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夢で逢いましょう(10:02)

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匿名ユーザー

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「うん、うん……そうか」
城間幸成は、信頼する仕事仲間からの電話を受けていた。
彼は車に乗っている。かつて妻だった女性……鳥居美雪の運転する車だ。
「開店までには帰るよ……うん、うん。ありがとう」
城間は電話を切った。
「時雨さん……だっけ?」
美雪が訪ねる。娘の葬儀の日に一度だけ会ったきりだが、どうやら覚えているようだ。
城間は離婚してから、娘の命日にしか美雪と会っていない。そう自分に課したのである。愛していないわけではない。ただ、会うのが辛いのだ。
城間の経営するバーに美雪は訪れたことはないし、美雪が務める美容室にだって城間は入ったことはない。
電話もしない。すれ違うことなんて、一年に数えるほどあるとも思えない。大体にして、生活のリズムが違うのだ。
「ああ。時雨霧子さんだ。彼女はよくやってくれているよ」
「へぇ……お店は、どうなの?」
「うん?」
「繁盛してるの?」
「ああ、それなりにね」
「そう……」
「うん……」

会話が途切れた。
数年間の溝は大きく、それを修復することは難しかった。

見覚えのある景色に入った。
成美の眠る墓地まで、あと少しだった。

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