
ノリスケは絶句して動かない◆6/WWxs9O1s氏の手からかがみとひよこっこを半ば無理矢理奪い取った。
「さーて、刺し身がいいかな、から揚げがいいかな、いや、それよりも踊りぐいだな!!」
かがみの顔の上に唾液を垂らしながら舌なめずりをするノリスケ。
「イヤっ、離して!! ――助けて!!」
「ぴぴっぴぴよっぴー、ぴよよぴぴぴ!!」
一緒に主催を倒す。何を言っているんだこの男は。誰も自分を信用などしてくれなかったのに。
みんな自分たちを利用しようとするばっかりなのに。
そして、誰の許しを得て、かがみとひよこっこに触っているんだ――
腹の虫を鳴らせながら、二匹の獲物を前に舌なめずりしてたノリスケは、突如もの凄い力で頭を捉まれた。
「おかしいなあ……どうしちゃったのかな?」
振り向いたノリスケは、信じられないものを目にした。
目の前にいるのがさっきまでの青年と同一人物とはとても思えない。その目は光りを失い、代わりに闇を宿していた。
「対主催同士なら、ちゃんと協力しないとさあ。主催に勝てないよ?」
青年は虫けらを見るような目でノリスケを見上げていた。その手に徐々に力が篭り、ノリスケの頭蓋骨が軋み始める。
「家族を助けたいのは分かるけど、俺たちはモノじゃないんだよ? なんでみんなそんなことからしてわかんないのかなあ?
主催の放送で言われたからって、いちいちそれに躍らされてたら対主催なんてやってる意味ないじゃない?
ちゃんと、みんなで手を組んで主催を倒そうよ……
なあ、俺の言ってること、俺の今までの行動、そんなに間違ってる?」
ノリスケの頭が握り潰され、脳漿が飛び散る。かがみとひよこっこはようやくノリスケから解放された。
「ろ、6/……」
「少し……頭冷やそうか?」
◆6/WWxs9O1s氏は山田先生に貰った刀を抜いた。
「お願い6/、もう止めて!!」
かがみの声でようやく我に返った。そこにノリスケはもういなかった。
あるのはまるで石臼ですり潰されたかのように、骨も肉も内臓もいっしょくたにミンチにされた死体だけだった。
いや、それを死体といっていいのかすらも分からない。傍目には、ただのゴミの山でしかなかった。
手と刀を見る。血どころか、髪の毛や肉片がこびりついていた。うざい。あとで洗おう。
ひよこっことかがみを見る。かがみは何故か泣いていた。なぜかがみが泣く必要があるのだろう。理解できない。
ひよこっこは神妙な顔でこちらを見ていた。
「ぴよっぴぴー、ぴぴよ」
「ふん……それがどうした。俺は今までにも何人もの人を殺してきたんだ。今更……」
「ぴよぴ」
その言葉に、◆6/WWxs9O1s氏は答えなかった。
「なあ、かがみ。いいことを思いついたぞ」
手についた血を舐めながら、◆6/WWxs9O1s氏はゴミを見るような目で彼女を見下ろした。
「そもそも、俺たちがツンデレだから悪いんだ。ツンデレじゃなくなれば何の問題も無い。
だからお前は今からヤンデレかクーデレかツンギレか素直クールになれ。
俺は……ヤンギレになる」
「はい、こちら土井です。たった今、例の青年が男を虐殺しているのを発見しました。
それに山田先生の死亡も確認しました。はい、こちらも恐らく……
ええ、こうなっては仕方がありません。強硬な手段に出てでも、二人を拘束しましょう」
【一日目 午後四時/埼玉県陵桜高校】
【◆6/WWxs9O1s氏@現実】
[状態]:
岩崎みなみのセーラー服を着用、ヤン状態
[装備]:
柊かがみの頭部、贄殿遮那@灼眼のシャナ
[道具]:業務用ポッキー(ダンボール一箱分)
[思考]
1:かがみとひよこっこを傷つける人間は問答無用で処刑
2:かがみ、ひよこっよと行動を共にする(もちろん一緒に来てくれるよね?)
3:誤解フラグを解く
4:放送を信じない味方を集め、主催を倒す
5:最終手段でかがみを主催に差し出す
6:その願いでみなみを生き返らせてもらうのもいいかも
7:ま と も な ふ く が ほ し い
※大臣の取引には乗ったふりをしていますが、実際に手を貸すつもりはありません。
※着ているセーラー服にはみなみの血が大量についているため、他人が見たら
またいらぬ誤解を生む可能性が高いです
【柊かがみの頭部@らき☆すた】
[状態]:首から下無し
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
1:◆6/WWxs9O1s……あんたって奴は……(助けてくれたことには感謝)
2:◆6/WWxs9O1s氏を正気に戻す
3:できるなら峰岸を止めたい
4:◆6/WWxs9O1s氏、ひよこっこと行動を共にする
5:放送を信じない味方を集め、主催を倒す
6:自分の胴体と友人、家族を探したい
7:それよりポッキー食べたい
※
第一回放送を聞いていません
※◆6/WWxs9O1s氏(ツン状態)の中で、呼び名が「ガチレズ」「悪臭」「ラノベオタ」から「ゴミ」に格下げされました
【ひよこっこ@ときめきメモリアルOL】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
1:ぴよよぴっぴー、ぴよっぴぴっぴー(助けてくれたことには感謝)
2:ぴよよよっぴー、ぴぴっぴー
3:二人まとめて借りを返す
【土井半助@忍たま乱太郎】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:不明
[思考]
1:ツンデレコンビを捕まえ、教育的制裁を加える
【山田伝蔵@忍たま乱太郎 死亡確認】
※山田先生の支給品(人よけジャイロ@
ドラえもん含む)は職員室に放置されてます
最終更新:2007年12月31日 16:56