強いポケモンの育て方(仮)

強いポケモンの育て方

「強いポケモン」を育てる必要性

「ポケモンは冒険を進める中でレベルを上げていけば自然と強くなる」
……というのは冒険「だけ」をするのであればその通り。相手よりもレベルが上になってしまえばよほどタイプの相性が悪くない限りまず勝てる。

では、例えばバトルタワーや通信対戦のように相手とのレベルが同じになってしまうとどうなるか?
当然ゴリ押しがほぼ利かないので、ポケモンの能力それ自体をきちんと高めなければまず勝つことはできない。
つまり、「育て方」に工夫が必要になる

では、どのようにすれば強いポケモンが育てられるのか?

ポケモンの能力の仕組み

強いポケモンを育てるには、まずポケモンの能力について詳しくなることが重要である。
ポケモンの能力は、その内部に「3つの見えない値」が隠されている

  1. ポケモンの種類やフォルムによる特徴→種族値
  2. ポケモン1匹1匹の個体差→個体値
  3. どの能力を磨いたか→努力値

これらの値について詳しく見ていく。

種族値

ポケモンは、種類やフォルムによって伸びやすい能力とそうでない能力がある。
例えばサンダースは素早く、カビゴンはHPが多い。これはその能力の内部数値が高いからである。
この「ポケモンの種類やフォルムごとに決められた能力」を俗に「種族値」と呼んでいる。
「魚は水中で呼吸できる。鳥は飛べる。チーターは足が速い」などの違いが数値になったもの、と考えれば良い。
ポケモンが進化によって能力が変わるのは、この種族値が変わるからである。

例えばサーナイトの種族値は以下。

「HP68-こうげき65-ぼうぎょ65-とくこう125-とくぼう115-すばやさ80」

種族値はインターネット上で検索すればすぐ調べることができる。気になるポケモンについては調べる癖をつけよう。
何なら覚えることも場合によってはできる。ガブリアスの種族値を即答できるポケモントレーナーは多いようだ。

種族値が100を超えればその能力は「高い」とされる。逆に50以下であれば「低い」といえる。例えばサーナイトはとくこう・とくぼうに優れているが、それ以外はあまり高くないポケモンだと分かる。

種族値を知ることで、大体どのような戦い方が得意か(攻撃か防御か、速攻か持久か)が分かるので、基本はその得意分野を更に特化させることが計画として分かりやすい。
例えばサーナイトは特殊攻撃が得意ということが分かるため、覚えさせる技も特殊技にして、とくこうを中心に育成するのが最も分かりやすいということになる。
ただしすばやさは中途半端なので、伸ばすか捨てるかは人による。

個体値と性格

同じ種類のポケモン同士でも、1匹ごとに能力が異なっている。

これは、1つには性格の違いによって、能力が上がりやすい・上がりにくいが発生しているため。
例えば「いじっぱり」な性格のポケモンはこうげきがよく伸びるが、とくこうはあまり伸びないようになっている。逆に「ひかえめ」な性格のポケモンはとくこうが伸びやすく、こうげきはあまり伸びない。

性格による影響は、伸びやすい能力は通常の1.1倍、伸びにくい能力は0.9倍される。たかが1.1倍されど1.1倍で、我が国の消費税率と考えればかなりの増加になることが分かるだろう。早く廃止しろ
1.1倍された状態を「プラス補正」、0.9倍された状態を「マイナス補正」と呼ぶこともある。種族値が高いのにマイナス補正がかかってしまっては、思うように能力が伸びない。その逆もしかり。

性格による能力の伸び方は「ミント」を使うことで変えることができる。使い間違えのないように。


……だが、たとえ同じポケモン、同じレベル、同じ性格であっても、なお能力に差が発生していることがほとんど。
これはなぜかというと、1匹ごとに0〜31までの32段階の値が設定されているため。これを俗に「個体値」と読んでいる。
人間で言えば「得意なこと、苦手なこと」が人によって異なるようなものだろうか。

性格はステータス画面に書いてあり、補正は赤が伸びやすく青が伸びにくい部分なので、非常に分かりやすい。
だが、個体値は普段表示されないので、知ることは中々難しい。
ではどうすればいいのかというと、近年の作品であれば「ジャッジ機能」と呼ばれる個体値確認機能がゲーム内に実装されているので、それを使うのが主流。
表示されるジャッジのコメントと対応する個体値は以下。

  • 各能力:「さいこう(31)」→「すばらしい(30)」→「すごくいい(29~26)」→「かなりいい(25~16)」→「まあまあ(15~1)」→「ダメかも(0)」
  • 全体:「素晴らしい能力!(合計186~151))」→「相当優秀な能力(合計150~121)」→「平均以上の能力(合計120~91)」→「まずまずの能力(合計90~0)」

より細かく知りたければ、インターネット上にある計算ツールなどを使って自力で調べるなどをすることになる。
ただ、よほどこだわりがあったり、昔の作品だったりするのでもなければ必要はないだろう。

無論、個体値はよほどの事情がなければ最高である「31」が望ましい。だが生まれ持っているものなのでそう簡単に変更できない。
唯一の方法はポケモンを一定のレベル以上にした上で、「すごいとっくん」をしてもらうこと。『スカーレット・バイオレット』であれば50以上でできる。
ただし1つの能力につき1個「ぎんのおうかん」が必要なので買うなり拾うなりして集めること。

この個体値を少しでも高められるように古くからトレーナー達が行っていることがある。孵化である。
タマゴから孵るポケモンは、そのタマゴが見つかった時に預けていた2匹のポケモン(以下「親」と呼ぶ)の全12の個体値のうちいくつか(通常時3つ、「あかいいと」を持たせている場合5つ)を引き継いでいる。
このため、親の個体値が高ければ高いほど、生まれてくるポケモンの個体値も高くなりやすいのである。
それだけでなく、

  • 親のどちらかに「かわらずのいし」を持たせると、持たせた親の性格を引き継がせることができる
  • どちらかの親が覚えている技を引き継いで生まれてくることがある(「タマゴ技」または「遺伝技」と呼ばれる)
  • 生まれたポケモンは、♀親(親がメタモンの場合はメタモンでない方)の特性を引き継ぐことがある

という利点があるため、孵化による対戦用ポケモン厳選が現在でも盛んに行われている。
特に「非常に多くのポケモンとタマゴを見つけることができる(要は何でも喰える)」ポケモンとして個体値が非常に高いメタモンが重宝されている。
だがメタモン同士ではタマゴが見つからないので、まずメタモンを乱獲するところから対戦用ポケモン厳選が始まる場合がほとんど。

とはいえ、技の遺伝は『スカーレット・バイオレット』であれば孵化しなくてもできるようになったため、よほど貴重か、隠れ特性が必要でもなければ野生のポケモンを育ててしまって構わない。性格や個体値は金で解決できる。

努力値(基礎ポイント)

手に入れたポケモンのどの能力を鍛え上げるかによって、そのポケモンの特徴が大きく変わる。
人間で言えば「何の勉強をしてきたか、どんな練習をしてきたか」にあたる。
この「育成ボーナス」にあたるのが「努力値(公式には「基礎ポイント」)」である。

何かしらの育成ゲームをやったことがあるのであれば何となくピンとくるかもしれないが、1人のキャラクターや1つのステータスについて伸ばせる能力には限界がある。
その限界を把握したうえでどのように育てるかを決めて育てることになる。これを俗に「キャラビルド」と呼んでいる。
そして、ポケモンにもこのビルドの制約、つまり「1匹のポケモンについて、また1つのステータスについて伸ばせる能力の限界」がある。
その限界は以下。

  1. 1匹のポケモンについて、努力値は「510」までしか伸ばせない
  2. 1つの能力について、努力値は「252」までしか伸ばせない
  3. ステータス計算式の都合上、努力値が反映される(育成ボーナスが貰える)のは「実際の値の1/4(切り捨て)」
  4. この限界まで達した場合、どのポケモンと何回戦っても能力に何の変化もない


上記1と3より、1匹のポケモンについて、実際に反映される努力値は「508」までで、残りの「2」は無駄になる。
更に上記2と3より、1つの能力が獲得できる育成ボーナスは252/4=「63」となる。
4が地味に大事で、努力値を振り切ったポケモンはふしぎなアメやけいけんアメでレベルを上げようがちまちまと野生ポケモンを倒そうが全く同じステータスになる。無駄に戦闘を重ねるくらいならアメを与えてさっさとレベル50または100にした方が時間の短縮になる。

そして最も大事なのは、

  • 1匹のポケモンにつき、能力を限界(努力値252)まで振り切れるのは最大でも2つまで(510/252=「2」あまり6)

つまり「とくこう」と「すばやさ」の2つを限界まで高めて特殊技のアタッカーにしたり、「HP」と「こうげき」を限界まで高めて耐久もある物理技のアタッカーにしたりなどはできるが、「HP」と「ぼうぎょ」と「とくぼう」の3つを限界まで高めて完全防御のポケモンに育てる、などはできない仕様になっている。

よほど特殊なポケモンか、よほど上級者でない限りは、素直に2つの能力を限界まで高めて、余った6を適当なところに振り分けるのが分かりやすい育成方法となる。
そして、そのポケモンの戦い方によって高めるべき能力が大きく異なる。
(以下、努力値を高める・伸ばすことを努力値を「振る」と表記)


〔1〕アタッカー(攻撃役)の場合……
「こうげき」と「とくこう」の両方に振ることはまずない。なぜならそんなことをした日には耐久も機動力もない無防備な状態になってしまうから。
物理技か、特殊技か、どちらを使うかをまずハッキリさせて、もう片方を切り捨てるようにしなければならない。これはアタッカーに限らずどのポケモンを育てる場合にも共通する。
性格を選ぶ時に「こうげき」または「とくこう」が下がる性格がよいとされているのはこのため。

「こうげき」または「とくこう」のどちらかを1つ目として選んだら、残りは「すばやさ」または「HP」の選択となる。
これが悩ましい所で、すばやさが100以上のポケモンであれば迷わず「すばやさ」に振りたいところだが、60~95あたりともなると伸ばすべきか否かはポケモンまたは技構成によるとしか言えない。
例えばサーナイトの場合は80である。「すばやさ」に振ってもよいが、そうすると耐久、特に物理耐久が非常に頼りない。かといって「HP」に振ると今度は機動力が犠牲になる。
この辺りはトレーナーの個性が出ると言ってもよい。

〔2〕持久戦主体の場合……
耐久系能力「HP」「ぼうぎょ」「とくぼう」のうち2つを選択する。3つ同時は残念ながらできない。
物理技に対抗する(「HP」と「ぼうぎょ」)か、特殊技に対抗する(「HP」と「とくぼう」)か、はたまた両方に広く対抗するか(下記参照)で努力値が変わる。
ここもトレーナー次第で大きく変わり、例えば「てっぺき」(「ぼうぎょ」上昇技)を使いたい場合「HP」と「ぼうぎょ」を伸ばせばいいように一見感じられるが、あえて「ぼうぎょ」ではなく「とくぼう」を伸ばすことで相手の不意の特殊技に強くすることもできる。
また、能力計算式の都合上「種族値上で低い能力に努力値を振った方が振らない時との差が大きくなる(耐久が伸びるようになる)」。両方に広く対抗する場合は覚えておくこと。

〔3〕サポートの場合……
最低限の耐久確保のための「HP」と、高速でサポートを行えるようにする「すばやさ」の2つに振るのが基本となる。


あくまで「戦い方によって努力値が決まる」のであり、「このポケモンだからこの振り方しかない」とは断言できない。
例えばサーナイトの場合、とくこうが高いのでアタッカーにすることが一番分かりやすい。このためとくこうとすばやさ、またはとくこうとHPの2つに振るのが基本となる……のだが、
あえてHPとぼうぎょに振って持久戦主体で戦うこともでき、そうすることで相手の想定を崩し動揺を誘うこともできる。HPとすばやさを伸ばしたサポートも技次第ではできる。
どのように戦わせるかを1匹ごとに丁寧に考えていくことが、この『ポケットモンスター』というゲームの真に面白い所と言ってよい。

努力値を振る

さて、仕組みと振り分けの重要性を説明したところで、どのように努力値を与えていくかの話に入ることとする。

実はポケモンを倒すか捕まえて経験値が入るときに、努力値もこっそり入っている。そのため、ポケモンと戦い続けていれば自然と努力値が入っていくのだ。
そして努力値の入り具合は対戦した時の相手の強さではなく、相手の種族回数が関係する。どういうことか?

野生のカイリューLv.75を1回倒した場合→こうげきに努力値が+3される(カイリューと戦うとこうげき努力値+3が得られる)
野生のヤングースLv.3を3回倒した場合→こうげきに努力値が+3される(ヤングースと戦うとこうげき努力値+1が得られ、それを3回やるので+3が得られる)

カイリューLv.75とヤングースLv.3とでは倒しやすさがまるで違うのに、得られる努力値は全く同じなのだ。
そしてこれは仮に両者のレベルが逆だったとしても変わらない。
要するに、ポケモンの種類ごとに倒した・捕まえたときの努力値が設定されていて、かつ、これはレベルでは変動しない。強い相手を倒したからといって、その分だけ能力が鍛えられるわけではないのだ。
したがって、手軽に倒せて出現率も高く、特定の努力値がきちんと入るポケモンを繰り返し倒していくことが何より重要なのだ。

パルデア地方の場合……

HP:グルトン(コサジの小道、HP+1)、マリル(東エリア水辺、HP+2)
こうげき:ヤングース(海辺の洞穴、こうげき+1)、キリキザン・ヘラクロス・コロトック・エクスレッグ(北2番エリア、こうげき+2)
ぼうぎょ:シガロコ・スナヘビ(ロースト砂漠、ぼうぎょ+1)、ミミズズ(ロースト砂漠、ぼうぎょ+2)
とくこう:デルビル(海辺の洞穴、とくこう+1)・キラフロル(エリアゼロ、とくこう+2)
とくぼう:ハネッコ(コサジの小道、とくぼう+1)・フラエッテ(北3番エリア花園、とくぼう+2)
すばやさ:ヤヤコマ(コサジの小道、すばやさ+1)・タイカイデン・ウミトリオ・フローゼル(各地の海辺、すばやさ+2)

……といっても、例えばグルトンと252回も戦うなんてことになればただ辛いだけなので、以下を併用することで時間が短縮できる。


  • アイテム
「パワーウエイト」「パワーリスト」「パワーベルト」「パワーレンズ」「パワーバンド」「パワーアンクル」は、それぞれ持たせると、戦闘で得られる努力値に加えて左から「HP」「こうげき」「ぼうぎょ」「とくこう」「とくぼう」「すばやさ」の努力値+8が入る。
ポケモン8匹分と考えれば少なくはないので、野生ポケモンと戦って努力値を振りたいのであれば活用したい。

  • ハネ
一応努力値が入るが……それぞれの能力に対して1しか入らないのであまりお勧めできない。レイド討伐を繰り返せば勝手に溜まっていくので、もし余ったら使ってしまってもよい。

  • 栄養ドリンク
最強の手段。
ドリンク1個につき努力値が10加算されるので、特定のドリンクを26個与えるだけであっという間にその能力の努力値を振り切ることができる。しかもまとめて投与可能。正に魔財。
だが1匹に対して全てこれでやろうとするとお金がうんとかかる。具体的には「(26×2+1(余った6を適当に入れる分))10000(ドリンク1個の値段)=530000」かかる。
「私の育成費用は53万です」
最強大会に参加しまくるのが恐らくは一番効率が良いだろうか。くれぐれも過労させないように。


このように、多少なりとも時間は取られるものの、しっかり育成しきれば見違えるほど能力が高くなる。
具体的にはレベル100において振らない状態と振った状態とではステータスが63も違う。さっきの「育成ボーナスが63」とはつまりこういうことだ。性格で伸びやすくなっていれば更に差がつく。
レベル50ではこの半分(31.5、端数は切捨)だが、それでもここまで増えるだけでだいぶ違う。
是非やってみること。

努力値の振り分け具合を大まかに確認できる方法がある。
ポケモンの能力値画面でLボタンを押すと、努力値の振り分けグラフが表示されるようになっている。
グラフ全体の色が黄色のときはまだ振り分けられる努力値が残っている状態、色がになったらこれ以上振り分けられない(510振り終わった)状態を表す。
また、1つの能力について限界の252まで振り切った場合、グラフの先端がキラキラと輝くので目印にするとよい。

なお、間違えて振り分けてしまったり、既に振り分けられたものを変更したい場合、ザロクのみ(HP)・ネコブのみ(こうげき)・タポルのみ(ぼうぎょ)・ロメのみ(とくこう)・ウブのみ(とくぼう)・マトマのみ(すばやさ)を与えることで、それぞれ()の中の能力の努力値が1つにつき10下がる。
冒険で連れ歩いたポケモン達は努力値が滅茶苦茶になっていることがほとんどなので、その子達の努力値を整えたい場合は先に投与する必要がある。

まとめ

このように、強いポケモンを育てるには、


〔1〕技・特性と共に「種族値」を把握し、得意そうな戦術を見極める
〔2〕その戦術に合った「性格」を見つけ、「個体値」ができるだけ高い子を用意する
〔3〕戦術に相応しい「努力値」の振り分けを行う

この3つを行うことが何より大事なのである。


T.K./Takamiya
最終更新:2023年03月31日 20:05