関係あるとみられるもの
清蘭(東方紺珠伝)、鈴瑚(東方紺珠伝)
住所
ノリッチ(ノリッジ)国際空港
スタドリ・コンスタブル村(架空) ノリッチ国際空港よりレンタカー又はヒッチハイクで1時間程度。徒歩7~8時間程度
ノーフォーク
※ノリッチの遠景(公式HPより)
イングランドの東部にあるカウンティ。典礼カウンティの中では5番目に大きく、総面積は5,371平方キロメートル程度である。
愛知県より大きく、
愛媛県より小さい。
「カウンティって何?」という問いにお答えするのは、複雑な歴史的経緯からして非常に難儀なので、ざっくり「日本の都道府県のような境界」とでもご理解いただきたい。
ノーフォークの気候は、北海に面する土地柄から湿潤である。年間平均気温は10℃前後と低めだが、変動が穏やかなため、
北海道より寒くなく、暑くもない(一般論)。
ノーフォークの中心都市「ノリッチ」には大学や国際空港があり、そこそこの文明感が見られるものの、カウンティ全体を見渡してみれば、お世辞にも都会とは言い難い。
良く言って、「中世の雰囲気を色濃く残す、風光明媚な片田舎」である。実際に地域の主産業は農業と観光業であり、この辺りに典型的な「田舎感」がまろび出ている。
ちなみにノリッチとは、英語の古語で「北の街」という意味である。ノリッジやノーウィッチと表記される場合もあるが、パチュリー・ノーレッジは関係ない(多分)。
余談ではあるが、ジョーン・G・ロビンソンによる児童小説『思い出のマーニー』は、ノーフォークのリトル・オーバートン(架空の村)を舞台とする物語である。
昨今スタジオジブリによってアニメ映画化された際には、札幌市や釧路市以東の湿原地帯(藻散布沼が直接のモデルと言われているらしい)に舞台が移されていたが、
両者の気候風土がわりと似ていることから、ジブリとしては単に日本版に描き直すのではなく、原作の自然風景を踏襲しようという意図があったのだろう。
鷲は舞い降りた
※ノーフォーク北部の海岸(公式観光HPより)
ほんで、なぜ今回ノーフォークを東方聖地wikiに掲載させていただくと言うと、
イギリスの冒険小説作家ジャック・ヒギンズの代表作、『鷲は舞い降りた(The Eagle Has Landed)』の舞台となっているのが、このノーフォークだからである。
『鷲は舞い降りた』は、ナチス・ドイツの兵士らの隠密作戦をスリリングかつ人間味あるタッチで描いた傑作であり、後に映画化もされてそこそこヒットしている。
この『鷲は舞い降りた』のストーリーをもう少し具体的に書くと、
第二次世界大戦末期、敗色が濃厚となり、若干頭のネジがとび始めたナチス・ドイツの幹部や将校が、起死回生の一手として「チャーチル誘拐作戦」を立案。
それは、英国首相チャーチルがノーフォークの寒村「スタドリ・コンスタブル」でバカンスしている隙をついて拉致誘拐し、ドイツ本国にご招待するというものだった。
作戦の実行に抜擢されたのが、クルト・シュタイナとその部下達。対ソ戦で輝かしい軍功を挙げながら、"ユダヤ人女性の命を救おうとした"罪で服役中の囚人だった。
落下傘降下で英国に舞い降りたシュタイナ達は、スタドリ・コンスタブルに潜伏。息を殺してチャーチルの到来を待つが、不運な事故によって村人達に素性がバレてしまう。
敵地で完全孤立したシュタイナ達だったが、迫り来るアメリカ軍を一度は撃退。しかし圧倒的な増員で再来するアメリカ軍を前に、ついには意地と誇りの玉砕戦を仕掛ける。
というものである。簡単(かつ乱暴)に言ってしまえば、
ちょっと頭のおかしな上司の命令で孤立無援の敵地に乗り込んだ囚人(あるいは兵士)が、勇敢に戦って玉砕する話。と言える。
さて、東方project第15弾「東方紺珠伝」においては、月の民から指令を受けた玉兎 清蘭 と 鈴瑚 が一面ボス及び二面ボスとして登場するが、
彼女らは秘密裏に地上に降下すると、隠密作戦で幻想郷の破壊を目論み、自機勢に見つかってボッコボコにされるという、悲惨な運命を辿る。
この筋書きはどことなくと言わず、『鷲は舞い降りた』のソレと共通する所があると言えるだろう。
極めつけに、1面ボス清蘭のテーマ曲は、『兎は舞い降りた』である。『鷲は舞い降りた』ありきでなければ、あり得ないタイトルだろう。
ちなみに清蘭は作中(自機早苗さんバージョン)で
「我々は月の兎の調査部隊(イーグルラヴィ)。邪魔する者は消滅せよ!」
と高らかに宣言していることから、清蘭の所属する部隊自体が「イーグル=鷲」を名乗っていると分かる。
これもまた、『鷲は舞い降りた』への一種のオマージュと考えることができそうな設定だろう。
ちなみに、メタ的な視点から考えれば、清蘭が所属する特攻部隊のコードネーム「イーグルラヴィ」は、その上官である月人の誰かが名づけている可能性が考えられる。
万が一、部隊名の名づけ親が『鷲は舞い降りた』という作品の存在を知っており、かつそれになぞらえて命名したならば、小説の結末からしても悪ふざけがすぎるとしか言いようがない。
(少なくとも綿月依姫やサグメの命名ではないとは思う。二人とも性格が固そうだから。)
なお、『鷲は舞い降りた(The Eagle has landed)』は、上述の小説のタイトルであるほかに、アポロ11号の月面着陸成功の連絡として使われた言葉でもある。
西暦1969年、アポロ11号を構成する司令船「コロンビア」から分離された月着陸船「イーグル」は、月面「
静かの海」に軟着陸。この瞬間、人類は初めて月面に降り立ったのである。
この出来事は、人類にとっては大きな一歩であったかも知れないが、月の都に暮す人々にとっても悪い意味で非常に大きな一歩であり、巨大な脅威に感じられたかもしれない。
ゆえにその"意趣返し"として、清蘭らの特攻部隊にイーグルの名を冠し、地上侵攻の先駆けとしようとしたと考えることもできるだろう。
※DVD版『鷲は舞い降りた』のパッケージ
最終更新:2017年07月25日 00:51