主人公/21スレ/580-582 684-688 696-697
(…やっぱり賑やかなのも良いが、静かに飲むのも最高だ)
宴の中、鳥居に背を預け一人で酒を飲みながら思った
そもそも、宴で騒がないといけないという事は無いからな
宴の風景を楽しみながらもう一口飲むと、いきなり頭を叩かれ声をかけられた
「なんだ○○、またここで一人酒やってんのか?」
突然の事に驚き、口に入っていた酒を全て吹いてしまった
その時、目の端に長い金髪と白黒の服が見えた
って痛!鼻に入った!
「わっ!汚っ!」
「ぶほっ、なっ、なんだ。なんがよぅがまりざ」
だめだ上手く喋れねぇ
そんな時、
魔理沙は変わった様子もなく言った
「いやな、一人酒じゃつまんないだろ?だから一緒に飲もうぜ」
「別にいいだろ、宴だからって一人酒くらい
大体、普段お前だけじゃなく元気な妖怪やら妖精とかも色々来るから大変なんだよ
頼むから、頼むから一人静かな時間をくれよ本当に!」
「お前…そういう時はうるさくなるよな」
「ほっとけ」
魔理沙と話(愚痴?)をしていると、霊夢がやって来た
「酒を飲むのもいいけど、さっさと酒や料理を持ってきなさい」
「何で俺が持って来ないといけないんだ」
「あら、居候なのに家主に逆らうの?」
「…分かった、持って来てやるよ」
そう言って、駆け足で神社の中に向かう
台所に料理の皿と、酒瓶数本が見えた
「まあ、住ませてくれるだけ良いか」
そんな事を呟いて、料理を持って行った
俺が元の場所に戻った時、自身の目を疑った
俺の癒しである鳥居に、二人の他に宴の参加者の大半が居たからだ
なんだこれ、どうしてこうなった?何で俺の憩いの場に?
そんな時、一同がこっちに気付き、呼んでくる奴が居た
「あ!おーい○○!こっちで遊ぼうよ!」
「○○!早くおいでよ~!」
俺を呼んだのは、妖精の
チルノと吸血鬼であるフランだった
分かったと返した後、俺は料理や酒を置き、霊夢と魔理沙に聞いた
「なあ、なんだこの状況は」
「魔理沙が呼んできた」
「わ、私は悪くないぜ!霊夢だって賛成しただろ!?」
「なるほど、大体分かった」
大方魔理沙が、一人呼んだら色々くっついて来たんだろう
「「ねぇ○○ってば!遊ぼうよ~」」
そういって、さっき呼んでいた二人が寄ってくる
「はいはい分かった!遊ぶよ!ただし、弾幕は勘弁してくれ」
二人は分かったと言って、俺を引っ張って行く
その時一瞬、後ろに鋭い殺気の様な物を感じた
気のせいだろうか?
結局、宴が終わるまで!他の奴に遊ぼうとか飲もうと付き合わされ休めなかった
おまけに片付けまでさせられるし…疲れた
「○○、そっちの机の皿持ってきて」
…まあいい。とりあえず片付けるか
よっこいしょっと、皿はこれで全部だな
後はこいつらを洗うだけだ
「○○、居るか?」
「なんだ?」
これから皿を洗おうという時に、魔理沙に呼ばれた
まだ居たのか?というか少し休ませて欲しいんだが…
「・・・っ」
なんて考えてると、いきなり魔理沙が走ってきて、思い切り抱き着かれた
「なあ、おい魔理沙」
抱き着いてきた魔理沙の肩を持ち、離そうとするが離れない
仕方ないので顔を覗いてみると健康そうだが、泣きそうになっている
「一体どうしたんだ、調子悪いのか」
「そんなんじゃな、だって、○○が」
俺が?俺がどうしたって?
「っ!もういい!」
そう吐き捨てて、箒で飛んでった
一体何だったんだ?
「なにやってんの○○?」
少し考えている内に霊夢が来た
「・・・いいや、何でもない」
「そう…ならいいんだけど。後、明日食材買ってきて頂戴」
「はいはい了解」
そう受け答えをすると、霊夢は少し目を細めて部屋に戻って行った。
昨日の宴で色々誘われた時(何度も)小町に呼ばれた気がした
…まあ宴の後、様子がおかしかったから俺もつい了解してしまったが
「…しかし重い。食いきれなさそうな程買う必要があるのか?」
どうせいちいち買い出しに行くのが面倒とかだろう
霊夢への不平不満を呟いていると少し前に団子屋が見えた
…今日も買って帰ろうか(霊夢の分も含めて)
そんな事を考えながら、店に入り注文した
「おばちゃん、団子五つな?そのうち二つは持ち帰りで」
「はいはい。いつもありがとうね」
おばちゃんはそう受け答え、店の奥に行くと、団子の乗った皿を持ってくる
その皿が自分の隣に置かれると、すぐ一本目に手を伸ばす
「いただきます」
半ば適当に言うと、団子を一気に頬張った
んん、やっぱり美味い!…でも、こう食べるとすぐに無くなるんだよな
口に含んだ団子を茶と一緒に飲み込み、二本目に手を伸ばす
慌てて下を見たが、団子は無い
どこに行ったかを考えていると後ろから声をかけられた
「そんなに慌てなくても、貴方の探し物ならここにあるわよ?」
誰だと思い振り向くと、大妖怪である紫がスキマから顔を出していた
「こんにちわ○○、元気そうで良かったわ」
「元気そうで良かったわ?じゃないだろ、今すぐ俺の団子返せ」
「はいはい、貴方は相変わらずね…これでいいかしら?」
紫は適当に返事をして、皿に団子を戻す
っておい、一つしか無いぞ…?
「ああ、二つあったから一つ頂いてるわよ」
「人の盗んな!自分で払え!」
紫は溜息を吐き、少し呆れながら言った
「全く…団子一つで怒鳴らないで欲しいわ」
「最近姿見せなかったくせに、我が儘言いたい放題か」
「あら、人も妖怪も大抵我が儘なものだと思うけど?」
「…それはそうなんだが」
俺は、自分から折れるように呟いた
紫との会話で、こういう風に続くと大抵面倒になる
「それより、前にあったのは…二ヶ月位前かしら?
今まで誰と何していたとか、色々教えて頂戴?」
少しあざとく感じる様な上目遣いで言った
いい加減、本気で怒るぞスキマ女
俺はそんな言葉を心に押し留め、今までの出来事を話した
「ふぁああ…昨日騒ぎすぎたかしら?凄く眠いわ」
誰もいない神社で思わず呟いてしまった
○○のがうつったかしら?
というか、遅いわね○○…付いて行けばよかったわ
私は少し後悔しながら、緑茶を飲んだ
そして飲み終わると同時に、魔理沙がやって来た
「よっ、霊夢!遊びに来てやったぜ」
「いらっしゃい。何もないけどどうぞ」
「じゃあ、お邪魔するぜ」
ほとんどお決まりの挨拶を交わして、隣に魔理沙が座った
「あれ?今日は菓子は食ってないんだな」
「昨日の昼ので最後よ。今買ってきて貰ってるわ」
買い出しさせたら必ず団子二つを買って帰るのよね
おかげで団子が癖になっちゃった…お腹周り大丈夫かしら
取ったらいつもみたいに、『俺の団子だぞ』とか色々騒ぐだろうけど
「あ、だから○○がいないのか」
「ええ、帰ってきたら料理を手伝って貰うつもりよ」
「…厳しいな、霊夢」
「居候が家主の手伝いをするのは当然よ」
それに二人で作った料理を一緒に食べられるし…ふふ
「○○が可哀想だぜ・・・倒れたりしてないよな?」
「あら、やけに○○の心配をするのね?」
いつもなら、『ほどほどにしとけよ?』位なのに
私に聞かれた魔理沙は照れながら答えた
「そりゃ…当たり前だぜ」
そして私は、その事を聞いたのを後悔した
「私は…○○の彼女だからな!心配するのは当然だ!」
開き直ったように魔理沙が大声で言った
その時持っていた湯のみが、ピキリと音をたてた
「・・・・・・・・・・え?」
今、何、言ったの?
魔理沙が、○、○の、彼女?
どういう・・・どういうこと?
私は、動揺を抑えながら質問した
「いつ、どっちから告白したの?」
「いや、それが一昨日の夜の事なんだが」
「一昨日・・の・・夜?」
「ああ!」
魔理沙はそういって笑顔で庭へ飛び出し、空を指した
「綺麗な星の下で、不器用に、愛してるって言ってくれたんだ!」
それは無い
だって私は一昨日の夜、○○と…一緒に寝ていたから
「そして私達は、甘いキスをしたんだ」
魔理沙がそこまで言ったとき、私は気付いた
魔理沙の目に、光が無い
「そしてそのまま…っと、これ以上は秘密だぜ?」
ああそっか
魔理沙は嫉妬で、妄想と現実が混ざっちゃたのね
じゃないと、私の前で、○○の恋人になったとか言わないわ
そう理解した途端、抑え切れない笑いがこみ上げて来る
「?どうしたんだ霊夢」
「いや?ふふっ。そんな夢を見るなんて可哀想ね?魔理沙って」
「夢?何言ってるんだ?」
どうやら魔理沙には、意味が分からないらしい
私は笑いながら、皮肉を込めて魔理沙に事実を教える
「○○と愛し合っているのは私よ、妄想家の可哀想な魔女さん」
「・・・・・・はぁ?」
霊夢の言葉を聞いて、冗談が過ぎると思った
「分からないの?魔理沙が○○と恋人っていうのは夢なのよ
だって私は、毎晩あいつと一緒に寝てるのよ?
あんたの所に行く暇なんて無いわ」
霊夢がそう言った一瞬、私は自分の耳を疑った
「霊夢、ふざけるのもその位にしろよ?」
「ふざけてなんていないわ?」
霊夢の発言が終わってしばらくは、辺りは静かになった
「「ふ、ふふっ、あはははは!」」
それが何だかおかしくて、私と霊夢は笑っていた
その時、強い風で私の帽子が吹き飛び、地に落ちた
その瞬間、私達の手は眩しい位に輝いた
「…というのが今日までの出来事だ」
日が真上からずれた頃、やっと話が終わった
といっても、ただ日常の手伝いとかを話しただけなんだが
思い出を話すほど、ここでの色んな事が少し懐かしく感じる
「…はぁ、やっぱり馬鹿ね」
「なんだよ。どこかおかしかったか?」
紫が憐みの視線を送りながら溜息を吐いた
おい、そんな目でこっち見んな。地味に刺さるんだぞ?その視線
「鈍さや思わせ振りもここまでくると、一つの才能ね。
全く、霊夢と魔理沙が可哀想になるわ…」
「意味が分からん」
「…一応聞くけど、本当に何も解ってないの?」
冗談でしょというような顔をして、紫が問い詰めて来る
「そんな事言われてもな…駄目だ分からん。で、答えは?」
紫は何かを考えついたらしく
「私がその答えをいうわけにはいかないわ
その代わり、貴方に二つヒントをあげる」
そんな事を言いやがった
「ヒント?」
クイズ形式か?直接言えよ、面倒くさい
「ええ、貴方でもわかりやすいよう二つだけね?
まずは一つ目。初恋を知った女は、大抵一途で嫉妬深いという事
そして二つ目。ここの女性は縁や愛に、心が飢えているという事」
「・・・・・・・・」
言いたい事は大体分かる。だが、根本的な事が分からん
「おい、もう一つ」
そこまで言った所で、博麗神社の方から大きな爆発音が響いた
感想
最終更新:2019年02月09日 22:28