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Case03【Smuggling】

―シエラレオネ リベリア国境沿いの自然保護区 PM1:00―

「全員確認したか?ソモン・モンバサ、リベリア陸軍の中佐でコネを利用してリベリア政府軍兵器をシエラレオネの反世界系組織に横流ししている」

自然保護区内のレンジャーキャンプに白人がいてもおかしくはない。

狩りか、それともレジャーに来たのか、彼らの生活に干渉しなければシマウマと同レベルの扱いだ。

目の前を通って行く車列を確認した白人連中の一団はのんきにこの休憩所でティーパーティーを開いているようにしか現地人には見えなかっただろう。

TRはASA系に属するシエラレオネの反世界系テロ組織"シエラレオネ解放戦線"が多数の装甲車両を受け渡されているとのタレコミをキャッチた。

裏付けるように同時期隣国リベリア陸軍の兵器、もしくは全くの密輸品がその組織へ運び込まれたのを米空軍のAWCSが捉えた。

「AWACSによれば自然保護区内を堂々と移動しているらしい。装甲車類は別ルートらしいが今回は簡単なコンテナだから小火器だろう」

アレンは日差しを避けるようにサングラスを押し上げ

「何か質問は」と聞いた。

「ASAは何で取引してるんだ?ドラッグか?」

コークをぐっと飲むハートが問うた。

「それもあるしあとはシエラレオネ産のブラッドダイヤモンドだ」

と答えると

「ブラッド・ピットが絡んでそうだ。悪徳PMCが出るのかね」とフィルが茶化した。

直ぐにアリアが

「フィルさん、それだと私達死ぬハメになるのでやめてください」とツッコミ。

「お遊びはそのへんだ、フィル」とハワードがしかる。

「しかしわざわざこんな辺境まで出向かなくたって衛星があるでしょう?」

とジャン。

「シエラレオネのこの自然保護区内に広域衛星ジャミング装置が仕掛けられているらしい。探知不能だ」

とアルバート。




―数日後 AM1:00 シエラレオネとリベリア国境に位置するASA系武装組織のキャンプ―

「よくもまぁ、こんなに搬入したな」

小高い丘から基地を確認したアレンはぼやいた。

「中国製か、オリジナルかは区別がつかないがT-55系戦車が少なくとも10両。BTR-60が10・・・相当な量だ。俺の手持ちでは対処しきれない」

ジャンは対戦車戦闘用のパンツァーファウスト3を持ってきてはいたのだが相手の武装から言ってあまりにも非力だった。

ハワードが慰めつつ

「今日はその大砲の出番はないな。今回は米空軍の攻撃機部隊がスタンバってる」


TRには珍しい合同任務だが詳細は米空軍上層部のみが知り、現場のパイロットはTRの事を"米軍特殊部隊"と紹介されている。

米空軍のスペシャルストライクチームはA-10とその護衛機F-15Eを率いてやってくる。

TRの任務は対空システムの停止、そして爆撃のBDA評価。

テロリストは旧ソ連製の対空機関砲および極めて簡単な制御装置を取り付けた中国製の対空ミサイルシステムを基地に据え、防衛を整えていた。


「レイク、お前はこの丘から狙撃支援。アルバート、何人か率いろ。2チームに分かれてやる。爆薬は最小限だ、大切にしろ」

アレンのチームは機関砲、アルバートのチームは中国製ミサイル誘導装置の破壊。

ジャンはHK416の装填を確認し、サプレッサーを取り付けた。

「全員、移動開始」

基地の資材に身を隠しながら前進する。

『こちらレイク。大尉の右前方15mの位置で敵が処刑パーティーを開いてる。民間人か分からんが男数名がおなじみのタイヤ火葬されそうだ。臭いに注意』

アレンは資材の隙間からその一をちらりと見た。

古タイヤ数本を体に通され身動きできなくなった男にガソリンをかけて火をつけている。

「前世紀からのやり口だ」

ハートがボソリ。

「先を急ぐぞ。どうせ、助からない」

ハワードがぞっとするほど冷徹な声で急かしアレンが頷いて動き始めた。

対空砲は4門まとめて設置されていて偽装ネットが被せられていた。

もちろん偵察衛星からは丸見えだ。だが航空機からは見えない。

対空砲を管理する兵はおらず、深夜で寝ているのだろう。

ハートとモニカが忍び寄って弾薬箱を中心にコンポジション4を設置した。


その頃、アルバートのチームも同様システムへ爆薬を仕掛け終わったところだった。

「撤収するぞ」

ジャンが頷いてC4の爆発装置を手持ちの点火器とリンクさせた。

いつでも爆破できる。

「・・・ん?」

フィルが何かに感づいた。

「どうした、フィル」

歩を止めたフィルにアルバートが声をかける。

「・・・あれ」

フィルが指を指した

「ん?」

アルバートが視線をずらした。

フィルの指が指した建物は2F建てのプレハブ。ただ、今まさに入り口へ女性が連行されていった。



「わかった、合流する」

アレンは無線を切ってアルバートのチームと合流した。

「白人の女が連行された。数は一人。助ける価値はあるんじゃないか?」

アルバートの提案にアレンは

「しかし米空軍部隊はあと10分で作戦を開始する手はずだ。危険だぞ」

「スマートにやれば問題ない」

アルバートの自信有り気な答えにアレンが折れた。



プレハブ小屋のドアは開いていたのでジャンが光ファイバーカメラで中を偵察した。

中には数人の白人の女が押し込められていて兵士二人が警備。

部屋はダンボールだらけで狭い。

「スタンは危険だな。荒業で行くぞ」

スタングレネードをこの室内に押しこめば確実に敵と人質が死ぬ。

スタン弾はまがりなりにも手榴弾で炸裂してマグネシウムと大音響を発生させる。

その破片で死ぬ確率が高すぎる。




アレン、アルバートがドアの両サイドに付いた。

お互いに手に拳銃が握られている。

目配せし、ゆっくりと開ける。

そこからは神業。

2発分の薬莢が地面に転がった。

アレンは女性たちを一瞥した

「ドラッグ漬けにされてるな・・・」

白人の彼女たちは目が異様なほど見開いていて麻薬を使わされている形跡があった。

全員服は来ているが後ろ手に手錠で拘束されている。

「全員で4人か。モニカ、アリア!彼女たちを連れて外に出ろ」

アルバートの指示で二人が部屋に入り、麻薬の効果で落ち着いてはいるが恐怖を浮かべる4人を連れだした。

ふとアレンはダンボールに目をやり、ナイフで開封した。

中には青色の錠剤が詰まった袋束がゴロゴロと入っている。

「MDMAか」

1束とって手の上で遊び、戻した。

「出るぞ!爆撃が始まる」




―AM4:00 自然保護区内―

『彼女たちは3週間前にオランダで誘拐された女性たちだった。どうやらモンバサにASAが献上するために連れて来られたらしい』

諜報部の報告を受け、アレンは

「麻薬はどの程度だ」

『直ぐに回復するだろう。それよりMDMAは?』

「数錠確保した。帰還し次第お前らに渡す」

『了解』

崖の上に止められたオリーブドラブのレンジローバーの後部座席からレイクがチェイタックM200を突き出していた。

ソモン・モンバサの後始末だ。

「ソモン・モンバサを確認。レイク?」

「確認した」

スコープの中にいる男はメルセデスベンツで悪路を走っていた。

後部座席に座っているのがモンバサだ。

「・・・シュート」

バンッ、と1発だけ発砲音が響きメルセデスに乗っていたモンバサは頭を削り取られた。


―翌日 TR本部海上リグ AM9:48―

TR01全員が会議室に集まっていた。

「MDMAの出処がわかった」

アレンはプロジェクターに画像を映しだした。

「コロンビア南西部の麻薬カルテルだ。こいつらがASAに資金提供していることも突き止めた。叩くぞ」


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最終更新:2013年02月15日 02:30