timers -TIME IS ……-
最期の一日(16:58)
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匿名ユーザー
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無言の重圧が私たちを包み込む。
向こうは自殺をしようとしている少女。
そして、私は人を三人も殺した殺人鬼だ。
そして、私は人を三人も殺した殺人鬼だ。
ふと、空を見た。
日が落ちていく。茜色に染まっていく空は、どうしようもないくらいに綺麗だった。
日が落ちていく。茜色に染まっていく空は、どうしようもないくらいに綺麗だった。
「──見なよ、マキ。空が綺麗だよ──」
私の呼びかけに顔を上げて、マキも空を見上げた。
「──人生の一番最後に見れた空がこれで良かった」
そう呟くと、マキは私を見て、言った。
「──ケイさん」
「ん?」
「死ぬの、止めてくれたりしませんか……?」
「……どうして。マキは自殺しに来たくせに、同じく自殺しようとしている私を止めたりする。おかしな子だね」
「ケイさんは、悪い人じゃない。人を殺したのは、何か意味があるんですよね? そうしなきゃならない理由が」
「ないよ。──なんにも、ない」
「ん?」
「死ぬの、止めてくれたりしませんか……?」
「……どうして。マキは自殺しに来たくせに、同じく自殺しようとしている私を止めたりする。おかしな子だね」
「ケイさんは、悪い人じゃない。人を殺したのは、何か意味があるんですよね? そうしなきゃならない理由が」
「ないよ。──なんにも、ない」
まくし立てるマキの言葉を遮り、私は目の前で涙ぐむ少女を見た。
「理由があったとしても、殺してしまえば私はただの殺人犯だ。情状酌量にもなりゃしないさ」
「でも! でも、生きていれば……きっと、なにか」
「それはそっくりそのままマキに返すよ。生きていれば、友達のありがたさに気づくもんさ」
「でも! でも、生きていれば……きっと、なにか」
「それはそっくりそのままマキに返すよ。生きていれば、友達のありがたさに気づくもんさ」
マキは携帯電話を握り締めた。友達とのメールが、写真が、思い出が詰まった小さな機械を、大事そうに。
「もう、私は人を殺したんだよ」
私は立ち上がる。
風が、とても気持ちよかった。
風が、とても気持ちよかった。
人生の最後に出会えた人間が、素敵な少女で良かった。