「勝ったよ………切嗣」
理想を受け継ぐ事が出来なかった憧れの恩人に、それでも自分がたったひとつを貫き通した末、勝利した事を報告した直後…青年の手元に黒い羽が落ち触れる。そして、本来地下牢に閉じ込められる筈だった青年は……疲弊した状態のまま、聖杯大戦へと巻き込まれる事となった。
(相手は多分、セイバーのサーヴァントか…!)
敵のサーヴァントの放つ斬撃波をどうにか避けながら、青年は走る。
この世界に飛ばされた当初、疲れ果て暫く気絶したかのように寝たのもあってマシになってるとはいえ、積極的に迎撃するには魔力量が心許なく身体も疲れが取れていない。
朧げな夢から目覚め、既に日没間近になっている事等に困惑しながらも飛ばされた際流し込まれた
ルールを脳裏で反芻した後、とりあえず散策しようと外に出て、拾った鉄パイプに強化魔術を使いとりあえずの武器とした…その途端に主従の襲撃に遭った形である。
「ちょこまかと逃げやがって!」
悪態を付きながら剣を振るい斬撃を放つセイバーと、後方に控えているマスターらしき少女を見据えた青年は、斬撃を紙一重で避けながら、距離を取ろうと試みる…も引き離せない。最もそれは青年も承知の上。
「──投影、開始(トレース・オン)…熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)!」
自らの投影魔術を用いて斬撃波に対し、5枚の花弁が束になったような障壁を投影しそれを防ぐ。そして黒と白の双剣である干将・莫耶を投影し、どうにかまともな攻撃手段を用意した。
(強化しても、鉄パイプじゃあの剣とは1回くらいしか打ち合えない。そして今の2回の投影で魔力は殆ど空、干将・莫耶が折られればそこで終わりだ…どうするか…)
相手が直接振り下ろす剣を双剣で受け止めながら思考する青年だったが、沈黙を保っていた少女…セイバーのマスターがここで何かを唱えながら、青年へと向けて魔術を行使しようとする。
対し青年は、迷う事なく双剣を少女の方に投げ…双剣の中の魔力を爆発させ壊れた幻想を発動。
「っ…セイバー!」
「チッ…そっち狙いか…!」
行使しようとしていた魔術を中断し回避しようと試みるも、避け切れない少女だったが…彼女の声に応え、悪態を吐きながらも間に入ったセイバーが身を挺して庇った為、少女に傷は無かった。
(…これでマスターを仕留めれれば良かったけど、やっぱり防がれるか。ダメージは与えれたみたいだけど、もう一度壊れた幻想を使って、あのセイバーのサーヴァントを狙っても…倒し切れない。なら…!)
双剣を壊れた幻想により爆散させた為、今の青年に残っているのは当てに出来ない鉄パイプを除けば先の攻撃で耐久の減った5枚の花弁の盾。それのみ。
至近距離で壊れた幻想で爆散させれば…とも考えるも、先のように庇われ耐えられたら今度こそ終わり、かつ自爆になると思い留まる。
なら今は展開させたまま、少しでも持ちこたえ隙を突こうとするべきだと…そう青年は決めた。
「いい加減、倒れろ!」
「…悪く思わないでください。私には聖杯で、成さねばならない願いがあるのですから…!」
「…気にしなくて良いさ、成したい願いがあるのは…俺も同じだからな…!!」
再び剣を振るい斬撃波を放つセイバーと、先程使おうとしたものとは異なる発生の早い攻撃用の魔術を行使する少女。青年はそれらに対し避けれない物を障壁で防ぎながら、隙を見て鉄パイプを振るうも…命中する事は無く主従の猛攻の前に1枚、2枚と障壁自体が壊れ雲散して行く。
やがて最後に残った5枚目が、セイバーの振るった剣により破壊。青年の身を守っていた盾は全損した。
残ったのは鉄パイプのみ。サーヴァントとマスターを目前としたこの状況ではもはや命運は尽きたと言っていい。だが…青年は諦めていない。日の沈みきった空を見据えた後、距離を取ろうとする。
「足掻きもここまでだな、ここで終わっとけ!」
そう言いセイバーは再び剣を振るおうとし、青年がどうにか避けようと試み…不可能だと悟って鉄パイプで防御しようとする。ギリギリ両断こそされなかったものの、勢いを防ぎきれずに青年が吹っ飛ばされた──その時であった。
「あら、日が沈んだし帰ろうと思ってた途中だったんだけど…取り込み中?」
突如響いた声に、その場の3人はその方向に視線を動かす。
視線の先に居たのは、学生服を着た紫とも薄紫とも取れる髪色をした美少女。
三者揃って新手のサーヴァントかと警戒するも、目前の少女の気配はサーヴァントのそれではないと判断。付近にサーヴァントの気配が無い事からするに単独行動中のマスターかと疑う。
「まあそんな所だ。…もし無関係なら、今ここで見た物は全部忘れてとっとと消えな。お嬢さん」
言外に「聖杯大戦関係者なら殺す」と、そう威圧しながら云うセイバーに対し、物怖じせずに制服の少女は笑みを浮かべ答える。
「お気遣いありがとう。でもその心配は無いわ。だって私は──」
そう言った途端、制服の少女はセイバーのマスターの少女の背後に回り込む。
(な……!?誤認と、気配遮断の併せ技だと…!?)
「くっ、マスター!」
「…サーヴァントだもの。面白いくらいに気付かなかったわね…かぷ、っ」
青年を放置しセイバーは駆けるも、その前に制服の少女は、セイバーのマスターの首筋に噛み付く。少女の歯には牙があった。
「…ぷはぁっ。美味しい」
少女は首筋から口を離し、口元の血をペロリと舐めた。そしてマスターは最後に口を動かし…そのままドサリと倒れ動かなくなった。
「っ──てめえ!!」
「…悪い、な……っ…!!」
怒りを顕にし、少女へと斬りかかろうとするセイバーであったが、いつの間にか回収していた鉄パイプで青年がそれを防ぎにかかる。一度こそ耐えれたが二度はなく、鉄パイプは両断され青年は傷を負い、またも吹っ飛ばされる。
消滅が始まったセイバーは、怒りを抱きながらそのまま青年めがけて剣を振い…肉を切り裂いた手応えを感じる。今殺めた青年があの少女のマスターであれば、単独行動でも持っていない限りはこちらと条件は同じになる……と思っていたその時、セイバーは声をかけられる。
「…ひどい男ね。死んじゃってるからって女の子を躊躇わず斬るなんて…ひどいなぁ。英霊(サーヴァント)なんて、みんなそんなものなんだろうけど」
その言葉に動揺し目前を見返したセイバーの眼に映り込んだのは、自らのマスター"だった"モノが、臓物をぶち撒けて無残な肉塊と成り果てている姿。
呪符による幻術で、青年と少女の遺体を誤認させた上で盾とした結果得た隙を、少女は逃す事はしない。一瞬呆然としたセイバーに対して、少女は取り出した日本刀を振るい斬撃波を放った。
その一撃は、マスターを喪い現界を保てず消滅しつつあったセイバーの霊核を完全に壊した。
「じゃあさようなら」
「……幻、術の…類い……か…畜、し…ょう…───」
悪態を吐きながら消滅したセイバーには目もくれず、少女は青年の前へと立つ。
「…一応聞くわね、君が私のマスターで…いいのかしら?」
少し首を傾げているものの、表情には何一つ感情が出ていない様子の目前の少女に…青年は返した。
「…ああ、俺は衛宮士郎。あんたのマスターだ」
警戒をしたまま、青年は少女を見据える。
「…そんなに警戒しなくても大丈夫だよ、私は柊真昼…君のサーヴァントだから。…とりあえず拠点に戻った方がいいかな」
青年の様子を見て判断し、立てないくらいに疲弊しているかもと手を差し伸べた少女に対し…青年は首を横に振り、自分でどうにか立った。
「警戒しなくても大丈夫だって言ってるのにー」
「…俺の行動次第なら見捨てる気だっただろ、あんた」
「はは、よくわかってるじゃない」
結論から述べると、青年…衛宮士郎は、少女…柊真昼が自らのサーヴァントだという事には、彼女を見た時点で最初から気付いていた。
朧げながら覚えていた夢の中に出てきた少女と姿が一致していたからである。
とはいえ、サーヴァントとしての気配を感じ取れなかったのと、夢の中で何の躊躇いもなく他者の犠牲を出す行為を真昼が行っていたのを見た為、場合によっては最悪自分のマスターだろうと平然と殺しかねない危険な人物と判断したのもあってその事は最後まで言わず…警戒心を抱いたまま接する事となった。
敵の死体かつマスターである自分を守る為とはいえ、少女を平然と盾にする姿を見たのも大きな理由となっている。
一方、相手のマスターの少女が最期に見知らぬ誰かの…おそらく女の物と思われる名前を呟き、「ごめん…ね…わた、し…お姉ちゃんなの…に…助け…れな、くて……」と言い倒れた際、一瞬真昼がどこか哀れむような表情を向けていたのも、そこからすぐ元の様子へ戻った所も士郎は見ていた。
士郎自身思う所は大いにあったが、それ以上に真昼も多少とはいえそういう様子を見せるという事実にもまた、思う所はあった。
その真昼はというと…召喚されたはいいものの日中かつマスターである士郎が起きてなかったのもあり、彼を部屋のベッドまで運んだ後…暫し見た夢を通じ士郎の過去を知った結果、血の繋がりの有無は兎も角妹のために悪になり…全てを敵に回しても抗うと決めた者同士として、シンパシーのような何かを感じていた。
しかし一方で、自分のサーヴァントが現れたからと気を抜いたりせっかくスキルを駆使して隠して現れたのにバラすようなマスターなら、見捨てるか殺して鞍替え相手を探しに行っても構わないと思っていた。
その油断が命取りに繋がりかねないのが、この聖杯大戦なのだろうと彼女は推測していた。また自らの願いを叶える為にも、そのような迂闊な行動をする者がマスターだった場合勝ち目が一気に無くなるだろうとも思ったのだ。
その見極めの為と…紫外線がダメージになる体質故、戦闘が始まってから暫くは様子見に回っていたのである。結果…衛宮士郎は見事、柊真昼のお眼鏡にかなったのであった。
爆発を起こす呪符によりマスターの残骸の処分を済ませた後、拠点にて2人は今後の方針を話し合う事になっていた。
「それでマスター、君はこの聖杯大戦でどう戦うつもり?」
「…願いを叶える為に、他のマスターとサーヴァントを倒す」
「…君の願いは?」
「夢で見たんだろ?なら──」
「…私は、君の口から直接聞きたいの。妹絡みのだろうから、理解や推測は出来るし、学んできた、世間一般で云う常識的な価値観に照らし合わせれば…それ以外でもある程度なら想像も付くけど。
…腹違いの兄さんに、「バケモノ」呼ばわりされちゃうくらいには…根本的に人の痛みがわからなく出来ちゃってるから」
ひどいよねぇ…否定出来ないけどー。などと愛想笑いを浮かべ、英霊の座に至ったが故に得た知識を話す真昼だったが、その姿は士郎にはどこか寂しげに映った。
最も、だからといって目前の自他ともに認める「バケモノ」への警戒を解く気は皆無であったが。
「…妹の、美遊の幸せを願うよ。
だから…美遊を狙ってるエインズワース家がやろうとしてる人類救済とやらを、聖杯の力で先んじてやる。そうすればもう妹は…狙われる事は無くなる、筈だ」
「…へぇ、妹思い此処に極まれりって感じね。血の繋がりが無くてもたった1人の妹…なんでしょ?わかるわよ…その気持ちは。
…でも、本当にそれで解決するのかしら」
そう何処か慎重に選ぶように話す士郎に対し、真昼は疑問を提示する。
「…人類救済とやらの詳細を、俺が把握仕切れてないから…か?」
「そう。全貌がわかってもないのに、叶えていいのかって点がねぇ…蓋を開けてみればデメリットや代償が途轍もなく大きかったー…なんて事もあり得るもの。
私達の世界にあった死者の蘇生法…終わりのセラフって言うんだけど、それがまさにそのパターンだったから。
不完全で、蘇っても10年しか生きれないのに自分が死んでる事を知ったらその時点で消えちゃう。しかも対価が…13歳以上の純粋な人間はウイルスで皆殺しよ?」
「…蘇生を行う選択を…好きな人にさせたのはあんただっただろ。夢で見たぞ」
「グレンがやらなくても、他の誰かが代わりにやる羽目になってたもの。滅ばずに済むならそれが一番だったけど…世界が一度滅ぶ事自体は既定路線。それを私も、グレンも…変えられなかった。
…とにかく、願うのなら慎重に、私は…もっと直接的にやった方が良いと思うけど」
呆れた様子な士郎に対し、悪びれる様子もなくあっけらかんと言う真昼。
それを聞いた士郎は…美遊という一を犠牲に、世界という全を救おうとしていた道を違えた友達、ジュリアンの事を思いながらも……2つの選択を視野に入れた。
「直接的に…エインズワース家自体を滅ぼすよう願うか、最初からエインズワース家自体の存在を無かった事にするように願う…って感じか」
「人類救済に、ロクでもないデメリットや代償がある可能性を考慮するなら…その辺りがベストよ、きっと」
「……ありがとう、考えておくよ」
そう礼を真昼に言いつつも、士郎はふとここで質問をする。
「…そう言うあんたの願いは何なんだよ?真昼」
「…言わないとだめ?…って、冗談よ。君に言わせたんだから…ちゃんと私も言う」
おどけて見せるも、士郎に令呪のある手を向けられ素直に話す事を決める真昼。
とりあえずマスターとして認めた以上、こんな事で貴重な令呪を1画使わせるのは無駄でしかないのと、最初からからかってどう反応するのかを見たかったのもありあっさりと引き下がった。
自身を抹殺しようとしている腹違いの兄に「スパイ映画のようなことをしてみようかしら」「この携帯はメール画面を開いて10秒したら爆発するようできている」などと書いたメールを表示した携帯を置き、彼が咄嗟に携帯をぶん投げる事まで想定した上で「驚いた?驚いた?馬鹿が見るー」なんて煽るメールを送る程度には、柊真昼にはそういう部分があるのである。
…兎も角、士郎に対して抱いているシンパシーのようなもののせいだろうか。真昼は生前のように虚偽を挟む事はなく、言葉を紡ぐ。
「──私の聖杯にかける願いは…普通の人間になる。
普通の女の子として、普通に生きて…大好きな人のグレンや、妹のシノアと一緒に……普通の人生を送りたいのよ。
生まれた時から何もかも、どうなっていつ死ぬのかすら決められて…好きな人や守りたいたった1人の妹と一緒に居る事も叶わない。そんなの…嫌だもの。私の人生くらいさー…私が決めたいの。
私は…私自身の人生の黒幕になる。そう決めた」
そう述べた真昼の表情には、切実さと…自力では叶わないと知りながら、それでも諦めたくない、叶えたいという渇望が宿っていた。
互いにどうするのかという方針や願いについて共有した上で、疲労や消耗もありひとまず今日は寝て休むよう真昼に言われた士郎は睡眠しようとベッドの中に入っていた。
『私があなたの感情を壊すね、シノア。
これから毎日記憶が壊れるほどに……殴る』
脳裏に浮かべたのは、夢で垣間見た記憶…妹の身を守る為に、その妹の心を壊しひとりで背負い込もうとする少女の姿。
(…ああいう事が必要になる時もあるのは…分かってるさ。でも……もし美遊に同じようにしなくちゃならないとして、その時俺は──)
果たして…彼女のようにやれるだろうか?そう思いながら、疲労もあり衛宮士郎はあっさりと眠りについた。
一方、真昼は1人部屋の窓から偽りの星空を眺める。
『まぁでも、俺もちょっとはがんばったし…許してくれよな』
脳裏に浮かべるは夢の中で青年が呟いた言葉と、そこに至るまでに足掻いた頑張りの姿。
「…あれで「ちょっとはがんばった」って…自己評価が低いにも程があるわよ…士郎くんは」
(世間一般でいう「頑張った」とは、明らかに度合いが違うもの。それくらいは私でも…わかる。そう言われたら…私の頑張りも「ちょっとは」にしかならないじゃない。
…あの様だときっと…君の願う妹、美遊ちゃんの幸せの中には、君自身は存在しないのでしょうね。
その子にとってはきっと、君が居る事も…幸せになる為には必須な筈なのに)
「…私のマスターとしてはとりあえずは上出来だけど、妹の為に全てを敵にしてでも戦う…って決意が鈍るかどうかね。鈍るようなら…残念だけどそれまで」
そう呟き考える彼女は…端からは何処か憂いげな、浮かない表情をしてるように見えた。
【クラス】
プリテンダー
【真名】
柊真昼@終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅
【ステータス】
筋力:C 耐久:C 敏捷:B 魔力:B 幸運:E+ 宝具:EX(C)
【属性】
中立・悪
【クラススキル】
偽装工作 :A
ステータスおよびクラスを偽装する能力。プリテンダーが生前二重スパイとして自らの立場や真意を偽りながら暗躍し、また肉体の死後表向きは純粋ではなくとも人間のまま壊れた末討たれた悲劇の英雄として伝わっている逸話から来た物。プリテンダークラスの適性がある理由はこの逸話からである。
Aランクであれば、他のクラスやステータスを偽装し相手を誤魔化す事が可能。
プリテンダーの場合は適性のあるクラスであるセイバー、ランサー、キャスター、バーサーカー、アヴェンジャーのいずれかのクラスに自身を偽装して見せる事が出来る。また、逸話より吸血鬼である事やサーヴァントである事を偽装し一般人を装う事も可能。
単独行動:A
マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。ランクAなので、マスターを喪っても1週間程度なら現界し続ける事が可能。
道具作成(鬼呪):C
自他を使った実験の末に鬼呪装備の完成を果たし、表向きは人類に希望を遺した英雄として扱われているプリテンダーの逸話から来たスキル。
プリテンダークラスでの現界な為スキルのランクが通常よりも下がっている他、作成出来る鬼呪装備は性能が落ちる量産型の物(不安定な精神状態で持つと常人の精神では狂うリスクあり)か、性能が高い代わりに持つと狂うリスクも高い初期に作成した試作品しか作れず、また形状も日本刀型しか作れない。
【保有スキル】
吸血鬼(一般):B
第3位始祖であるクルル・ツェペシとの取引により、プリテンダーは後天的に吸血鬼となった。
吸血鬼となった事で人類最高峰レベルに高かった身体能力が更に7倍程向上、手足が切断されようと接合させれる程の再生能力を手に入れ感覚も鋭敏となった。吸血鬼化すると心臓が停止するが、破壊されたりくり抜かれたりしない限りはその状態で生存し行動が可能。
上位貴族の吸血鬼ならば人間を吸血鬼にする事も可能だが、プリテンダーはそうではない為不可能。
ただしデメリットとしては、人間の食べ物を受け付けれなくなり定期的に吸血を行う必要が出るようになった。また日光等の紫外線を浴びると即死こそしないが常時ダメージを受け続け、いずれは死に至る体質となっている。
他、頭部や心臓の破壊(個体によるが完全に破壊しない限りは耐えられる事も)や、呪術系統に分類されるであろう鬼呪装備による攻撃を人体で云う所の急所にされる事も場合によっては致命打になり得る。
また吸血鬼化前になんらかの強い執着を抱いていた者や物以外に対して、吸血鬼は全体的に向ける感情が希薄になっていく傾向がある。プリテンダーの場合は、妹である柊シノアと想い人である一瀬グレン以外に対しては"基本"希薄で冷酷である。
忘却補正:D
人は忘れる生き物だが、復讐者は決して忘れない。吸血鬼となり人間を完全にやめ感情が希薄になっていく中でも、プリテンダーは実質上母を殺したも同然な柊家そのものへの恨みと怒りを決して忘れる事はない。
プリテンダークラスでの現界な為、スキルのランクが通常よりも下がっている。
天賦の才:C
プリテンダーが生まれ付き持ち得ていた戦闘に関する才能・技能がスキルとして反映された物。
同ランクの気配遮断・心眼(偽)・仕切り直しのスキルの効果が複合されている。
なお、プリテンダークラスでの現界な為スキルのランクが通常よりも下がっている。
呪術(呪符):B
呪術を行使する呪術使い或いは呪術師だという事を表すスキル。
プリテンダーは呪符を行使し以下のように呪術を使う。対応する呪術によって呪符も種類が分けられている模様。
- 空気の振動を伝わりにくくし音の侵入を抑制させる呪符を貼っておくことで、部屋を外からの音が聞こえない防音状態に
- 幻術を見せて攻撃を回避
- 精神を操作する(心を操るとも)幻術により相手を自分の言いなりに
- 殺した相手を幻術により自分に付き従っているように見せかけ、遠距離からでもその姿を違和感なく見せる
- 少なく見積もっても半径数百メートル程に大規模な幻術を展開。そこから100枚分の幻術用の呪符を用いる事でそれを解除
プリテンダークラスでの現界な為、スキルのランクが通常よりも下がっている。
精神異常(偽):A
精神的なスーパーアーマー能力。「他人の痛みがわからない」とも評されている、何の躊躇いもなく他人の命が奪われる行動を行え、仲間の犠牲を切り捨てれてしまうプリテンダーの精神性がスキルとなったもの。
プリテンダーは生まれた時点で、埋め込まれた鬼に感情を食われて実質生まれた時から感情が欠けた状態。
そこから更に吸血鬼となった事により、それまでに強い執着を向けていたグレンとシノア以外へ向ける感情が希薄になった為このランクとなる。(偽)なのは、柊家によりそうなるように仕組まれていたが為。
なおプリテンダーは基本他者には冷淡(表面上は品行方正で優しい少女を演じ取り繕っている)だが、シノアやグレン絡み以外では全くもって感情が動かない…という訳でもない。
【宝具】
『真昼ノ夜』
ランク:EX(C) 種別:対己・対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:-
ノ夜を自らの心臓に刺した後、予め仕込んでいた術式による効果で、自我と記憶を保ったまま自らを鬼へと変成させノ夜に宿らせて、鬼呪装備:真昼ノ夜に変える宝具。
自らを完全に死んだと誤認させつつ、裏で暗躍する為に行った逸話が宝具となった物。性質上ノ夜を手放していると発動出来ない。
鬼呪装備な為これによる攻撃は呪術系統に分類される他、ノ夜同様に斬撃波を放てる。
使用するとサーヴァントとしては脱落扱いとなるが、真昼ノ夜に所有者だと認められている限り、プリテンダーのマスターの消滅は始まらない。
本来宝具ランクはCだが、サーヴァントを失ったマスターはそこから6時間後に消去される
ルールの穴を付ける都合上、この聖杯大戦ではEXランクとなる。
また本来であれば変質後所有者との意思疎通が可能になるまでタイムラグがあるが、サーヴァントとなった事によりラグが消失している。
副次効果として、所有者と認められた者は身体能力が7倍に向上し、精神や魂への干渉にある程度の耐性を得る。また手足が切断されてもすぐに切断部位を箇所に繋げれば接合出来る程度に再生能力が高まる。しかし代償として、1度でも手に取り所有者と認められた瞬間純粋な人間ではなくなる。
なお本来なら真昼ノ夜となってからも実体化し独自に行動したり戦闘を行ったり出来たが、この聖杯大戦では念話による所有者との意思の疎通及び呪符による支援のみが可能となっている。
特殊能力として、2度斬り結んだ或いは切った相手に行動を遅くさせる、呪術的な毒を送り込むことが可能。
刀越しにぶつかりさえすれば相手に毒を送れる。毒は真昼ノ夜側で量を調節可能で、毒を送り込むまで4度ぶつかる必要がある程度まで弱める調整が出来る。
【weapon】
『鬼呪装備:ノ夜』
日本刀型の鬼呪装備。所有者が手に取ると幸運と宝具以外の全ステータスが1ランク上昇する効果がある。ただし呪符以外とは併用不可。鬼呪装備な為これによる攻撃は呪術系統に分類される。
本来なら宿っている鬼であるノ夜が持ち主を乗っ取ろうと色々干渉するのだが、セイバークラスでの現界ではないせいか、この聖杯大戦では再現されていない。普通に日本刀として使う以外にも斬撃波を放てる。
なお生前の時点で一瀬グレンに譲渡している逸話がある為、他者への譲渡が可能。ただしそれをすると返却され手元に来ない限りは宝具が使用不可能となる。
『鬼呪装備:四鎌童子』
鎌型の鬼呪装備。所有者が手に取ると幸運と宝具以外の全ステータスが1ランク上昇する効果がある。ただし呪符以外とは併用不可。鬼呪装備な為これによる攻撃は呪術系統に分類される。
本来なら宿っている鬼である四鎌童子が色々と干渉しようとするが、ランサークラスの現界ではないせいか、この聖杯大戦では再現されていない。普通に鎌として振るう以外にも斬撃波を飛ばすことが可能。
こちらも生前の時点で間接的に柊シノアに譲渡している逸話がある為、他者への譲渡が可能。
『一級武装のナイフ』
吸血鬼と化した際に手に入れたナイフ。本来なら吸血鬼の貴族が使う武装。
所有者が「剣よ、血を吸え」と言うのをトリガーとして、ナイフの柄から所有者の血を吸い刀身を紅くさせる。サーヴァントと化した事により血の代わりに魔力で代替して発動させるようになっている。
使用すると幸運と宝具以外の全ステータスが1ランク上昇する効果がある。ただし呪符以外とは併用不可。
『呪符』
プリテンダーが呪術を行使する際に使用する物。サーヴァントとなった事により魔力による生成が可能となっている。
幻術や防音以外に作中で使用した使い方としては、「起爆」と言う事で起動させ10メートル規模程の爆発を引き起こし攻撃に使用している。
【人物背景】
人為的に弄られた上で生まれた柊家の次期当主候補の1人にして、表向きは人類に希望を遺したものの鬼により暴走し、人のまま討たれたとされる英雄。その真実は、妹であるシノアを守る為に全てを敵に回した二重スパイで、元人間の吸血鬼。
生まれた時から16歳のクリスマスに死ぬ運命を定められていたにも関わらず、決して叶わぬ恋をしてしまった少女。
なお本聖杯大戦においては、真昼ノ夜となってからの記憶を所持していない。真昼ノ夜の能力の使い方は知識として知っている状態である。
【サーヴァントとしての願い】
グレンやシノアと共に、普通の世界で普通の女の子として生きたい。
【把握資料】
終わりのセラフ 一瀬グレン、16歳の破滅。小説版は全7巻で、コミカライズ版が全12巻。
真昼ノ夜の毒の能力については終わりのセラフの27巻を参照。
【マスター】
衛宮士郎(美遊兄)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ドライ!!
【マスターとしての願い】
妹である美遊の為に、聖杯を使う事で彼女を狙うエインズワース家がやろうとしている世界の救済を先んじて自分の手で行うか、エインズワース家自体を滅ぼすか、或いはエインズワース家そのものの存在を無かったこととするか──いずれにせよ、美遊が幸せに生きれるように願う。
その為に何が何でも聖杯を手に入れる。
【能力・技能】
投影魔術の使い手。強化魔術も使用可能。
クラスカード・アーチャーを行使し続けた影響により、カード無しでもエミヤの力を引き出す事が出来るようになった他、高い身体能力を持っている。十分な魔力さえあれば固有結界である無限の剣製も使用可能な他、本来投影不可能な神造兵器の類も全工程を破棄する事で形のみハリボテ状態で投影が可能。
ただし未来の自分の可能性である英霊エミヤの力を引き出し続けて戦った事によって、自分自身の存在がエミヤへと置換されつつある。
また現状では無限の剣製や神造兵器のハリボテ投影は、なんらかの手段によって外部からの魔力のバックアップを受けないとまず使用不能と思われる。
なお、投影する宝具の内メインウェポンと言える干将・莫邪は魔性特攻効果がある。
【人物背景】
かつて義父のように正義の味方を志したものの、出逢った少女美遊との関わりの果てに、彼女の兄である事を決め、また人類救済という正義のために彼女を犠牲にしようとするエインズワース家に逆らって悪である事を選んだ青年。
根本には優しさも残っているものの、妹のためになら情の全てを捨て自分の命は愚か世界すら捨ててでも悪逆を為す、自称最低の悪にして英霊の紛い物。
【ロール】
休学中の高校生。
【参戦時期】
美遊を逃がし切りアンジェリカに敗北した後。「勝ったよ…切嗣」と言った直後に舞い降りた黒い羽によってこの聖杯大戦に招かれた。
【把握資料】
Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ。
原作では参戦時期的にドライ!!の7~8巻部分。アニメでは劇場版 Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 雪下の誓いを参照。
最終更新:2023年10月17日 00:00