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その夜の三咲公園の人影は二つしかなかった、生けし者は危険を察知したのか、陰も形もない、ただそこにいるのは二人の女性、一人は黒い法衣を着た大きい女性、
もう一人は小柄であり、それを引き立たせるコート、そして自分の身体にピッタリとした俗に言うパイロットスーツ風の服を来た女性―――

その光景を見た者は普通の人なら圧倒されたのだろう、何故なら彼女達は―――

        ――――コロシアイをしているのだから

発端は何であろう、代行者は異端を狩らんが為、戦闘機人はその異端をそして妹を守らんがする為…つまり互いの考えが一致しただけなのだ。ただどちらも同じ考えをしていた。負ける気は無かったのだ。

女性は長年異端と戦い狩り続け、そして自分の体が特異である事の所以―――

少女は長年管理局の魔導士と戦い、負傷していたとはいえSランクを撃破した事の所以―――

だが互いに慢心する事はなかった、慢心こそ戦いの場で最も忌むべきものであることを熟知している、
だからこそ相手を最初から潰すつもりなのだ、手加減はなし、一切の妥協はない、ただ相手の心臓の鼓動を止めるまでとことんやる。

女性の放つのは長刃を持つ鍵、少女の放つものは一見するとクナイに似た投擲型ナイフ

(命のやり取りか…久方ぶりだ)

少女、戦闘機人5番目にして『チンク』は思う、あの時の戦いはその分野の人達からが言えば生ぬるい戦い、非殺傷設定、
だが今回の戦いは殺傷設定にしているのだ。無論、行く前から八神はやてから『殺しはあかん』と言われているが、
それは不可能に近い、自分の対峙する相手はその程度の攻撃ではびくともしない事をすでに資料で読んでいるのだ。

――――『埋葬機関』
バチカンに存在する聖堂教会に存在する、バチカンの表側の最強戦力が『スイス傭兵部隊』であれば裏側最強、
いや最凶の名を持つ戦闘集団、管理局基準で言えばそれこそジェイル・スカリエッティが行った非道な人体実験の同等
いやそれ以上と言えるかもしれない、人の根幹を否定するあらゆる禁術が施された最悪の存在

―――その存在によって血祭りとなった管理局員は数知れず。

バチカンに潜入した局員の半数以上は最悪で即日、最善でも一ヶ月で殺されるか…運がよければ情報を持ち帰れるが、
持ち帰れてもPTSDにかかるもの、機関、傭兵部隊との交戦で重傷を負い前線勤務には戻れなくなる例がほとんどであった。

そして行く前チンクが眼を通したのは、管理局局員が本当に命がけで手に入れた埋葬機関の構成員…

  • 機関最凶にして殺人狂『ナルバレック』
  • 吸血鬼でありながら機関にその名を刻む、フォーデーモン・ザ・グレートビースト、『メレム・ソロモン』
  • 1対1であれば例えエースオブエースでも聖王の器すら凌駕する「エル・ナハト」
  • 何故かこの人に遭遇すると生還率はほぼ100%になる変わりに稀代のカレー病になってしまう『カリー・ド・マルシェ』

そして―――

  • 近年頭角を表し、あらゆる殺傷攻撃もものともせず局内では『不死者』『再生者』(どこのアン〇ルセンと言う突っ込みはなしで)
 という名で恐れられている弓と言うコードを持つ、『シエル(風)』…


そして現推測ランクSSS級にして「暗黒卿」と呼ばれる、ダースベn(以下略)

―――どうなっているのだこの世界は?

資料を通した時の自分の第一印象
―――同時に自分の故郷でありながら、ある意味ゆりかごを凌駕する場所に何故ホイホイと派遣するのだ、あのエースオブエースは…

最もチンクの疑問は確かにそうであるが、なのはは知らなかった。元々日本と言う極東の地の地政学的問題もあるからだ…
三咲や冬木は本当に異常といえる異常な場所である…(まぁ海鳴も吸血鬼いたり、妖狐いたり、幽霊いたりここどこの幻〇郷と言える場所なんだけど)

―――さて、この代行者と戦うには…

チンクは周りを凝視する、広場には子供が遊ぶ為の遊具、ベンチ、自動販売機、街灯…

―――善戦は出来るな。

少なくともそう思う、自分の能力を知ればこそ、ここ『戦場』は理想と言えないが、有利な戦場と言えるだろう、
少なくとも彼女はシエルについて断片的であるが知っていた、しかしシエルは自分の力を全く知っていないのだ。

―――アドバンテージはこちらにあるか…

戦闘機人として冷静に判断する、そして取り出したスティンガーを一斉に投げつける、それと同時にシエルの黒鍵も投げる、
そしてスティンガーと黒鍵はその刃をぶつけ合い、推進力を失い弾かれる。

―――投げる威力は同等と言えるか。

そしてスティンガーを再び放つ、右から投げたのはシエルの体にめり込むように狙ったもの、そして時間差を起き第2射を放つ、
チンクは投げる速度を早くする為短刃、一方シエルの黒鍵は長刃の為投げるまでの時間はほんの少しだけチンクより長い、
そしてシエルは黒鍵を投げずに黒鍵でスティンガーをなぎ払おうとする。

―――装填して投げるまでのスピードを瞬時に考慮し、そして投げるタイムラグの分が悪いと判断した…
   伊達に数多の局員を葬っていった事はあるか…

だが、私を舐めてもらっては困る、そしてスティンガーの刃が黒鍵と触れた瞬間を狙い、自分の能力を発動する。

―――手札より速攻魔法…じゃなくてIS『ランブルデトネイター』

スティンガーを予め爆発物としてセットし、刃に触れた瞬間起爆するようセットした、そして爆発、
無論その刃は対象者に突き刺さってもなく、破片もたいした事はないだろう。

―――だがな。

爆風によりシエルの体は吹き飛ばされる、そして第2射がシエルに向かう、しかしこれはもう装填
していた黒鍵で叩き落される。しかしそれは囮にすぎない、2射でシエルに向かったのは2本のみ、
そしてもう2本のスティンガーはシエルの両脇を進んでいた、それが狙い目だ。スティンガーが向
かった先には右には鉄製のゴミ箱、左には鉄製のベンチ、そしてスティンガーの刃と二つの物質が
触れると同時にその機能を発動、そしてシエルは丁度ゴミ箱とベンチに挟まれる。

―――ジャックポット!

ゴミ箱とベンチは爆発を起こす、そしてその破片は予めシエルに向かうようにセットされていた、
投げる角度、スピード、そしてシエルに破片が集中するようにスティンガーをぶつけるタイミング、
そこまで計算を瞬時にこなすのは戦闘機人である所以…ゼスト、ギンガを撃破した事実は伊達では
ない。
 そしてゴミ箱とベンチは地球上の兵器で言うと対人地雷であるクレイモアの様になり、ボールベ
アリングの様にこそならないが大小様々の破片、鋭く尖ったものもあれば折れ曲がったものもある、
それらが、何百、何千となり、シエルを包みこむ。そして爆風で砂塵が舞い上がり、シエルの場所
は砂煙で見えない。

――――まさか、これで終わりというわけではないよな。

その警戒は一本の黒鍵によって返礼される、顔面に向けて投げつけられた一本の黒鍵をかわす、し
かしその刃はチンクの頬の肉と髪をほんの少しだけ抉り取る。チンクは頬から流れる血を拭った。

――――流石にすべて思惑通りにはいかぬか。

砂塵が消え、その中心からシエルが現れた、流石に無傷とはいえない、破片は刺さっておりそして
刺さった部分から血が流れていた、常人なら確実に致死とも言える攻撃だが、彼女には通じないよ
うだ。

「ふぅ、また法衣を破ってしまいました…それにしても貴女の投げる刃は触れたものを爆発物に変
 える能力を備えていると同時に刃自体も爆発物になるのですか―――驚きました」

感嘆するようにシエルは言う。

「非礼を詫びましょう、貴女は今まで私が戦ってきた管理局の局員とは違う」
「当然だ」

チンクは言う。

「私はそうあるために作られたのだからな、それが私『チンク』が生まれた所以」
「成る程、チンク、『5』を表す言葉…差し詰めホムンクルス、人造生命体という所ですか」
「似たような存在であるが、違うな代行者」
「まぁ、貴女がなんであれ関係ないこと、愚かな異端を神の下に捧げる、それだけの事」

真面目な顔をしてシエルは黒鍵を装填、計8本の黒鍵が表れる。

「ふん、その言葉そっくり返してやる」

同じく真面目な顔をしてチンクもスティンガーを構える。

―――破片程度では微々たるダメージしか与えられんか。

久々の強敵相手に熱くなりそうな自分の心を抑えて冷静に分析する、彼女の身体は特別性であり致命傷を追わせるには表面ではなく内側、
それも体内まで刃を撃ちこむ事、もしくは出血多量まで持込戦闘能力の奪取が最善の策と想定…では如何すればいい?

プランA→多数のクレイモア攻撃による出血増加による対象者の戦闘能力の喪失

A、ナイン、先ほど誘い込めたのはまだ彼女が私の力を知らなかった為成功したものである。
  そうなる以上その手は二度と通用しないし、彼女も極力何もない広場で戦おうとするだろう、
  そしてこの公園は爆発物となる物体が多いとはいえない、極めて難しい。

プランB→スティンガーを対象者の弱点、心臓、もしくは頭部に直接めり込ませ、爆発させ対象者の生命活動の停止

A、ダメージとして最善、如何なる存在であろうと、心臓、もしくは脳髄を破壊すれば死に至らしめる、
  しかしそこに直接刺すには投擲はほぼ不可、近接戦において直接突き刺すのが有効…
  しかし、敵戦力の近接戦闘能力の未知数…その点以外では極めて成功率は高い。

プランC→スティンガー全方位による飽和攻撃による戦闘力奪取、喪失

A、ナイン、敵の持つ投擲武器の総数不明、あの形状から総数は少なめと予想されたが実際は予想を上回る本数を確認、
  そして飽和攻撃に失敗した場合の逆転案はゼロ、賭けの可能性はプランBよりかなり高い。

―――プランBと言うことか…此方のアドバンテージは崩れたとはいえまだイーブン、いや、代行者はこちらの攻撃はあらゆるものを爆発させると認識している、
   ならばそこが付けいれられる。まだこちらの有利か。

―――思ったより出来ますね。
今まで戦いそして叩き潰してきた局員とは格の違うほどの戦闘力を見せる、それに攻撃に一切の躊
躇がないし計算された攻撃も見事と言えよう、そして何より厄介なのはあの触れたものを爆発させ、
さらにそのものを爆発する事が出来る投げナイフ…だが、局員はこちらに対するクレイモア攻撃が
ほぼ通用しないとする事は分かっただろう。なら敵の考え付く次の戦術は予想がつく。

1、先ほどの倍、もしくはそれ以上のクレイモア攻撃

対応→可、少なくとも広場で戦えば対象物の数、そして遠距離からの攻撃は回避可もしくは対応可(クレイモアは接近してこそ威力があがる)
   それに自分の身体能力がわかった以上、そのような戦術は取り難い。

2、全方位攻撃、もしくは足止めの後の飽和攻撃

対応可→黒鍵は相当数持ってきている、そして投げるナイフを最低限だけ撃墜、そして脱出ルートの確保、
    そして打ち尽くしたところを見計らって反撃、可能性は捨てきれないがこの手の攻撃は行う確立はかなり低い

3、近接攻撃において、こちらの生命能力の排除

対応可しかし難→可能性としてかなり高い、代行者との長時間戦闘は相当の負担をかける、なればこちらの脳髄、頚動脈、
        心臓部に直接ナイフを打ち込み爆発させ致命傷を与える、成る程流石にこれを喰らえばただではすまない、
        しかしこちらの接近戦能力は極めて高いが、同時に敵の近接能力も不明、少なくともあのコートからして
        近接攻撃には向かないと推定されるが、コートを脱ぐ事により、機動性の上昇を想定される、確立は高い。

そして互いに同じ考えを浮かべ、攻撃体制を取る、だが両者とも相手を全て把握していなかった。

機人は代行者の身体能力並びにオールランダーである事。
代行者は機人のスペック、そしてIS能力…

「一つ御教授してあげましょうか?」
シエルは笑顔で言う。
「聞かせていただこう」
チンクは了承する。

「ナイフは―――」

「投げるものではなくて相手を、刺すものですよ」

少なくともまだ決着はつかない、だが、長いようで短い終焉の時が近付こうとする。

「へぇ~~~、シエルにあれほどの打撃を与えるとはね」

誰もいないはずのコロシアム、その片隅で真祖は両雄の武の観客者となっていた。

「あの小さな子の能力、結構厄介そうだけど…まぁあれが爆発するのは恐らく鉄系のみ、しかしあ
の子もシエルの事を勘違いしている、シエルは接近戦でも私相手にもひけを取らないという事を」

久々に愛しき人の下に行こうかと思ったが。
「少しだけど面白い見世物になりそうね」

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最終更新:2008年05月19日 18:17