死神のカード
「なあ、○○。あたい心配なんだよ。○○がどっかに
行ってしまわないかって。」
いつも僕を引っ張る彼女であったが、時折ふとした時に
僕にポツリと本音を漏らすことがるのであるが、
そう言う彼女の目は真剣であった。僕は彼女に心配
無いと言うのであるが、彼女はいつでも不安そうな顔を
して僕を見つめてくる。そんな時に僕はいつでも彼女を
抱きしめながら宥めるのである。そうすると次第に落ち着いて
くるのか、また何時もの快活な彼女が戻ってきていた。
ある時、全くの不注意で、そう全くの偶然と不運の
重なりによって僕は死んでしまっていた。いた、と言う
のは過去系であり、今回は過去完了形であるのであるが、
中学校の英語の時間に習ったように、完了形というから
には僕の死は確定である。しかし完了形のもう一つの
文意として、だからどうなったというのがある。
そして今回の僕は彼女に囚われている。死んだのであるの
だから、どうなったも何も無いはずであるのだが、彼女は
死神であった。
「なあ、○○。これであんたがどっかに行ってしまうことが
無くなったねぇ。」
彼女は本心から喜んでいた。
最終更新:2017年01月01日 21:14