【そんなはずではなかった-礼文利尻の旅】
第4話)利尻島を脱出せよ
《北海道|稚内|礼文島|利尻島》
夕方、礼文からフェリーで利尻島に渡る。ターミナルには宿の人に車で迎えに来てもらっていた。明日は1日自転車を借りて利尻島を一周する予定である。だが礼文島を出るころからむくみだした左足の調子が良くない。わーっと腫れてきて熱を持っている。
これはちょっと自転車どころの騒ぎではないな。
一晩様子を見てみようと思ったが、夜中の間に足の腫れはどんどんどんどん大きくなっていき、熱も上がってきた。このまま無理して観光などしたら微熱が高熱になる恐れが高い。そうなるとコロナと疑われて飛行機に乗せてもらえず、しばらく利尻島から脱出できなくなる。それだけは何としても避けなくては!!
おいらは丸1日ゲストハウスで寝て過ごした。
せっかく利尻島まで来たのに一体何をしているんだ。訪れたところといえば宿から3分のスーパーとその対面にある夕日ヶ丘展望台だけである。
翌日の午後、本来であれば利尻空港から千歳空港に飛び、札幌で一泊してから東京に戻るという予定を立てていたが、足のむくみがひどくなりもはや札幌で1日遊んでいられるような状態ではなくなっていた。
早く帰京して医者に診てもらわなくては。だがオイラのチケットはマイレージの特典航空券。直前の日程変更は認められていない。
「体調が悪いので、札幌東京便を今日の利尻札幌のフライトに同日接続できる便に振り替えてください」
利尻空港のカウンターでオイラはダメもとで訴えたところ
「通常日程変更は認められておりませんが、今回は事情が事情なので特別対応いたします」
これはありがたい!! もし札幌でもう一泊となったら益々高熱が出て飛行機に搭乗できなくなるであろう。だが同日接続なら、検温は利尻空港の一回で済む。
利尻空港の手荷物検査の前には体温を測定する顔認証装置が備え付けてあった。宿を出たときの体温は飛行機に乗れるか乗れないかのギリギリの温度であったので、測定前おいらは冷えたペットボトルの水を口に含んで、ササッと検温機の前を通過。うまいこと平熱と認識してくれたようだ。こうして無事に利尻島を脱出することができ、千歳空港で東京行きの便に乗り換える。
「本日東京行きのフライトは満席で2名ほど1時間後のフライト変更して頂けるお客様を募っております」
とアナウンスが流れた。東京行きの接続便は満席だったのか!! 利尻空港のスタッフさんありがとう。
「変更協力いただけるお客様にはお礼として1万円を差し上げます」
なに〜!! フライトチェンジのボランティアで1万円がもらえるのか! オイラはすかさずカウンターに駆け寄った。
「ありがとうございます。何名か協力していただけるお客様がいますので、空席待カウンターの前でお待ちください」
千歳空港の空席待ちカウンターで1万円ゲットを目論む
ほとんど何もしないで終わってしまった利尻島。これはいつかリベンジしなくてはいけない。そのための資金1万円がもらえるのは大きいゾ! オイラは期待を胸にカウンターで名前が呼ばれるのを待つ。だがしかしオイラよりも早く名乗り出たのであろう2名の乗客が、それらしき手続き用紙をもらっていた。
残念ながら1万円は幻と化したが、定刻通りのフライトで羽田へ戻る。そして念のため無料PCR検査を受け、翌日コロナ陰性であることが判明。しかし足のむくみは帰りのフライト中に重篤化し、東京に戻ってクリニックに行ったらかなり重症と診断され、その後、泊まりたくない所に数日間泊まるハメになってしまったのであった。 とほほ〜。
最終更新:2022年09月19日 17:13