関係あるとみられるもの
伊吹萃香(東方萃夢想)
レティ・ホワイトロック(東方妖々夢)
住所
山頂 滋賀県米原市上野
登山口1 滋賀県米原市上野三ノ宮神社付近(JR東海道本線「近江長岡駅」下車 バス 「伊吹登山口」下車、徒歩10分)
伊吹山(いぶきやま)
滋賀県米原市、岐阜県揖斐川町、関ケ原町にまたがる山。標高1,377m。日本百山の一つに数えられる。
九合目近く(山頂まで登り30分程度)まで車で登ることができ、だだっ広い駐車場があるため非常にアクセスが容易な山として知られる。
季節限定ではあるが、ふもとの関ヶ原町等から山頂駐車場行きのバスまで運行しているというツーリズム(観光主義)っぷりである。
とはいえ、このように観光地化が進んだのは明治以降ごく最近の事である。古代より中世まではガッチガチの信仰対象の山でもあった。
古くは役小角や泰澄が登ったと伝えられ、以後密教や修験道と結びつきながら近世まで山岳修行の銀座として名をはせてきた。
さらに歴史をさかのぼると、伊吹山は『古事記』や『日本書紀』においてもそれぞれ「伊服阜能山」、「五十葺山」の名で登場する。
『古事記』及び『日本書紀』において、伊吹山には「巨大な白猪」あるいは「白い大蛇」の姿で現れる「伊吹大明神」が住み着いているとされる。
また、その正体は素戔嗚尊(スサノオ)に敗れ伊吹山麓へと逃げ込んだ八岐大蛇(ヤマタノオロチ)であるという説もある。
この「伊吹大明神」の強さは半端ではなく、あの日本神話の英雄、倭建命(ヤマトタケル)を返り討ちにした挙句、死に至らしめている。
今でこそ駐車場が整備され、藪刈りがされ、迷いようもないつづら折れの一本道に千変万化の花々が咲き乱れるほどにまでお手入れされている、
まるでトイプードルのごとく管理の行き届いた山となった伊吹山ではあるが、本質的に凶大な神の住まう山なのである。
一方で、神話の英雄をも殺す恐るべきものとしての伊吹山の本質は、行楽シーズンではなく厳冬期にあると言えるだろう。
伊吹山は1927年に最深積雪の世界記録を樹立し、その記録は
未だに破られていない。
ちなみに1日の降雪量の世界記録も持っている(1975年)。
北海道でも新潟でもシベリアでもなく中部地方の低山である伊吹山が保持している。
多くの雪山同様、天気さえよければ山頂まで登ることは必ずしも困難を伴わないが、悪天候時に挑むのは自殺行為以外の何物でもない。
冬のレティさんに逆らってはならないのと同じである。
酒呑童子(しゅてんどうじ)
西暦850年ごろから約150年にわたり
京都府大江山にすみつき、たびたび京の若者や姫をさらう等の悪行を働いていたとされる鬼。
日本三妖怪(日本三大悪妖怪)の一つに数えられることがある。南北朝時代の著とされる『大江山酒天童子絵巻』において初出した後、
以後『御伽草子』や1522年に狩野元信によって制作されたとされる『酒典童子絵巻』などにもその名が登場するようになる。
酒吞童子にまつわる伝承には2つの主な系統があり、
「酒吞童子が大江山に住み着き、さんざん悪さを働いた後に源頼光に寝首を欠かれる」という結末については大筋で一致するものの
その出生や、大江山に流れ着くまでの経緯については全く異なっている。
一つ目の系統では、越後(
新潟県)の夫婦が
戸隠山の九頭竜大神より授かった子が、後に酒吞童子になったという道筋をたどる。
九頭竜大神から授かった子は
俺様系超イケメンへ成長し、女子にモテすぎた挙句、彼女らの「呪い」を受けて鬼になったという。
かわいそうである。
この伝承は、酒吞童子が登場する最古の文献である『大江山酒天童子絵巻』や『御伽草子』の中に見られる。
もう一つの系統では、上述の
八岐大蛇(ヤマタノオロチ)=伊吹大明神が素戔嗚命(スサノオ)に敗れた後に伊吹山の山中に逃れ、
そこで出会った玉姫という少女と結ばれて生まれた子が酒吞童子であるという。
こちらの伝承の酒吞童子は、
三歳で酒を飲み、神通力を操る神童であったため、周囲から不気味がられて延暦寺へと修行に出されたが、
寺での素行も非常に悪いものであったため、ついには鬼となって追い出され、大江山に住み着くようになったという。
東方projectでは『東方茨歌仙第5巻「渾円球の檻」』において、妖怪星座の一つに「伊吹童子座」が登場し伊吹萃香の絵が当てられている。
伊吹童子とは上述の二つの系統のうち二つ目、すなわち伊吹山出身の酒吞童子伝承における、酒吞童子の幼名である。
このことから、東方projectにおいては伊吹萃香は伊吹山出身であるとして描かれている可能性が高いと考えられる。
しかしながら、伊吹萃香のスペルカードには、伊吹山系酒吞童子伝説独自の要素を含むものが皆無であり、
そればかりか逆に「戸隠山投げ」「天手力男投げ」「投擲の天岩戸」など戸隠出身系酒吞童子伝説の要素を含むものが多分に登場する。
果たして、伊吹萃香がどちらの出身なのかについては、大きな謎が残るところであろう。
余談ではあるが、戸隠出身系統では九頭竜大神が授けた子が酒吞童子であり、伊吹山出身系統ではヤマタノオロチの子が酒吞童子である。
ともに、複頭の竜がその出生に絡んでいるところには、なにかしらの真実の糸口がある、のかもしれない。
最終更新:2015年04月13日 07:21