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Case04【DragParty】

―コロンビア沿岸 サンタ・カタリーナ AM11:25―

古ぼけたホテルの一室にアレン、そしてアルバートを含めたTR01のメンバー数名が陣取っていた。

ブラウン管テレビが昼のニュースを伝えているところだ。

『一週間前から始まった政府へのデモ抗議は首都ボゴタで政府軍との戦闘になりました。政府の発表によりますと武装したデモ隊は官庁街へ強行突入、激しい銃撃戦になった模様です』


「悪い時に来たものだ」

アレンたちは足止めを食っていた。

コロンビア政府が作戦認可を遅らせていた。

「連中が誰かまではわかっているのにな」

当初麻薬カルテルと思われた組織は"解放のコロンビア(CR)"を名乗る私兵部隊であることが確認された。

右派系の政治集団の紐付きである彼らは麻薬売買を元手に政治に手を出し、コロンビア革命軍(所謂FARC)ともつながりがあった。


「大佐からの指示があるまではまとうじゃないか」

レイクに諭されアレンは頷いた。



同市内にある別のホテルにはジャン達が陣取っている。

「コーヒー、淹れたわよ」

「サンキュー。モニカのコーヒーは美味いわ」

ジャンはここ数日システムチェックを続けていた。

前情報では今回突入する施設はCRの親玉である政治組織が所有するビル。

アメリカ製のセキュリティシステムが導入されていて潜入することがかなり困難だという。

更にビル内部は警察の突入にも対処できるよう武器庫が設置されていることが建築設計者の証言で明らかになっていて下準備が必要だった。


ジャンはモニカの淹れた熱々のコーヒーを冷ましながら飲んだ。

「昼飯は?」

と、フィル。

「今直ぐやるわよ五月蠅いわね。アリア!手伝って」

「はーい」

ソファで雑誌を読んでいたアリアがすっ飛んでいった。

部屋の隅ではひたすら銃を磨き続けるハート。

フィルは所在無さげにテレビを付けてみたりMP3プレイヤーを使ってみたりしている。

ジャンはノートパソコンと格闘していた。

「昨日から気になったんだけどなにやってんだ?」

フィルはジャンのパソコンの画面を覗きこんだ。

「ハッキングのソースコードを書いてる。もちろん本部のバーンスタインが主導だが、俺でもお前の家のパソコンからポルノ写真くらいなら盗める」

フィルは言うじゃねえかと言い

「しかしハッキングなんて、どうするんだ?」

「CRの施設は電子要塞だ。バーンスタインと予測を立てたんだが、恐らく入り口は警備兵が見てる。ビル内はかなりの部屋がパスワードロックされてる。まずこれを壊すようのアクセスコードを作ってる。ほら、よく映画であるだろ」

フィルは何かを思い浮かべてああ、と頷いた。

「で、だ。設計図によれば軍用爆薬の衝撃にも耐えれる対爆ドアが5Fのオフィスにある。恐らくここが敵の最終拠点。ここは7Fのセキュリティセンターで開閉するみたいだから

これを抑える。センター入り口には網膜か指紋のアクセスシステムがあるだろうからこれを何とかしなきゃいけねえって話だ」

フィルはウンウンと頷いて

「俺達いつからミッションインポッシブルしてんだ?」

「さぁな」

ちょうどそこへ大量のパスタを茹で上げたモニカとアリアが戻ってきた。





―PM7:57―

「ジャン、電話鳴ってんぞー」

とトイレから戻ってきた俺にハートが告げた。

「ああ、悪い悪い。サンキュ」

俺は携帯電話を手にとった。

元嫁、ソフィアから。

「どうした、ソフィー」

『なんでもないけど、暇だったから』

「ああ、そうか」

ジャンはボリボリと後頭部を掻いてベランダに出た。

潮風がキツイ。

「何かあったのか?」

『え、なんで?』

「お前が自分から話すときは大体なんかあった時だ」

『さすが元夫』

「元嫁だからすぐに分かる。で、なんだ」

『ほら、そろそろエリスの誕生日じゃない?』

「ああ、あと2週間後だな」

『来れそう?』

「ああ。問題ないと思う。飛び込みがあったらプレゼントだけ郵送してあとで祝いに行く」

『わかったわ』

「・・・ソフィア、悪い。あの時のことは」

『いいの。あなたは夢を叶えれたみたいだし』

「ありがとう。プレゼント、なんか希望は?」

んー、と少し聞こえてきて

『今年は一緒に買いに行きましょ?時間は取れる?』

「今の仕事が終わり次第、ドイツにいけそうか上司に聞いてみる。ダメだったら?」

『私の方で買うわ。お金宜しく、軍曹殿』

「ハハハ、了解」



「奥様ですか~軍曹?」

アリアがジャージにハーフパンツの姿で訪ねてきた。

「シャワー入ったのか」

「はい、お先でしたー。じゃなくて!奥さんですか?」

ジャンは頷いた。

「へー!なんですか、なんですかー!」

「娘の誕生日祝いの話だ。ああ、もう家庭環境に首突っ込むな」

「はーい」

ジャンはテーブルにおいてあったハーベーのパッケージを手に持ってまたベランダに戻った。



―2日後 AM1:25 メデジン市―

「ビルへの降下完了。ボブ、20分後だ」

『了解だ』

CR本部ビル屋上に4人降り立った。

アレン、ハワード、ハート、ジャン。

フィルはレンタルのベンツで街道を走っていた。

後部座席にはミンクのコートのコピー品を着たモニカとアリア。

コートの下はBDUに丈が短めのワークパンツ。ミリタリーブーツを履いているためコートが浮いているがミリタリーコスという設定で通りそうな感じ。

フィルはスーツに身を包んでいる。

「まったく大尉もものすごい作戦考えるわね」

モニカがぼやいた。


作戦としてはCRの呼んだ売春婦として建物内部に潜入。

アレンらのチームが電源を落とすと同時に内部の制圧を開始する。




「ドアのセキュリティをダウンしろ」

「了解」

予め用意したハックシステムを指紋認証付きのドアロックシステムと接続してセキュリティをオフにする。この間5秒。

「セキュリティ解除」

ドアを開ける。

「カメラは停止できない。見つからないでくださいよ」

ジャンの言葉に全員が頷いた。

最上階の7Fにセキュリティセンターがある。

ドアをくぐり廊下へ。

「異常なし異常なし」

ハワードの合図で全員がビル7Fへ入った。

廊下の突き当りまで5m程度。

「角を曲がって右の部屋が保安室です」

アレンは頷いてクリアリング用の歯医者が使うような鏡がついた細い棒を通路から出した。

「カメラ1、破壊する」

アレンがホルスターからM1911A1を取り出し、サプレッサーを取り付け、カメラが動いた隙を見計らって撃ちぬいた。

「GO」

ジャンが走る。

異変はすぐに気づかれるはずだ。

手早く網膜スキャナーなどの認識システム端末にハッキングソフトを仕掛ける。

「15秒」

バーンスタインの組んだハッキングソフトがアメリカ製のセキュリティシステムを爆破していく。

「解析完了、突入用意」

セキュリティドアの横ににアレンとハワードが張り付く。

アレンが歩調を合わせ、扉を蹴破った。

サプレッサー付きの銃で中の警衛をバスバスと撃ち殺す。

「クリア、クリア」

アレンがさっと警衛の一人の胸ポケットからIDカードを取り出し、警備システムにログインして無線機を繋いだ。

「フィル、入れ」



「了解大尉」

フィルはエスコート役として二人の武装娼婦を連れエントランスへ

入り口の警衛たちはセキュリティルームから通達された許可を信じて3人を中に入れた。



ジャンは警備システムを洗う。

「オフィス開閉システム発見、解錠した。ハート、フィルが内部に入り込んだら教えてくれ。電源を落とす」

「分かった。フィル、今何処だ?」

『現在3F。5Fになるまで待ってくれ』

「大尉、5Fへ。ハートは残ってくれると助かる」

アレンは頷いて外へ


エレベーターの数字が7になった。

「ジャン、やれ」

『衝撃に備えろ』

ポーンという音とともに電源が途絶えた。

ガクンッ!とエレベーターが揺れ、モニカとアリアは偽物のミンクのコートを脱ぎ捨て、中からMP7を取り出した。

フィルに暗視ゴーグルを投げて3人はそれを装着する。

「開けるぞ」

フィルがググっ、とエレベータードアをこじ開けた。

するりするりとアリアとモニカが出て行き、フィルが出る。



『こちらアレン、フィル達を確認。お前らから見て左から近づく。撃つなよ』

フィルが左へ顔を向けるとアレンが走ってきた。

「作戦開始だ、ゴーゴー」

暗視装置の中では敵が手探りで歩いているのが見えた。

「発砲許可する」

アレンの声でフィルがブレンテンを発砲。

敵はそのままつんのめって倒れた。

ダンッ、ダンッ、と銃声が響く。

薬莢が音を立てて落ちる。

「クリア確認しろ!」

「クリア!」

「クリア!」

アレンらは銃の弾倉を確かめた。

「資料をすべて接収しろ。撤収するぞ。」

アレンの指示で隊員たちは部屋にあった紙資料からモバイル、死体の携帯電話。全て持ち去った。


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最終更新:2013年07月06日 01:29