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狂気の章 EX2 -貴子-

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匿名ユーザー

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雨が降る。雨が降っている。雨は降り注ぐ。雨が降り続く。

雨は霧雨に変わる。
霧雨村に霧雨が降る。

貴子はひとり笑った。

笑いながら、ずっと自分の手帳にペンを走らせる。

──雨 あめ 雨 アメ 雨 雨アメ雨あめ雨あめあめ雨雨雨──

ペンを握る。
箸の持ち方を知らぬ子供のように。

振り下ろす。

肉に突き刺さる。

自分の太股に、思い出の万年筆が突き刺さっている。

「きっ、あああああああああああっ」

自分のしたことが恐ろしくなり、同時に痛みが全身を包み、貴子は椅子から転げ落ちた。

手当てをしなければ。手当てを、手当てを。

床を這うように移動しながら、貴子は思った。

ああ、これで何度目だろう、と。
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