金属質な洗練された昆虫のような外見を持った恐らくは生命体。
世界に現れる時は、空間をまるで二次元上の絵であるかのようにひび割れさせながら表れる。大きさは様々で、形態も様々。
現在確認されているもので最大で30M以上に達する。最小では10cm程。
但し、確認できていないだけでさらに巨大なものや小さいものはいるかもしれない。
だが、どのようなものでもその目的ははっきりしている。
それは世界への侵略である。
彼らは、存在するだけで世界を侵食していく。
まず彼らが現れた時に世界は数センチ~数十メートル範囲で侵食される。
この侵食は、そこに存在する生命体ごと巻き込んで行われる。
侵食された世界、及びそこにある生命体がどうなるかというと実は外見上は全く変化が無い。
しかしながら、そこに存在するものは全然違うものに書き換えられ「レコンキスタ」の支配下となる。
侵食された世界及び生命体が外見上全く変化が見当たらないのは「レコンキスタ」の高度な擬態能力に他ならない。
「レコンキスタ」はどういう仕組みによってか侵食したものの情報を瞬時に全て読み取り、主世界の「拒否反応」ともいえる修正を逃れ潜伏する為に擬態するからである。
但し、外見上変化が無いといってもそこに存在するものは全くの別物である。
具体的に言えば、侵食に巻き込まれたのが人間だった場合、その人間は全く外見上同一であり、考え方、性向なども同じように見えるがそれは良く出来た自動反応するアンドロイドに等しい存在である。
そこに意志は存在せず完全に「レコンキスタ」の操り人形と言える。
このように完全に侵食された人間は、世界から消去されたと同義である。
それを元に戻す術は現在のところ存在しない。
何故なら、侵食という現象は大元である「レコンキスタ」が消滅すればそれと同時に進行が止まり瞬時に世界がそれを修正するが全く同じように元に戻る事はないからである。
世界の修正は、まるで人間社会が中心では無いと言わんばかりに行われる。
例えば、侵食され消去された人間が居た場合、修正が行われればほぼ似たような人間が『代わり』として発生する。
これはかなり大雑把に帳尻合わせのような現象となる。
例えば、16歳の少年が侵食され消去してしまった場合、修正後同じく16歳の少年が発生する。
勿論名前や外見、性格も全く違う社会的な立場で「16歳の少年」という記号的な意味での『代わり』が発生するのである。
その違いを認識できるものは「ヴェルト」達だけで、周囲の人間たちは全く認識できない。
要するに、侵食された人間は「ヴェルト」達が侵食や世界の修正に影響を受けずに見ている普遍的な認識からすると消滅してしまったという事に等しいのである。
これは人間だけでなく、侵食された生命体が修正される場合ほぼ同じような現象として発生する。
他の生命体の場合はあまり重要視されないだけである。
人工的な構造物は、認識できる限りにおいて元通りに修正されているようである。
侵食という現象は、「レコンキスタ」が現れた時はある程度の範囲が瞬時に行われるがその後は、人体における病魔であるかのように徐々に進行する。
その進行速度は、数時間から数日単位で進行範囲も数メートルから凄まじい時は数キロという範囲で行われる。
一番最悪の例は、ある市全てが侵食されたというものがある。
(これは「阿光市クルセイド」と言われる事件で十二年前の出来事である。この事件により貴重なヴェルト達が何十人か消去し、今だこれを心因的な傷とするヴェルト達も数多存在する。)
「レコンキスタ」は侵食した世界であればその世界自体をコントロールする事が可能である。
大抵の場合、「レコンキスタ」は侵食した世界の人間の一人に擬態している場合が多い。
侵食した世界において情報を瞬時に読み取る彼らにとってそれは容易なことである。
人間に擬態する理由は、天敵である「ヴェルト」達の「レコンキスタ」への感知能力が他のものへ擬態した場合と比べて難しくなるという事を彼らが周知しているからである。
その為、彼らの侵食は人間に狙いを定め、その起点とする事が多い。
(例えば最小である「レコンキスタ」である「フォルモント」と呼称される種は明確に人間に狙いを定め侵食し擬態する)
彼らはギリギリまで「ヴェルト」の目を欺き、擬態し続け世界への侵食を優先しようとする。
だが、いざ戦いとなれば侵食した自分の領域を駆使して、人間たちが及びもつかない様な超常的な能力を使う。
具体的には、まず通常の人間には時間が加速されたとしか視認できない俊敏さ、それに付随する加速された認識力及び判断力、地球上に存在する全ての動物を超越した強靭な力、恐らく人類史上作り上げたほとんどの兵器を無効にするであろう空間そのものをを歪める事により発生させる防御能力、かつて存在を否定された空想の世界にしか存在しないようなサイキック能力、自らの侵食した世界そのものを操る事による消去能力等々・・・理不尽さの局地ともいえる様々な能力を使う。
だが、それでも・・・「レコンキスタ」はそれを上回る理不尽さを持った「ヴェルト」にほとんどの場合敗北する。
彼らが擬態し続けるのは故に当然の防御措置の結果といえるのである。
「レコンキスタ」はその姿が示す通り、少なくとも人間とはかけ離れた思考形態を持っている。
「レコンキスタ」の存在を認識し、研究している者達の中にはそもそも思考しているのかと疑問視する論も多い。
但し、少なくとも知的行動であると認識されるような活動は多い(それが本当に思考によるものなのかという意見はあるのだが)
しかしながら、それらには人間の多くが持ち合わせる感情によるぶれはほとんど見受けられない。
一番近いといわれているのは、外見上から連想されるとおり地球上の昆虫である。
だが、その生態は昆虫のそれと違い観察を繰り返せば認識できるシンプルさとは離れており、時に全く予測がつかない活動をする事がある。
個体差も激しく、これらは研究者達を大いに懊悩させている。
最終更新:2008年10月05日 23:37