【沖縄・本島南部パワスポ巡り】
第3話)パワスポ業界は大忙し
《沖縄旅行記|本島南部|糸満|奥武島|斎場御獄|久高島》
奥武島(おうしま)を後にしてオイラは斎場御嶽(セーファーウタキ)に向かった。奥武島案内をしてくれたガイドのMさんが御嶽の入り口まで車で送ってくれた。
Mさんはハーブ石鹸の工房も運営しており、斎場御嶽前の土産物店にも商品を卸している。その店頭チェックも兼ねて出かけるので同乗させてもらったのだが、おかげでこの間のバス代が浮いて助かった。
Mさんはこの辺りでも顔が利く。土産物店に着くと直ぐに店の実力者にオイラを「ふるさと納税でガイドしたお客さんです」と紹介してくれた。すると、
「ふるさと納税してくれたのですね。ではここの納税者様ではないですか」
と、お礼にお菓子をいただいた。こんなところでお礼の品にオマケが付いているとは思ってもいなかった(笑)。
ところで、斎場御嶽(セーファーウタキ)の御嶽(ウタキ)とは何であろうか? それは琉球神道における聖域の総称で、森の中の空間や岩等が神が宿る場所として崇められている。なかでも斎場御嶽(セーファーウタキ)は最高位の聖地とされ、世界遺産にも登録されているのだ。
琉球王国の首都・首里から真東の海上にあるのが久高島である。太陽が昇る東にある島として久高島は神の島とされた。斎場御嶽(セーファーウタキ)はちょうど首里と久高島の間にある。そのため古くから最も聖なる御嶽(ウタキ)とされ、琉球王朝時代には首里から何百人もの神職者がお参りに来たという。
土産物店に隣接した切符売場から500m程離れた山中に御嶽(ウタキ)の入り口がある。そこから山の中に入ると鬱蒼とした茂みの中に参道が通っていた。最終的な祈りの場に向かう途中、要所要所に神への祈りを捧げる場所があり、神秘的な雰囲気を醸し出していた。
そんな聖なる御嶽(ウタキ)の入口と切符売場との間の通りは「せいふぁのみち」と名づけられ、聖なる御嶽にあやかった俗なる世界が広がっていた。
タロット占い店、パワーストーンショッブ、スピリチュアルヒーリング専門店、等々…、と通りにはパワースポット業界のお店が連なっていた。そして琉球の神とどう繋がりがあるのか分からないが、妙な民族衣装を着たアクセサリー売りのおじさんまで出現している。そして、そのおじさんも客待ちの間はしきりにスマホをイジって遊んでいるのが令和らしい。
キ~コ~、キ~コ~、
ん? いったい何だこの音は? 御嶽(ウタキ)出口から切符売場に戻る途中の通りは高い岸壁になっていた。そして海に面したその岸壁の端に、空中ブランコなるものが設置されていた。崖っぷちにある巨大なブランコは、まるで聖なる島・久高島に向かって飛んでいくかのようだ。
キ~コ~、キ~コ~、
これは一回1,000円となかなかの値段がする巨大ブランコの揺れる音であったが、もしこのブランコが海側の頂点に達した瞬間に綱が切れたらと思うとゾッとする。そうなれば確実に神の国に行くことができる。
でもたったの1,000円で神の元に行けるのなら、それはそれで安いのかもしれない??
ともかく、御嶽(ウタキ)の聖なる力にあやかって、俗なる下界ではパワスポ便乗ビジネスが花盛りなのであった。
最終更新:2022年01月02日 21:45