対消滅(ついしょうめつ,pair annihilation)とは、粒子と反粒子が衝突し、
エネルギーないし他の粒子に変換される現象である。対生成の逆。
電子の場合を例に取れば、電子と
陽電子(電子の
反粒子。
電子と同じ質量でプラスの電荷をもつ)が衝突すると、
電子、陽電子それぞれの静止エネルギー(それぞれ511keV/C2)
とそれらのもつ運動エネルギーの和に等しいだけのエネルギーをもつ光子が放出され、
γ線として観測される。たとえば、γ線源としてよく用いられるナトリウムの放射性同位体である22Naは、
非常に精度の良い約511keVのエネルギーをもつガンマ線を出すことで知られているが、
これは22Naの原子核がβ+崩壊によって放出される陽電子と、
その周りに存在する電子が対消滅する際に2つの光子を放出する場合の光子である。
対消滅では運動量が保存されるので、運動エネルギーをもたない電子と陽電子が対消滅して二つの光子を作り出す場合、
エネルギーは均等に分配される。
最終更新:2007年04月17日 19:27