***秋田県の「丑の刻参り」にかんする記述。 『奇人怪人偏愛記』楽工社 2006 P161~162 >昭和二十九年、秋田県で、藁人形の呪いをかけて殺人が行われかけたことがある。 >田中義江さんという若い女性が突然胸の痛みで倒れ、医者に見せても原因が分からぬまま過ぎたが、 >義江さんの交際相手の山本鉄也さんから警察に「彼女はのろいをかけれている」との訴えがあった。 >山本さんは、数年前からKという別の女性と交際していたが、義江さんとつきあうようになり、 >Kの方には別れ話を持ち出した。しかし、Kはあきらめきれずに義江さんをうらみ、 >近所の神社で丑の刻参りを行ったのだ。警察は検討した結果、Kを逮捕した。 >すると、とたんに義江さんの体は回復し、周囲の人を驚かせた、と当時の新聞にある。 FAR EAST REESARCH 1998/02/01 http://www.ntv.co.jp/FERC/research/19980201/f0313.html >昭和29年秋田市の田中義江さんは、突然胸の痛みで倒れた。 >医者に行ったが、原因は不明。数日後、山本鉄也さんが警察に「彼女はワラ人形の呪いをかけられている。」と訴えた。 >山本さんは、数年前から堀田清子さんと交際していたが、義江さんのことが好きになり別れ話を持ち出した。 >しかし、清子さんは諦めきれずにやり場のない怒りを義江さんに向けた。 >清子さんは幼少の頃に祖母から聞き伝えた「丑の刻参り」を思い出し、 >深夜3時頃近所の神社で白装束に身を包み義江さんをかたどったワラ人形と名前を書いた紙を >「呪い死ね」と祈りながら何日も五寸釘で打ち付けた!!そして義江さんは倒れた。 >警察は検討した結果、清子さんを脅迫容疑で逮捕した。 >すると途端に義江さんの体は回復し、周囲の人を唖然とさせたのだ。 唐沢の書いた「当時の新聞」が元ネタなら両者が似ているのは仕方ないかも知れない。 当然ながら、『奇人怪人偏愛記』は原典には一切触れていない。また、唐沢の記述には日テレで触れていること以外の情報は皆無。 ---- ***モートン・シャッツマン(ルースの物語) 『奇人怪人偏愛記』楽工社 2006 P160 >精神神経科医モートン・シャッツマン博士の患者に、自由に幽霊を作り出すことの出来 >る患者がいた。博士は彼女をルースと仮名で読(ママ)んでいるが、ルースは幼少の頃 >から幽霊をよく見る女の子だった。 十歳の頃に、実の父親からセクシャルハラスメント >を受け、このときから、彼女には父親の幽霊が 取り憑くようになる。幽霊と言っても父 >親は死んではいないのだが、どんなに寝室に鍵をかけても 幽霊となった父親はやってき >て彼女に性交渉を迫り、また結婚後は夫も幽霊となって彼女に迫るようになった。 >これに困ったルースは、シャッツマン博士のもとにやってきたのだが、その幽霊とは彼 >女が心の中で 作り出しているものだと診断した(幽霊の本場だけあって無碍に否定しな >いのである)博士は、幽霊を 排除するのではなく、あなたの中でコントロールできるよ >うにしなさい、と勧めた。 つまり、幽霊を恐怖心で見るのではなく、それと面と向かえ >るようにして、 恐怖心を克服するように教えたのだ。 >ルースはさすがに、最初は怖さが先に立ってなかなか幽霊と話し合えなかった。 >そこでシャッツマン博士は、幽霊が坐っている、と彼女が言った椅子に、わざとドッカ >と腰掛けてみせたという。 >ルースの目には、幽霊があわててその椅子からどいたように見え、これで彼女にとって、 >幽霊の怖さはだいぶ軽減されたものとなった。やがてルースは、怖い幽霊ばかりでなく、 >自分の親友や、 シャッツマン博士の幽霊も自由に作り出せるようになり、幽霊は自分に >とって怖い存在ではなく、 親しいものだと意識できるようになった。結局、シャッツマ >ン博士は幽霊を退散させることは出来なかったが、逆手にとってルースと幽霊を仲よく >させることで、彼女の生活に幽霊が支障となることをなくさせ、 その恐怖から彼女を解 >放した。ルースは今でも、幽霊たちと仲よく生活しているはずである。 マッドサイエンティストの部屋 http://homepage3.nifty.com/adeno1/sci/brain.htm >イギリスの精神医学者モートン・シャッツマンは「ルースの物語(1980)」を記した >(ルースは患者の仮名である)。この幽霊の特徴は生きている人物の幽霊(ルースの父親 >や夫など)であることである。幼少の頃から幽霊らしきものを比較的自由に見る事がで >きたルースだが、10歳の頃に実の父親から強姦されそうになる。この事件をきっかけ >に、父親の幽霊が取り付くようになる。また、結婚後は夫も幽霊となって、性的交渉を >迫るようになる。これに困ったルースは治療を求めた。シャッツマンは幽霊を『あなた >自身がつくりだしているものだ』とルースに分からせることで、幽霊を制御可能なもの >へと変えた。較的自由に幽霊を出現させたり消したりできるようになったルースは、恐 >怖心から解放され、幽霊と面と向かって対話できるようになった。 >シャッツマンはこの会話を録音したが、さすがに幽霊の声は録音できなかった。幽霊の >声はルースにしか聞けなかったのだ。あるとき、 >シャッツマンは幽霊が座っているはずのイスに無理矢理腰掛けようとした。このとき、 >ルースには幽霊がイスから逃げ出すように見えた。 >幽霊は人間と同じように振る舞うのだ。やがてルースは、シャッツマンや親友の幽霊も >自由に作り出せるようになった。 >この時点で治療は成功したと判断され終了した。彼女にとって幽霊が煩わしくなければ >それで構わないのだから。 >参考:「新幽霊科学」徳間書店 発行 ゆうむはじめ 著 >参考:「夢魔」株式会社未来社 発行 スタン・グーチ 著 川澄英男 訳 1989年第1刷発行 「マッドサイエンティストの部屋」には参考文献が明記されている。 また幽霊の声の録音など唐沢の記述にはない情報も含まれている。 一方、唐沢の記述はボリュームはあるが、明らかに水増ししている。 ---- ***コリン・ウィルソン監修BBCの番組について 『奇人怪人偏愛記』楽工社 2006 P162 上のシャッツマン博士のエピソードに続いて、 >1976年、心霊研究家として有名な作家コリン・ウィルソンが監修したBBCの心霊番組の中で >ある女性に催眠術がかけられ、特定の男性に会うと幽霊が見えるように暗示が与えられた。 >もちろん、その女性には自分に与えられた暗示は知らされていなかった。 >その後、波止場で、その暗示で与えられた特定の男性が彼女に近付くと、 >女性は、今、自分の脇にいた人が急に消えてしまったと不思議がった。 >そのきえた人の服装を質問すると、その答えは催眠術で与えられた幽霊と全く同じだった。 >女性は、そんな人間が実際にはいなかったことに、まったく気がついていなかった。 >これだけなら面白い真理実験のおはなし、で終わりなのだが、実は後日談がある。 >放送後BBCに、その波止場で、同じような幽霊を見たという報告が相次いだのである。 >まったくの創作で、モデルなどいない架空の幽霊であったのに。 それに対して「マッドサイエンティストの部屋」 http://homepage3.nifty.com/adeno1/sci/brain.htm >幽霊研究先進国イギリスにおいて、人工的に幽霊を作り出す実験が行われ、この実験は1976年にBBCにより放送された。 >コリン・ウィルソン監修のシリーズ番組「Leap in the Dark」のなかで行われた実験は次のように行われた。 >まず、ある女性に催眠術がかけられ、その女性が見るであろう幽霊について詳しい説明がなされた。 >次に、特定の男性に会うとその幽霊が見えるとする「後発性暗示」が、その女性に与えられ、催眠術は解かれた。 >ひとけのない波止場に立つ女性に、男性が歩み寄る。その時、女性は今いた人が急に消えてしまったと不思議がった。 >その消えた人の様子を質問すると、その答えは催眠術で与えられた幽霊そのものだった。 >また、女性から見てその幽霊(?)はごく普通の人間に見えたと言う。 >この話には後日談がある。放送局や心霊研究家のところへ、同じような幽霊を見たと言う報告が相次いだのである。 >しかし、この幽霊は完全な創作であり、それ以前に目撃されたことはない。 >つまり、幽霊話は噂だけでも伝染するものであり、元がニセモノでも構わない。 >第2次大戦直前のアメリカでおこった火星人騒動も同じである。 >幽霊製造実験は心霊スポット製造実験ともなったのだ。 >参考:「新幽霊科学」徳間書店発行 ゆうむはじめ著 >引用元はコリン・ウィルソンの「ミステリーズ」(工作舎) 唐沢の記述は分量の割りに「マッドサイエンティストの部屋」以上の 情報がない(番組名とか)。